みらい(新人医療事務)
先輩、在宅療養指導管理料の一覧を見ていたら「在宅肺高血圧症患者指導管理料」という区分があったんですけど、これって何をする加算なんですか? うちのクリニックでも対象になる患者さんがいそうな気がして。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表にあるC111区分ですね。肺高血圧症の患者さんが、在宅でプロスタグランジンI2製剤という薬を自己投与しながら療養しているときに、医師がその管理を行った場合の指導管理料です。まずは制度の中身から一緒に確認していきましょう。
在宅肺高血圧症患者指導管理料ってどんな加算?
みらい(新人医療事務)
プロスタグランジンI2製剤というのは、聞き慣れない名前です。
あおい(元・医療事務)
肺高血圧症の治療薬の一つで、携帯型精密輸液ポンプや携帯型精密ネブライザという機器を使って、患者さん自身が在宅で投与する薬剤です。厚生労働省の告示ではこう定義されています。
告示原文(令和8年厚生労働省告示第69号)
C111 在宅肺高血圧症患者指導管理料 1,500点 注 肺高血圧症の患者であって入院中の患者以外の患者に対して、プロスタグランジンI2製剤の投与等に関する医学管理等を行った場合に算定する。
みらい(新人医療事務)
「医学管理等」という言葉が漠然としています。具体的にはどんな指導をすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは留意事項通知でもう少し具体的に定義されています。
留意事項通知原文(保医発0305第6号)
「プロスタグランジンI2製剤の投与等に関する医学管理等」とは、在宅において、肺高血圧症患者自らが携帯型精密輸液ポンプ又は携帯型精密ネブライザを用いてプロスタグランジンI2製剤を投与する場合に、医師が患者又は患者の看護に当たる者に対して、当該療法の方法、注意点及び緊急時の措置等に関する指導を行い、当該患者の医学管理を行うことをいう。
あおい(元・医療事務)
つまり、単に薬を処方するだけでなく、「自己投与の方法」「注意点」「緊急時の対応」まで医師が患者さんや家族・看護にあたる人に指導し、それを医学管理として継続していることがポイントになります。
対象になる患者・場面は?
みらい(新人医療事務)
対象になる医療機関や患者さんはどう決まるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の条文どおりに読み解くと、対象は「肺高血圧症の患者であって入院中の患者以外の患者」です。つまり入院中は対象外で、在宅療養中の外来・訪問診療の患者さんが対象になります。
みらい(新人医療事務)
うちは診療所ですが、対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
この区分自体には「診療所に限る」「病院に限る」といった限定は条文上見当たりません。診療所でも病院でも、肺高血圧症患者が在宅でプロスタグランジンI2製剤を自己投与しており、医師が指導・医学管理を行っていれば算定候補になり得ます。ただし実際に該当患者さんがいるか、指導の実態が要件どおりかは、カルテの記録と照らして自院で確認する必要があります。
点数はいくら?
みらい(新人医療事務)
点数はどれくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
テーブルにまとめますね。
| 区分 | 名称 | 点数 | 算定単位 | 年度 |
|---|---|---|---|---|
| C111 | 在宅肺高血圧症患者指導管理料 | 1,500点 | 月1回 | 令和8年度 |

みらい(新人医療事務)
月1回というのはどこから読み取れるんですか?
あおい(元・医療事務)
在宅療養指導管理料の第1款には、区分ごとの点数とは別に「通則」という共通ルールがあります。そこに月1回の上限が定められています。次の見出しで詳しく見ていきましょう。
施設基準・届出は本当に不要?
みらい(新人医療事務)
他の在宅療養指導管理料だと届出が必要なものも多いですよね。この加算はどうなんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の条文を見る限り、C111の注書きには「厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において」といった、届出を前提とする文言は入っていません。当サイトが収集している一次資料の範囲では、施設基準・届出のいずれも要件として明記されていない区分と考えられます。
みらい(新人医療事務)
それなら、届出のことは気にしなくていいんですね。
あおい(元・医療事務)
そこは少し慎重に言わせてください。「条文上に届出の規定が見当たらない」ことと「自院で疑義なく算定できる」ことはイコールではありません。実際に算定する前には、地方厚生局への確認や院内のレセプト担当者との擦り合わせをおすすめします。届出が不要な区分であっても、算定要件(在宅・入院外・自己投与への指導・医学管理の継続)を満たしているかどうかの確認は必要です。
施設基準・届出の整理(令和8年度・当サイト確認範囲)
- 施設基準: 条文上、明記された施設基準は確認されていません
- 届出: 条文上、届出を前提とする文言は確認されていません
- 確認が必要な点: 対象患者が「入院中の患者以外」であること、医師による自己投与指導と医学管理の実施記録
算定のタイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
在宅療養指導管理料の第1款には、区分に共通する通則があります。まず月1回の上限についてです。
通則1(令和8年厚生労働省告示第69号 在宅療養指導管理料 第1款)
本款各区分に掲げる在宅療養指導管理料は、特に規定する場合を除き、月1回に限り算定し、同一の患者に対して1月以内に指導管理を2回以上行った場合においては、第1回の指導管理を行ったときに算定する。
あおい(元・医療事務)
もう一つ、複数の在宅療養指導管理を同時に行っている場合のルールもあります。
通則2(同上)
同一の患者に対して、本款各区分に掲げる在宅療養指導管理料に規定する在宅療養指導管理のうち2以上の指導管理を行っている場合は、主たる指導管理の所定点数のみにより算定する。
算定候補になるかは要確認(断定はできません)
在宅肺高血圧症患者指導管理料は「算定候補になります」と一律には言えません。同一患者に他の在宅療養指導管理料(例えば在宅酸素療法指導管理料など)を併せて行っている場合は、主たる指導管理の点数のみで算定する決まりがあるため、どちらが「主たる」指導管理にあたるかの判断を含めて自院で確認してください。
みらい(新人医療事務)
「主たる指導管理」というのがどちらになるか迷いそうです。
あおい(元・医療事務)
そこは患者さんの病態や、実際にどの指導管理が中心になっているかによって変わってきます。一律の基準ではなく、個々の診療内容に即した判断が必要な部分なので、迷う場合は審査支払機関への確認も検討してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところはありますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している令和8年度の医科点数表と留意事項通知の範囲では、在宅肺高血圧症患者指導管理料の点数(1,500点)や算定要件の記載について、変更を示す注記は確認されていません。個別改定項目の対比資料までは今回確認できていないため、あくまで今回参照した一次資料の範囲での確認となります。
みらい(新人医療事務)
「変わっていない」と決めつけていいわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。点数据え置きに見えても、施設基準や様式など別の部分だけが変わっている改定もあります。この区分について詳細な差分に疑問がある場合は、厚生労働省が公表する個別改定項目の資料もあわせて確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
情報が整理できてきました。実際にうちのクリニックで確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな順番で確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
- 対象患者の確認 — 肺高血圧症の患者で、入院中ではなく在宅療養中であるか
- 投与方法の確認 — 携帯型精密輸液ポンプ又は携帯型精密ネブライザを用いてプロスタグランジンI2製剤を自己投与しているか
- 指導内容の確認 — 医師が療法の方法・注意点・緊急時の措置等を患者又は看護にあたる者へ指導しているか
- 医学管理の継続確認 — 単発の指導で終わらず、医学管理として継続的に行われているか
- 併算定の確認 — 同一患者に他の在宅療養指導管理を行っていないか、行っている場合はどちらが主たる指導管理か
- 算定タイミングの確認 — 月1回の上限を超えていないか

みらい(新人医療事務)
こうやって順番に見ていくと、思ったより整理しやすいですね。
よくある取り漏れ・誤解
みらい(新人医療事務)
現場でよくある勘違いはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まとめておきますね。
よくある取り漏れ・誤解
- 入院中の患者に指導した分まで算定してしまう — 条文上「入院中の患者以外」が対象のため、入院中は対象外です
- 処方だけで指導記録が残っていない — 「指導を行った」ことが要件のため、指導内容(方法・注意点・緊急時対応)の記録がないと確認が難しくなります
- 他の在宅療養指導管理料と重複して両方満額算定してしまう — 通則により、主たる指導管理の点数のみで算定するルールがあります
携帯型精密輸液ポンプ加算などの併算定材料
携帯型精密輸液ポンプや携帯型精密ネブライザを使用する場合、材料に関する加算区分が別途定められています。該当する加算が自院で算定候補になるかどうかは、使用機器と届出状況をあわせて確認してください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問させてください。届出が不要とのことでしたが、レセプトの摘要欄に何か書く必要はありますか?
あおい(元・医療事務)
摘要欄の記載要否は個別のレセプト請求ルールに関わる部分なので、この記事だけで断定はできません。審査支払機関や自院のレセプトソフトの案内、地方厚生局への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
訪問診療と往診、どちらでも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
条文上は「入院中の患者以外」であることが要件で、訪問診療か往診かという受診形態そのものを限定する文言は見当たりません。ただし実際の算定可否は、患者さんの状態や診療の実態によって変わるため、自院での確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
在宅酸素療法指導管理料など、他の在宅療養指導管理料とはどう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
対象疾患と指導内容がそれぞれ異なります。在宅肺高血圧症患者指導管理料は「肺高血圧症患者のプロスタグランジンI2製剤の自己投与」に特化した指導管理料です。同じ患者に複数の在宅療養指導管理が該当しそうな場合は、通則により主たる指導管理の点数のみで算定することになるため、どちらが該当するか個別に確認してください。
あわせて確認したい関連加算
みらい(新人医療事務)
似たような在宅療養指導管理料も気になります。
あおい(元・医療事務)
呼吸器系の在宅療養管理という意味では、在宅酸素療法指導管理料 も関連が深い区分です。また、在宅療養に関する指導管理全般の考え方を確認したい場合は、退院前在宅療養指導管理料 もあわせて見ておくと理解が深まります。
参考にした公式資料
あおい(元・医療事務)
この記事は以下の厚生労働省の公式資料をもとに整理しています。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)区分C111・在宅療養指導管理料 第1款 通則 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)区分C111
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者・投与方法・指導内容を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。