みらい(新人医療事務)
先輩、「外来緩和ケア管理料」ってカルテで見かけたんですけど、これってどんな管理料なんですか?
あおい(元・医療事務)
外来緩和ケア管理料は、入院していない患者さんに対して、複数の職種からなる「緩和ケアチーム」がチームで診療を行った場合に算定候補になる管理料です。令和8年度の医科点数表では区分番号B001の24に位置づけられています。
みらい(新人医療事務)
「緩和ケア」って聞くと、末期のがん患者さんのイメージが強いんですけど、対象はがんだけじゃないんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。厚生労働省の留意事項通知では、対象になりうる疾患として悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群、末期心不全、末期呼吸器疾患、末期腎不全の5つが挙げられています。それぞれに身体的・精神的な症状があり、患者さんの同意のもとでチーム診療が行われた場合に算定する、という組み立てです。
外来緩和ケア管理料の対象になりうる患者・医療機関
みらい(新人医療事務)
具体的にはどんな患者さんが対象になりそうですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知の原文を確認してみましょう。「外来緩和ケア管理料については、医師が症状緩和を目的として麻薬を投与している入院中の患者以外の悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群、末期心不全、末期呼吸器疾患又は末期腎不全の患者のうち、疼痛、倦怠感、呼吸困難等の身体的症状又は不安、抑うつなどの精神症状を持つ者に対して、当該患者の同意に基づき、症状緩和に係るチーム(以下「緩和ケアチーム」という。)による診療が行われた場合に算定する。」というのが基本の考え方です。
みらい(新人医療事務)
「末期心不全」とか「末期呼吸器疾患」って、どこまでが対象になるんでしょう。ふつうの心不全の患者さんも入るんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこはかなり細かく基準が決められています。末期心不全については、通知で次のような基準が示されています。「末期心不全の患者とは、以下のアからウまでの基準及びエからカまでのいずれかの基準に該当するものをいう。ア 心不全に対して適切な治療が実施されていること。イ 器質的な心機能障害により、適切な治療にもかかわらず、慢性的にNYHA重症度分類Ⅳ度の症状に該当し、頻回又は持続的に点滴薬物療法を必要とする状態であること。ウ 過去1年以内に心不全による急変時の入院が2回以上あること。エ 左室駆出率が20%以下であること。オ 医学的に終末期であると判断される状態であること。カ エ又はオに掲げる状態に準ずる場合であること。」
みらい(新人医療事務)
けっこう厳格なんですね…。呼吸器疾患のほうはどうですか?
あおい(元・医療事務)
末期呼吸器疾患についても、「呼吸器疾患に対して適切な治療が実施されている」「在宅酸素療法やNPPV(非侵襲的陽圧換気)を継続的に実施している」といった要件が並びます。末期腎不全についても、血液透析療法または腹膜透析療法の実施状況や、Palliative Performance Scale(PPS)の数値、腎代替療法の実施が困難な状態かどうかが基準として示されています。どの疾患であっても「該当しそうだから算定候補」と自己判断せず、通知の基準ア〜カに実際に当てはまるかをカルテで確認することが確認の出発点になります。
みらい(新人医療事務)
医療機関側の条件もあるんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。対象医療機関については、当サイトが収録している一次資料の範囲では「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合し届け出た保険医療機関(緩和ケア体制、注)。」と整理されています。診療所・病院のどちらも算定候補になり得ますが、いずれも施設基準に適合したうえで届出が必要というのが大前提です。
点数はどうなっているの?【令和8年度】
みらい(新人医療事務)
点数はいくらになるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表(令和8年厚生労働省告示第69号)に基づく点数マスターの整理では、外来緩和ケア管理料は次の5区分に分かれています。
| 区分 | 点数(令和8年度) | 備考 |
|---|---|---|
| 基本(通常の届出) | 290点 | 月1回の管理料として算定候補 |
| 特定地域(注4) | 150点 | 医療提供体制の確保状況を踏まえた地域の届出施設が対象 |
| 情報通信機器を用いた場合(注5) | 252点 | オンライン指針に沿った診療が前提 |
| 特定地域+情報通信機器 | 131点 | 上記2つの条件を両方満たす場合 |
| 小児加算(15歳未満) | 150点(加算) | 基本点数に上乗せする加算 |

みらい(新人医療事務)
「特定地域」の150点って、基本の290点よりだいぶ少ないですね。なんでこんな差があるんですか?
あおい(元・医療事務)
特定地域の点数(注4)は、医療提供体制の確保状況を踏まえて厚生労働大臣が定める地域に所在する保険医療機関を対象にした区分です。通知では「『注4』に規定する点数は、『基本診療料の施設基準等』別表第六の二に掲げる地域に所在する保険医療機関(特定機能病院、許可病床数が400床以上の病院、DPC対象病院及び一般病棟入院基本料に係る届出において急性期病院A一般入院料、急性期病院B一般入院料(看護・多職種協働加算に係る届出を行っているものに限る。)、急性期一般入院料1又は急性期一般入院料4(看護・多職種協働加算に係る届出を行っているものに限る。)のみを届け出ている病院を除く。)において、算定可能である。」と整理されています。
みらい(新人医療事務)
つまり大規模な病院は「特定地域」の対象にはならないんですね。
あおい(元・医療事務)
そういう整理です。地域の中小規模の医療機関が、緩和ケアの体制を届け出た地域に所在する場合の区分、と理解するのが自然です。情報通信機器を用いた場合(注5)についても、単に電話やビデオ通話を使えばよいわけではなく、「『注5』に規定する情報通信機器を用いた医学管理については、オンライン指針に沿って診療を行った場合に算定する。」という条件が示されています。「オンライン指針」に沿っているかどうかは、自院の運用と照らして個別に確認が必要な部分です。
施設基準・研修要件を確認しよう
みらい(新人医療事務)
施設基準の中身がもう少し知りたいです。緩和ケアチームって具体的に何をすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
通知では緩和ケアチームの体制について、いくつかの要件が示されています。「緩和ケアチームは、身体症状及び精神症状の緩和を提供することが必要である。緩和ケアチームの医師は緩和ケアに関する研修を修了した上で診療に当たること。ただし、後天性免疫不全症候群の患者を診療する際には当該研修を修了していなくても本管理料は算定できる。」また、初回診療時の記録についても「緩和ケアチームは初回の診療に当たり、当該患者の診療を担う保険医、看護師及び薬剤師などと共同の上、別紙様式3又はこれに準じた緩和ケア診療実施計画書を作成し、その内容を患者に説明の上交付する」ことが求められています。
みらい(新人医療事務)
研修を修了していないとダメなんですね。看護師さんの研修についても何か決まりがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、疑義解釈でも具体的に示されています。「質問: B001の24外来緩和ケア管理料の看護師の要件である研修の内容が通知に示されているが、具体的にはどのような研修があるのか。回答: 現時点では、緩和ケア診療加算の要件にある研修と同様で以下のいずれかの研修である。①日本看護協会認定看護師教育課程『緩和ケア』、『がん性疼痛看護』、『がん化学療法看護』、『乳ガン看護』又は『がん放射線療法看護』の研修②日本看護協会が認定している看護系大学院の『がん看護』の専門看護師教育課程」とされています。
みらい(新人医療事務)
医師についても、緩和ケア専門のドクターじゃないとダメなんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは意外と柔軟です。精神症状の緩和を担当する医師について、疑義解釈で次のようなやり取りがあります。「質問: 緩和ケア診療加算及び外来緩和ケア管理料の施設基準における『精神症状の緩和を担当する医師』は、心療内科医であってもよいか。回答: 差し支えない。」
みらい(新人医療事務)
なるほど、心療内科の先生でもチームに入れるんですね。組織としての位置づけも決まりがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。通知では「当該保険医療機関に緩和ケアチームが組織上明確に位置づけられていること。」「院内の見やすい場所に緩和ケアチームによる診療が受けられる旨の掲示をするなど、患者に対して必要な情報提供がなされていること。」という体制面の要件も示されています。院内掲示まで含めて確認が必要な項目です。また、入院患者向けの緩和ケア診療加算と外来緩和ケア管理料は、チームの兼任について「当該緩和ケアチームは、緩和ケア診療加算の緩和ケアチームと兼任可能である。」と整理されています。すでに緩和ケア診療加算のチームを持っている医療機関であれば、同じチームで外来緩和ケア管理料の体制を組めるかどうかが確認のポイントになります。
届出は必要?
みらい(新人医療事務)
届出は必須ですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。外来緩和ケア管理料は届出が必要な管理料です。地方厚生局への施設基準の届出と、届出後の実際の体制が一致しているかどうかは、算定候補かどうかを判断するうえで欠かせない確認事項です。届出をしていない、あるいは届出内容と実態が異なる場合は、算定候補として扱う前に必ず院内で確認してください。
届出・研修修了の確認は必須
緩和ケアチームの医師の研修修了状況、看護師の研修要件、届出の有無は、いずれも算定候補かどうかを左右する重要な確認項目です。書類上は届出済みでも、担当者の異動などで研修修了者が不在になっているケースもあるため、定期的な確認が必要です。
算定のタイミング・併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
算定のタイミングや、他の管理料との関係で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
まず算定の単位ですが、外来緩和ケア管理料は月1回を基本とした管理料として運用されています。加えて、他の医学管理料との関係にも注意が必要です。たとえば生活習慣病管理料(Ⅰ)については、通知で「当該患者の診療に際して行った『A001』の『注8』に規定する外来管理加算、第1部医学管理等(『B001』の『20』糖尿病合併症管理料、同『22』がん性疼痛緩和指導管理料、同『24』外来緩和ケア管理料、同『27』糖尿病透析予防指導管理料及び同『37』慢性腎臓病透析予防指導管理料を除く。以下この項において同じ。)、第3部検査、第6部注射及び第13部病理診断の費用は全て所定点数に含まれる。」と整理されています。
みらい(新人医療事務)
これって、外来緩和ケア管理料は生活習慣病管理料(Ⅰ)の点数に含まれてしまう、ということですか?
あおい(元・医療事務)
逆です。「除く」と書かれている項目、つまり外来緩和ケア管理料は、生活習慣病管理料(Ⅰ)の包括対象から外れています。同じ整理は生活習慣病管理料(Ⅱ)についても示されており、外来緩和ケア管理料は包括対象の除外リストに含まれています。そのため、両方の管理料の算定要件をそれぞれ満たしていれば、同月内での算定候補になり得るという整理です。ただし、これは公式資料に基づく一般的な整理であり、実際に両方を算定できるかどうかは、レセプトの記載も含めて自院での確認が必要です。
他の管理料との関係は個別に確認
がん性疼痛緩和指導管理料や糖尿病透析予防指導管理料など、同じ「包括対象の除外リスト」に並ぶ他の管理料との組み合わせも含めて、どの管理料を同月にどう算定するかは、公式資料と自院のレセプト実務の両方で確認してください。断定的に併算定可能と判断せず、要確認の項目として扱うのが安全です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、何か変わった点はあるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した令和8年度の告示(第69号・第70号・第71号)と留意事項通知の範囲では、外来緩和ケア管理料の対象疾患・算定要件・施設基準について、前回改定(令和6年度)からの明確な変更点は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。点数の区分(基本・特定地域・情報通信機器・特定地域かつ情報通信機器・小児加算)についても、今回参照した一次資料の範囲では従来の枠組みが維持されているという整理です。改定のたびに点数や要件が見直される可能性があるため、算定候補として扱う際は、その時点で最新の告示・通知を必ず確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
情報が多くて、どこから手をつければいいか迷ってしまいます…。
あおい(元・医療事務)
順番に並べると進めやすいですよ。
自院で確認する順番
- 対象患者の確認: 悪性腫瘍・後天性免疫不全症候群・末期心不全・末期呼吸器疾患・末期腎不全のいずれかに該当し、通知の基準(ア〜カ等)を満たしているか、身体的・精神的症状と患者の同意があるかをカルテで確認する
- 緩和ケアチームの体制確認: 医師の緩和ケア研修修了状況(後天性免疫不全症候群を除く)、看護師の研修要件、精神症状担当医師の配置、組織上の位置づけを確認する
- 施設基準・届出の確認: 地方厚生局への届出状況と、特定地域・情報通信機器などどの区分で届け出ているかを確認する
- 記録・様式の確認: 緩和ケア診療実施計画書(別紙様式3又はこれに準じたもの)の作成・患者への説明・交付の状況を確認する
- 併算定・算定回数の確認: 生活習慣病管理料など他の管理料との関係、月1回という算定単位を踏まえて算定候補かどうかを整理する

よくある取りこぼし・確認ポイント
研修修了者の異動に気づかない
緩和ケアチームの医師や看護師が異動・退職した後も、施設基準の届出内容がそのままになっているケースがあります。研修修了者が実際にチームに在籍しているかは、定期的に確認したい項目です。
特定地域・情報通信機器の区分を取り違える
特定地域(150点)や情報通信機器を用いた場合(252点)は、基本区分(290点)とは別の届出・要件が前提です。基本の届出のまま特定地域の点数で算定してしまう、といった区分の取り違えには注意が必要です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか確認させてください。うちは診療所なんですが、対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
外来緩和ケア管理料は診療所・病院のどちらも算定候補になり得ます。ただし、施設基準に適合し届出をしていることが前提なので、診療所だから対象外ということはありません。
みらい(新人医療事務)
入院中の患者さんには使えないんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、通知にも「入院中の患者以外」と明記されているとおり、外来緩和ケア管理料は入院していない患者さんが対象です。入院患者さんの緩和ケアについては、緩和ケア診療加算など別の区分で確認することになります。
みらい(新人医療事務)
緩和ケアチームの医師が研修を修了していない場合は、それだけで対象外になってしまうんですか?
あおい(元・医療事務)
原則としては研修修了が前提ですが、通知では「後天性免疫不全症候群の患者を診療する際には当該研修を修了していなくても本管理料は算定できる」という例外が示されています。対象疾患によって扱いが変わる点なので、自院のケースがどちらに当たるかは確認が必要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。