結核病棟入院基本料とは?基本の仕組みから確認ポイントまで
みらい(新人医療事務)
先輩、うちの病院に結核病棟があるんですが、「結核病棟入院基本料」って一般的な入院基本料とは別の算定なんですか?
あおい(元・医療事務)
そうです、別の区分です。結核病棟入院基本料(区分A102)は、医療法上の結核病床に係る病棟として届出を行っている病棟に特化した入院基本料になります。令和8年度(2026年度)時点の制度では、一般病棟入院基本料(A100)とは別に、A102として区分されています。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、どの病院でもある入院基本料とは違うんですね。具体的にはどんな病棟が対象なんでしょう?
あおい(元・医療事務)
対象は「医療法第7条第2項第3号に規定する結核病床に係る病棟として地方厚生局長等に届出のあったもの」です。留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)にも「注1の入院基本料については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た結核病棟に入院している患者について…各区分の所定点数を算定する」と記されています。つまり、法的に結核病床として届け出た病棟でないと算定の候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
特定機能病院は除くと書いてありますよね?
あおい(元・医療事務)
はい、告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の注1には「病院(特定機能病院を除く。)の結核病棟であって…」と規定されています。特定機能病院の結核病棟は対象外なので注意が必要です。

点数の区分と構造(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
実際の点数はどれくらいになるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の制度では、結核病棟入院基本料は大きく「注1の入院基本料」と「注2の特別入院基本料」の2種類に分かれます。留意事項通知では「結核病棟入院基本料は、『注1』の入院基本料、『注2』の特別入院基本料、月平均夜勤時間超過減算、『注6』の夜勤時間特別入院基本料及び『注7』の重症患者割合特別入院基本料から構成される」と整理されています。
みらい(新人医療事務)
注1と注2で何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
注1は施設基準に適合していることを届け出た病棟が算定するもの、注2の特別入院基本料(678点)は、注1の要件を満たしていない結核病棟が「当分の間、地方厚生局長等に届け出た場合に限り」算定できる区分です。告示(令和8年厚生労働省告示第69号)では「注1に規定する病棟以外の結核病棟については、当分の間、地方厚生局長等に届け出た場合に限り…特別入院基本料として、678点を算定できる」とされています。
注1の入院基本料と注2の特別入院基本料の違い
- 注1の入院基本料: 施設基準(看護配置・看護師比率等)に適合し、地方厚生局長等に届け出た病棟が対象。区分(7対1、10対1など)ごとの所定点数を算定する
- 注2の特別入院基本料(678点): 注1の要件を満たしていない結核病棟が、届出により「当分の間」算定できる経過的な区分
- どちらの区分に該当するかは、自院の届出状況と施設基準の充足状況で確認が必要
みらい(新人医療事務)
入院期間によって加算もあると聞きましたが?
あおい(元・医療事務)
はい、告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の注4に「当該病棟の入院患者の入院期間に応じ、次に掲げる点数をそれぞれ1日につき所定点数に加算する」として、入院期間別の加算が規定されています。
| 入院期間 | 加算点数(一般) | 加算点数(特別入院基本料等) |
|---|---|---|
| 14日以内 | 600点 | 500点 |
| 15日以上30日以内 | 480点 | 400点 |
| 31日以上60日以内 | 360点 | 300点 |
| 61日以上90日以内 | 120点 | 120点 |
みらい(新人医療事務)
入院が長くなるほど加算点数が減るんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。これは急性期入院の評価という位置づけで、日数が経過するにつれて加算は逓減します。91日以降は注4の加算はありません。実際の算定に際しては、自院の届出状況・患者の入院日数を正確に確認することが大切です。

施設基準・届出(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
注1の入院基本料を算定するにはどんな施設基準が必要なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の注1では「看護配置、看護師比率その他の事項につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟」が対象とされています。具体的な施設基準の内容は、基本診療料の施設基準等(令和8年厚生労働省告示第70号)と、届出手続き(保医発0305第7号)で規定されています。主な確認ポイントは看護配置(7対1・10対1等の区分)と看護師比率です。
みらい(新人医療事務)
届出は地方厚生局長等に行うんですね。どんな手続きが必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
届出の様式や手順は「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号)」に詳しく規定されています。自院が届出を行っているか、また届出区分(7対1・10対1等)がどれになっているかは、院内の担当部署や地方厚生局に確認することをおすすめします。
月平均夜勤時間超過減算に注意
施設基準に適合しているとして届け出ていた病棟であっても、「別に厚生労働大臣が定めるもののみに適合しなくなった」場合には、適合しなくなった後の直近3月に限り、月平均夜勤時間超過減算として所定点数から100分の15に相当する点数が減算されます(告示第69号 注2)。届出要件の充足状況は定期的に確認が必要です。
DOTSと算定要件(化学療法を行う場合)
みらい(新人医療事務)
結核の治療といえばDOTS(直接服薬確認療法)がありますが、算定とどう関係するんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)には、「結核病棟に入院している結核患者に化学療法を行う際には、日本結核病学会が作成した『院内DOTSガイドライン』を踏まえ」、服薬支援計画の作成、服薬確認の実施、患者教育の実施及び保健所との連携を行うことが求められています。この基準を満たさない場合は、注2の特別入院基本料を算定することになります。
みらい(新人医療事務)
服薬確認って具体的にどんなことをするんですか?
あおい(元・医療事務)
通知では「看護師が患者の内服を見届けるなど、個々の患者の服薬中断リスクに応じた方法で服薬確認を行うこと」とされています。加えて、院内DOTS計画の策定にあたっては「患者の病態、社会的要因、副作用の発生や退院後の生活状態等による服薬中断リスクを考慮すること」も求められます。
院内DOTSの4つの柱(留意事項通知より)
- 服薬支援計画の作成: 服薬中断リスクを分析し、院内DOTS計画を策定
- 服薬確認の実施: 看護師が患者の内服を見届けるなど、個別リスクに応じた確認
- 患者教育の実施: 確実な服薬の必要性を説明し、退院後も服薬継続できる教育
- 保健所との連携: 入院中から保健所担当者とDOTSカンファレンス等を実施、診療録に記録
みらい(新人医療事務)
保健所との連携も必須なんですね。退院後のことまで考えて動かないといけないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。結核は感染症法上の規定と深く結びついている疾患なので、退院要件も明確に定められています。
退院要件と算定上の注意(感染症法との関係)
みらい(新人医療事務)
退院のタイミングで算定が変わることもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、これが結核病棟入院基本料の重要なポイントです。留意事項通知には「感染症法第19条、第20条及び第22条の規定…に基づき入退院が行われている結核患者であり、これらの基準に従い退院させることができる患者については、退院させることができることが確定した日以降は『注2』の特別入院基本料を算定する」と規定されています。
みらい(新人医療事務)
退院できると確定したら算定区分が変わるんですね。どんな条件で退院できると確定するんですか?
あおい(元・医療事務)
通知では次の3つをすべて満たした場合とされています。
自院で確認する順番
- 2週間以上の標準的化学療法が実施され、咳・発熱・痰等の臨床症状が消失している
- 2週間以上の標準的化学療法後、異なった日の喀痰の塗抹検査または培養検査が連続3回陰性である(3回の検査は原則として塗抹検査を行い、臨床症状消失後は速やかに連日検査を実施)
- 患者が治療継続と感染拡大防止の重要性を理解し、退院後の治療継続と他者への感染防止が可能であると確認できている
みらい(新人医療事務)
3つの条件がすべて揃ってから確定するんですね。カリエス(骨の結核)やリンパ節結核のような、菌検査によらない結核の場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(令和8年保医発0305第6号)には、これらの基準に従うことができない結核患者についての例外取扱いが規定されています。詳細は留意事項通知(保医発0305第6号)の原文でご確認ください。いずれの場合も退院できることが確定した日以降は注2の特別入院基本料を算定する点は共通です。
算定切り替えのタイミング確認が重要
退院できることが確定した日以降は、注1の所定点数から注2の特別入院基本料(678点)に切り替えが必要です。算定漏れ・誤算定を防ぐため、退院条件の確認日を診療録・レセプトで正確に把握しておきましょう。
併算定できる加算(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
結核病棟でも入院基本料等加算を算定できるものがありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の注5に、結核病棟で算定できる入院基本料等加算のリストが明記されています。告示注5の原文では「当該病棟においては、第2節の各区分に掲げる入院基本料等加算のうち、次に掲げる加算について、同節に規定する算定要件を満たす場合に算定できる」として、以下の加算名が列挙されています。
告示第69号 注5に列挙されている主な加算(令和8年度)
- 地域医療支援病院入院診療加算
- 臨床研修病院入院診療加算
- 紹介受診重点医療機関入院診療加算
- 救急医療管理加算
- 医師事務作業補助体制加算(50対1補助体制加算、75対1補助体制加算又は100対1補助体制加算に限る)
- 看護配置加算
- 看護補助加算
- 地域加算・離島加算
- 感染対策向上加算
- 栄養サポートチーム加算
- データ提出加算
- 褥瘡ハイリスク患者ケア加算
みらい(新人医療事務)
リストに入っている加算しか算定できないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。注5に列挙されている加算以外は算定候補になりません。ここに挙げた以外にも告示の注5に多数の加算が列挙されていますので、個別の加算が算定候補になるかどうかは、必ず告示第69号の注5原文(令和8年度版)で確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度改定で結核病棟入院基本料に何か変化はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイト収録の一次資料(告示・留意事項通知)の範囲で確認した限りでは、令和8年度(2026年度)改定において結核病棟入院基本料(A102)の点数体系・特別入院基本料678点・入院期間別加算の枠組みに変更は確認されていません(2026年6月確認・厚労省一次情報ベース)。ただし、入院基本料等加算のリスト(注5)については、令和8年度改定で新設・廃止された加算の反映がある可能性があります。
改定差分確認のポイント
- 「個別改定項目について」(厚労省)でA102の記載を確認する
- 注5の算定可能な加算リストに新設加算が追加されていないか確認する
- 届出様式の変更がないか、保医発0305第7号(令和8年3月5日)を確認する
- 確認が取れない場合は地方厚生局または審査支払機関への問い合わせを検討する
みらい(新人医療事務)
念のため自分でも確認が必要ですね。
あおい(元・医療事務)
はい、改定のたびに施設基準や加算リストが変わることがあります。改定資料は厚生労働省の令和8年度診療報酬改定のページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00045.html)から確認できます。
自院でこの入院基本料を確認する手順
みらい(新人医療事務)
実際に自院で確認するとき、どんな順番でチェックすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
以下の順番で確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
- まず「結核病床として地方厚生局長等への届出があるか」を院内担当部署に確認する
- 次に「施設基準(看護配置・看護師比率等)に適合しているか」の届出区分(注1または注2のどちらか)を確認する
- 入院患者が「第3節の特定入院料を算定していないか」を確認する
- 注1の場合は、DOTSの運用状況(服薬支援計画・服薬確認・保健所連携)が実施されているか確認する
- 入院期間ごとの加算(14日以内・15〜30日・31〜60日・61〜90日)の適用状況を確認する
- 退院要件充足の確認日が正確に把握されているか確認する
特定機能病院は対象外
特定機能病院の結核病棟はA102の対象外です。自院が特定機能病院に該当する場合はA102の算定候補にはなりません。
よくある取り漏れ・誤算定パターン
みらい(新人医療事務)
よくある取り漏れや誤りって、どんなパターンがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
実務でよく見られるパターンをいくつかご紹介します。
よくある取り漏れ・誤算定のパターン
- 退院確定日の算定切り替え忘れ: 退院できることが確定した日以降は特別入院基本料への切り替えが必要。切り替え日を正確に把握していないと誤算定になる
- 入院期間加算の日数カウントミス: 入院日・退院日のカウント方法を確認する(「14日以内」「15日以上30日以内」等の境界を正確に)
- 注5に含まれない加算の誤算定: 結核病棟で算定できない入院基本料等加算を誤って算定しているケース
- DOTSの記録漏れ: 保健所とのDOTSカンファレンスの要点を診療録に記載していないと、注1の入院基本料の算定要件を満たせない可能性がある
- 月平均夜勤時間超過の見落とし: 施設基準に適合しなくなった場合の減算届出が遅れるケース
よくある質問
みらい(新人医療事務)
結核病棟入院基本料は、療養病棟や精神科病棟とはまったく別の区分なんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。A102は結核病床に特化した区分で、一般病棟(A100)・療養病棟(A101)・精神科病棟(A103)・障害者施設等(A104)はそれぞれ別の区分です。結核病床を有する病院でも、それ以外の病棟はそれぞれ対応する区分を算定します。
みらい(新人医療事務)
注1の施設基準を一度届け出たあとに要件を満たせなくなった場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の注2に定めがあります。施設基準に適合しなくなった場合は地方厚生局長等に届け出る必要があり、届け出た後の直近3月に限り月平均夜勤時間超過減算(所定点数から100分の15を減算)が適用されます。速やかな届出が求められます。
みらい(新人医療事務)
第3節の特定入院料との関係は?両方算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、告示注1・注2ともに「第3節の特定入院料を算定する患者を除く」と明記されています。特定入院料を算定している患者については、結核病棟入院基本料(A102)は算定候補になりません。
関連する入院基本料の記事
病棟の種別ごとに入院基本料の区分・施設基準は異なります。自院の病棟種別に応じて、あわせてご確認ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
自院の結核病棟がA102の算定候補になるか、もっと詳しく確認したいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況・施設基準の充足状況・患者の状態などを整理すると、確認すべきポイントが明確になります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。