慢性維持透析患者外来医学管理料って何のための管理料?
みらい(新人医療事務)
「慢性維持透析患者外来医学管理料」って名前が長くて、どんな管理料なのか正直よくわかっていないんです。
あおい(元・医療事務)
名前が長いですよね。ひと言で言うと、「定期的に透析を受けている外来患者さんについて、検査結果をもとに計画的に医学管理を行った場合に算定を検討できる管理料」です。区分番号はB001の15で、令和8年度(2026年度)の診療報酬では2,211点(月1回)です。
みらい(新人医療事務)
2,211点というのはかなり高い点数ですよね。包括範囲が広いということですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。この管理料は検査の多くを包括しています。慢性維持透析の患者さんは毎月多数の検査を行うことが多いですが、その分を一括して評価している形になっています。ただ「高い点数だから算定して得」という話ではなく、包括範囲の把握が重要です。包括されている検査は別途算定できません。
みらい(新人医療事務)
透析患者さんを担当している医療機関なら、どこでも算定できるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
届出や施設基準は本管理料(本体の2,211点)については原則として不要です。診療所でも病院でも、外来で透析を行いながら要件を満たせば算定候補になります。ただし「腎代替療法実績加算(+100点)」については施設基準と届出が必要になります。これは別の話として後で整理しますね。
みらい(新人医療事務)
届出なしで算定できる管理料って、意外と珍しいですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただ「届出なし=誰でも算定OK」ではなく、算定要件(対象患者・検査の実施・記録)をきちんと満たすことが前提です。医療機関ごとの状況を確認してから算定を検討することが大切ですよ。
令和8年度(2026年度)の点数と算定概要
みらい(新人医療事務)
点数の詳細をまとめて教えてください。
あおい(元・医療事務)
告示(令和8年厚生労働省告示第69号)に基づく点数・算定単位は次のとおりです。
| 区分 | 点数 | 算定単位 | 届出 |
|---|---|---|---|
| 慢性維持透析患者外来医学管理料(B001-15) | 2,211点 | 月1回 | 不要 |
| 腎代替療法実績加算(B001-15 注3) | +100点 | 月1回 | 必要(施設基準あり) |

みらい(新人医療事務)
腎代替療法実績加算が別にあるんですね。これはどんな施設が届出できるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示では「腎代替療法に関して別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」に加算されると規定されています。施設基準の具体的な充足確認は自院の体制と公式の施設基準通知を照らして行ってください。
腎代替療法実績加算は届出が必要
本体の慢性維持透析患者外来医学管理料(2,211点)には届出・施設基準は不要ですが、腎代替療法実績加算(+100点)を算定するには地方厚生局長等への届出と施設基準への適合が必要です。届出状況は自院で確認してください。
対象患者と対象医療機関
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんが対象ですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)には「安定した状態にある慢性維持透析患者について、特定の検査結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に、月1回に限り算定する」と記載されています。
みらい(新人医療事務)
「安定した状態にある」というのはどう判断するんでしょう?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知にはこう書かれています。「安定した状態にある慢性維持透析患者とは、透析導入後3か月以上が経過し、定期的に透析を必要とする入院中の患者以外の患者をいう」と定義されています。つまり透析導入後3か月以上経過した外来患者が基本的な対象です。
みらい(新人医療事務)
導入直後の患者さんは対象外なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。透析導入後3か月目が月の途中である場合は、当該月の翌月から算定することになります。なお入院中の患者についても、特定の病棟(結核病棟・精神病棟など)に入院している場合で他医療機関への受診時に透析を行うケースは例外として算定候補になる場合があります。詳細は留意事項通知で確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
医療機関の種類に制限はありますか?
あおい(元・医療事務)
告示上、医療機関の種類(病院・診療所)の制限は特に設けられていません。外来で透析を実施している医療機関であれば算定候補になりえます。ただし実際の算定にあたっては自院の診療体制と算定要件を照らして確認してください。
同月に入院と外来が混在する場合は算定不可
同一の保険医療機関において同一月内に入院と入院外が混在する場合は、本管理料は算定できません。また人工腎臓と自己腹膜灌流療法を併施している場合も同様です。
包括される検査と算定のポイント
みらい(新人医療事務)
包括される検査ってどんなものがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
これが非常に多いんです。告示(注2)によると、次のカテゴリの検査が本管理料に含まれ、別途算定できません。
| カテゴリ | 主な包括検査 |
|---|---|
| 尿検査 | 尿中一般物質定性半定量・尿沈渣(鏡検法)・糞便検査 等 |
| 血液形態・機能 | 末梢血液一般検査・網赤血球数・ヘモグロビンA1c 等 |
| 血液化学 | 総蛋白・アルブミン・尿素窒素・クレアチニン・電解質・コレステロール 等 |
| 内分泌 | PTH・甲状腺ホルモン・BNP・ANP 等 |
| 免疫 | CRP・β2-マイクログロブリン 等 |
| 画像 | 単純撮影(胸部) |
| その他 | 出血時間・心電図 等 |
みらい(新人医療事務)
すごい数ですね…。これが全部包括されるなら、別で検査料を請求しないように気をつけないといけないですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。留意事項通知には「これらの検査料及びD026尿・糞便等検査判断料、血液学的検査判断料、生化学的検査(Ⅰ)判断料、生化学的検査(Ⅱ)判断料、免疫学的検査判断料は本管理料に含まれ、別に算定できない」と明記されています。包括外の検査を算定した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に必要性を記載することが求められます。
みらい(新人医療事務)
では在宅血液透析の指導管理料はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
「C102-2」在宅血液透析指導管理料は、本管理料と別に算定できると留意事項通知に記されています。このようにすべてが包括されるわけではなく、別途算定できるものもあるので整理が必要です。
一部条件付きで別算定できる検査
以下の場合は、慢性維持透析患者外来医学管理料に加えて別に算定できる場合があります(留意事項通知(10)ア〜カ)。
- 出血性合併症を伴った患者が手術で入院後に退院した場合: 退院月の翌月における末梢血液一般検査(2回目以後)
- 副甲状腺機能亢進症に対するパルス療法時のカルシウム・無機リン・PTH検査(2回目以後)
- 副甲状腺切除後のカルシウム・無機リン・PTH検査(退院月の翌月から5か月間・2回目以後)
- シナカルセト等の薬剤初回投与3か月以内のカルシウム・PTH検査(2回目以後)
- 透析アミロイド症に対するβ2-マイクログロブリン検査(2回目以後)
- 高アルミニウム血症合併患者へのデフェロキサミン投与中のアルミニウム検査
生活習慣病管理料との関係(併算定の考え方)
みらい(新人医療事務)
透析患者さんが糖尿病や高血圧でもある場合、「生活習慣病管理料」との関係ってどうなるんですか?これが一番気になっていたんです。
あおい(元・医療事務)
大事な点ですね。告示を確認すると、生活習慣病管理料(Ⅰ)の注2は「第2章第1部医学管理等(中略)の費用は、生活習慣病管理料(Ⅰ)に含まれるものとする」と規定しています。この「第2章第1部」のなかに慢性維持透析患者外来医学管理料(B001の15)も含まれます。
みらい(新人医療事務)
つまり、生活習慣病管理料(Ⅰ)を算定したら、慢性維持透析患者外来医学管理料は別に算定できないということですか?
あおい(元・医療事務)
告示の文言から読むと、生活習慣病管理料(Ⅰ)の注2の除外対象を確認する必要があります。告示(B001-3)の注2に記されている「除く」対象には、B001の15(慢性維持透析患者外来医学管理料)の明示はありません。一方、生活習慣病管理料(Ⅱ)についても、B001の15を除くとは規定されていません。
みらい(新人医療事務)
ということは、両方算定できるケースがあるということですか?
あおい(元・医療事務)
ここが非常に重要なポイントです。告示・留意事項通知の文言から断定的に「算定できる・できない」と判断するのは難しく、自院の状況や実際のレセプト審査の動向を踏まえて確認が必要な領域です。透析患者さんが生活習慣病(糖尿病・高血圧・脂質異常症)を主病として持っている場合の算定関係は、必ず審査支払機関や地方厚生局へ事前に確認することを強くおすすめします。
みらい(新人医療事務)
自分で判断しないで聞いた方がいいということですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。特にSEOの検索でよく探されている「生活習慣病管理料 慢性維持透析患者外来医学管理料 併算定」という論点は、臨床現場でも整理を要する部分です。両者の包括範囲が複雑に絡み合っているため、実際の算定可否は事前照会が重要です。
併算定は事前照会を強く推奨
生活習慣病管理料と慢性維持透析患者外来医学管理料を同一月に算定するケースについては、告示・留意事項通知の文言だけでなく、審査支払機関・地方厚生局への事前確認を行うことを強くおすすめします。断定的な判断はできません。
記録・実施の要件
みらい(新人医療事務)
記録の観点では、どんなことが必要ですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知は「診療録に特定の検査結果及び計画的な治療管理の要点を添付又は記載すること」を求めています。「計画的な治療管理」を行ったことが診療録から確認できることが算定要件の柱です。
みらい(新人医療事務)
算定するたびに毎回記録しないといけないということですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。月1回算定するごとに、その月の検査結果と管理の要点が診療録に残っていることが求められます。検査を実施したことの記録だけでなく、その結果に基づいてどのような治療管理を行ったかの記録が重要です。

令和8年度(2026年度)改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で何か変わった点はありましたか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の一次資料(令和8年度告示・留意事項通知・令和8年3月5日付)を確認した範囲では、慢性維持透析患者外来医学管理料(B001の15)本体の点数(2,211点)や算定要件・包括検査範囲について、前回改定(令和6年度)から主な変更は確認されていません(2026-06-24・厚生労働省一次情報ベース)。
みらい(新人医療事務)
安定して続いている管理料なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。ただ「変更なし」と言えるのは、今回確認した一次情報の範囲においての話です。施設基準・届出様式の細部や疑義解釈の蓄積もありますので、定期的に厚生労働省の通知をご確認ください。なお腎代替療法実績加算(+100点・注3)についても、令和8年度時点で告示に引き続き存在していることを確認しています。
令和8年度の状況(一次資料確認範囲)
- 本体点数(2,211点): 変更なし
- 算定回数(月1回): 変更なし
- 包括検査の範囲: 変更なし
- 腎代替療法実績加算(+100点): 引き続き存在
- 確認資料: 令和8年厚生労働省告示第69号 / 保医発0305第6号(2026年3月5日)
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの医療機関で算定できるか確認したいとき、どんな順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
ステップごとに整理してみましょう。
自院で確認する順番
- 透析外来の実施確認: 外来で定期的に透析を実施しているか確認する
- 対象患者の確認: 透析導入後3か月以上経過した外来患者がいるか確認する
- 入院・外来混在の確認: 同一月内に入院と入院外が混在していないかチェックする
- 検査の実施・記録: 特定の検査(包括範囲内)を実施し、検査結果を診療録に記録しているか確認する
- 計画的管理の記録: 治療管理の要点が診療録に記録されているか確認する
- 包括範囲の整理: 別途算定してしまっていない検査がないかレセプト上で確認する
- 腎代替療法実績加算の確認: 加算を取りたい場合は施設基準・届出の有無を確認する
みらい(新人医療事務)
記録と包括範囲の整理が特に重要そうですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。この管理料は点数が高い分、包括範囲が広く、「包括なのに別途算定してしまった」ケースが取り漏れ・誤算定の原因になりやすいです。レセプト上の確認を丁寧に行うことが大切ですよ。
よくある取り漏れポイント
見落としやすい算定上の注意点
1. 包括検査の二重算定 本管理料に包括された検査料・判断料を別途算定しないよう注意が必要です。特に血液化学検査・内分泌学的検査は多項目が包括されています。
2. 透析導入後3か月未満の患者への算定 「安定した状態」の定義は透析導入後3か月以上。導入直後の患者は算定候補外です。
3. 同月入院・外来混在時の算定 同一医療機関で同月に入院と外来が混在する場合は算定不可。確認が必要です。
4. 腎代替療法実績加算の届出確認漏れ 加算を算定したい場合は届出と施設基準の充足が必要です。未届出のまま加算している場合は問題になります。
5. 診療録の記録不足 検査結果と「計画的な治療管理の要点」の両方を診療録に記録することが求められています。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、現場でよく出る疑問をまとめてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈や留意事項通知ベースで整理すると、こんな質問がよく出ます。
みらい(新人医療事務)
「複数の医療機関で透析をしている患者さんはどうなりますか?」
あおい(元・医療事務)
同一月内に2以上の保険医療機関で透析を定期的に行っている場合は、主たる保険医療機関において本管理料を請求し、その配分は医療機関間の合議に委ねるとされています(留意事項通知(7))。
みらい(新人医療事務)
「特別の関係にある医療機関は『同一の保険医療機関』として扱われますか?」
あおい(元・医療事務)
疑義解釈(平成20年度・その1 問82)で「特別の関係にある保険医療機関は、同一の保険医療機関として扱う」と回答されています。入院・外来の混在規定(留意事項(8))はこの関係にある医療機関にも適用されることになります。
みらい(新人医療事務)
「精神病棟に入院中の患者さんが他の医療機関に透析に行く場合はどうなりますか?」
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(1)に列挙された特定の病棟(精神病棟入院基本料・有床診療所入院基本料等)を算定する場合における「入院中の患者の他医療機関への受診時の透析」は算定可能な場合があると規定されています。また疑義解釈(令和4年度・その23 問4)では、これらの病棟に入院中の患者が他の医療機関へ受診して透析と管理を行う場合は算定可能と回答されています。
みらい(新人医療事務)
細かい例外がたくさんあるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。だからこそ疑問が生じたときは、留意事項通知と疑義解釈を原文で確認するか、審査支払機関・地方厚生局に問い合わせることが大切です。この記事はあくまで算定を検討する入口として、確認ポイントを整理したものですよ。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、もう少し詳しく確認する方法はありますか?
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。透析患者の状況や診療体制を入力しながら、確認すべきポイントを整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。