みらい(新人医療事務)
在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料っていう名前を初めて見たんですけど、これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
在宅で胃瘻から半固形状の栄養剤を使っている患者さんに対して、指導管理を行った場合に算定候補になる管理料です。区分番号はC105-3、令和8年度の点数表では2,500点です。似た名前の在宅成分栄養経管栄養法指導管理料(C105)や在宅小児経管栄養法指導管理料(C105-2)と混同しやすいので、まずはこの記事で対象や算定要件を一緒に確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
半固形って、普通の流動食とは違うんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、そこが対象を見分ける最初のポイントです。厚生労働省の留意事項通知には次のように定義されています。
留意事項通知(厚生労働省)C105-3の定義
在宅半固形栄養経管栄養法とは、諸種の原因によって経口摂取が著しく困難な患者であって栄養管理を目的として胃瘻を造設しているものについて、在宅での療養を行っている患者自らが実施する栄養法をいう。このうち在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料算定の対象となるのは、栄養維持のために、主として、使用薬剤の薬価(薬価基準)に収載されている高カロリー薬又は薬価基準に収載されていない流動食(市販されているものに限る)であって、投与時間の短縮が可能な形状にあらかじめ調整された半固形状のもの(以下「半固形栄養剤等」という。)を用いた場合のみであり、主として、単なる液体状の栄養剤等、半固形栄養剤等以外のものを用いた場合は該当しない。
みらい(新人医療事務)
つまり、普通の液体の栄養剤だけを使っている患者さんは対象外になるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。もう一点、薬価基準に収載されていない流動食(半固形状のもの)を使う場合は、「入院中の患者に対して退院時に当該指導管理を行っている必要がある」という条件も付いています。ここは施設基準ではなく、算定要件の一部として一次資料に明記されている点なので、対象患者を判断するときに見落とさないようにしたいですね。
対象となる患者・算定できる場面
みらい(新人医療事務)
対象患者について、もう少し具体的に教えてください。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知の(2)には、対象患者の要件がこう書かれています。
留意事項通知(厚生労働省)対象患者の要件
対象となる患者は、原因疾患の如何にかかわらず、在宅半固形栄養経管栄養法により、単なる液体状の栄養剤等を用いた場合に比べて投与時間の短縮が可能な者で、経口摂取の回復に向けて当該療法を行うことが必要であると医師が認めた者とする。
あおい(元・医療事務)
ポイントは「投与時間の短縮が可能かどうか」と「経口摂取の回復に向けて療法が必要と医師が判断しているか」の2点です。原因疾患そのものは限定されていません。
みらい(新人医療事務)
経口摂取の回復を目指す療法、というのが特徴的ですね。
あおい(元・医療事務)
はい。実際、留意事項通知の(3)にも次のような記載があります。
留意事項通知(厚生労働省)経口摂取回復に向けた指導管理
在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料を算定している患者については、経口摂取の回復に向けた指導管理(口腔衛生管理に係るものを含む。)を併せて行う。なお、経口摂取の回復に向けた指導管理は、胃瘻造設術を実施した保険医療機関から提供された情報(嚥下機能評価の結果、嚥下機能訓練等の必要性や実施すべき内容、嚥下機能の観点から適切と考えられる食事形態や量の情報等を含む嚥下調整食の内容等)も利用して行う。
あおい(元・医療事務)
つまり、栄養剤を使うことだけでなく、経口摂取の回復に向けた指導管理(口腔衛生管理を含む)を併せて行っていることが前提になっています。胃瘻造設を行った医療機関からの情報も活用する、という運用面の要件もあわせて確認が必要です。
点数と算定期間(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数と算定できる期間を整理したいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)区分C105-3には、次のように定められています。
告示(厚生労働省)区分C105-3原文
C105-3 在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料 2,500点 注 在宅半固形栄養経管栄養法を行っている入院中の患者以外の患者(別に厚生労働大臣が定める者に限る。)に対して、在宅半固形栄養経管栄養法に関する指導管理を行った場合に、最初に算定した日から起算して1年を限度として算定する。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 区分番号 | C105-3 |
| 名称 | 在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料 |
| 点数 | 2,500点 |
| 算定期間 | 最初に算定した日から起算して1年を限度 |
| 対象 | 診療所・病院(外来・在宅) |
| 入院中の患者 | 原則対象外(退院時の例外あり) |
| 届出 | 不要(施設基準の規定なし) |

みらい(新人医療事務)
「1年を限度」というのは、1年経ったらもう算定できなくなるということですか?
あおい(元・医療事務)
条文上は「最初に算定した日から起算して1年を限度として算定する」とされています。1年を超えて療法が継続する場合の取り扱いは、条文だけでは読み取れない部分もあるので、該当するケースがあれば審査支払機関や地方厚生局に確認するのが確実です。ここは断定せず、都度の確認が必要な項目として扱ってください。
算定頻度・併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
月に何回でも算定していいわけではないですよね?
あおい(元・医療事務)
そうですね。在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料は、C100番台の「第1款 在宅療養指導管理料」に含まれる管理料です。この款の通則には、次のような算定回数のルールがあります。
告示(厚生労働省)第1款 在宅療養指導管理料 通則1
本款各区分に掲げる在宅療養指導管理料は、特に規定する場合を除き、月1回に限り算定し、同一の患者に対して1月以内に指導管理を2回以上行った場合においては、第1回の指導管理を行ったときに算定する。
あおい(元・医療事務)
つまり月1回が原則です。さらに通則2では、同一患者に対して第1款の複数の指導管理を行っている場合は、主たる指導管理の所定点数のみで算定するとされています。
告示(厚生労働省)第1款 在宅療養指導管理料 通則2
同一の患者に対して、本款各区分に掲げる在宅療養指導管理料に規定する在宅療養指導管理のうち2以上の指導管理を行っている場合は、主たる指導管理の所定点数のみにより算定する。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、他の在宅療養指導管理料と一緒には基本的に算定できないんですね。
あおい(元・医療事務)
原則はそうですが、通則3には特定の組み合わせに限り両方の医療機関で算定できる例外規定があります。該当する組み合わせに当てはまるかは、最新の告示・留意事項通知で個別に確認してください。複数の在宅療養指導管理を併用しているケースは特に慎重な確認が必要です。
J120鼻腔栄養との併算定に注意
留意事項通知(4)には「在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、『J120』鼻腔栄養の費用は算定できない。」と明記されています。同じ患者に鼻腔栄養の費用を別途算定していないか確認しましょう。
退院時算定の例外
通則4には「入院中の患者に対して退院時に本款各区分に掲げる在宅療養指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合においては、各区分の規定にかかわらず、当該退院の日に所定点数を算定できる。」とあります。入院中患者は原則対象外ですが、退院時指導のケースはこの例外規定の対象になるかを確認してください。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
届出とか施設基準は必要なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料そのものに個別の施設基準は定められておらず、地方厚生局への届出も不要です。ただし、これは「届出なしで自動的に算定できる」という意味ではなく、対象患者の要件(半固形栄養剤等の使用、経口摂取回復に向けた指導管理の実施など)を満たしているかどうかを、患者ごとに確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
届出がいらないぶん、逆に対象患者の判断が大事になりそうですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。届出の有無だけで判断せず、対象患者の定義に当てはまるかを診療録や指導内容から確認する運用をおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している令和8年度の告示・留意事項通知の範囲では、在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料(C105-3)について、前回改定(令和6年度)からの変更を示す記述は確認されていません(確認日: 2026年7月)。点数・算定要件とも、令和8年度の一次資料に基づく内容を記載しています。
改定差分は一次資料で継続確認
今回の記事執筆時点で変更点は確認されていませんが、疑義解釈資料等で追加の取り扱いが示される可能性もあります。最新の一次資料は都度確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院で算定候補かどうか、どんな順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認するのがおすすめです。
自院で確認する順番
- 患者が胃瘻を造設しており、経口摂取が著しく困難な在宅療養中の患者かを確認する
- 使用している栄養剤が、薬価収載の高カロリー薬または薬価未収載の半固形状流動食(半固形栄養剤等)に該当するかを確認する
- 経口摂取の回復に向けた指導管理(口腔衛生管理を含む)を併せて行っているかを確認する
- 入院中の患者ではないか(退院時指導の例外に該当するかも含めて)を確認する
- 同一月に他の在宅療養指導管理料を算定していないか、J120鼻腔栄養を別途算定していないかを確認する

あおい(元・医療事務)
同じC105系列には、在宅成分栄養経管栄養法指導管理料や在宅小児経管栄養法指導管理料もあります。在宅療養指導管理料全体の考え方を確認したい場合は、在宅酸素療法指導管理料の記事もあわせて参考にしてみてください。第1款の通則(月1回の算定・併算定の考え方)は共通しているので、理解の助けになります。
よくある取り漏れ
単なる液体栄養剤との混同
半固形栄養剤等ではなく、単なる液体状の栄養剤等のみを使用している場合は、在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料の対象にはなりません。使用している薬剤・流動食の形状を確認しないまま算定していないか、一度見直してみましょう。
経口摂取回復に向けた指導管理の記録漏れ
栄養剤の投与だけでなく、経口摂取の回復に向けた指導管理(口腔衛生管理を含む)を併せて行い、その内容を診療録に記載しているかどうかも確認ポイントです。指導内容の記録が薄いと、算定要件を満たしているかの確認が難しくなります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある疑問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。順番に答えていきますね。
みらい(新人医療事務)
入院中の患者はまったく算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
原則は入院中の患者以外が対象ですが、通則4の退院時算定の例外に該当する場合は、退院の日に所定点数を算定できるとされています。該当するかどうかは条文の要件と実際のケースを照らし合わせて確認してください。
みらい(新人医療事務)
1年を超えて在宅半固形栄養経管栄養法を続ける患者さんはどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
条文では「最初に算定した日から起算して1年を限度として算定する」とされています。1年経過後の取り扱いについて条文だけで読み取れない場合は、審査支払機関等に個別に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)から名称や点数は変わっていませんか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和6年度からの変更点は確認されていません。ただし今後の疑義解釈等で追加の取り扱いが示される可能性はあるため、最新情報は都度確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者の状態や指導管理の内容を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。