みらい(新人医療事務)
部長から「うちも特定機能病院リハビリテーション病棟入院料って算定候補になるのか調べてほしい」って言われたんですけど、そもそもこれ、回復期リハビリテーション病棟入院料と何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。名前が似ているので混同しやすいのですが、この入院料は「保険医療機関(特定機能病院に限る。)」だけが対象という、かなり限定された入院料です。まずはそこから整理していきましょう。
みらい(新人医療事務)
「特定機能病院に限る」ってことは、うちみたいな一般の病院はそもそも対象外ってことですか?
あおい(元・医療事務)
可能性が高いです。ここでいう特定機能病院は、医療法上の承認を受けた高度医療提供機関を指す言葉で、施設基準の通知でも「特定機能病院(医療法第4条の2第1項に規定する特定機能病院をいう。)であること」と明記されています。届出の前提として、まず自院が医療法上の特定機能病院承認を受けているかどうかの確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
なるほど…。じゃあ、特定機能病院だったとして、この入院料はどんな病棟が対象なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、「主として回復期リハビリテーションを行う病棟に関する別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして保険医療機関(特定機能病院に限る。)が地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者」が対象と定められています。回復期リハビリテーションを要する状態にある患者を対象に、日数の上限を設けて所定点数を算定する仕組みです。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
「回復期リハビリテーションを要する状態」って、具体的にはどんな患者さんなんですか?
あおい(元・医療事務)
医科点数表の注1では、主として回復期リハビリテーションを行う病棟として地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者のうち、別に厚生労働大臣が定める「回復期リハビリテーションを要する状態」にあるものが対象と定められています。この状態に具体的にどの疾患・状態が該当するかは告示の別表で個別に定められているため、自院の対象患者がこれに当たるかどうかは、告示の該当箇所で個別に確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
対象患者がその状態でなかった場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは要注意のポイントです。当該入院料に係る算定要件に該当しない患者が入院した場合は、区分番号A100に掲げる一般病棟入院基本料の注2に規定する特別入院基本料の例により算定する、とされています。対象患者かどうかの判断を誤ると、算定の組み立てそのものが変わってしまうということですね。
点数・コード(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はどれくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、区分番号A319「特定機能病院リハビリテーション病棟入院料」は1日につき2,399点、生活療養を受ける場合は2,379点とされています。次の表に整理しますね。
| 区分 | 名称 | 点数(1日につき) | 年度 |
|---|---|---|---|
| A319 | 特定機能病院リハビリテーション病棟入院料 | 2,399点 | 令和8年度 |
| A319(生活療養) | 同上・生活療養を受ける場合 | 2,379点 | 令和8年度 |

みらい(新人医療事務)
算定できる日数には上限があるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。「それぞれの状態に応じて別に厚生労働大臣が定める日数を限度として」算定する、とされています。状態区分ごとの上限日数は個別に定められているので、対象患者の状態区分を確認したうえで、当該患者の算定日数がどこまで進んでいるかを個別に確認する必要があります。この日数の当てはめ自体は、自院の記録と一次資料を突き合わせて確認する作業になります。
施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準はかなり細かそうですね…。
あおい(元・医療事務)
はい。ただ、人員体制などを見る前に、まず確認しておきたい大前提があります。施設基準の通知では、特定機能病院リハビリテーション病棟入院料に関する施設基準の最初の項目として「「H000」心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅰ)、「H001」脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)、「H002」運動器リハビリテーション料(Ⅰ)及び「H003」呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ)の届出を行っていること」と定められています。
みらい(新人医療事務)
え、この入院料そのものだけじゃなくて、他の4つのリハビリテーション料の届出も先に必要ってことですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。これは人員配置基準よりも前に挙げられている前提条件で、心大血管疾患・脳血管疾患等・運動器・呼吸器の4つのリハビリテーション料(Ⅰ)をすべて届け出ていることが、この先の人員体制や病室面積の基準を確認する以前の出発点になります。ここが漏れていると、他の基準を満たしていても届出自体が進められないので、最初に確認しておきたいポイントです。
みらい(新人医療事務)
なるほど、まずそこからなんですね。人員体制の話はその後で確認すればいいんですね。
あおい(元・医療事務)
この前提を踏まえたうえで、次に人員体制です。施設基準の通知では「リハビリテーション科を標榜しており、当該病棟に専従の医師1名以上、専従の理学療法士3名以上、作業療法士2名以上、言語聴覚士1名以上、専従の管理栄養士1名以上及び在宅復帰支援を担当する専従の社会福祉士等1名以上の常勤配置を行うこと」と定められています。
みらい(新人医療事務)
病室の広さにも基準があるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。「特定機能病院リハビリテーション病棟に係る病室の床面積は、内法による測定で、患者1人につき、6.4平方メートル以上であること」とされています。既存病棟を転用する場合は、この床面積要件を満たせるかどうかが最初の確認ポイントになりますね。
みらい(新人医療事務)
リハビリの提供量そのものにも基準があるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。「回復期リハビリテーションを要する状態の患者に対する1日当たりリハビリテーション提供単位数は平均3単位以上であること」とされています。加えて、重症患者の受け入れ割合にも基準があり、「重症の患者…が新規入院患者のうち4割5分以上であること」と定められています。重症の定義には日常生活機能評価やFIM得点、高次脳機能障害・脊髄損傷の診断などが含まれます。
みらい(新人医療事務)
リハビリの実績も何か指標があるんですか?
あおい(元・医療事務)
リハビリテーション実績指数という指標があります。「届出を行う月及び各年度4月、7月、10月及び1月に算出したリハビリテーション実績指数が42以上であること」とされています。この基準を継続的に満たしているかどうかも、届出後の確認事項として押さえておく必要があります。
みらい(新人医療事務)
リハビリの中身そのものについても、何か決まりがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。留意事項の通知では「当該病棟の全ての患者に対して、早期歩行、ADLの自立等を目的とした理学療法又は作業療法が行われることとする」とされています。人員を配置するだけでなく、入院しているすべての患者に対して早期からのリハビリテーションが実際に提供されている体制であることが求められている、ということですね。
見落としやすい施設基準
FIM測定研修: 「当該保険医療機関において、FIMの測定に関わる職員を対象としたFIMの測定に関する研修会を年1回以上開催すること」とされています。年1回の開催実績があるかは、届出後も継続して確認が必要です。 入退院時のFIM・Section GG測定: 「当該特定機能病院リハビリテーション病棟への入院時又は転院時及び退院時に日常生活機能評価、FIM及びSection GGの測定を行い、その結果について診療録等に記載すること」とされています。年1回の研修とは別に、患者ごとの入院時・転院時・退院時の測定と診療録等への記載が個別に求められます。 口腔ケア体制: 「口腔状態に係る課題を認めた場合は、必要に応じて当該保険医療機関の歯科医師等と連携する又は歯科診療を担う他の保険医療機関への受診を促す体制」の整備も求められています。
みらい(新人医療事務)
栄養管理についても何か決まりがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。「当該入院料を算定する全ての患者について、患者ごとに行うリハビリテーション実施計画又はリハビリテーション総合実施計画の作成に当たっては、管理栄養士も参画し、患者の栄養状態を十分に踏まえて行うこと」とされていて、リハビリと栄養管理を一体的に進める体制が前提になっています。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
施設基準はわかりました。じゃあ届出ってどうすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
「特定機能病院リハビリテーション病棟入院料の施設基準に係る届出は、別添7の様式9、様式20、様式49、様式49の2を用いること」とされています。様式49は「回復期リハビリテーション病棟入院料〔 〕、回復期リハビリテーション入院医療管理料又は特定機能病院リハビリテーション病棟入院料の施設基準に係る届出書添付書類」という共通様式です。回復期リハビリテーション病棟入院料と共通の様式になっているため、様式を取り違えないよう注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
届出さえ出せば、その日から算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定できません。届出の受理と、実際に施設基準を満たし続けているかどうかは別の話です。届出後も人員配置や重症患者割合、リハビリテーション実績指数などを継続的に満たしているかを確認する必要があります。届出済みであれば算定候補にはなりますが、最終的な判断は自院の体制と地方厚生局への確認によります。

算定タイミング・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するときに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、この入院料を算定する日に使用する投薬に係る薬剤料は、入院料に含まれていて別に算定できません。留意事項の通知でも「特定機能病院リハビリテーション病棟入院料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、特定機能病院リハビリテーション病棟入院料に含まれ、別に算定できない」と明記されています。
対象患者でなくなった場合の取り扱い
当該入院料に係る算定要件に該当しない患者が当該病棟に入院した場合は、区分番号A100に掲げる一般病棟入院基本料の注2に規定する特別入院基本料の例により算定するとされています。対象患者かどうかの判定は継続的な確認が必要な項目であり、「算定候補」から外れる可能性がある点として押さえておきたいところです。
みらい(新人医療事務)
転院してきた患者さんの扱いはどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
特定機能病院リハビリテーション病棟入院料または回復期リハビリテーション病棟入院料を算定していた患者が、この入院料を算定する病棟へ転院してきた場合でも、継続して算定できることとされています。転院前の算定状況について、自院で確認しておくと安心です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度から、点数や基準は変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収録している厚生労働省の一次資料の範囲では、A319特定機能病院リハビリテーション病棟入院料そのものの点数(2,399点)や主要な施設基準について、令和6年度からの変更内容を確認できていません(確認日: 2026年8月)。ただし、令和8年度の疑義解釈では「A308」回復期リハビリテーション病棟入院料1及び3と並んで「A319」特定機能病院リハビリテーション病棟入院料についても、FIM測定研修の対象職員としてFIMの測定を担当する看護職員が該当するかどうかが問われ、「同様である」と回答されています。これはA319の施設基準(年1回以上のFIM測定研修開催)の文言そのものを改正するものではなく、対象職員の範囲についての確認・明確化と位置づけられます。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、前回改定からの変化があるかどうかは、自院ではどう確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
最新の告示・通知の原文と、厚生労働省の令和8年度診療報酬改定の特設ページで確認するのが確実です。当サイトで確認できていない変更点がある可能性もあるので、届出前には必ず一次資料をあたってください。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- 自院が医療法上の特定機能病院(医療法第4条の2第1項)であるかを確認する
- H000心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅰ)・H001脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)・H002運動器リハビリテーション料(Ⅰ)・H003呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ)の届出をすべて行っているかを確認する
- リハビリテーション科の標榜と、専従医師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・管理栄養士・社会福祉士等の常勤配置数を確認する
- 病室の床面積(内法6.4平方メートル/人以上)など設備基準を確認する
- 1日当たりリハビリ提供単位数(平均3単位以上)、重症患者割合(新規入院患者の4割5分以上)、リハビリテーション実績指数(42以上)の実績を確認する
- FIM測定研修の年1回以上の開催実績、入退院時のFIM・Section GG測定と診療録等への記載、口腔ケア連携体制を確認する
- 様式9・様式20・様式49・様式49の2を用意し、地方厚生局へ届出を行う
よくある取り漏れ
対象病棟の思い込みに注意
「回復期リハビリテーション病棟入院料」と名前が似ているため、通常の病院がこの入院料を届け出られると思い込んでしまうケースがあります。この入院料は保険医療機関が特定機能病院である場合に限られる点を、まず確認してください。
届出後の実績確認を継続する
リハビリテーション実績指数や重症患者割合は、届出時点だけでなく届出後も継続的な算出が求められる項目です。社内での定期確認の仕組みを持っておくと確認漏れを防げます。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。