みらい(新人医療事務)
先生、退院した患者さんのご家族から「退院後も栄養の相談に来てもらえますか」って聞かれたんですけど、そういう加算ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
それは「退院後訪問栄養食事指導料」ですね。令和8年度(2026年度)の改定で新しくできた指導料で、区分番号はB007-3、530点です。退院した患者さんの自宅に管理栄養士が訪問して栄養指導をした場合に算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
新しくできた、ということは去年まではなかったんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。令和8年度診療報酬改定の資料でも「(新)退院後訪問栄養食事指導料」と明記されていて、退院直後の訪問栄養食事指導に関する評価として新設された項目です。令和6年度以前にはこの区分自体が存在しませんでした。まずは基本情報から一緒に確認していきましょう。
退院後訪問栄養食事指導料とは
みらい(新人医療事務)
そもそも、どういう目的の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
入院中に栄養管理の必要性が高かった患者さんが、退院後も安心して在宅療養を続けられるように、入院していた保険医療機関の管理栄養士が退院直後に自宅等を訪問して、栄養管理の指導を行うことを評価するものです。厚生労働省の改定資料には「入院中に栄養管理の必要性が高い患者が、安心・安全に在宅療養に移行し、在宅療養を継続できるよう支援する観点から、退院直後に、入院保険医療機関の管理栄養士が患家等を訪問し、患者又はその家族等に対して、退院後の在宅における栄養管理や食生活に関する指導を行った場合の評価を新設する」と説明されています。
みらい(新人医療事務)
退院前訪問指導料(B007)とか退院後訪問指導料(B007-2)と、名前が似ていますね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。同じB007のグループですが、対象になる専門職と指導の中身が違います。退院前訪問指導料は入院中に看護師などが訪問して在宅療養の指導をするもの、退院後訪問指導料は退院後に看護師などが訪問するもの、そして退院後訪問栄養食事指導料は「管理栄養士」が退院後に訪問して「栄養」に特化した指導をするもの、という位置づけです。混同しないように整理しておくと安心です。

対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
うちみたいな診療所でも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
はい。診療所・病院のどちらでも対象になり得ます。当サイトが収録している一次資料の範囲では、この指導料は特定の病床数や施設類型に限定されていません。ポイントは「その患者さんが入院していた保険医療機関」が退院後に訪問する、という点です。他院に入院していた患者さんを、退院後に別の医療機関が訪問しても対象にはなりません。
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんは、誰でもいいわけじゃないんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうですね。令和8年度改定の資料では対象患者を「疾病治療の直接手段として、医師の発行する食事箋に基づき提供された適切な栄養量及び内容を有する別表第三に掲げる特別食を必要とする患者、がん患者、摂食機能又は嚥下機能が低下した患者、低栄養状態にある患者」としています。留意事項通知でも同様に「ア がん患者」「イ 摂食機能又は嚥下機能が低下した患者」「ウ 低栄養状態にある患者」と列挙されていますので、退院する患者さんがこのいずれかに該当するかをまず確認する流れになります。
対象患者のチェックポイント
特別食が必要な患者: 医師の食事箋に基づく別表第三の特別食(腎臓食・糖尿食・肝臓食など)が必要と認められた患者 がん患者: 診断・治療の状況を問わず対象になり得ます 摂食・嚥下機能が低下した患者: 誤嚥や食事摂取困難のリスクがある患者 低栄養状態にある患者: 入院中の栄養評価で低栄養と判定された患者
みらい(新人医療事務)
なるほど、入院中の栄養状態がカギになるんですね。次は点数とタイミングを教えてください。
点数・算定単位(令和8年度)
あおい(元・医療事務)
点数は次のとおりです。年度の混同がないよう、必ず令和8年度の表記で確認してくださいね。
| 区分番号 | 名称 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| B007-3 | 退院後訪問栄養食事指導料 | 530点 | 1回につき |
みらい(新人医療事務)
「1回につき」ということは、複数回算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。ただし無制限ではありません。告示の注1には「当該保険医療機関を退院した日から起算して1月以内(退院日を除く。)の期間に限り、4回を限度として算定する」とあります。つまり退院日の翌日から1か月以内に、最大4回まで算定候補になる、という枠組みです。
算定回数・期間の注意
起算日は「退院日を除く」翌日からです。退院した当日の指導は、この指導料の対象に含まれない点に注意してください。1か月を過ぎてからの訪問は、この区分の対象外になります。
施設基準・届出について
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、退院後訪問栄養食事指導料そのものに個別の施設基準や地方厚生局への事前届出は定められていません。管理栄養士が配置されていて、医師の指示のもとで訪問栄養食事指導を行える体制が整っていれば、届出の手続きを経ずに算定候補になり得ます。
みらい(新人医療事務)
届出がいらないなら、体制さえあればすぐ算定できそうですね!
あおい(元・医療事務)
そこは少し慎重に言ってください(笑)。届出が不要であることと、実際に算定要件をすべて満たしているかどうかは別の話です。対象患者に該当するか、管理栄養士が実際に患家等を訪問して具体的な献立等による指導を行ったか、回数や期間の上限を超えていないかなど、要件を一つずつ確認したうえでの「算定候補」です。最終的な判断は自院の記録と公式資料を突き合わせて確認してください。
算定のタイミングと併算定の整理
みらい(新人医療事務)
他の栄養指導と一緒に算定してもいいんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは重要な確認ポイントです。告示(注1)には「この場合において、区分番号B001の9に掲げる外来栄養食事指導料及び区分番号C009に掲げる在宅患者訪問栄養食事指導料は別に算定できない。」と明記されています。令和8年度改定の資料でも、併算定不可の項目として「外来栄養食事指導料」「在宅患者訪問栄養食事指導料」「(介護保険の)管理栄養士による居宅療養管理指導」の3つが挙げられていました。退院後訪問栄養食事指導料を算定した月は、これらを重ねて算定できない点を押さえておく必要があります。
みらい(新人医療事務)
逆に、退院後訪問指導料(B007-2)や在宅患者訪問看護・指導料(C005)とは一緒に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
これは疑義解釈でも取り上げられた論点です。厚生労働省の疑義解釈資料には「管理栄養士が、患者等の同意を得た上で、同一の保険医療機関又は特別の関係にある訪問看護ステーションの看護師に同行して患家等を訪問し、栄養管理に係る指導等を行った場合は、『B007-2』退院後訪問指導料又は『C005』在宅患者訪問看護・指導料等と同日に算定できるか」という質問に対し、「各指導料に規定する指導等の時間が重複しない場合は、算定できる」と回答されています。同日訪問そのものは可能でも、指導時間が重複していないことの記録が必要になる点は意識しておきましょう。
併算定の確認は記録とセットで
同日に複数の指導料を算定する場合は、それぞれの指導に要した時間が重複していないことが分かるよう、訪問記録に時間帯を分けて残しておくことをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
交通費はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注2に「注1に掲げる指導に要した交通費は、患家の負担とする」とあります。訪問にかかった交通費は診療報酬とは別に、患家(患者さん側)の負担になるという整理です。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- 退院する患者さんが「特別食が必要」「がん患者」「摂食・嚥下機能低下」「低栄養状態」のいずれかに該当するか確認する
- 医師の指示のもとで、自院(入院していた保険医療機関)の管理栄養士が訪問できる体制かを確認する
- 退院日を除く1か月以内・4回までの範囲で訪問計画を立てる
- 同月に外来栄養食事指導料・在宅患者訪問栄養食事指導料を算定していないか確認する
- 同日に他の指導料(退院後訪問指導料・在宅患者訪問看護・指導料等)と併算定する場合は、指導時間が重複していないかを記録で確認する
よくある取り漏れ
見落としやすいポイント
退院日当日の指導: 起算は退院日を除いた翌日からのため、退院日当日の訪問は対象になりません 入院していた医療機関以外からの訪問: 対象は「患者が入院していた保険医療機関」の管理栄養士による訪問に限られます 同月の外来栄養食事指導料との重複: 算定した月は外来栄養食事指導料・在宅患者訪問栄養食事指導料を別に算定できません 指導時間の記録不足: 同日に他の訪問系指導料と併算定する場合、指導時間が重複していないことの記録がないと確認が難航しやすい点
令和8年度改定での変更点(新設項目)
みらい(新人医療事務)
さっき「新設」って言ってましたけど、令和6年度にはなかったということですよね?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。厚生労働省の令和8年度診療報酬改定の説明資料(在宅医療分野)には「退院直後の訪問栄養食事指導に関する評価の新設」という見出しで、「(新)退院後訪問栄養食事指導料」として530点が新たに設けられたことが明記されています。令和6年度(2024年度)改定の時点では、このB007-3という区分自体が存在していませんでした。
改定の位置づけ(令和8年度)
今回の新設は、地域において重症患者の訪問診療や在宅看取り等を積極的に担う医療機関・薬局の評価を充実させる項目の一つとして位置づけられています。退院した日から1か月以内は退院後訪問栄養食事指導料(4回まで)、それ以降に栄養指導が継続して必要な場合は外来栄養食事指導料や在宅患者訪問栄養食事指導料(介護保険の場合は管理栄養士による居宅療養管理指導)に切り替えて算定する、という時系列の整理が示されています。
みらい(新人医療事務)
新設だと、前回改定と比べる材料がまだないんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。新設項目のため、点数・対象患者・算定要件について「前回改定からの変更」という形での比較対象はありません。今後の改定で要件が変わる可能性もありますので、算定候補にする際は必ずその時点の最新の公式資料で確認してください。

関連する加算とのちがい
みらい(新人医療事務)
B007シリーズって色々あって混乱しそうです。整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
表にすると、こんな違いになります。
| 区分番号 | 名称 | 訪問のタイミング | 担当職種 |
|---|---|---|---|
| B007 | 退院前訪問指導料 | 入院中(外泊時を含む)または退院日 | 保健師・看護師・理学療法士等 |
| B007-2 | 退院後訪問指導料 | 退院後 | 保健師・看護師等 |
| B007-3 | 退院後訪問栄養食事指導料 | 退院後 | 管理栄養士 |
みらい(新人医療事務)
他にも似たような訪問系の指導料はありますか?
あおい(元・医療事務)
はい。在宅療養に関わる訪問系の指導料としては、在宅患者訪問看護・指導料も合わせて確認しておくと、退院直後の訪問体制を整理しやすくなります。栄養面の訪問指導では、在宅療養に移行した後の在宅患者訪問栄養食事指導料とも対象患者や算定要件が異なりますので、どちらの算定候補にあたるか区別して確認しておくとよいです。どの職種が、いつ、何を目的に訪問するのかを区別して考えると、算定候補の判断がしやすくなりますよ。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
退院後訪問栄養食事指導料は、令和6年度の改定にもありましたか?
あおい(元・医療事務)
いいえ。令和8年度(2026年度)改定で新設された区分です。令和6年度(2024年度)の時点ではこの区分番号(B007-3)自体が存在していませんでした。
みらい(新人医療事務)
訪問看護ステーションの看護師と一緒に訪問して、栄養指導をした場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈では、管理栄養士が患者等の同意を得たうえで同一の保険医療機関または特別の関係にある訪問看護ステーションの看護師に同行して訪問し、栄養管理に係る指導等を行った場合について「各指導料に規定する指導等の時間が重複しない場合は、算定できる」と回答されています。同日の他の指導料と算定候補になり得るかは、指導時間の重複がないかがポイントです。
みらい(新人医療事務)
交通費は診療報酬に含まれますか?
あおい(元・医療事務)
含まれません。告示の注2に「指導に要した交通費は、患家の負担とする」とあり、交通費は診療報酬とは別に患者さん側の負担として整理されています。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。