みらい(新人医療事務)
訪問診療をしているクリニックの先生から「手順書加算って何ですか」と聞かれたんですけど、正直よくわかっていなくて…。あおいさん、教えてもらえますか。
あおい(元・医療事務)
いいですよ。手順書加算は、訪問看護指示料(区分番号C007)の注3に規定されている加算です。令和8年度の医科点数表では、主治医が特定の医行為の管理が必要と判断し、患者さんの同意を得たうえで、訪問看護ステーション等の看護師に「手順書」を交付した場合に、150点を所定点数に加算する仕組みになっています。
みらい(新人医療事務)
「手順書」ってどんな書類なんですか? 訪問看護指示書とは別物ですか?
あおい(元・医療事務)
別物です。手順書は、保健師助産師看護師法第37条の2第2項第2号に規定されているもので、看護師が特定の医行為(特定行為)を行う際の手順を医師が定めて交付する書類です。訪問看護指示書とセットで発行するイメージですね。まず、この加算がどんな場面で登場するのか、順番に見ていきましょう。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
この加算は、どんな医療機関・患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表では、対象になるのは「当該患者に対する診療を担う保険医療機関の保険医」です。つまり、訪問看護指示料(C007)を算定している医療機関の主治医が対象になります。留意事項通知には「「注3」に規定する手順書加算は、患者の主治医が、診療に基づき、訪問看護において保健師助産師看護師法第37条の2第2項第1号に規定する特定行為(訪問看護において専門の管理を必要とするものに限る。)に係る管理の必要を認め、同項第2号に規定する手順書を当該患者が選定する訪問看護ステーション等の看護師(同項第5号に規定する指定研修機関において行われる研修を修了した者に限る。)に対して交付した場合に、患者1人につき6月に1回を限度として算定する」と記載されています。
みらい(新人医療事務)
なるほど。「特定行為」って具体的には何を指すんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、訪問看護において専門の管理を必要とするものとして「ア 気管カニューレの交換 イ 胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換 ウ 膀胱ろうカテーテルの交換 エ 褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去 オ 創傷に対する陰圧閉鎖療法 カ 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整 キ 脱水症状に対する輸液による補正」の7区分が挙げられています。
あおい(元・医療事務)
つまり対象患者は、この7区分のいずれかについて訪問看護での専門的な管理が必要と主治医が認めた患者さんで、かつご本人(またはご家族等)の同意が得られていることが条件になります。単に「在宅で訪問看護を受けている」だけでは、この加算の対象にはならない可能性があります。
みらい(新人医療事務)
結構限定的なんですね。じゃあ次は点数を見てみたいです。
点数(令和8年度)
あおい(元・医療事務)
C007訪問看護指示料の本体点数と、注に規定される加算をまとめるとこうなります。
| 区分 | 名称 | 点数 | 算定制限 |
|---|---|---|---|
| C007(本体) | 訪問看護指示料 | 300点 | 月1回 |
| 注2 | 特別訪問看護指示加算 | 100点(別に厚生労働大臣が定める者は月2回) | 患者1人につき月1回 |
| 注3 | 手順書加算 | 150点 | 患者1人につき6月に1回限度 |
| 注4 | 衛生材料等提供加算 | 80点 | 患者1人につき月1回 |
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表の告示には「3 当該患者に対する診療を担う保険医療機関の保険医が、診療に基づき、保健師助産師看護師法第37条の2第2項第1号に規定する特定行為に係る管理の必要を認め、当該患者の同意を得て当該患者の選定する訪問看護ステーション等の看護師(同項第5号に規定する指定研修機関において行われる研修を修了した者に限る。)に対して、同項第2号に規定する手順書を交付した場合は、手順書加算として、患者1人につき6月に1回に限り、150点を所定点数に加算する」と記載されています。
みらい(新人医療事務)
150点で、6か月に1回だけなんですね。うっかり毎月算定してしまいそうです。
あおい(元・医療事務)
そこは注意が必要ですね。「6月に1回を限度」という回数制限は、この加算の中でもとくに間違いやすいポイントです。図で確認しておきましょう。

施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
この加算を取るのに、届出や施設基準は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
そこがちょっと難しいところです。当サイトが確認した範囲の一次資料(令和8年度の点数表・留意事項通知)には、手順書加算そのものに対する施設基準や届出の規定は見当たりませんでした。つまり、医療機関側で新たに届出をしなければ算定できない、という記載は確認できていません。
みらい(新人医療事務)
じゃあ届出は不要ってことですか?
あおい(元・医療事務)
そう言い切るのはまだ早いです。「確認できなかった」ことと「不要と決まっている」ことは違いますから。実際、この加算には別の重要な条件があります。手順書を受け取る側、つまり訪問看護ステーションの看護師が「指定研修機関において行われる研修を修了した者」でなければならない、という条件です。これは医療機関の届出ではなく、看護師個人の研修修了要件です。
みらい(新人医療事務)
ということは、医療機関側は何を確認すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
手順書を交付する予定の訪問看護ステーションに対して、その担当看護師が特定行為研修(保健師助産師看護師法第37条の2に基づく指定研修)を修了しているかどうかを、事前に確認しておく必要があります。ここは医療機関だけで完結しない話なので、要確認のポイントとして押さえておいてください。
見落としやすいポイント
手順書加算の対象研修: 手順書を交付する相手の看護師が「指定研修機関において行われる研修を修了した者」であることが留意事項通知に明記されています。訪問看護ステーション側にこの条件を満たす看護師がいるかどうかを、算定候補にする前に確認する必要があります。
回数制限: 「患者1人につき6月に1回を限度」と規定されています。同一患者について短期間で複数回算定していないか、レセプト作成時に確認が必要です。
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
実際に算定するときのタイミングは、いつを基準に考えればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
手順書を実際に交付したタイミングで算定を検討することになります。ただし、留意事項通知には算定して終わりではなく、その後の関わりについても記載があります。「手順書を交付した主治医は当該訪問看護ステーション等の当該看護師と共に、患者の状態に応じて手順書の妥当性を検討すること」という一文です。
あおい(元・医療事務)
つまり、手順書を交付したら終わりではなく、その後も訪問看護ステーションの看護師と一緒に、患者さんの状態に応じて手順書の内容が妥当かどうかを継続的に検討することが求められています。単発の書類作成では済まない、という点は押さえておきたいですね。
みらい(新人医療事務)
併算定で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
手順書加算そのものへの直接的な併算定除外の規定は、当サイトが確認した一次資料の範囲では見当たりませんでした。ただし、この加算のベースになっているC007訪問看護指示料自体には「5 訪問看護指示料を算定した場合には、区分番号I012-2に掲げる精神科訪問看護指示料は算定しない」という規定があります。
あおい(元・医療事務)
これはC007本体とI012-2精神科訪問看護指示料との重複算定を避けるための規定です。手順書加算自体の話ではありませんが、ベースになる訪問看護指示料の算定要件として押さえておいてください。なお、精神科の医師が交付する場合には、区分番号I012-2精神科訪問看護指示料の注3に、今回の加算とは別建てで「精神科版」の手順書加算が規定されています。名称が似ているので、どちらの区分の加算を算定しようとしているのか、必ず区分番号で確認するようにしてください。
断定はできません
上記はあくまで一次資料(令和8年度の点数表・留意事項通知)で確認できた範囲の整理です。実際の算定可否は、患者さんの状態、手順書の内容、訪問看護ステーション側の体制によって変わります。自院のケースに当てはめる場合は、必ず自院の届出状況・診療内容を踏まえて確認してください。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定(令和6年度)から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは正直に言うと、当サイトが保有する令和8年度の一次資料(点数表・留意事項通知の該当箇所)の範囲では、手順書加算の新設・点数変更・要件変更を示す記載は確認されていません(確認日: 2026年8月)。150点・6月に1回限度という条件も、今回参照した令和8年度の資料の中で一貫していました。
みらい(新人医療事務)
「変わっていない」と言い切れるわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。当サイトが今回照合したのは令和8年度の点数表と留意事項の該当箇所までなので、令和6年度時点の資料と1つずつ突き合わせたわけではありません。「今回確認した範囲では変更が見当たらなかった」という言い方が正確です。改定内容の細部が気になる場合は、告示・留意事項通知の原文や疑義解釈もあわせて確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちのクリニックで確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな流れで確認するとわかりやすいと思います。
自院で確認する順番
- C007訪問看護指示料を算定している患者さんかどうかを確認する
- 特定行為(気管カニューレ交換など留意事項通知の7区分)について、訪問看護での専門的な管理が必要かどうかを主治医が判断する
- 患者さん本人(または家族等)の同意を得る
- 手順書を作成し、患者さんが選定する訪問看護ステーションの看護師(指定研修機関の研修修了者)に交付する
- 前回算定から6か月以上経過しているかをレセプト上で確認する
- 手順書交付後も、訪問看護ステーションの看護師と一緒に手順書の妥当性を定期的に検討する

みらい(新人医療事務)
こうして順番に見ると、意外と確認項目が多いですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。とくに3番目の「訪問看護ステーション側の看護師が指定研修機関の研修を修了しているか」は、医療機関側だけでは完結しない確認事項なので、うっかり見落とされがちなポイントです。
よくある取り漏れ
手順書加算の交付相手の要件確認漏れ: 訪問看護ステーション側の看護師が特定行為研修(指定研修機関の研修)を修了しているかどうかを確認せずに手順書を交付してしまうケースです。交付前に訪問看護ステーションへ確認しておくと安心です。
6月に1回の起算日管理漏れ: 「6月に1回を限度」という制限は、患者ごとに前回算定日を管理していないと見落としやすいポイントです。レセプトコンピュータ上での管理方法を確認しておきましょう。
関連する加算もあわせて確認
みらい(新人医療事務)
訪問看護指示料には、手順書加算以外にも似たような加算があるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。同じC007訪問看護指示料の注に規定されている加算として、特別訪問看護指示加算(注2・患者急性増悪時等の頻回訪問看護指示)と、衛生材料等提供加算(注4・衛生材料及び保険医療材料の提供)があります。同じ訪問看護指示書のやり取りの中で登場する加算なので、あわせて確認しておくと算定漏れを防ぎやすくなります。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省の公式資料を根拠としています。詳細な要件は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)C007 訪問看護指示料 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)C007 訪問看護指示料 該当部分(当サイトが収録している範囲でのタイトル表記。URLは訂正通知等による差し替えの可能性があるため本文には掲載していません)
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。