認知症専門医療機関紹介加算とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「認知症専門医療機関紹介加算」という名前の加算があるんですけど、他にも似たような名前の加算がありますよね…?
あおい(元・医療事務)
そうですね。令和8年度(2026年度)の診療報酬では、区分番号B009「診療情報提供料(Ⅰ)」の注10に規定されている加算です。基本点数250点に上乗せする形で、100点を加算します。対象は「認知症の疑いのある患者について、専門医療機関での鑑別診断等の必要を認め、当該専門医療機関に診療状況を示す文書を添えて紹介した場合」です。
みらい(新人医療事務)
「疑いのある患者」というのがポイントなんですね。もう認知症と診断されている患者さんとは違うんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、そこがこの加算で一番混同しやすいところです。診療情報提供料(Ⅰ)の注11には「認知症専門医療機関連携加算(50点)」という別の加算があり、こちらは「既に専門医療機関で認知症と診断された患者」が症状増悪した場合に再紹介する加算です。注10の認知症専門医療機関紹介加算(100点)は、それとは対象が異なり、「まだ診断がついていない、疑いの段階の患者」を鑑別診断のために紹介する場面に限られます。名前も点数も似ているため、この記事では両者の違いを条文の言葉のまま整理しながら確認していきます。
みらい(新人医療事務)
うっかり取り違えてしまいそうです…。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。算定候補かどうかを判断する際は、必ず「対象患者が疑いの段階か、すでに診断済みか」を条文で確認する必要があります。まずは点数と算定要件から具体的に見ていきましょう。
点数と算定要件を確認する(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数の全体像を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示(診療報酬の算定方法の一部を改正する件)に基づく点数構成はこちらです。
| 区分 | 点数 | 主な算定条件(要旨) |
|---|---|---|
| 診療情報提供料(Ⅰ)基本点数(B009) | 250点 | 別の保険医療機関等への紹介状(診療状況を示す文書)の作成・提供 |
| 認知症専門医療機関紹介加算(注10・本記事の対象) | +100点 | 認知症の疑いのある患者を、鑑別診断等のため専門医療機関へ紹介した場合 |
| 認知症専門医療機関連携加算(注11・比較参考) | +50点 | 既に認知症と診断された入院中以外の患者が症状増悪し、専門医療機関へ再紹介した場合(本記事の対象外) |

みらい(新人医療事務)
告示には具体的にどう書かれているんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注10には、次のように規定されています。「保険医療機関が、認知症の疑いのある患者について専門医療機関での鑑別診断等の必要を認め、当該患者又はその家族等の同意を得て、当該専門医療機関に対して、診療状況を示す文書を添えて、患者の紹介を行った場合は、認知症専門医療機関紹介加算として、100点を所定点数に加算する」。
みらい(新人医療事務)
「鑑別診断等の必要を認め」というのが出発点なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。自院の医師が「認知症の疑いがあり、専門医療機関での鑑別診断等が必要」と判断したことが前提になります。そのうえで、患者本人またはその家族等の同意を得て、診療状況を示す文書を添えて紹介することが要件です。同意取得と文書添付のどちらが欠けても、算定候補とは言いにくくなります。
「専門医療機関」の定義に注意 — どこへの紹介が対象か
みらい(新人医療事務)
「専門医療機関」って、認知症を診ているところならどこでもいいんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこも確認すべきポイントです。告示の留意事項には、注10の専門医療機関についてこう整理されています。「『注10』に掲げる『専門医療機関』とは、鑑別診断、専門医療相談、合併症対応、医療情報提供等を行うとともに、かかりつけの医師や介護サービス等との調整を行う保険医療機関であること」。
みらい(新人医療事務)
具体的な施設名や診療科の指定はないんですね。
あおい(元・医療事務)
条文の書きぶりとしては、機能面(鑑別診断・専門医療相談・合併症対応・医療情報提供・かかりつけ医や介護サービスとの調整)で定義されており、特定の診療科名や施設類型の列挙はありません。一方で、比較のために注11の専門医療機関の定義も見てみましょう。留意事項では「『注11』に規定する認知症専門医療機関連携加算は、『B005-7』に掲げる認知症専門診断管理料2を算定する専門医療機関において既に認知症と診断された患者が…」と、紹介先が認知症専門診断管理料2を算定する医療機関であることが前提とされています。
みらい(新人医療事務)
注10と注11で、専門医療機関の定義の書かれ方が違うということですか?
あおい(元・医療事務)
はい。注10の専門医療機関は「鑑別診断等を行う機能」で定義されており、注11のように特定の管理料(認知症専門診断管理料2)を算定していることまでは、当サイトが確認できた条文の範囲では明記されていません。ただし、紹介先が実際にどの機能・要件を満たしているかは個別に異なりますので、紹介の都度、紹介先の体制を確認することをおすすめします。
施設基準・届出の考え方
みらい(新人医療事務)
この加算自体に、施設基準の届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した告示・留意事項の条文には、注10について「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た」という届出を求める文言は含まれていません。紹介を行う保険医療機関(自院)側に、この加算固有の届出要件は明記されていないということです。
みらい(新人医療事務)
じゃあ届出は気にしなくていいんですね!
あおい(元・医療事務)
そこは少し注意が必要です。自院側の届出は不要でも、加算の対象となるのは「鑑別診断等を行う機能を持つ専門医療機関」への紹介です。紹介先がその機能を実際に備えているかどうかは、紹介のたびに確認しておく必要があります。届出の有無だけでなく、紹介先の体制についても確認する姿勢が大切です。最終的な取り扱いは自院の状況と公式資料で確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にこの加算が算定候補になるかどうか、どんな順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認するとわかりやすいです。
自院で確認する順番
- 対象の患者が「認知症の疑いのある患者」の段階であるか(既に診断済みではないか)を確認する
- 専門医療機関での鑑別診断等の必要性を、自院の医師が認めているかを確認する
- 患者本人またはその家族等から、紹介についての同意を得られるかを確認する
- 紹介先が鑑別診断・専門医療相談・合併症対応・医療情報提供等を行う専門医療機関に該当するかを確認する
- 診療状況を示す文書を準備し、当該専門医療機関に添えて紹介できるかを確認する

みらい(新人医療事務)
この5つが揃って、はじめて算定候補になるということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。1つでも条件に疑問が残る場合は、算定候補ではなく「要確認」として扱い、自院内だけで判断せずに公式資料や審査支払機関に確認することをおすすめします。
よくある取り漏れ・算定時の注意点
みらい(新人医療事務)
現場で見落としやすいポイントはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
よくある取り漏れ(令和8年度・要確認事項)
連携加算との取り違え: 注10の認知症専門医療機関紹介加算(100点・疑いのある患者向け)と、注11の認知症専門医療機関連携加算(50点・既に診断済みの患者向け)を混同し、点数や算定要件を取り違えるケースがあります。
紹介先の機能確認漏れ: 紹介先が鑑別診断・専門医療相談・合併症対応・医療情報提供等を行う専門医療機関に該当するかどうかを確認せず紹介してしまうケースです。
同意取得・文書添付の記録漏れ: 患者又は家族等からの同意取得や、診療状況を示す文書の添付が診療録等に記録されていないケースです。
対象外の可能性がある例(要確認)
既に専門医療機関で認知症と診断された患者について本加算(注10)を検討しているケースは、条文上「疑いのある患者」を対象とする注10ではなく、注11の認知症専門医療機関連携加算の対象になる可能性があります。個別の状況は自院・審査支払機関での確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
似た名前の加算が多いからこそ、条文をそのまま確認する癖をつけたほうがよさそうですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。名称や点数だけで判断せず、対象患者の状態(疑いの段階か、既に診断済みか)を、必ず一次資料で照らし合わせてください。
関連加算との違いを整理する
みらい(新人医療事務)
注10と注11、あらためて並べて整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい。注10の認知症専門医療機関紹介加算は「認知症の疑いのある患者について専門医療機関での鑑別診断等の必要を認め…紹介を行った場合」に100点、注11の認知症専門医療機関連携加算は「認知症の専門医療機関において既に認知症と診断された患者であって入院中の患者以外のものについて症状が増悪した場合…紹介を行った場合」に50点、とそれぞれ条文で明確に区別されています。どちらも同じ区分番号B009の注として規定されていますが、対象患者の状態(疑いの段階か、診断済みで増悪した段階か)が異なる点が最大の違いです。
みらい(新人医療事務)
併せて算定できるかどうかは、条文でわかるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できた条文の範囲では、同一の紹介について注10と注11を併せて算定できるかどうかを直接規定した文言は確認できませんでした。そもそも対象となる患者の状態が異なるため、同じ紹介の場面で両方に該当することは想定しにくいですが、判断に迷う場合は自院・審査支払機関に確認することをおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できる令和8年度の公式資料(告示・留意事項通知)の範囲では、前回改定(令和6年度)からの点数・算定要件の変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。区分番号B009の注10加算として、認知症の疑いのある患者を専門医療機関へ紹介した場合を評価する枠組みが、令和8年度の資料でも同様に規定されています。
みらい(新人医療事務)
変更がないなら、これまで通りの理解で大丈夫そうですね。
あおい(元・医療事務)
はい。ただし「変更が確認されていない」というのは、あくまで当サイトが参照できた公式資料の範囲での整理です。今後の疑義解釈や訂正通知で取り扱いが明確化される可能性もありますので、最新の公式情報は定期的に確認することをおすすめします。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか疑問を聞いてもいいですか?「うちのクリニックは診療所だから対象外では」と思っているスタッフがいます。
あおい(元・医療事務)
告示の条文は「保険医療機関」を主体としており、診療所・病院という区分による限定は明記されていません。規模に関わらず、要件を満たせば算定候補になりえます。ただし算定の可否を一律に断定することはできませんので、条文の要件と自院の状況を照らし合わせて確認してください。
みらい(新人医療事務)
紹介先が「鑑別診断等を行う専門医療機関」に該当するかどうかは、どうやって確認すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できる一次資料の範囲では、確認方法そのものについての具体的な手順は明記されていません。紹介先医療機関への直接確認、または地域の連携体制を通じた確認など、自院の運用に応じた方法で確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
同じ患者について、何度も算定できるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注10の条文自体には、明示的な回数制限の文言は当サイトが確認できた範囲では見当たりませんでした。ただし、鑑別診断等のための紹介のたびに毎回算定候補となるのか、回数の考え方については明確でないため断定はできません。自院の状況に応じて審査支払機関へ確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
認知症専門医療機関連携加算(注11)とは、結局どう違うんでしたっけ?
あおい(元・医療事務)
注10(本記事)は「認知症の疑いのある患者」を鑑別診断等のために紹介する場合の加算(100点)、注11は「既に専門医療機関で認知症と診断された患者」が症状増悪した際に再紹介する場合の加算(50点)です。対象患者の状態がまったく異なりますので、紹介する患者が「疑いの段階」か「診断済みで増悪した段階」かを、まず条文で確認してください。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省公式資料を根拠としています。詳細な算定要件・施設基準は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)区分番号B009 診療情報提供料(Ⅰ)注10・注11 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
みらい(新人医療事務)
関連する加算もあわせて確認しておいたほうがよさそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。基本点数となる診療情報提供料(Ⅰ)や、対象患者の状態が異なる認知症専門医療機関連携加算もあわせて確認しておくと、取り違えを防ぎやすくなります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者の状態や紹介先の要件を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。