みらい(新人医療事務)
新生児科病棟の請求まとめをしていたら「新生児治療回復室入院医療管理料」という項目が出てきました。NICUとは違うんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、区分番号A303-2という特定入院料で、令和8年度時点では「1日につき5,931点」の項目です。NICU(新生児特定集中治療室管理料など)を経て容体が落ち着いてきた新生児を、専用の治療室で引き続き集中的に管理する場合に算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
NICUの「次の段階」ということですね。どんな病院でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、算定候補になるのは病院に限られ、診療所では算定できません。特定入院料のため、病院の一般病棟の中に設けた特定の治療室を単位として運用する必要があります。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんはどう決まっているんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知では、対象患者を次のいずれかの状態にあり、医師が入院医療管理が必要と認めた新生児と整理しています。
対象患者の状態(ア〜ス、令和8年度時点)
ア〜エ: 高度の先天奇形・低体温・重症黄疸・未熟児 オ〜キ: 意識障害又は昏睡・急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪・急性心不全(心筋梗塞を含む) ク〜コ: 急性薬物中毒・ショック・重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等) サ〜ス: 大手術後・救急蘇生後・その他外傷、破傷風等で重篤な状態
あおい(元・医療事務)
この13区分のいずれかに該当し、医師が「入院医療管理が必要」と判断した新生児が対象です。該当しない新生児が同じ治療室に入院した場合は、この管理料ではなく入院基本料等を算定する扱いになります。
みらい(新人医療事務)
該当するかどうかは記録として残すんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、対象患者の状態のうちどれに該当するかを記載することになっています。
点数(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、次のとおり整理されています。
| 区分番号 | 項目名 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| A303-2 | 新生児治療回復室入院医療管理料 | 5,931点 | 1日につき |

みらい(新人医療事務)
1日5,931点をそのまま計算していいんですか?
あおい(元・医療事務)
注意が必要です。この点数には入院基本料や一部の検査・注射・処置の費用が含まれています。別立てで請求できるかどうかは、後で触れる「包括される項目」を確認してください。
施設基準
みらい(新人医療事務)
NICUみたいに設備の基準もあるんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。厚生労働省の施設基準通知では、大きく4つの要件が示されています。
新生児治療回復室入院医療管理料の施設基準(令和8年度)
治療室の単位: 病院である保険医療機関の一般病棟における特定の治療室を単位とすること 医師の配置: 専任の小児科常勤医師(宿日直を行っている専任の医師を含む)、またはこれに相当する専任の非常勤医師の組み合わせを常時1名以上配置すること 装置・器具: 管理に必要な装置・器具を治療室内に常時備えること(新生児特定集中治療室等と隣接し共有しても緊急時に対応できる場合を除く) 検査体制: 自家発電装置を有し、電解質定量検査及び血液ガス分析を含む必要な検査を常時実施できること
みらい(新人医療事務)
「装置・器具」って具体的に何を揃えればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
通知には7つの装置・器具が挙げられています。
| 分類 | 装置・器具 |
|---|---|
| 蘇生 | 救急蘇生装置(気管挿管セット) |
| 監視 | 新生児用呼吸循環監視装置 |
| 呼吸管理 | 新生児用人工換気装置 |
| 輸液 | 微量輸液装置 |
| 酸素モニタリング | 経皮的酸素分圧監視装置又は経皮的動脈血酸素飽和度測定装置 |
| 酸素濃度 | 酸素濃度測定装置 |
| 黄疸治療 | 光線治療器 |
あおい(元・医療事務)
ただし治療室が新生児特定集中治療室(NICU)や新生児集中治療室と隣接していて、これらの装置・器具を共有しても緊急時に十分対応できる場合は、必ずしも専用に揃える必要はありません。自院の配置がこの例外に当てはまるかは、確認が必要です。
届出
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていたら、それだけで算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、施設基準を満たしているだけでは足りず、地方厚生局長等への届出が必要です。届出が済んでいなければ算定候補にはなりません。
届出の様式
新生児治療回復室入院医療管理料の施設基準に係る届出は、様式20及び様式42の2を用いることとされています。届出済みであれば算定候補になりますが、様式・添付書類の最新版は必ず地方厚生局の案内で確認してください。
算定タイミング・日数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
NICUと合わせて長期間入院する赤ちゃんもいますよね。日数の制限ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。新生児特定集中治療室管理料(A302)、新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料(A302-2)、総合周産期特定集中治療室管理料のうち新生児集中治療室管理料の部分(A303の2)と、この新生児治療回復室入院医療管理料を算定した期間は通算され、上限日数を超えた分は算定できません。
| 出生時体重・状態 | 通算の上限日数 |
|---|---|
| 原則 | 30日 |
| 1,500g以上で厚生労働大臣が定める疾患を主病とする場合 | 50日 |
| 1,000g以上1,500g未満 | 90日 |
| 1,000g未満 | 120日 |
| 500g以上750g未満・慢性肺疾患 | 135日 |
| 500g未満・慢性肺疾患 | 140日 |
みらい(新人医療事務)
日数の数え方は自院で計算するんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、NICUからこの治療室に移った場合も、NICU在室日数と通算してカウントする必要があるので、他の新生児関連の特定入院料の算定日も含めて自院で管理する必要があります。上限を超える前に、算定要件や次の管理料への切り替えを確認しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
併算定で気をつけることは何ですか?
あおい(元・医療事務)
この管理料には、入院基本料、一部の入院基本料等加算、特定の検査、点滴注射、中心静脈注射、酸素吸入、インキュベーター、病理標本作製料の費用が含まれています。ただし、医師事務作業補助体制加算や感染対策向上加算など一部の入院基本料等加算は、告示で包括の対象から除外されており、これらは別立てで算定する候補になります。詳しい内訳は次の一覧で確認してください。
包括される項目と、除外され別途算定できる加算(令和8年度)
所定点数に含まれる項目: イ入院基本料 ロ入院基本料等加算(下記の加算等を除く) ハ検査(検体検査判断料を除く) ニ点滴注射 ホ中心静脈注射 ヘ酸素吸入(使用した酸素及び窒素の費用を除く) ト インキュベーター(使用した酸素及び窒素の費用を除く) チ 第13部第1節の病理標本作製料 包括の対象から除外され別途算定できる入院基本料等加算: 臨床研修病院入院診療加算、超急性期脳卒中加算、医師事務作業補助体制加算、特定感染症入院医療管理加算、難病等特別入院診療加算(二類感染症患者入院診療加算に限る)、地域加算、離島加算、口腔管理連携加算、医療安全対策加算、感染対策向上加算、患者サポート体制充実加算、重症患者初期支援充実加算、報告書管理体制加算、褥瘡ハイリスク患者ケア加算、データ提出加算、入退院支援加算(1のイ及び3に限る)、排尿自立支援加算、地域医療体制確保加算

令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定(令和6年度)から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
新生児治療回復室入院医療管理料そのものについて、当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和6年度(2024年度)改定からの点数・施設基準・対象患者の変更は確認されていません。この記事は令和8年度(2026年度)時点の告示・通知に基づいてまとめています。
改定差分の確認範囲
確認した時点: 令和8年度診療報酬改定後の告示・留意事項通知・施設基準通知 確認できたこと: 点数(1日につき5,931点)・施設基準4項目・対象患者13区分・届出様式(様式20・様式42の2)は令和8年度の一次資料に明記 確認できていないこと: 令和6年度(2024年度)改定時点との具体的な差分(個別改定項目の一次資料は当サイトでは未収録)
自院チェックリスト
みらい(新人医療事務)
うちの病棟がこの管理料の対象になりそうか、どう確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認すると整理しやすいです。
自院で確認する順番
病院であるか(診療所は対象外)を確認する 新生児治療回復室を、病院の一般病棟内に特定の治療室として単位化できているか確認する 専任の小児科常勤医師(またはそれに相当する非常勤医師の組み合わせ)を常時1名以上配置できているか確認する 7種類の装置・器具を治療室内に常時備えているか、または隣接治療室との共有で緊急時対応が可能かを確認する 自家発電装置と電解質定量検査・血液ガス分析等の常時実施体制を確認する 地方厚生局長等へ様式20・様式42の2で届出済みかを確認する 入院している新生児が対象患者の状態(ア〜ス)のいずれかに該当し、医師が入院医療管理が必要と判断しているかを確認する NICU等との通算日数が上限(30日〜140日)を超えていないかを確認する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちなミスってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
よくある取り漏れ・確認ポイント
摘要欄の記載漏れ: 対象患者がア〜スのどれに該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に記載していないと、算定要件を満たしていても指摘を受けることがあります 通算日数の見落とし: NICU(A302・A302-2)や総合周産期特定集中治療室管理料の新生児集中治療室管理料部分(A303の2)との通算日数を管理せず、上限を超えて算定してしまうケース 包括項目の重複請求: 酸素吸入やインキュベーター等、所定点数に含まれる項目の一部を別立てで請求してしまうケース(酸素・窒素の費用自体は除外されている点にも注意) 除外加算の算定控えすぎ: 医師事務作業補助体制加算・感染対策向上加算など、告示で包括の対象から除外されている入院基本料等加算まで「包括だから算定できない」と誤って控えてしまうケース 届出様式の古い版の使用: 様式20・様式42の2の最新版を確認せず、旧様式のまま届出してしまうケース
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
この管理料は診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、特定入院料のため病院でのみ算定候補になります。診療所では対象外です。
みらい(新人医療事務)
NICUに入院していた新生児がこの治療室に移った場合、日数のカウントはリセットされますか?
あおい(元・医療事務)
リセットされません。新生児特定集中治療室管理料等を算定した期間と通算してカウントされるため、移動前の在室日数も含めて上限日数を管理する必要があります。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)と比べて点数は変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和6年度(2024年度)改定からの点数変更は確認されていません。ただし、届出内容や運用の詳細は必ず最新の公式資料でご確認ください。
みらい(新人医療事務)
施設基準の装置を全部自前で揃えないといけませんか?
あおい(元・医療事務)
治療室が新生児特定集中治療室(NICU)や新生児集中治療室と隣接していて、緊急時に十分対応できる形で装置・器具を共有している場合は、必ずしも専用に揃える必要はないとされています。自院の配置がこの条件に当てはまるかは確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
対象患者の判断はどの職種が行うんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では「医師が入院医療管理が必要であると認めた者」とされており、医師の判断が前提になります。事務職員だけで対象・対象外を判断せず、医師と連携して確認することが大切です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。