みらい(新人医療事務)
「同一建物居住者訪問看護・指導料」っていう名前、レセプトでたまに見るんですけど、正直まだよくわかっていなくて…。これって普通の訪問看護とは別物なんですか?
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。区分番号C005-1-2の同一建物居住者訪問看護・指導料は、令和8年度の医科点数表で「1日につき」算定する点数です。同じ建物に住む複数の利用者さんへ同じ日に訪問看護・指導を行う場合に使う点数区分で、通常の在宅患者訪問看護・指導料(C005)とは点数の建て付けが分かれています。
みらい(新人医療事務)
「同じ建物に住む複数の利用者さん」というのがポイントなんですね。うちの診療所でも算定候補になるか、まず対象から確認したいです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ひとつずつ整理していきましょう。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
まず、どんな医療機関が対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、対象医療機関は診療所・病院で、在宅療養を行っている患者への訪問看護・指導が前提です。入院中の患者や外来受診のみの患者は対象になりません。
みらい(新人医療事務)
在宅の患者さんが対象ということですね。「同一建物居住者」というのは、具体的にどういう人を指すんですか?
あおい(元・医療事務)
ここが一番大事な定義です。厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の注1では、同一建物居住者訪問看護・指導料は「在宅で療養を行っている患者(同一建物等居住者に限る。)であって通院が困難なものに対して、診療に基づく訪問看護計画により、看護師等を訪問させて看護又は療養上必要な指導を行った場合」に算定するとされています。
みらい(新人医療事務)
「同一建物等居住者」の定義そのものはどこに書いてあるんですか?
あおい(元・医療事務)
同じ告示の在宅患者訪問看護・指導料(C005)の注1に定義があります。「当該患者と同一の建物又は同一の敷地内の建物に居住する他の患者に対して当該保険医療機関が同一日に訪問看護・指導を行う場合の当該患者」を「同一建物等居住者」と呼ぶ、とされています。つまり、同じ日に同じ建物(または同一敷地内の建物)の他の患者さんにも訪問看護・指導を行っているかどうかがポイントです。
みらい(新人医療事務)
具体的にどんな建物が対象になるんですか?集合住宅とか老人ホームとかですか?
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知(保医発0305第6号)では、建築基準法第2条第1号に掲げる建築物(同一敷地内を含む)に居住する複数の患者を基本としつつ、例として「養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、マンションなどの集合住宅等に入居又は入所している複数の患者」、また「短期入所生活介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護などのサービスを同一の建物で受けている複数の患者」を挙げています。さらに、これらの建物が同一敷地内にある場合も対象になるとされています。
見落としやすいポイント
同一敷地内にある複数の棟(A棟・B棟など)に分かれて入居している場合でも、同一建物等居住者としてまとめて扱われる可能性があります。「棟が違うから別」と単純に判断せず、敷地の関係を確認しておくことが大切です。
除外規定(算定の対象とならないケース)
みらい(新人医療事務)
逆に、対象にならないケースもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。留意事項通知では「医師又は看護師の配置が義務付けられている施設に入所している患者(給付調整告示等により規定する場合を除く。)については、算定の対象としない」と明記されています。医療スタッフの配置が義務付けられている施設に入所中の患者さんは、原則として対象外という整理です。
| 除外対象 | 内容(留意事項通知の趣旨) |
|---|---|
| 医師・看護師の配置が義務付けられている施設の入所者 | 給付調整告示等に別段の定めがある場合を除き、算定の対象としない |
| 通院が困難でない患者 | 通院可能な患者は対象外(在宅療養・通院困難であることが前提) |
みらい(新人医療事務)
「うちの利用者さんは対象になりそう」と思っても、施設の種類によっては対象外の可能性があるということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。施設の人員配置基準によって扱いが変わるため、対象になるかどうかは施設側の状況も含めて個別に確認する必要があります。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数を教えてください!
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表では、同一日に訪問する人数と、月または週の実施日数の区分によって、241点から1,285点まで21の区分に分かれています。まとめて見てみましょう。
| 職種等 | 同一日の人数 | 期間区分 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|---|
| 保健師・助産師・看護師 | 2人 | 週3日目まで | 580点 |
| 保健師・助産師・看護師 | 2人 | 週4日目以降 | 680点 |
| 保健師・助産師・看護師 | 3人以上9人以下 | 週3日目まで | 293点 |
| 保健師・助産師・看護師 | 3人以上9人以下 | 週4日目以降 | 343点 |
| 保健師・助産師・看護師 | 10人以上19人以下 | 月20日目まで | 290点 |
| 保健師・助産師・看護師 | 10人以上19人以下 | 月21日目以降 | 280点 |
| 保健師・助産師・看護師 | 20人以上49人以下 | 月20日目まで | 285点 |
| 保健師・助産師・看護師 | 20人以上49人以下 | 月21日目以降 | 275点 |
| 保健師・助産師・看護師 | 50人以上 | 月20日目まで | 275点 |
| 保健師・助産師・看護師 | 50人以上 | 月21日目以降 | 265点 |
| 准看護師 | 2人 | 週3日目まで | 530点 |
| 准看護師 | 2人 | 週4日目以降 | 630点 |
| 准看護師 | 3人以上9人以下 | 週3日目まで | 268点 |
| 准看護師 | 3人以上9人以下 | 週4日目以降 | 318点 |
| 准看護師 | 10人以上19人以下 | 月20日目まで | 266点 |
| 准看護師 | 10人以上19人以下 | 月21日目以降 | 256点 |
| 准看護師 | 20人以上49人以下 | 月20日目まで | 261点 |
| 准看護師 | 20人以上49人以下 | 月21日目以降 | 251点 |
| 准看護師 | 50人以上 | 月20日目まで | 251点 |
| 准看護師 | 50人以上 | 月21日目以降 | 241点 |
| 専門研修を受けた看護師(緩和ケア等・届出制) | ー | 月1回限度 | 1,285点 |

みらい(新人医療事務)
同じ建物でも人数が増えるほど、1人あたりの点数が下がっていくんですね。「同一建物だと減算される」という噂を聞いたことがあるんですが、これは「減算」という制度が別にあるんですか?
あおい(元・医療事務)
「減算」という別建ての仕組みがあるわけではありません。もともと人数区分・実施日数区分ごとに点数そのものが段階的に設定されている、という理解が正確です。例えば保健師・看護師による場合、同一日2人までなら週3日目まで580点ですが、同一日50人以上になると月21日目以降は265点になります。人数の多い建物への訪問ほど、1人あたりの単価が低く設定されている仕組みだと捉えておくとよいでしょう。
みらい(新人医療事務)
なるほど、「減算」というより「そもそもの点数設定が人数に応じて段階的」ということなんですね。
施設基準・届出(区分によって扱いが違う点に注意)
みらい(新人医療事務)
施設基準や届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
ここは区分によって大きく違うので、混同しないようにしましょう。
| 区分 | 対象となる看護師等 | 届出 | 施設基準 |
|---|---|---|---|
| 1・2(人数区分に応じた点数) | 保健師・助産師・看護師/准看護師 | 不要 | 特段の届出施設基準はなし |
| 3(1,285点) | 悪性腫瘍の緩和ケア、褥瘡ケア、人工肛門・人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師 | 必要 | 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合し、地方厚生局長等へ届け出た保険医療機関であること |
あおい(元・医療事務)
告示の注2では「3については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関が」実施した場合に算定できるとされています。対象患者も「悪性腫瘍の鎮痛療法若しくは化学療法を行っている患者、真皮を越える褥瘡の状態にある患者…又は人工肛門若しくは人工膀胱を造設している者で管理が困難な患者」に限定され、専門の研修を受けた看護師が他の医療機関や訪問看護ステーションの看護師・准看護師と共同で訪問した場合に、患者1人につき月1回に限り算定するという要件です。
1と2は届出不要、3は届出制という混同に注意
同じ区分番号(C005-1-2)の中でも、1,285点の区分(3)だけは施設基準の届出が必要です。「同一建物居住者訪問看護・指導料は届出不要」と一括りに覚えてしまうと、1,285点区分の算定候補判断を誤る可能性があります。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
いつ、何回まで算定できるかも教えてください。
あおい(元・医療事務)
告示の注1では、原則として区分番号C005の在宅患者訪問看護・指導料(3を除く)または区分番号I012の精神科訪問看護・指導料を算定する日と合わせて週3日を限度とする、とされています。ただし、厚生労働大臣が定める疾病等の患者については、この限度が広がります。
みらい(新人医療事務)
疾病によって回数が変わるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知では、末期の悪性腫瘍や多発性硬化症、人工呼吸器を使用している状態の患者など、厚生労働大臣が定める疾病等・状態に該当する場合は週4日以上算定できるとされています。また、急性増悪等により一時的に頻回の訪問が必要と医師が認めた場合には、1月に1回(気管カニューレ使用や真皮を越える褥瘡がある患者は月2回)に限り、診療の日から14日以内の期間で週7日まで算定できる取り扱いもあります。
みらい(新人医療事務)
併算定で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、同一建物居住者訪問看護・指導料についても、同一建物等居住者の人数や、精神科訪問看護・指導料(III)との合計算定日数を踏まえて「月20日目まで」「月21日目以降」の区分に従って算定する、とされています。同一日に同じ患者に対して他の保険医療機関が在宅患者訪問看護・指導料等を算定している場合は、原則として算定できません(退院後1月以内など一部例外があります)。
よくある取り漏れ
同一建物等居住者に該当する人数を、同一建物居住者訪問看護・指導料を算定する患者数だけで数えてしまうケースです。留意事項通知では、精神科訪問看護・指導料(III)を算定する患者数も合算して人数区分を判定するとされています。合算を忘れると、区分(ひいては点数)を誤る可能性があります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定と比べて、何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収録している一次資料(令和8年度の告示・留意事項通知)の範囲では、令和6年度時点の条文との逐条比較ができる資料までは確認できていません。今回ご紹介した人数区分・訪問日数区分による21区分の点数設定自体は、令和8年度時点の告示に基づくものです。
みらい(新人医療事務)
つまり「変わったかどうかは分からない」ということですか?
あおい(元・医療事務)
はい、その通りです。変更の有無を含めて確認したい場合は、厚生労働省が公開している令和8年度診療報酬改定の「個別改定項目について」や疑義解釈資料など、より詳細な一次資料にあたることをおすすめします。ここで断定してしまうと不正確になるので、あえて「未確認」とお伝えしています。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- 対象患者が在宅療養中・通院困難で、かつ「同一建物等居住者」の定義(同一建物または同一敷地内の建物に居住し、同一日に他の患者にも訪問看護・指導を行っている)に当てはまるか確認する
- 患者が入所している施設が「医師又は看護師の配置が義務付けられている施設」に該当しないか確認する(該当する場合は原則対象外)
- 訪問看護計画書に基づく訪問かどうか、算定しようとする区分(1・2の人数区分、または3の届出区分)を確認する
- 1,285点の区分(3)を算定したい場合は、施設基準の届出が済んでいるかを確認する
- 同一日・同月の算定人数(精神科訪問看護・指導料(III)との合算を含む)を集計し、区分と点数を確定する

よくある質問
みらい(新人医療事務)
施設基準が全くないと思っていました。届出が必要な区分があるって、初めて知りました。
あおい(元・医療事務)
多くの医療機関で使われる1・2の区分(人数区分による点数)は届出不要ですが、1,285点の区分(3)だけは施設基準の届出が必要という構造です。混同しないようにしましょう。
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定のときも、この加算はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
区分番号C005-1-2としての枠組み自体は令和6年度時点でも存在していたと考えられますが、点数や区分の詳細を令和6年度と逐一比較できる一次資料は、当サイトでは確認できていません。前回改定(令和6年度)からの変更点の有無は、断定を避けて「要確認」として扱っています。
みらい(新人医療事務)
訪問看護ステーションが行う場合も同じ点数ですか?
あおい(元・医療事務)
この区分(C005-1-2)は保険医療機関(診療所・病院)が行う訪問看護・指導の点数です。訪問看護ステーションによる訪問看護は、別の点数体系(訪問看護療養費)が適用されるため、区分が異なります。自院がどちらの枠組みで請求するのかも、あわせて確認しておくとよいでしょう。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者の状況や建物の種類、届出状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する 在宅患者訪問看護・指導料 の記事もあわせてご覧いただくと、C005との違いがより分かりやすくなると思います。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。