みらい(新人医療事務)
院長から「退院前訪問指導料も算定できるか確認して」と言われたんですけど、これって外来じゃなくて入院患者さんが対象なんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。入院中の患者さんが退院した後、自宅で安心して療養を続けられるように、退院前に自宅(患家)を訪問して指導を行った場合に算定できる項目です。令和8年度の告示・留意事項通知の原文を確認しながら、対象・点数・算定要件の順に見ていきましょう。
退院前訪問指導料とは(対象・概要)
みらい(新人医療事務)
そもそもどんな場面で使う項目なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(区分番号B007)では、「入院期間が1月を超えると見込まれる患者の円滑な退院のため、患家を訪問し、当該患者又はその家族等に対して、退院後の在宅での療養上の指導を行った場合」に算定できるとされています。長期入院になりそうな患者さんの退院後の生活を見据えて、入院中に自宅へ訪問し指導する取り組みを評価する項目です。
みらい(新人医療事務)
診療所でも病院でも使える項目ですか?
あおい(元・医療事務)
はい。当サイトが収載する告示・留意事項通知の範囲では医療機関の種別を限定する記載はなく、診療所・病院のどちらも算定候補になり得ます。対象は入院中の患者さんに限られ、外来や在宅の患者さんは対象になりません。
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんでも対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこは要注意です。留意事項通知には「退院前訪問指導料は、退院して家庭に復帰する患者が算定の対象であり、特別養護老人ホーム等医師又は看護師等が配置されている施設に入所予定の患者は算定の対象としない」と明記されています。退院後の行き先が自宅(家庭)であることが前提で、施設入所予定の患者さんは対象外になります。
点数(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はどれくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の原文では「B007 退院前訪問指導料 580点」となっています。まずは全体像を表で整理しますね。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区分番号 | B007 |
| 名称 | 退院前訪問指導料 |
| 点数 | 580点 |
| 算定回数 | 入院中1回(要件を満たせば2回) |
| 対象 | 入院患者(診療所・病院) |
| 施設基準の届出 | 一次資料に届出規定の記載なし(後述) |

みらい(新人医療事務)
「1回」なのに「2回」の場合もあるんですね。ここは詳しく知りたいです。
あおい(元・医療事務)
そこは算定要件のところで詳しく説明しますね。まずは施設基準・届出の話から確認しましょう。
施設基準・届出の確認
みらい(新人医療事務)
加算のページだと「施設基準を満たして届出が必要」というパターンが多いですけど、これも同じですか?
あおい(元・医療事務)
退院前訪問指導料については、当サイトが確認した告示・留意事項通知の原文の中に、施設基準の届出を求める規定は見当たりません。他の多くの加算のように「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出る」という文言が、この項目には出てきていない、という状態です。
届出不要という記載の読み方
「届出が不要」というのは、一次資料に届出規定の記載が見当たらないことに基づく当サイトの整理です。地方厚生局への確認事項や運用上の取り扱いは変わる可能性があるため、最終的には自院所轄の地方厚生局または審査支払機関にご確認ください。
みらい(新人医療事務)
施設基準なしでも、算定要件はちゃんと確認しないといけないですよね。
あおい(元・医療事務)
もちろんです。届出は不要でも、算定要件(対象患者・回数・記録など)を満たしていないと算定候補にはなりません。次はそこを一緒に見ていきましょう。
算定要件・算定タイミング・回数制限
みらい(新人医療事務)
「入院中1回」の中身をもう少し詳しく教えてください。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(保医発)には具体的な運用が書かれています。まず基本は「継続して1月を超えて入院すると見込まれる入院患者の円滑な退院のため、入院中(外泊時を含む。)又は退院日に患家を訪問し、患者の病状、患家の家屋構造、介護力等を考慮しながら、患者又はその家族等退院後に患者の看護に当たる者に対して、退院後の在宅での療養上必要と考えられる指導を行った場合に算定する」とされています。そして「入院期間は暦月で計算する」という補足もあります。
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングはいつになるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では「指導の対象が患者又はその家族等であるかの如何を問わず、1回の入院につき1回を限度として、指導の実施日にかかわらず、退院日に算定する」とされています。つまり訪問した日ではなく、退院日にまとめて算定する扱いです。
みらい(新人医療事務)
さっき出てきた「2回算定できる場合」はどんなケースですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注1に「入院後早期に退院前訪問指導の必要があると認められる場合は、2回算定することができる」とあり、留意事項通知ではさらに具体的に「入院後早期(入院後14日以内とする。)に退院に向けた訪問指導の必要性を認めて訪問指導を行い、かつ在宅療養に向けた最終調整を目的として再度訪問指導を行う場合に限り、指導の実施日にかかわらず退院日に2回分を算定する」と定められています。入院後14日以内の早期訪問と、退院前の最終調整の訪問がセットになっているケースが対象です。
回数条件の取り漏れに注意
「2回算定できる」のは、①入院後14日以内の早期訪問と②在宅療養に向けた最終調整を目的とした再訪問の両方を行った場合に限られます。単に2回訪問しただけでは2回分の算定候補にはならない点に注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
訪問は必ず医師が行かないとダメなんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ。留意事項通知には「医師の指示を受けて保険医療機関の保健師、看護師、理学療法士、作業療法士等が訪問し、指導を行った場合にも算定できる」とあります。医師本人でなくても、医師の指示があれば多職種での訪問が算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
記録面で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では「指導又は指示内容の要点を診療録等に記載する」ことが求められています。また「退院前訪問指導に当たっては、当該保険医療機関における看護業務等に支障をきたすことのないよう留意する」こと、「保険医療機関は、退院前訪問指導の実施に当たっては、市町村の実施する訪問指導事業等関連事業との連携に十分配意する」ことも記載されています。訪問記録を診療録に残すことが、算定候補かどうかを後から確認するうえでも重要です。
みらい(新人医療事務)
交通費とかはどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注2に「注1に掲げる指導に要した交通費は、患家の負担とする」と明記されています。訪問にかかった交通費は保険請求の対象ではなく、患家(患者側)の負担という扱いです。
併算定の注意(リハビリテーション総合計画評価料との関係)
みらい(新人医療事務)
他の項目と一緒に算定できないケースもありますか?
あおい(元・医療事務)
あります。告示の注1には「区分番号H003-2に掲げるリハビリテーション総合計画評価料の注3に規定する入院時訪問指導加算は算定できない」という規定があり、留意事項通知にも同じ内容が書かれています。退院前訪問指導料を2回算定する場合には、リハビリテーション総合計画評価料の入院時訪問指導加算とは併算定できません。この除外規定は、令和8年度改定で新設された規定です(次のセクションで詳しく説明します)。
回復期リハ関連の指標に関わる論点
疑義解釈(令和8年度・その2 問50)では、回復期リハビリテーション強化体制加算の施設基準にある「自宅退院患者に対する退院前訪問指導の実施割合」の算出について問われ、「1人の患者に入院後早期と退院前の2回の訪問指導を行った場合であっても、分子となる患者数は1人として算出する」と回答されています。回復期リハビリテーション病棟がある病院では、この指標との関係も合わせて確認しておくと安心です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定から点数とか要件は変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
点数(580点)自体は前回改定(令和6年度)から変わっていませんが、算定要件には令和8年度改定で新設された規定があります。厚生労働省「個別改定項目について」(令和8年2月13日)の現行/改定後比較表によると、退院前訪問指導料を入院後早期の訪問とあわせて2回算定する場合について、改定後(令和8年度)は「この場合において、区分番号H003-2に掲げるリハビリテーション総合計画評価料の注3に規定する入院時訪問指導加算は算定できない」という一文が告示・留意事項通知の双方に追加されました。前回改定(令和6年度)時点の条文には、この除外規定はありませんでした。
みらい(新人医療事務)
つまり、2回算定するときの併算定の制限が新しくできたということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。2回算定の条件そのもの(入院後14日以内の早期訪問+在宅療養に向けた最終調整の再訪問)は前回改定から変わっていませんが、その場合にリハビリテーション総合計画評価料の入院時訪問指導加算と併算定できなくなったのが、令和8年度改定での変更点です。点数・回数条件・対象患者・施設基準の届出要否については、当サイトが確認した一次資料の範囲で他の変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。
令和6年度(現行)→令和8年度(改定後)の条文対比
令和6年度(現行): 「入院後早期に退院前訪問指導の必要があると認められる場合は、2回算定することができる」(H003-2の入院時訪問指導加算との併算定を制限する記載なし) 令和8年度(改定後): 同じ条文の末尾に「この場合において、区分番号H003-2に掲げるリハビリテーション総合計画評価料の注3に規定する入院時訪問指導加算は算定できない」が追加
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちで算定候補になるか確認するには、どの順番で見ればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくと整理しやすいです。

自院で確認する順番
- 対象の入院患者が、入院期間1月超が見込まれ、退院後に家庭復帰予定(施設入所予定ではない)かを確認する
- 患家(自宅)を訪問し、患者の病状・家屋構造・介護力等を踏まえた在宅療養の指導を行う(外泊時・退院日いずれも可)
- 2回算定を検討する場合は、入院後14日以内の早期訪問+在宅療養に向けた最終調整の再訪問という条件を満たすか確認する
- H003-2リハビリテーション総合計画評価料の入院時訪問指導加算との重複がないか確認する
- 指導・指示内容の要点を診療録等に記載し、退院日に算定する
よくある取り漏れ
施設入所予定の患者に算定してしまう
退院後に特別養護老人ホーム等(医師又は看護師等が配置されている施設)へ入所予定の患者は、留意事項通知上、退院前訪問指導料の対象外とされています。退院支援の記録を確認する際、退院先が「家庭」か「施設」かを必ず区別しましょう。
訪問した日に算定してしまう
退院前訪問指導料は、指導を実施した日ではなく「退院日」に算定するとされています。カルテ上は訪問日で記録しつつ、レセプト上の算定日は退院日にそろえる運用にしておくと取り漏れ・算定ミスの両方を防ぎやすくなります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
退院後訪問指導料や精神科退院前訪問指導料と、この退院前訪問指導料って別物ですか?
あおい(元・医療事務)
はい、区分番号が異なる別の項目です。退院後訪問指導料(B007-2)は退院した「後」に訪問する項目、退院後訪問栄養食事指導料は退院後に管理栄養士が栄養食事指導のために訪問する項目、精神科退院前訪問指導料(I011-2)は精神科病棟に入院している患者を対象とした項目です。名称が似ているので、算定時は区分番号まで確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
訪問看護ステーションのスタッフが訪問しても算定できますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知が対象としているのは「医師の指示を受けた保険医療機関の保健師、看護師、理学療法士、作業療法士等」による訪問です。訪問看護ステーションなど外部事業者による訪問がこの要件に当てはまるかどうかは、自院の体制と照らして個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は本当に不要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した告示・留意事項通知の原文には、退院前訪問指導料について施設基準の届出を求める記載が見当たりません。ただし解釈や運用は変わり得るため、最終的な取り扱いは自院所轄の地方厚生局にご確認いただくのが確実です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。