みらい(新人医療事務)
先輩、「入院栄養管理体制加算」という名前を初めて見たんですけど、これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
病棟に常勤の管理栄養士を配置して、患者さんの病態や状態に応じた栄養管理を行える体制を評価する加算です。令和8年度(2026年度)の医科点数表では270点で、入院初日と退院時にそれぞれ1回ずつ算定する仕組みになっています。
みらい(新人医療事務)
270点かぁ、結構大きいですね。うちの病院でも算定候補になるか気になります!
あおい(元・医療事務)
それが実は、対象がかなり限定されているんです。この加算は「特定機能病院入院基本料」を算定する病棟が対象で、一般の病院すべてに開かれた加算ではありません。まずそこを確認するところから始めましょう。
この加算は何のためのものか
みらい(新人医療事務)
「特定機能病院」というと、大学病院みたいなところですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。高度医療を提供する病院として承認された医療機関が算定する「特定機能病院入院基本料」の枠組みの中に、入院栄養管理体制加算は位置づけられています。一般病棟入院基本料や地域包括医療病棟入院料など、他の入院基本料を算定している病院は対象になりません。
みらい(新人医療事務)
じゃあ最初に「うちは特定機能病院入院基本料を算定しているか」を確認する必要があるんですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。そのうえで、病棟に管理栄養士を専従で配置し、栄養スクリーニングや栄養管理計画の策定などを行える体制を整えていることが評価の対象になります。栄養状態の管理は入院患者のADLや回復にも関わるので、体制づくりそのものを評価する加算と言えますね。
みらい(新人医療事務)
栄養サポートチーム加算と似ている気がするんですが、違いはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
似ていますが別物です。栄養サポートチーム加算は多職種チームで個々の患者を回診・評価する加算で、入院栄養管理体制加算は病棟に専従の管理栄養士を配置する「体制」そのものへの評価です。後ほど併算定の注意点でも触れますが、この2つは同時に算定できない関係にあります。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
対象医療機関について、もう少し詳しく教えてください。
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示では、特定機能病院入院基本料の「注」に規定されており、「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者に対して、管理栄養士が必要な栄養管理を行った場合」に算定するとされています。つまり病棟単位で施設基準への適合と届出が必要です。
みらい(新人医療事務)
病院全体ではなく病棟単位なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。特定機能病院の中でも、施設基準を満たして届け出た病棟だけが対象になります。対象患者は、その病棟に入院している患者全般です。入院初日の考え方については、「当該患者が当該加算を算定できる病棟に入院又は転棟した日」を入院初日として扱う、と留意事項通知に定められています。
みらい(新人医療事務)
転棟してきた患者さんも対象になるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし転棟のケースには例外もあって、これは後ほど併算定の注意点で説明します。
点数と算定タイミング
みらい(新人医療事務)
点数の整理を表にしてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
まとめるとこうなります。
| 算定タイミング | 点数 | 算定回数の考え方 |
|---|---|---|
| 入院初日(対象病棟への入院・転棟日) | 270点 | 1回 |
| 退院時 | 270点 | 1回 |
| 同一日に入院・転棟し、同一日に退院した場合(死亡退院を含む) | 270点 | 合わせて1回のみ |
みらい(新人医療事務)
入院初日と退院時、それぞれ270点ずつ算定できるということですか?
あおい(元・医療事務)
原則としてはその通りです。ただし、当該病棟へ入院(転棟を含む)した患者さんが同一日に退院した場合は、1回に限りの算定になります。入院期間が長い患者さんほど、初日分と退院時分を分けて算定するイメージを持つとわかりやすいと思います。

みらい(新人医療事務)
マスターコードは何番になるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、区分番号は「A104」特定機能病院入院基本料の加算として整理されています。個別の診療行為コードについては、レセプト作成時に医科診療行為マスターで確認するのが確実です。
施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準はどんな内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の届出関連通知では、大きく2つの要件が示されています。1つ目は「当該病棟に、専従の常勤管理栄養士が1名以上配置されていること」です。ただし、病棟での栄養管理業務に影響のない範囲であれば、その病棟から退院した患者さんの外来栄養食事指導などを継続して行うことは差し支えないとされています。
みらい(新人医療事務)
専従の常勤管理栄養士が1名以上、ですね。もう1つの要件は何ですか?
あおい(元・医療事務)
2つ目は「入退院支援加算の注8に規定する入院時支援加算の届出を行っている保険医療機関であること」です。つまり、この加算を届け出るには、あらかじめ入退院支援加算(入院時支援加算を含む)を届け出ている必要があるということです。
みらい(新人医療事務)
前提条件があるんですね。うちが入院時支援加算を届け出ていない場合は、まずそちらから確認しないといけないんですか。
あおい(元・医療事務)
そうなります。施設基準は積み上げ式になっていることが多いので、この加算だけを単独で見るのではなく、前提となる届出が揃っているかも一緒に確認する必要があります。届出済みであれば施設基準を満たす候補になりますが、実際の適合可否は自院の体制と公式資料を照らし合わせて確認してください。
施設基準の確認ポイント(令和8年度)
- 対象病棟が特定機能病院入院基本料を算定しているか
- 病棟に専従の常勤管理栄養士が1名以上配置されているか
- 入退院支援加算の入院時支援加算を届け出ているか
- 上記を満たしたうえで地方厚生局長等への届出を行っているか
届出
みらい(新人医療事務)
届出はどこに出せばいいんですか?
あおい(元・医療事務)
地方厚生局長等への届出が必要です。厚生労働省の届出手続きに関する通知では、特定機能病院入院基本料の入院栄養管理体制加算の届出について、所定の様式を用いることとされています。様式の詳細や最新の届出先は、必ず所属する地方厚生局の案内で確認してください。
みらい(新人医療事務)
届出をしていないと、施設基準を満たしていても算定できないってことですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。施設基準に適合していても、届出が受理されていなければ算定候補にはなりません。逆に言えば、届出さえ済んでいれば、あとは日々の運用が施設基準どおりに継続されているかの確認が中心になります。
算定要件の詳細(管理栄養士の業務)
みらい(新人医療事務)
管理栄養士は具体的にどんな業務を行う必要があるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、病棟の管理栄養士が実施する管理として、入院前の食生活等の情報収集、入退院支援部門との連携、入院患者に対する栄養スクリーニング、食物アレルギーの確認、栄養状態の評価、栄養管理計画の策定が挙げられています。
みらい(新人医療事務)
入院時だけでなく、入院中も継続して関わるイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そうですね。入院後も、栄養状態に関する定期的な評価や、必要に応じたミールラウンド、栄養食事指導、患者さんの病態等に応じた食事内容の調整といった栄養管理を継続することが求められています。体制を届け出て終わりではなく、日々の運用実態が伴っている必要があります。
みらい(新人医療事務)
栄養管理計画は、別の基準の計画と兼用してもいいんですか?
あおい(元・医療事務)
医科点数表の入院料等の通則に規定される栄養管理体制の基準における栄養管理計画を、当該病棟に専従の管理栄養士が作成した場合は、この加算の栄養管理計画に代えることができるとされています。二重に作成する必要はありませんが、専従の管理栄養士が作成することが条件になっている点は確認しておいてください。
併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に算定できないケースがあるんでしたよね。
あおい(元・医療事務)
はい、2つの方向から注意が必要です。1つ目は、この加算を算定する場合に別途算定できない加算です。告示では、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算、栄養サポートチーム加算、それに入院栄養食事指導料は別に算定できないとされています。
みらい(新人医療事務)
栄養関連の加算どうしは、重複して算定できないようになっているんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。もう1つは、患者さんが治療室や他の病棟から転棟してきたケースです。留意事項通知では、治療室や他の病棟で早期栄養介入管理加算または周術期栄養管理実施加算を算定して転棟した場合は、入院栄養管理体制加算を算定できないとされています。
みらい(新人医療事務)
つまり、集中治療室などですでに栄養管理の加算を算定していた患者さんが転棟してきた場合は、この加算に切り替えて算定することはできないんですか?
あおい(元・医療事務)
早期栄養介入管理加算または周術期栄養管理実施加算を算定していた患者さんが転棟した場合は、入院栄養管理体制加算の対象外になります。転棟のたびに、その患者さんが直前にどの栄養関連加算を算定していたかを確認する運用が必要になりますね。
併算定・除外規定の注意(令和8年度)
入院栄養管理体制加算を算定する場合、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算、栄養サポートチーム加算、入院栄養食事指導料は別に算定できません。また、早期栄養介入管理加算または周術期栄養管理実施加算を算定して転棟した患者については、入院栄養管理体制加算を算定できません。個別の請求可否は公式資料とレセプトの実態に照らして確認してください。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収載している一次資料の範囲では、入院栄養管理体制加算の点数(270点)や施設基準の内容について、前回改定(令和6年度)からの大きな変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。
みらい(新人医療事務)
まったく変更なしということですか?
あおい(元・医療事務)
点数・施設基準の実質的な内容という意味では変更が確認できていない、ということです。ただし、点数表内での条文番号(区分番号の「注」の番号)は改定のたびに前後の項目の増減によってずれることがあります。数字の並び自体よりも、施設基準や算定要件の内容が実態としてどうなっているかを一次資料で確認する意識を持つといいと思います。
みらい(新人医療事務)
番号よりも中身、ですね。覚えておきます。
自院チェックリスト
みらい(新人医療事務)
最後に、うちの病院で確認する順番を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
特定機能病院入院基本料を算定しているかどうかから、順番に確認していきましょう。
自院で確認する順番
- 自院が特定機能病院入院基本料を算定する病院かを確認する
- 対象となる病棟に専従の常勤管理栄養士が1名以上配置されているかを確認する
- 入退院支援加算の入院時支援加算を届け出ているかを確認する
- 栄養スクリーニング・栄養管理計画の策定・定期評価などの運用体制が整っているかを確認する
- リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算、栄養サポートチーム加算、入院栄養食事指導料との重複算定がないかを確認する
- 上記が整った段階で、地方厚生局長等への施設基準の届出状況を確認する

みらい(新人医療事務)
この順番で見ていけば、うちが算定候補になりそうかどうか、ある程度整理できそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。あくまで「候補になりそうか」の整理であって、最終的な算定可否の判断ではない点は忘れないでください。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れのパターンってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
いくつか典型的なものがあります。
よくある取り漏れ
- 特定機能病院入院基本料以外の入院基本料を算定する病院で、対象外と気づかずに検討してしまう
- 専従の常勤管理栄養士の配置要件を、非常勤や兼務の栄養士で満たしていると誤認してしまう
- 入退院支援加算の入院時支援加算の届出が前提条件になっていることを見落とす
- 集中治療室などで早期栄養介入管理加算・周術期栄養管理実施加算を算定していた患者の転棟時に、除外規定を見落として重複算定してしまう
- 同一日入退院のケースで、入院初日分と退院時分を2回分として算定してしまう
みらい(新人医療事務)
最後の同一日入退院のところ、うっかりやってしまいそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。同一日に入院(転棟を含む)し同一日に退院した患者さんは、1回に限りの算定になります。レセプトチェックの際に、入院日と退院日が同じ患者さんのケースだけ別途確認する運用にしておくと安心です。
参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事でご紹介した内容は、以下の厚生労働省の公式資料を根拠にしています。詳細な条文・施設基準・届出手続きは、必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号) https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/kihon080305.pdf
- 疑義解釈資料の送付について(その1)医科 問14(令和8年3月23日) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21053.html
- 令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よく聞かれそうな質問をいくつか教えてください。
あおい(元・医療事務)
まず「病棟の管理栄養士は退院した患者さんの外来指導もできますか」という質問です。病棟での栄養管理業務に影響のない範囲であれば、退院した患者さんへの外来栄養食事指導等の継続的な支援を行うことは差し支えないとされています。
みらい(新人医療事務)
業務に影響がなければ兼務的に動けるんですね。もう1つ聞きたいのが、入院前の患者さんの栄養評価についてです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の疑義解釈では、病棟に入棟予定の患者について、入退院支援部門と連携して入院前の栄養状態の評価等を行うことも差し支えないと回答されています。入棟後だけでなく、入棟前からの関わりも認められている形ですね。
みらい(新人医療事務)
転棟してきた患者さんについても、もう一度確認したいです。
あおい(元・医療事務)
早期栄養介入管理加算または周術期栄養管理実施加算を算定して転棟した場合は算定できませんが、それ以外の理由で転棟した患者さんについては、転棟日を入院初日として扱って算定候補になり得ます。個々のケースは複雑になりやすいので、レセプト担当者と管理栄養士で情報を共有しておくことをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。加算の算定に際しては、施設基準の充足と届出の有効性を必ず自院で確認してください。