みらい(新人医療事務)
最近、病院で「専門病院」という言葉をよく聞くんですが、専門病院入院基本料って何が普通の入院基本料と違うんですか?
あおい(元・医療事務)
「専門病院」というのは、悪性腫瘍(がん)や循環器疾患などの患者さんを主に入院させる保険医療機関で、高度かつ専門的な医療を行っているものとして地方厚生局長等に届け出た病院のことです。専門病院入院基本料(区分 A105)は、その専門病院の一般病棟に適用される入院基本料の区分になります。
みらい(新人医療事務)
なるほど、がんセンターや心臓病専門の病院とかですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。一般的な急性期病院の「一般病棟入院基本料(A100)」とは別建てで、より高度専門的な体制にフォーカスした基準が設けられています。看護配置や看護師比率、平均在院日数などの施設基準を満たして届け出た一般病棟が対象です。
専門病院入院基本料の対象とは
みらい(新人医療事務)
どんな病院・病棟が対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の点数表(厚生労働省告示第69号)では、次のように規定されています。主として悪性腫瘍、循環器疾患等の患者を入院させる保険医療機関であって高度かつ専門的な医療を行っているものとして地方厚生局長等に届け出たものが「専門病院」です。その専門病院の一般病棟であって、看護配置・看護師比率・平均在院日数その他の事項について別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者について算定します。
みらい(新人医療事務)
第3節の特定入院料を算定している患者さんは対象外ですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。特定入院料(ICUや緩和ケア病棟入院料など)を算定する患者さんは除かれます。当該病棟において複数の一般病棟がある場合、障害者施設等入院基本料や緩和ケア病棟入院料等の特定入院料(病棟単位のもの)を算定する病棟以外については、同じ区分の専門病院入院基本料を算定するものとされています。
専門病院入院基本料の点数と加算(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的な点数はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
所定点数は、看護配置・看護師比率・平均在院日数などの施設基準の区分(7対1、10対1、13対1等)ごとに告示第69号別表第一で規定されています。各区分の正確な基本点数は厚生労働省告示第69号(A105)または地方厚生局への届出内容でご確認ください。
みらい(新人医療事務)
加算はどんなものがありますか?
あおい(元・医療事務)
主な加算は以下のとおりです。

| 加算の種類 | 内容 | 点数(1日につき) | 対象病棟 |
|---|---|---|---|
| 入院期間加算 イ | 14日以内の期間 | 512点 | 全区分 |
| 入院期間加算 ロ | 15日以上30日以内の期間 | 207点 | 全区分 |
| 看護必要度加算1 | 施設基準を満たす届出病棟 | 55点 | 10対1入院基本料のみ |
| 看護必要度加算2 | 施設基準を満たす届出病棟 | 45点 | 10対1入院基本料のみ |
| 看護必要度加算3 | 施設基準を満たす届出病棟 | 25点 | 10対1入院基本料のみ |
| 一般病棟看護必要度評価加算 | 看護必要度測定を行った場合 | 5点 | 13対1入院基本料のみ |
みらい(新人医療事務)
看護必要度加算って10対1病棟だけなんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知(令和8年保医発0305第6号)で、「注3」の看護必要度加算は10対1入院基本料を算定する病棟に入院している患者について算定すること、「注4」の一般病棟看護必要度評価加算は13対1入院基本料を算定する病棟に入院している患者について算定することと明記されています。
施設基準と届出のポイント
みらい(新人医療事務)
施設基準はどのように確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
専門病院入院基本料の施設基準は、令和8年厚生労働省告示第70号「基本診療料の施設基準等の一部を改正する件」で規定されています。主に以下の要件が設けられています。
施設基準の主な確認ポイント(令和8年度)
- 専門病院の定義: 主として悪性腫瘍・循環器疾患等の患者を入院させる高度専門的医療機関として届出
- 看護配置: 各区分(7対1、10対1、13対1等)に応じた看護配置の充足
- 看護師比率: 病棟に配置する看護要員の看護師比率の確保
- 平均在院日数: 区分ごとに定められた平均在院日数の維持
- 届出: 地方厚生局長等への届出が算定の前提条件
みらい(新人医療事務)
複数の一般病棟がある場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
当該専門病院において複数の一般病棟がある場合、障害者施設等入院基本料や緩和ケア病棟入院料等の特定入院料(病棟単位のもの)を算定する病棟以外の病棟については、同じ区分の専門病院入院基本料を算定するものとされています。
みらい(新人医療事務)
看護必要度加算のための別の届出も必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
看護必要度加算(注3)は、専門病院入院基本料の届出とは別に、看護必要度の施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出た病棟であることが要件です。10対1入院基本料の病棟であっても、別の届出が必要な点はご注意ください。
自院で確認する手順
みらい(新人医療事務)
自院が算定候補かどうか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
以下の流れで確認するとわかりやすいです。

自院で確認する順番
- 専門病院としての届出有無を確認: 悪性腫瘍・循環器疾患等の患者を主として入院させる高度専門的医療機関として、地方厚生局長等に届け出ているかを確認する。
- 一般病棟の施設基準充足を確認: 看護配置・看護師比率・平均在院日数が告示第70号の施設基準に適合しているかを確認する。
- 対象患者の特定: 第3節の特定入院料を算定する患者は除外。特定入院料病棟と一般病棟が混在する場合の区分を整理する。
- 区分(看護配置)の特定: 7対1、10対1、13対1等のどの区分で届け出ているかを確認し、所定点数を特定する。
- 加算の算定可能性を確認: 入院期間加算・看護必要度加算(10対1のみ)・一般病棟看護必要度評価加算(13対1のみ)の届出状況を確認する。
- 90日超入院患者の取扱いを確認: 90日を超えて入院する患者は一般病棟入院基本料の(6)(8)(9)の例によることを確認する。
算定上の注意点
みらい(新人医療事務)
算定するときに気をつけることは何ですか?
あおい(元・医療事務)
以下の点を特に確認しておくことをお勧めします。
算定上の注意点(令和8年度)
- 退院集中時の92%算定: 退院が特定の時間帯に集中しているものとして別に厚生労働大臣が定める保険医療機関においては、別に厚生労働大臣が定める患者の退院日の入院基本料は所定点数の100分の92に相当する点数で算定(注5)
- 入退院集中日の92%算定: 入院日及び退院日が特定の日に集中しているものとして別に厚生労働大臣が定める保険医療機関においては、当該日の入院基本料は所定点数の100分の92に相当する点数で算定(注6)
- 90日超入院の扱い: 当該病棟に90日を超えて入院する患者は一般病棟入院基本料(6)(8)(9)の例による
- 特定入院料除外: 第3節の特定入院料を算定する患者は本基本料の対象外
みらい(新人医療事務)
入院期間加算の起算日はどうやって計算しますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に「注2の加算に係る入院期間の起算日は、第2部通則7に規定する起算日とする」と明記されています。第2部通則7の起算日の考え方に従って計算してください。
注7で算定できる入院基本料等加算
みらい(新人医療事務)
専門病院入院基本料の病棟で算定できる入院基本料等加算はどれですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示で「注7」として定められている、専門病院入院基本料の病棟において算定できる入院基本料等加算の主なものをご紹介します。
注7 算定可能な入院基本料等加算(主なもの・令和8年度)
臨床研修病院入院診療加算、救急医療管理加算、超急性期脳卒中加算、妊産婦緊急搬送入院加算、在宅患者緊急入院診療加算、診療録管理体制加算、医師事務作業補助体制加算、急性期看護補助体制加算、看護職員夜間配置加算、電子的診療情報連携体制整備加算、乳幼児加算・幼児加算、特定感染症入院医療管理加算、難病等特別入院診療加算(難病患者等入院診療加算に限る)、超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算、看護補助加算、地域加算、離島加算、療養環境加算、HIV感染者療養環境特別加算、特定感染症患者療養環境特別加算、特定薬剤治療環境特別加算、重症者等療養環境特別加算、小児療養環境特別加算、産科管理加算(1に限る)、無菌治療室管理加算、放射線治療病室管理加算、緩和ケア診療加算、小児緩和ケア診療加算、精神科リエゾンチーム加算、強度行動障害入院医療管理加算、依存症入院医療管理加算、摂食障害入院医療管理加算、がん拠点病院加算、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算(7対1または10対1のみ)、栄養サポートチーム加算、口腔管理連携加算、医療安全対策加算、感染対策向上加算、患者サポート体制充実加算 など(原文参照)
みらい(新人医療事務)
かなり多いですね。どれが算定できるかは個別に確認が必要そうです。
あおい(元・医療事務)
はい。それぞれの加算ごとに算定要件を満たす場合に算定候補となりますので、各加算の施設基準・届出状況を個別に確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定でA105専門病院入院基本料に変更はありましたか?
あおい(元・医療事務)
requirements の原文(告示A105・留意事項)の内容をもとに確認しました。注2の入院期間加算(14日以内512点・15-30日207点)、注3の看護必要度加算(55・45・25点)、注4の一般病棟看護必要度評価加算(5点)の点数は告示第69号に記載されている内容です。前回改定(令和6年度)からの点数・施設基準・算定要件の詳細な差分については、厚生労働省告示第69号・第70号の新旧対照表および「個別改定項目について」の一次資料で確認する必要があります。本記事の執筆時点(2026年6月)では公式PDFの全文精査が完了していないため、一次資料による差分確認を要する項目として記載します。
改定確認が推奨される項目(令和8年度 vs 令和6年度)
- 点数変更の有無: 基本点数(7対1/10対1/13対1等の区分点数)および注2〜注4の加算点数について、告示第69号新旧対照表で確認が必要
- 施設基準変更の有無: 看護配置・看護師比率・平均在院日数・常勤換算等の施設基準変更を告示第70号で確認が必要
- 注7 算定可能加算リストの変更: 令和8年度に新設・廃止された加算がある場合、リストが更新される可能性あり
みらい(新人医療事務)
じゃあ、改定内容は厚労省の資料で確認することが大事なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。正確な改定差分は厚生労働省の公式資料(告示第69号・第70号・個別改定項目)でご確認ください。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
専門病院入院基本料でよくある取り漏れはどんなことですか?
あおい(元・医療事務)
以下の点が抜け落ちやすいと言われています。
よくある取り漏れ
- 入院期間加算の算定漏れ: 14日以内(512点)・15〜30日(207点)の加算を算定し忘れるケース。入院後の期間に応じた加算確認を毎月行う体制が必要
- 看護必要度加算の届出確認不足: 10対1病棟であっても看護必要度加算の届出を行っていなければ算定候補にならない。施設基準の届出状況を事務部門で定期確認する
- 一般病棟看護必要度評価加算(13対1)の漏れ: 13対1病棟で測定・評価を行っているにもかかわらず、届出や請求処理が漏れているケース
- 90日超入院の扱いの認識不足: 90日を超えた患者は算定方法が変わる可能性があるため、長期入院患者の請求区分を定期確認する
- 複数病棟がある場合の区分統一漏れ: 同一専門病院内の複数の一般病棟は同じ区分で算定しなければならない規定を見落とすケース
よくある質問
みらい(新人医療事務)
専門病院入院基本料と一般病棟入院基本料(A100)は何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
どちらも一般病棟の入院基本料ですが、A105専門病院入院基本料はがん・循環器疾患等を主に診る高度専門病院として届け出た病院の一般病棟に適用される区分です。一般病棟入院基本料(A100)と施設基準・点数体系が異なります。どちらの区分で届出・算定しているかは、地方厚生局への届出内容で確認してください。
みらい(新人医療事務)
同じ専門病院にICU(特定入院料)と一般病棟がある場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
ICU等の第3節特定入院料を算定する病棟の患者は専門病院入院基本料の対象外です。特定入院料の対象になっていない患者(一般病棟の患者)が専門病院入院基本料の算定対象となります。病棟の区分・患者の区分を明確に整理しておくことが必要です。
みらい(新人医療事務)
入院期間加算は毎月算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
入院期間加算(注2)は入院からの通算日数に基づき、14日以内は512点、15〜30日以内は207点を1日につき所定点数に加算するものです。起算日は第2部通則7の規定に従います。30日を超えた後は入院期間加算の対象外となる可能性がありますので、詳細は留意事項通知および疑義解釈資料でご確認ください。
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病棟の種別ごとに入院基本料の区分・施設基準は異なります。自院の病棟種別に応じて、あわせてご確認ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちの病院が専門病院入院基本料の算定候補になるか、確認する方法はありますか?
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。専門病院としての届出・施設基準の充足状況・看護配置の区分など、複数の要件が絡みますので、ぜひご活用ください。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料(厚生労働省告示第69号・第70号・留意事項通知)・審査支払機関の判断でご確認ください。