みらい(新人医療事務)
先輩、在宅で麻薬の注射をしている患者さんのカルテに「注入ポンプ加算」って書いてあったんですけど、これって何の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。注入ポンプ加算は、区分番号C161、令和8年度(2026年度)の点数表で1,250点の加算です。在宅で注入ポンプを使って治療をしている患者さんに対して、その注入ポンプの管理・使用に対する評価として、対象となる在宅療養の指導管理料に上乗せする形の加算になっています。
みらい(新人医療事務)
「注入ポンプ」って、具体的にどんな機器を使う場合なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知では、注入ポンプは在宅で次のいずれかを行うために用いるもの、と定義されています。中心静脈栄養法・成分栄養経管栄養法・小児経管栄養法、麻薬等の注射、抗悪性腫瘍剤の注射、強心剤の持続投与、注射薬の精密自己注射、の5つです。単に注入ポンプを持っているだけでなく、実際にこれらの療法・注射のために使用していることが前提になります。
対象になる患者・医療機関
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんの条件を、もう少し具体的に教えてください。
あおい(元・医療事務)
告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の「注」では、入院中の患者以外の患者であって、次のいずれかに該当する場合に算定候補になるとされています。
対象患者の類型(告示ベース)
- 在宅療養を行っている患者: 在宅中心静脈栄養法、在宅成分栄養経管栄養法、または在宅小児経管栄養法を行っている患者
- 末期・重度の麻薬等注射: 悪性腫瘍の患者で在宅において麻薬等の注射を行っている末期の患者、または筋萎縮性側索硬化症(ALS)・筋ジストロフィーの患者で在宅において麻薬等の注射を行っている患者
- 緩和ケアが必要な患者: 上記に該当しない場合であって、緩和ケアを要する心不全、呼吸器疾患、腎不全の患者に対して在宅において麻薬の注射を行っている末期の患者
- 抗悪性腫瘍剤の注射: 悪性腫瘍の患者であって、在宅において抗悪性腫瘍剤等の注射を行っている患者
- 強心剤の持続投与: 在宅強心剤持続投与を行っている患者
みらい(新人医療事務)
けっこう細かく分かれているんですね。うちのクリニックは在宅患者さんも診ているんですが、対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
対象医療機関は診療所・病院ともに算定候補になります。当サイトが収録している一次資料の範囲では、対象は在宅(外来・入院ではなく在宅療養を行っている場面)となっていて、入院中の患者は対象外です。ただし実際に上記のいずれかの療法・注射を行っているかどうかは、患者さんごとの診療内容の確認が必要です。
点数
みらい(新人医療事務)
点数を整理してもらえますか? 似たような加算がいくつかあって混乱しています。
あおい(元・医療事務)
よく混同されやすい在宅療養指導管理材料加算をまとめますね。いずれも令和8年度の点数です。
| 加算名 | 区分番号 | 点数 | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| 注入ポンプ加算 | C161 | 1,250点 | 中心静脈栄養法・経管栄養法・麻薬等注射・抗悪性腫瘍剤注射・強心剤持続投与などで注入ポンプを使用 |
| 携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算 | C166 | 2,500点 | 末期悪性腫瘍の麻薬等注射、悪性腫瘍の抗悪性腫瘍剤等注射で携帯型の使い切りポンプを使用 |
| 在宅経管栄養法用栄養管セット加算 | C162 | (別区分) | 経管栄養法のセット。注入ポンプ加算と併せて算定できる関係 |

みらい(新人医療事務)
携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算のほうが点数が高いんですね。使い分けはどう考えればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算(C166)は、使い切りタイプの携帯型ポンプを使う場合の加算で、対象は悪性腫瘍の末期患者の麻薬等注射、悪性腫瘍患者の抗悪性腫瘍剤等注射に限られます。それに対して注入ポンプ加算(C161)は、繰り返し使う注入ポンプ全般が対象で、中心静脈栄養法や強心剤持続投与など対象範囲がより広いのが特徴です。どちらのポンプを実際に処方・使用しているかで区別することになります。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要ですか? 準備が大変だとちょっと不安で…
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料の範囲では、注入ポンプ加算単独での施設基準の届出要件の記載は確認されていません(告示本文に届出を求める記載は見当たりません)。届出を求める記載が無いことを確認したうえで、算定要件を満たす診療行為の実施状況を確認していくタイプの加算という位置づけです。
届出の記載が見当たらない場合も確認は必要
一次資料の範囲で届出を求める記載が見当たらない場合であっても、「対象患者に本当に該当するか」「注入ポンプを実際に使用しているか」の医学的・記録上の確認は必要です。届出の要否や運用の詳細は、必ず地方厚生局・審査支払機関への確認、または自院の顧問社労士・保険請求担当者との確認をおすすめします。
算定のタイミング・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングや、他の加算との組み合わせで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
算定は、注入ポンプを使用した月ごとに、対象となる在宅療養の指導管理料(第1款の所定点数)に加算する形です。併算定については、厚生労働省の留意事項通知に明記されている関係が一つあります。
併算定の確認ポイント
- C162 在宅経管栄養法用栄養管セット加算とは併せて算定できる(厚生労働省の留意事項通知に明記)
- 対象となる在宅療養指導管理料(例: 在宅中心静脈栄養法指導管理料、在宅成分栄養経管栄養法指導管理料、在宅小児経管栄養法指導管理料、在宅麻薬等注射指導管理料、在宅強心剤持続投与指導管理料など)を算定していることが前提
- 同じ月に複数の在宅療養指導管理を行っている場合の重複算定の可否は、告示・通知の全体像で個別に確認が必要
みらい(新人医療事務)
土台になる在宅療養の管理料についても、もう少し知りたいです。
あおい(元・医療事務)
在宅中心静脈栄養法・在宅成分栄養経管栄養法・在宅小児経管栄養法にあたる管理料は、それぞれ在宅中心静脈栄養法指導管理料、在宅成分栄養経管栄養法指導管理料、在宅小児経管栄養法指導管理料の記事でも解説しています。麻薬等注射の管理料は在宅麻薬等注射指導管理料、強心剤持続投与の管理料は在宅強心剤持続投与指導管理料をあわせてご確認ください。似た名前の注入器加算(C151)は自己注射の注射器・注入器に関する別の加算なので、混同しないよう注意してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わった点はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
今回確認できた一次資料(令和8年厚生労働省告示第69号、および実施上の留意事項についての通知)の範囲では、注入ポンプ加算(C161)の点数区分・算定要件・対象患者の記載に、前回改定からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。当サイトのデータベースには前回改定(令和6年度)時点の該当箇所の一次資料が収録されていないため、比較できる範囲がこの点に限られる点はご了承ください。
改定差分の確認範囲について
「変更が確認されていない」というのは、あくまで当サイトが参照できた一次資料の範囲での話です。ご自身の医療機関に関わる算定要件の変更有無は、最新の告示・通知・疑義解釈を直接ご確認いただくか、審査支払機関にお問い合わせください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちの場合、どういう順番でチェックしていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
シンプルに、次の順番で確認するとわかりやすいですよ。

自院で確認する順番
- 対象となる在宅療養の指導管理(中心静脈栄養法・経管栄養法・麻薬等注射・抗悪性腫瘍剤注射・強心剤持続投与など)を、実際に算定・実施しているか確認する
- 患者さんが告示に定める対象類型(末期悪性腫瘍、ALS・筋ジストロフィー、緩和ケア対象の心不全等、抗悪性腫瘍剤注射、強心剤持続投与など)のいずれかに該当するか確認する
- 実際に注入ポンプ(携帯型ディスポーザブルではない、繰り返し使用するタイプ)を処方・使用しているかカルテで確認する
- 併算定するC162在宅経管栄養法用栄養管セット加算など、関連加算の算定漏れがないか確認する
- 上記が整理できたら算定候補として、レセプト担当者・院内の確認フローに回す
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな見落としってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかパターンがあります。
よくある取り漏れ
- 携帯型ディスポーザブル注入ポンプ(C166対象)を使っているのに、繰り返し使用タイプ向けの注入ポンプ加算(C161)と混同して算定してしまう
- 経管栄養のセット加算(C162)が別途算定できることに気づかず、注入ポンプ加算だけで止まってしまう
- 緩和ケア対象の心不全・呼吸器疾患・腎不全患者について、「末期の悪性腫瘍」の枠だけで判断し、対象になりうる患者を見落とす
- 注入ポンプを処方していても、対象となる在宅療養指導管理料そのものを算定していないケースがあり、土台の管理料の算定状況を見落とす
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが疑問に思いそうなことを聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。一つずつ答えますね。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出が不要なら、対象患者であれば誰でも算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した一次資料の範囲では届出を求める記載は見当たりませんが、それは制度上の話であって、算定候補になるかどうかは、対象患者への該当性と注入ポンプの実際の使用状況で決まります。届出を求める記載が無いからといって診療内容の確認を省略してよいわけではなく、患者さんごとの確認は必要です。
みらい(新人医療事務)
携帯型ではない普通の注入ポンプなら、全部この加算の対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
対象になるのは、告示に列挙された5つの用途(中心静脈栄養法等・麻薬等注射・抗悪性腫瘍剤注射・強心剤持続投与・精密自己注射)で使う注入ポンプに限られます。それ以外の用途で使っている場合は対象外の可能性があるため、用途の確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
令和8年度になってから新しくできた加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した一次資料の範囲では、令和8年度改定での新設・変更は確認されていません。長く点数表に存在してきた加算という位置づけです。ただし正確な沿革を確認したい場合は、厚生労働省の過去の告示もあわせてご確認ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。