みらい(新人医療事務)
「入院時訪問指導加算」という名前を初めて見たんですけど、これはどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
リハビリテーション総合計画評価料(H003-2)の注3に規定されている加算ですよ。回復期リハビリテーション病棟入院料を算定している患者さんについて、退院後の生活環境を実際に訪問して評価したうえでリハビリテーション計画を作った場合に、入院中1回だけ150点を上乗せできる仕組みです。
みらい(新人医療事務)
「患家等を訪問」ということは、スタッフが患者さんのご自宅まで行くということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。厚生労働省の令和8年度点数表には「当該保険医療機関の医師、看護師、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、患家等を訪問し、当該患者(区分番号A308に掲げる回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する患者に限る。)の退院後の住環境等を評価した上で、当該計画を策定した場合に、入院時訪問指導加算として、入院中1回に限り、150点を所定点数に加算する。」と定められています。
みらい(新人医療事務)
「入院中1回に限り」というのが気になります。何度も訪問したら複数回算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、複数回訪問しても算定候補になるのは入院中1回だけです。まずは「対象は回復期リハビリテーション病棟入院料の患者さんに限られる」という点をしっかり押さえておきましょう。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
「回復期リハビリテーション病棟入院料の患者さんに限られる」ということでしたが、具体的にはどんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の留意事項通知には、対象となる患者さんと訪問のタイミングがかなり具体的に書かれています。「注3」に掲げる入院時訪問指導加算は、「A308」回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する患者について、当該病棟への入院日前7日以内又は入院後7日以内に当該患者の同意を得て、医師、看護師、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士のうち1名以上が、必要に応じて社会福祉士、介護支援専門員又は介護福祉士等と協力して、退院後生活する患家等を訪問し、患者の病状、退院後生活する住環境(家屋構造、室内の段差、手すりの場所、近隣の店までの距離等)、家族の状況、患者及び家族の住環境に関する希望等の情報収集及び評価を行った上で、リハビリテーション総合実施計画を作成した場合に、入院中に1回に限り算定するとされています。ただし、入院期間の起算日が変わらない再入院の場合は算定できません。
みらい(新人医療事務)
訪問できる時期は「入院日前7日以内」か「入院後7日以内」のどちらかということですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。しかも訪問するのは医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のうち少なくとも1名で、必要に応じて社会福祉士や介護支援専門員、介護福祉士等が協力する形も想定されています。訪問先で確認する内容も、住環境(家屋構造・段差・手すりの位置・近隣の店までの距離等)や家族の状況、患者さんとご家族の希望など、かなり具体的です。
みらい(新人医療事務)
「入院期間の起算日が変わらない再入院の場合は算定できない」というのも重要そうですね。
あおい(元・医療事務)
はい。いったん退院して同じ起算日のまま再入院してきたケースでは、算定候補になりません。診療所・病院いずれも対象にはなり得ますが、実務上は回復期リハビリテーション病棟入院料(A308)を届け出ている病院が中心になります。
点数と算定単位
みらい(新人医療事務)
点数は先ほど150点とのことでしたが、あらためて整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
表にするとこうなります。
| 区分番号 | 加算名 | 点数 | 算定単位 | 年度 |
|---|---|---|---|---|
| H003-2 注3 | 入院時訪問指導加算 | 150点 | 入院中1回に限り | 令和8年度(2026年度) |
みらい(新人医療事務)
リハビリテーション総合計画評価料本体とは別に、150点を上乗せするイメージですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。リハビリテーション総合計画評価料(H003-2)本体の算定に、注3の要件を満たした場合だけ150点が加算候補になります。単独では算定できない点に注意してください。

施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
150点も加算されるとなると、施設基準の届出が必要そうですね。
あおい(元・医療事務)
実は、入院時訪問指導加算そのものについては、当サイトが確認できる公式資料の範囲では、地方厚生局への個別の届出や専用の施設基準は規定されていません。
みらい(新人医療事務)
え、届出は不要なんですか?
あおい(元・医療事務)
入院時訪問指導加算単体としては届出不要という整理です。ただし、対象になるのはリハビリテーション総合計画評価料(H003-2)を算定していて、かつA308回復期リハビリテーション病棟入院料を算定している患者さんに限られます。回復期リハビリテーション病棟入院料自体は施設基準の届出が前提の入院料ですので、まずその病棟の届出・運用体制が整っていることが必要です。
みらい(新人医療事務)
つまり「入院時訪問指導加算という名前の届出」を新たに出す必要はないけれど、前提になる病棟の届出はすでに済んでいないといけない、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。届出の有無を確認する際は、入院時訪問指導加算単体ではなく、回復期リハビリテーション病棟入院料側の届出状況を必ず確認するようにしてください。
届出確認のポイント
入院時訪問指導加算そのものに個別の届出義務は確認されていませんが、対象患者の前提となるA308回復期リハビリテーション病棟入院料の届出状況・運用体制の充足は必ず自院で確認してください。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
さっき「入院中1回」と伺いましたが、訪問の時期にも決まりがあるんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。「病棟への入院日前7日以内」または「入院後7日以内」のどちらかで訪問と同意取得を行うことが要件です。この期間を外れて訪問しても、算定要件を満たさない可能性があります。
みらい(新人医療事務)
ほかに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
併算定に関する記載が1つあります。退院前訪問指導料(区分番号B007)の注1には「入院後早期に退院前訪問指導の必要があると認められる場合は、2回算定することができる。この場合において、区分番号H003-2に掲げるリハビリテーション総合計画評価料の注3に規定する入院時訪問指導加算は算定できない。」と明記されています。この文言のとおり読むと、算定できないという規定は退院前訪問指導料を入院後早期に2回算定する場合に関するものであり、退院前訪問指導料を通常どおり1回算定するだけの場合にも同じ制限が及ぶかどうかは、条文だけでは判然としません。
みらい(新人医療事務)
つまり、退院前訪問指導料を算定していれば必ず入院時訪問指導加算が算定できなくなる、と決めつけないほうがいいんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。少なくとも退院前訪問指導料を入院後早期に2回算定するケースでは入院時訪問指導加算は算定候補になりません。それ以外の、退院前訪問指導料を1回だけ算定するケースでの扱いは確認が必要ですので、退院前訪問指導料(B007)の算定を予定している場合は、審査支払機関や最新の公式資料で個別に確認しておくと取り漏れや重複請求の防止になります。
併算定の確認ポイント
退院前訪問指導料との関係: 退院前訪問指導料(B007)を入院後早期に2回算定する場合は、入院時訪問指導加算は算定候補になりません。退院前訪問指導料を1回算定するだけの場合に同じ制限が及ぶかは条文上明確でないため、該当する可能性がある場合は確認が必要です。どちらの要件で訪問したかをカルテに明確に記録しておくことも大切です。 再入院時の扱い: 入院期間の起算日が変わらない再入院では、入院時訪問指導加算は算定候補になりません。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、令和6年度から令和8年度にかけて何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できる公式資料の範囲では、入院時訪問指導加算(H003-2 注3)の点数(150点)や算定要件(対象患者・訪問期間・入院中1回限り・再入院時の扱い)についての変更は確認されていません。令和8年3月5日付の留意事項通知(保医発0305第6号)でも、同じ内容の要件が示されています。
みらい(新人医療事務)
変更がないと聞くと少し安心しますが、それでも確認したほうがいいですか?
あおい(元・医療事務)
はい。「変更が確認されていない」というのは、あくまで当サイトが参照できた公式資料の範囲での話です。疑義解釈などで運用上の細かい取り扱いが追加で示される場合もあるため、届出や算定の直前には必ず最新の公式資料を確認する習慣をつけてください。
改定の時系列(当サイトが確認できた範囲)
令和6年度: リハビリテーション総合計画評価料の注に入院時訪問指導加算(150点・入院中1回)が規定されていました。 令和8年度: 同じ要件・同じ点数(150点)で継続。留意事項通知(保医発0305第6号)でも同内容の算定要件が示されています。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの病院で算定候補になるか確認するには、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認するのがおすすめです。
自院で確認する順番
- 対象患者かどうかを確認 — A308回復期リハビリテーション病棟入院料を算定している患者かどうか、入院期間の起算日が変わらない再入院ではないかを確認
- 訪問できる期間を確認 — 病棟への入院日前7日以内、または入院後7日以内に訪問・同意取得ができるスケジュールかを確認
- 訪問する職種を確認 — 医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のうち少なくとも1名が訪問できる体制か、必要に応じて社会福祉士・介護支援専門員・介護福祉士等と連携できるかを確認
- 記録内容を確認 — 住環境(家屋構造・段差・手すりの位置・近隣の店までの距離等)、家族の状況、患者・家族の希望等を記録し、リハビリテーション総合実施計画に反映しているかを確認
- 併算定の重複を確認 — 同一入院で退院前訪問指導料(B007)を入院後早期に2回算定する予定がないか確認。退院前訪問指導料を1回算定するだけの場合の扱いは条文上明確でないため、該当しそうな場合は個別に確認
- 前提となる届出を確認 — A308回復期リハビリテーション病棟入院料の届出・施設基準が維持されているかを確認

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実際の現場では、どんな取り漏れが多いんですか?
あおい(元・医療事務)
よくあるのは、訪問自体は行っているのに「入院前後7日以内」という期間の記録が曖昧で、後から算定要件を満たしていたか確認しづらくなるケースです。
取り漏れやすいポイント
訪問日の記録漏れ: 訪問日と入院日(または退院予定日)の関係を診療録に明記していないと、7日以内の要件を満たしていたか後から確認しづらくなります。 退院前訪問指導料との混同: 退院前訪問指導料(B007)と入院時訪問指導加算は要件も点数も別物です。どちらの要件で訪問したかをその都度記録することが取り漏れ・重複防止につながります。 訪問職種の記録不足: 訪問した職種(医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のいずれか)と、協力した社会福祉士等の氏名・職種を記録に残しておくと、後日の確認がスムーズです。
みらい(新人医療事務)
過去に厚生労働省から出された疑義解釈にも、参考になる情報はありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。たとえば平成26年度に公表された疑義解釈では、訪問を行う職員について「当該保険医療機関に勤務する者が行う。なお、病棟専従配置のものが行うことは不可」という考え方が示されていました。また、入院日をまたいで訪問時期がずれるケース(4月1日〜7日の入院患者に対して3月25日〜31日に訪問した場合)についても「満たす」との回答が示されています。当時の点数表での注番号は「注2」でしたが、内容としては現行の「注3」の入院時訪問指導加算と同じ制度趣旨です。現在の取り扱いに変更がないかは、最新の公式資料と自院の状況にあわせて確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者の要件や訪問時期、併算定の状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省公式資料を根拠としています。詳細な算定要件は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(医科点数表・令和8年度) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 疑義解釈資料の送付について(厚生労働省 保険局医療課) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21053.html