この加算はどんな加算?
みらい(新人医療事務)
先生、区分C159-2の「呼吸同調式デマンドバルブ加算」って初めて見ました。これって何をする加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
在宅酸素療法(HOT)を行っている患者さんが、携帯用の酸素ボンベなどを使うときに「呼吸同調式デマンドバルブ」という器具を装着すると、酸素の消費を抑えながら外出しやすくなるんです。その器具を使った場合に算定できる加算ですよ。
みらい(新人医療事務)
「デマンドバルブ」って聞き慣れない言葉です。どういう仕組みなんですか?
あおい(元・医療事務)
息を吸うタイミングに合わせて酸素を出す弁のことです。厚生労働省の留意事項通知にも、装着の仕方がはっきり書かれています。
根拠となる一次資料
「呼吸同調式デマンドバルブ加算は、呼吸同調式デマンドバルブを携帯用酸素供給装置と鼻カニューレとの間に装着して使用した場合に算定できる。」(診療報酬点数表に関する事項、令和8年度)
みらい(新人医療事務)
なるほど、器具そのものの使用に対する加算なんですね。うちのクリニックでもHOTの患者さんがいるので、対象になるか気になります。
あおい(元・医療事務)
では対象になる医療機関や患者さんの範囲から一緒に見ていきましょう。
対象になる医療機関・患者
みらい(新人医療事務)
この加算、病院じゃないと算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、診療所でも病院でも、在宅療養の場面であれば算定候補になります。当サイトが収録している一次資料の整理では、対象は診療所・病院・在宅の場面で、入院中の患者さんは対象になっていません。
みらい(新人医療事務)
患者さんの条件はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
告示の注書きに、対象となる患者像がそのまま書かれています。
対象患者(告示の注書き)
「在宅酸素療法を行っている入院中の患者以外の患者(チアノーゼ型先天性心疾患の患者を除く。)に対して、呼吸同調式デマンドバルブを使用した場合に、第1款の所定点数に加算する。」(診療報酬の算定方法の一部を改正する件、令和8年厚生労働省告示第69号)
みらい(新人医療事務)
チアノーゼ型先天性心疾患の患者さんは除かれるんですね。うっかり見落としそうです。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。同じ在宅酸素療法の加算でも、区分によって対象患者の書き方が微妙に違うことがあるので、患者さんごとに告示の注書きを確認するくせをつけておくと安心ですよ。

点数はいくら?
みらい(新人医療事務)
肝心の点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表では291点です。表にまとめますね。
| 項目 | 内容 | 年度 |
|---|---|---|
| 区分番号 | C159-2 | 令和8年度 |
| 加算名 | 呼吸同調式デマンドバルブ加算 | 令和8年度 |
| 点数 | 291点 | 令和8年度 |
| 加算のかかり方 | 在宅療養指導管理料(第1款)の所定点数に加算 | 令和8年度 |
みらい(新人医療事務)
「第1款の所定点数に加算する」ってどういう意味ですか?
あおい(元・医療事務)
この加算だけを単独で算定することはできなくて、在宅酸素療法指導管理料のような在宅療養指導管理料(第1款)を算定している月に、上乗せする形で算定する加算という意味です。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、まず在宅酸素療法指導管理料を算定していることが前提になるんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。その前提を踏まえて、次は施設基準や届出の話に進みましょう。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
この加算、届出とか施設基準は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、今回確認できた告示・留意事項通知の範囲では、この加算に固有の施設基準や個別の届出を求める記載は見当たりませんでした。
みらい(新人医療事務)
「見当たらない」っていうのは、「不要」と言い切っていいんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは慎重にお答えしたいところです。資料に記載が無いことをもって「必ず不要」と言い切ることはできません。地方厚生局への届出状況や、算定要件の運用は保険医療機関ごとに事情が異なることもあるので、最終的には自院の届出台帳や地方厚生局の資料で確認することをおすすめします。
施設基準・届出は未確認区分として扱う
本加算に特有の施設基準・届出要件については、当サイトが参照した一次資料の範囲では確認できていません。届出の要否は自院の届出状況・地方厚生局の資料で必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
わかりました。次は算定できるタイミングや回数の制限を知りたいです。
算定のタイミング・回数制限
あおい(元・医療事務)
この加算は「第2款 在宅療養指導管理材料加算」というグループに属していて、そのグループ全体にかかる通則があります。
第2款 在宅療養指導管理材料加算 通則(告示)
「本款各区分に掲げる在宅療養指導管理材料加算は、第1款各区分に掲げる在宅療養指導管理料のいずれかの所定点数を算定する場合に、特に規定する場合を除き、3月に3回に限り算定する。」(診療報酬の算定方法の一部を改正する件、令和8年厚生労働省告示第69号)
みらい(新人医療事務)
「3月に3回に限り」ということは、毎月ずっと算定できるわけじではないんですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。基本的な考え方としては、在宅療養指導管理料を算定する月に合わせて算定するイメージですが、通則では上限が「3月に3回」と定められています。この上限を超えて算定することはできないので、算定回数の管理が必要です。
みらい(新人医療事務)
回数の管理まで気をつけないといけないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。回数や算定月の扱いは、この加算だけでなく在宅酸素療法まわりの加算に共通するルールなので、レセプト担当者と一緒に確認しておくと安心です。
回数制限の確認ポイント
「特に規定する場合を除き、3月に3回に限り算定する」という通則が適用されます。この上限を超える算定はできないため、算定回数を必ず管理してください。個々のケースの当てはめは自院で最終確認してください。
併算定はできる?
みらい(新人医療事務)
酸素ボンベ加算とか、他の在宅酸素療法の加算と一緒に算定することってできるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは疑義解釈で明確に答えが出ています。
疑義解釈(併算定について)
質問「在宅酸素療法材料加算については、酸素ボンベ加算、酸素濃縮装置加算、液化酸素装置加算、呼吸同調式デマンドバルブ加算又は人工呼吸器加算と併せて算定することは出来るのか。」 回答「算定可能である。」(疑義解釈資料の送付について(その1)医科 問113)
みらい(新人医療事務)
在宅酸素療法材料加算とは一緒に算定できるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、疑義解釈のとおり在宅酸素療法材料加算との併算定は候補になります。ただし、同じ「携帯用酸素供給装置」の使い方に関わる加算同士(たとえば酸素ボンベ加算と携帯型液化酸素装置の併用など)には、別の通則で「合わせて3月に3回に限り算定する」といった上限がかかる組み合わせもあります。組み合わせごとに条件が変わるので、レセプトを組む前に個別に確認したほうが安全です。
みらい(新人医療事務)
一律に「併算定の対象になります」とは言えないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。「候補になる組み合わせ」と「条件を確認すべき組み合わせ」があると考えてください。

令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)と比較できる一次資料は、今回の調査範囲では見つかりませんでした。今回参照した令和8年度の告示・留意事項通知の中には、呼吸同調式デマンドバルブ加算について新設・廃止・点数変更を示す特記は見当たりません。
改定差分の確認範囲
前回改定(令和6年度)からの変更点は、当サイトが参照した令和8年度点数表・留意事項通知の範囲では確認されていません。疑義解釈・訂正通知が別途出ている可能性もあるため、最新の公式情報もあわせてご確認ください。
みらい(新人医療事務)
変更が無いなら安心、というより「今のところ確認できていない」という理解の方が正確なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。決めつけずに、いつでも一次資料に立ち返れるようにしておくのが大事ですね。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの場合はどう確認していけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
順番に並べると、こんな流れになります。
自院で確認する順番
- 対象患者の確認: 在宅酸素療法を行っている入院中以外の患者で、チアノーゼ型先天性心疾患ではないかを確認する
- 器具の使用確認: 呼吸同調式デマンドバルブを携帯用酸素供給装置と鼻カニューレの間に実際に装着して使用しているかを確認する
- 前提となる指導管理料の確認: 在宅酸素療法指導管理料など第1款の在宅療養指導管理料を算定している月かどうかを確認する
- 回数の確認: 特に規定する場合を除き3月に3回までという通則に照らして、算定回数が上限を超えていないかを確認する
- 併算定の確認: 在宅酸素療法材料加算など他の加算と組み合わせる場合、条件を個別に確認する
- 施設基準・届出の最終確認: 自院の届出台帳や地方厚生局の資料で、届出の要否を最終確認する
みらい(新人医療事務)
これなら順番に潰していけそうです。
よくある取り漏れ・注意点
あおい(元・医療事務)
現場でありがちな見落としも共有しておきますね。
取り漏れやすいポイント
デマンドバルブを使っているのに、器具の使用が診療録やケア記録にきちんと残っておらず、算定の根拠を後から示しにくくなっているケースがあります。使用開始日や器具名を記録に残しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
記録に残す、って地味だけど大事なことですね。
あおい(元・医療事務)
算定回数の管理や施設基準の確認が必要になったときに、記録が残っていないと後から確認するのが大変になります。日々の記録が結局は一番の備えになりますよ。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか気になっていることを聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。どうぞ。
みらい(新人医療事務)
入院中の患者さんには算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、告示の注書きに「在宅酸素療法を行っている入院中の患者以外の患者」と明記されているので、入院中の患者さんは対象になりません。
みらい(新人医療事務)
チアノーゼ型先天性心疾患の患者さんはなぜ除外されているんですか?
あおい(元・医療事務)
そこまでの理由は今回参照した資料には書かれていませんでした。告示上そう定められているという事実だけをお伝えしておきますね。理由まで知りたい場合は、審査支払機関や地方厚生局に確認するのが確実です。
みらい(新人医療事務)
3月に3回という制限を超えて使いたい場合はどうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
通則には「特に規定する場合を除き」という留保がついています。個別のケースが例外に当てはまるかどうかは、自院だけで判断せず、レセプト担当者や審査支払機関に確認しながら進めるのが安全です。
公式資料の根拠
あおい(元・医療事務)
今回参照した一次資料をまとめておきます。
参照した一次資料
みらい(新人医療事務)
関連する加算も見てみたいです。
あおい(元・医療事務)
同じ在宅酸素療法まわりだと、酸素ボンベ加算や在宅酸素療法指導管理料も合わせて確認しておくと理解が深まりますよ。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。