入院時初回加算ってどんな加算?
みらい(新人医療事務)
「入院時初回加算」ってレセプトでたまに見かけるんですけど、これって何の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
これは検体検査の加算の一つです。D007血液化学検査という、コレステロールやAST、ALTなど血液の化学的な項目をまとめて調べる検査があるんですが、その検査を1回の採血で5項目以上まとめて実施した場合に、入院中の患者さんに限って、初回だけ20点が上乗せされる加算です。
みらい(新人医療事務)
「上乗せ」ということは、もともとの検査点数にさらに追加されるイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。D007血液化学検査は、5項目以上まとめて行うと項目数に応じた包括点数(あとで表にしますね)で算定するルールになっています。その包括点数に対して、入院中の患者さんであれば、今回の入院での初回に限り20点が加算される、という位置づけです。令和8年度(2026年度)の医科点数表でもこの取り扱いが確認できます。
みらい(新人医療事務)
外来の患者さんには関係ないんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、この加算は「入院中の患者について算定した場合」に限られていますので、外来では対象外です。まずはこの前提を押さえておくと、あとの確認がスムーズになりますよ。
どんな医療機関・患者が対象?
みらい(新人医療事務)
対象になる医療機関って、病院だけですか? それとも診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
診療所・病院のどちらでも算定候補になり得ます。D007血液化学検査自体は多くの保険医療機関で行われる基本的な検査なので、施設の種別を限定する加算ではありません。ポイントは「医療機関の種類」ではなく「入院中の患者に対して、5項目以上の血液化学検査をまとめて行ったか」というところです。
みらい(新人医療事務)
患者さん側の条件はありますか? 特定の病気とか年齢とか。
あおい(元・医療事務)
対象疾患や年齢による制限は、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認されていません。あくまで「入院中の患者」であることと、「D007血液化学検査を1回の採血で5項目以上実施したこと」が条件になります。特定の診療科に限定されるものでもないので、内科でも外科でも、入院診療で該当する検査を行えば算定候補になり得ます。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、外来から入院した直後の患者さんが検査を受けた場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこはよくある確認ポイントです。「入院中の患者について算定した場合」という要件なので、検査を実施した時点で入院中(入院基本料等を算定している状態)であることが前提になります。外来受診時に採血して、その後に入院が決まった、というようなケースは、算定のタイミングを個別に確認したほうがよいところです。ここは自院のレセプト担当だけで判断せず、必要に応じて審査支払機関にも確認しておくと安心です。
点数の考え方を整理する
みらい(新人医療事務)
点数の仕組み、もう少し詳しく知りたいです。基本の点数がまずあるんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。D007血液化学検査は、1〜8までに掲げる検査項目を1回の採血で5項目以上行った場合、個別の項目点数を積み上げるのではなく、項目数に応じた包括点数で算定します。令和8年度の医科点数表では、次のように整理されています。
| 実施項目数 | 所定点数 |
|---|---|
| 5項目以上7項目以下 | 93点 |
| 8項目又は9項目 | 99点 |
| 10項目以上 | 103点 |
あおい(元・医療事務)
この包括点数に対して、入院中の患者さんであれば、今回の入院での初回に限り20点が上乗せされます。つまり「基本の包括点数」+「入院時初回加算20点」という二段構えのイメージです。

みらい(新人医療事務)
「初回に限り」というのが気になります。1回の入院で何回も算定できるわけじゃないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、そこは重要な確認ポイントです。今回の入院での「初回」だけが対象で、同じ入院中に2回目以降の血液化学検査(5項目以上)を実施しても、入院時初回加算は再度算定できません。基本の包括点数(93点・99点・103点のいずれか)は検査のたびに算定候補になりますが、20点の加算は入院ごとに1回限りという整理になります。
みらい(新人医療事務)
算定できる場面とできない場面を、表でも見てみたいです。
あおい(元・医療事務)
表にすると、こうなります。
| 算定場面 | 入院時初回加算の扱い |
|---|---|
| 入院中の患者・今回の入院で初めての算定 | 算定候補(+20点) |
| 入院中の患者・同じ入院で2回目以降 | 対象外 |
| 外来患者 | 対象外 |
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
この加算、届出とか施設基準は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、入院時初回加算そのものに専用の施設基準や地方厚生局への届出は確認されていません。D007血液化学検査を実施できる体制があり、入院中の患者に該当する検査を行っていれば、届出なしで算定候補になり得ます。
届出不要でも自院確認は必要
届出が不要な加算であっても、実際に5項目以上の血液化学検査を1回の採血で実施したか、入院中の患者に該当するかといった算定要件そのものは、レセプトごとに確認が必要です。届出不要=常に算定できる、という意味ではありません。
みらい(新人医療事務)
施設基準がないからといって、確認をサボっていいわけじゃないんですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。届出の有無と、個々のレセプトでの算定要件の充足は別の話なので、両方を分けて考える習慣をつけておくと安心です。
算定できるタイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
実際にレセプトを作るとき、どこに気をつければいいですか?
あおい(元・医療事務)
まず、D007血液化学検査を1回の採血で5項目以上まとめて実施したかどうかを検査オーダーの記録で確認します。次に、その検査を実施した時点で患者さんが入院中だったかを入院基本料の算定状況で確認します。そして最後に、今回の入院で初めての算定かどうかを、過去のレセプトや算定履歴で確認する、という順番になります。
みらい(新人医療事務)
3項目とか4項目しか検査していない場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
その場合はD007血液化学検査の包括点数の対象にならず、個別の項目点数で算定することになります。当然、入院時初回加算の対象にもなりません。「5項目以上」という数え方を誤ると、包括点数と加算の両方に影響してしまうので、検査項目数の数え間違いには注意が必要です。
同一入院での重複算定に注意
同じ入院期間中に複数回、5項目以上の血液化学検査を実施しても、入院時初回加算(20点)が算定候補になるのは最初の1回のみです。2回目以降に誤って加算してしまうと、後日の返戻・査定の対象になり得ますので、レセプト作成時に「今回の入院で算定済みかどうか」を必ず確認してください。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定(令和6年度)から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和6年度(2024年度)からの変更点は確認されていません。令和8年度(2026年度)の医科点数表(令和8年厚生労働省告示第69号)で確認できるD007血液化学検査の注に基づいて、この記事の内容を整理しています。
みらい(新人医療事務)
「変更なし」と言い切っていいんですか?
あおい(元・医療事務)
正確に言うと、当サイトのDBには令和6年度時点の同項目の一次資料がまだ収録されていないため、「令和8年度の一次資料を確認した範囲では、変更を示す情報が見当たらない」という言い方が適切です。点数や算定要件が変わる改定は少なくないので、気になる場合は最新の官報・厚労省告示も併せて確認していただくと確実です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際に自院で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
- D007血液化学検査を1回の採血で5項目以上まとめて実施したか、検査オーダーで確認する
- 検査を実施した時点で患者さんが入院中(入院基本料等を算定中)だったか確認する
- 今回の入院で、この検査による入院時初回加算をまだ算定していないか、過去のレセプトを確認する
- 上記がすべて確認できれば、算定候補として包括点数(93点・99点・103点のいずれか)+20点で記載する

みらい(新人医療事務)
この順番なら、事務のスタッフでも確認しやすそうです。
あおい(元・医療事務)
はい、届出が不要な加算なので、確認すべきポイントは「検査の実施内容」と「入院の有無」「初回かどうか」の3点に絞られます。この3点をチェックリスト化しておくと、算定漏れも誤算定も防ぎやすくなります。
よくある取り漏れ
項目数の数え間違いによる取り漏れ
D007血液化学検査の「1〜8」に該当する項目を4項目しか算定していないと思い込み、実際には5項目以上実施していたのに包括点数と入院時初回加算の両方を取り漏らしているケースがあります。検査オーダーの実施項目を丁寧に数え直すことが大切です。
外来から入院への切り替えタイミングの見落とし
外来で採血・検査を行った後に入院が決まった場合、検査を実施した時点で入院中だったかどうかの判断があいまいになりがちです。入院基本料の算定開始日と検査実施日を照らし合わせて確認する必要があります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか確認したいことがあります。同じ日に複数の検査をした場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
同一の採血で5項目以上まとめて実施していれば、その1回分について包括点数と入院時初回加算が算定候補になります。別の日に改めて採血し直した場合は、その回は「初回」の対象からは外れます(すでに今回の入院で初回を算定済みであれば)。
みらい(新人医療事務)
退院後、再入院した場合はどうですか?
あおい(元・医療事務)
「今回の入院での初回」という考え方なので、退院して改めて入院した場合は、その新しい入院についてまた初回の扱いが生じ得ます。ただし、この点も含めて個別の判断が必要な場面では、自院だけで抱え込まず、審査支払機関への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出をしていない診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算に専用の届出は必要とされていません。そのため、届出をしていない診療所でも、検査の実施内容と入院の要件を満たしていれば算定候補になり得ます。ただし最終的な判断は、自院の届出状況や公式資料での確認が必要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。検査の実施内容や入院の状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。同じ検査加算のカテゴリでは、真菌培養加算や時間外緊急院内検査加算も似た構造の「注加算」なので、あわせて確認してみるとレセプトの見直しがしやすくなります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。