みらい(新人医療事務)
あおいさん、精神科の訪問看護をしているクリニックから「看護・介護職員連携強化加算って何のための加算ですか」と聞かれたんですが、うまく説明できませんでした。
あおい(元・医療事務)
これは精神科訪問看護・指導料(I012)の注12に規定されている加算です。保険医療機関の看護師又は准看護師が、登録喀痰吸引等事業者等と連携して、介護職員等が行う喀痰吸引等の業務が円滑に行われるよう支援した場合に、月1回に限り250点を所定点数に加算するものですよ。令和8年度の医科点数表に基づく内容です。
みらい(新人医療事務)
喀痰吸引って、たんの吸引のことですよね。介護職員さんがそれをできるように、看護師さんがサポートするイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。厚生労働省の留意事項通知では、この加算は「保険医療機関の看護師又は准看護師が、口腔内の喀痰吸引、鼻腔内の喀痰吸引、気管カニューレ内部の喀痰吸引、胃瘻若しくは腸瘻による経管栄養又は経鼻経管栄養を必要とする患者に対して、登録喀痰吸引等事業者等の介護職員等が実施する喀痰吸引等の業務が円滑に行われるよう支援を行う取組を評価するもの」とされています。介護職員等というのは、社会福祉士及び介護福祉士法に基づく登録喀痰吸引等事業者又は登録特定行為事業者に所属する職員のことですね。
対象になる医療機関・患者
みらい(新人医療事務)
うちのクリニックでも算定候補になりますか?入院はしていない、外来と訪問がメインの精神科クリニックなんですが。
あおい(元・医療事務)
この加算は精神科訪問看護・指導料の注12ですから、入院中の患者は対象になりません。診療所・病院を問わず、外来(訪問看護・指導という形での在宅対応)で精神科訪問看護・指導料を算定している患者のうち、喀痰吸引等を必要とする方が対象になり得ます。ただし、対象患者・対応内容が資料どおりに整っているかは、個別のケースごとに確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
対象患者は誰でもいいわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。算定要件では「別に厚生労働大臣が定める者について」という限定があります。実務では、口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部の喀痰吸引や、胃瘻・腸瘻・経鼻経管栄養を必要とする患者であることが前提です。この点は主治医の判断も含めて確認する必要があるので、「うちの患者は対象かどうか」を一件ずつ照合する作業が欠かせませんね。
点数と算定回数(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数は250点でしたよね。回数の制限もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、月1回に限り250点です。表にまとめますね。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 加算名 | 看護・介護職員連携強化加算 |
| 所属区分 | 精神科訪問看護・指導料(I012)注12 |
| 点数 | 250点 |
| 算定回数 | 月1回に限る |
| 対象年度 | 令和8年度 |

みらい(新人医療事務)
250点は毎月自動的につくものではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。「月1回に限り」という上限であって、条件を満たす月ごとに算定候補になるという整理です。条件を満たさない月は算定できませんし、そもそも同行訪問や支援の実施自体が前提になります。
点数を見るときの注意
250点という数字だけを見て「毎月自動的についてくる加算」と思い込まないことが大切です。介護職員等への同行訪問・支援という実際の行為があった月に限って算定候補になる、という位置づけを確認しておきましょう。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
この加算、届出は必要なんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算は個別の施設基準の届出を要件としていません。ただし「届出不要だからどの医療機関でも無条件に算定できる」という意味ではありません。算定要件(対象患者・連携先事業者の登録状況・同行訪問の実施内容など)を満たしているかどうかは、自院の運用実態に照らして確認が必要です。
届出不要と算定候補は別の話
届出が不要な加算であっても、算定要件そのものを満たしているかどうかは別問題です。「届出がいらないから対象外の心配はない」と早合点せず、算定要件・注意点を一つずつ照合することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
連携する介護職員等の側にも何か条件があるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知では、連携先を「社会福祉士及び介護福祉士法第48条の3第1項の登録を受けた登録喀痰吸引等事業者」又は「同法附則第27条第1項の登録を受けた登録特定行為事業者」の介護職員等、と定めています。つまり、単に介護職員と情報共有をした、というだけでは足りず、登録を受けた事業者に所属する介護職員等であることが前提になります。この登録状況の確認は、自院だけで完結しない部分なので、連携先の事業所に確認しておくと安心です。
算定のタイミングと併算定の注意
みらい(新人医療事務)
いつのタイミングで算定するのが正しいんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知の注意点には、次のような整理があります。まず、患者の病状やその変化に合わせて、主治医の指示のもとで「喀痰吸引等に係る計画書や報告書の作成及び緊急時等の対応についての助言」と「介護職員等に同行し、患者の居宅において喀痰吸引等の業務の実施状況についての確認」の両方を行っている場合に算定する、とされています。そして算定日は、介護職員等と同行訪問を実施した日の属する月の初日の訪問看護・指導の実施日です。同行訪問した日そのものではない点に注意してください。
みらい(新人医療事務)
同行訪問した日じゃなくて、その月の初回の訪問看護日に算定するんですね。ちょっと意外でした。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。ここは実務でよく誤解が起きやすいポイントです。加えて、算定した内容は訪問看護記録書に記録することも留意事項通知に明記されています。記録が残っていないと、後から算定根拠を確認する際に困りますから、忘れずに記録しておく運用にしておきたいですね。
みらい(新人医療事務)
算定できないケースもあるんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい、留意事項通知の注意点には算定できない場合が明記されています。1つは「介護職員等の喀痰吸引等に係る基礎的な技術取得や研修目的での同行訪問」、つまり研修目的だけの同行では算定候補になりません。もう1つは「同一の患者に、他の保険医療機関又は訪問看護ステーションにおいて看護・介護職員連携強化加算を算定している場合」です。この加算は精神科訪問看護・指導料(I012)の注12として整理されているものですが、「看護・介護職員連携強化加算」という同じ名称の加算は、在宅患者訪問看護・指導料(C005)の注13や同一建物居住者訪問看護・指導料(C005-1-2)の注8、さらに訪問看護ステーション側の訪問看護療養費にもそれぞれ別建てで定められています。同一患者について、これらのどれか一つでしか算定できない、という重複算定の除外規定になっている点は必ず確認してください。
同一名称の加算との重複に注意
「看護・介護職員連携強化加算」という名称は、精神科訪問看護・指導料(I012)注12のほかに、在宅患者訪問看護・指導料(C005)注13・同一建物居住者訪問看護・指導料(C005-1-2)注8、訪問看護ステーションの訪問看護療養費にもそれぞれ別建てで存在します。同一の患者について、他の保険医療機関又は訪問看護ステーションで既にこの加算を算定している場合は、算定できない可能性があります。どの区分の加算として算定しようとしているのかを自院で確定したうえで、連携先の事業所や訪問看護ステーションとの重複がないか、事前に確認しておくことをおすすめします。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算について前回改定からの変更点は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。点数や算定要件について、令和8年度の医科点数表・留意事項通知に基づく内容を今回ご案内しています。もし今後、疑義解釈や訂正通知が出た場合は、その都度確認が必要になります。
改定差分は今後も要チェック
点数表は年度をまたいで内容が更新されることがあります。「以前確認したから大丈夫」と思わず、算定する都度、最新の告示・留意事項通知や疑義解釈を確認する習慣をつけておくと安心です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちで算定候補になるか確認するとき、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で確認してみてください。
自院で確認する順番
- 対象患者の確認: 精神科訪問看護・指導料を算定している患者のうち、喀痰吸引等(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部の喀痰吸引、胃瘻・腸瘻・経鼻経管栄養)を必要とする方かどうかを確認する
- 連携先の確認: 登録喀痰吸引等事業者又は登録特定行為事業者の登録を受けた介護職員等と連携できているかを確認する
- 支援内容の確認: 主治医の指示のもとで、計画書・報告書の作成や緊急時対応の助言、同行訪問による実施状況の確認を行っているかを確認する
- 重複算定の確認: 同一患者について、他の保険医療機関や訪問看護ステーションで同じ加算が算定されていないかを確認する
- 記録と算定日の確認: 同行訪問を実施した日の属する月の初日の訪問看護・指導実施日に算定し、内容を訪問看護記録書に記録する

みらい(新人医療事務)
こうやって順番に見ていくと、抜け漏れが減りそうですね。
あおい(元・医療事務)
はい。特に4番目の重複確認は見落とされがちなので、意識しておいてください。
よくある取り漏れ
研修目的の同行訪問は対象外の可能性
介護職員等の基礎的な技術取得や研修を目的とした同行訪問は、留意事項通知の注意点で算定できないケースとして明記されています。「同行訪問をした」という事実だけで算定候補と判断しないよう注意してください。
訪問看護記録書への記録漏れ
算定した場合は、その内容を訪問看護記録書に記録することが留意事項通知に定められています。算定はしたが記録が残っていない、という状態にならないよう、記録の運用ルールを院内で明確にしておくとよいでしょう。
みらい(新人医療事務)
どちらも「うっかりやってしまいそう」なポイントですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に研修目的の同行訪問は、現場の感覚では「連携してサポートした」と思いがちですが、留意事項通知の整理では算定対象から明確に外れているケースです。判断に迷う場合は、算定前に確認する体制を整えておくと安心です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
准看護師が対応した場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
算定要件・留意事項通知のいずれも「保険医療機関の看護師又は准看護師が」という書き方になっているので、准看護師が対応した場合も要件に含まれています。ただし、実際の運用でその都度満たすべき条件(連携先の登録状況や支援内容など)は同じですので、准看護師だから簡略化できるという話ではありません。
みらい(新人医療事務)
訪問看護ステーションが精神科訪問看護を行う場合はこの加算の対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
この記事で扱っているのは、精神科訪問看護・指導料(I012)の注12、つまり保険医療機関側の加算です。精神科以外の在宅患者訪問看護・指導料(C005)にも注13として同名の加算が別に定められていますし、訪問看護ステーションについては訪問看護療養費側にも同じ名称の加算があります。どの制度・どの区分に基づく加算として算定しようとしているのかによって確認すべき資料が異なりますので、自院がどの立場にあたるかをまず確認してください。
みらい(新人医療事務)
医師からの指示は、訪問看護指示書に書いておく必要がありますか?
あおい(元・医療事務)
この点については、厚生労働省の疑義解釈(平成30年度公表分)で「必ずしも訪問看護指示書に明記する必要はないが、医師からの指示については訪問看護記録書へ記録しておくこと」という考え方が示されています。令和8年度時点でこの疑義解釈が明示的に改廃されたことは、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認されていませんが、実務では訪問看護記録書への記録を基本にしておくと安心です。念のため最新の疑義解釈・通知も確認してください。
公式資料の根拠
みらい(新人医療事務)
この記事の内容はどこで確認できますか?
あおい(元・医療事務)
今回ご案内した点数・算定要件は、厚生労働省の令和8年度医科点数表の告示(精神科訪問看護・指導料 I012 注12関連部分)を根拠にしています。令和8年度医科点数表(厚生労働省)でご確認いただけます。留意事項通知の細目については、当サイトが収録している一次資料の範囲に基づいてご案内しています。なお、この加算のもとになっている精神科訪問看護・指導料そのものについては、精神科訪問看護・指導料の記事でも確認できます。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。