みらい(新人医療事務)
先輩、レセプトの手術欄に「患者適合型変形矯正ガイド加算」っていう見慣れない名前が出てきたんですけど、これって何の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
これは骨切り術のオプション加算ですね。令和8年度(2026年度)の診療報酬改定で、手術前にオーダーメイドで作る変形矯正ガイドを使った手術に対応するために設けられたものです。まずはどんな手術に付く加算なのか、一緒に見ていきましょう。
この加算はどんな場面で算定候補になるのか
みらい(新人医療事務)
「変形矯正ガイド」って具体的にどういうものなんですか?
あおい(元・医療事務)
手術の前に撮影したCTなどの画像データをもとに、患者さん一人ひとりの骨の形に合わせて作られる実物大の医療機器のことです。K054骨切り術の注には、厚生労働省の告示でこう定義されています。「先天異常による上腕又は前腕の骨の変形を矯正することを目的とする骨切り術において、患者適合型の変形矯正ガイドを用いて実施した場合は、患者適合型変形矯正ガイド加算として、9,000点を所定点数に加算する。」という内容です。
みらい(新人医療事務)
つまり、上腕や前腕の骨切り術で、特別なガイドを使ったときに9,000点が上乗せされる、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。ただ、対象になる手術はK054骨切り術だけではありません。もう一つ、K057変形治癒骨折矯正手術にも同じ名前・同じ点数の加算が設定されています。K057の注では「上腕又は前腕について、患者適合型の変形矯正ガイドを用いて実施した場合は、患者適合型変形矯正ガイド加算として、9,000点を所定点数に加算する。」とされています。
みらい(新人医療事務)
え、K054とK057で条件が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
細かく見るとそうなんです。K054側は「先天異常による」変形の矯正が目的、という条件が明記されています。一方でK057側の告示本文には、その限定の文言は出てきません。K057は変形治癒骨折(骨折が変形したまま治ってしまった状態)の矯正手術なので、想定している場面がそもそも違うんですね。ここは自院の症例がどちらの手術・どちらの条件に当てはまるかを、丁寧に確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
なるほど、対象疾患の書き方が手術区分によって違うんですね。ちょっと複雑…。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。だからこそ、算定候補かどうかは「どの手術の、何番の区分か」までさかのぼって確認するのが大事なんですよ。
対象になる医療機関・手術区分
みらい(新人医療事務)
うちのクリニックでも算定候補になり得ますか?
あおい(元・医療事務)
手術を実施する診療所・病院であれば、入院で行う手術として算定候補になり得ます。実際、この加算自体は外来ではなく入院での手術を前提にした整理になっています。ただし「対象になり得る」だけで、実際に算定できるかは症例ごとの確認が必要です。対象になる手術区分は、次の表のとおりです。
| 手術(区分番号) | 該当する項目 | 所定点数 |
|---|---|---|
| K054骨切り術「2」 | 上腕骨骨切り術 | 28,210点 |
| K054骨切り術「4」 | 前腕骨骨切り術 | 22,680点 |
| K057変形治癒骨折矯正手術「2」 | 上腕骨変形治癒骨折矯正手術 | 34,400点 |
| K057変形治癒骨折矯正手術「4」 | 前腕骨変形治癒骨折矯正手術 | 30,860点 |
みらい(新人医療事務)
表を見ると、対象は「2」と「4」の区分だけなんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。K054の留意事項通知では「患者適合型変形矯正ガイド加算は、先天異常による上腕骨又は前腕骨の変形を矯正することを目的とする骨切り術において、手術前に得た画像等により作成された実物大の患者適合型の変形矯正ガイドとして薬事承認を得ている医療機器又は手術前に得た画像等により作成された実物大の患者適合型の変形矯正ガイドと変形矯正プレートが一体として薬事承認を得ている医療機器を用いて実施した場合に、「2」の「上腕骨骨切り術」又は「4」の「前腕骨骨切り術」の所定点数に加算する。」と明記されています。K057の留意事項通知でも「患者適合型変形矯正ガイド加算は、「2」又は「4」において、手術前に得た画像等により作成された実物大の患者適合型の変形矯正ガイドとして薬事承認を得ている医療機器又は手術前に得た画像等により作成された実物大の患者適合型の変形矯正ガイドと変形矯正プレートが一体として薬事承認を得ている医療機器を用いて実施した場合に算定する。」と、同様に対象区分が「2」「4」に限定されています。
みらい(新人医療事務)
肩甲骨や大腿骨の骨切り術には付かない、ということですね。
あおい(元・医療事務)
その理解で合っています。「1」肩甲骨、「3」大腿骨など、他の項番には、少なくとも一次資料の範囲ではこの加算の規定は確認できていません。

使用する医療機器の条件を確認する
みらい(新人医療事務)
「変形矯正ガイドを使えばOK」というわけではないんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。留意事項通知では、使用する機器についても条件が示されています。次の2パターンのどちらかに当てはまる医療機器を使う必要があります。
対象となる医療機器の2パターン
パターン1: 手術前に得た画像等により作成された実物大の患者適合型の変形矯正ガイドとして、薬事承認を得ている医療機器 パターン2: 手術前に得た画像等により作成された実物大の患者適合型の変形矯正ガイドと変形矯正プレートが一体として、薬事承認を得ている医療機器
みらい(新人医療事務)
「薬事承認を得ている」という部分がポイントなんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。院内で3Dプリンターなどを使って独自に作った治具のようなものではなく、薬事承認を受けた医療機器であることが前提です。ここは手術で使用する製品ごとに確認が必要で、当サイトの一次資料の整理だけでは個々の製品が薬事承認を得ているかどうかまでは判断できません。購入先メーカーや院内の医療機器管理部門に確認することをおすすめします。
対象外の可能性がある場面
薬事承認を得ていない自家製・院内作製のガイドを用いた場合や、対象区分(K054の「2」「4」、K057の「2」「4」)以外の骨切り術・変形治癒骨折矯正手術に用いた場合は、対象外の可能性があります。判断に迷う場合は、必ず一次資料と院内の記録で個別に確認してください。
施設基準・届出はどうなっているか
みらい(新人医療事務)
この加算、施設基準の届出っていうのは必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料の範囲では、この加算に特掲した施設基準の届出規定は確認されていません。つまり、他の多くの加算のように「事前に地方厚生局へ届け出た医療機関だけが算定候補になる」というタイプの加算ではなさそうだ、ということです。
みらい(新人医療事務)
じゃあ届出なしで確認すればいいんですね!
あおい(元・医療事務)
そこはもう少し慎重に考えたいところです。「この加算自体に特掲の届出規定が見当たらない」ことと、「無条件で算定できる」ことはイコールではありません。土台となるK054骨切り術やK057変形治癒骨折矯正手術そのものの施設基準・実施体制は別途整っている必要がありますし、実際に使用する医療機器が薬事承認を得ているかの確認も欠かせません。最終的には、自院の届出状況・カルテ記載・使用機器の書類を突き合わせて確認するのが確実です。
算定のタイミングと注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
この加算は、対象の手術(K054の「2」「4」またはK057の「2」「4」)を実際に実施し、かつ条件を満たす患者適合型の変形矯正ガイドを使用した、その手術の回に合わせて算定する加算です。単体では算定できず、必ず対象手術の所定点数に加算する形になります。
併算定・回数の確認は個別に
本加算は対象区分の手術が実施されたときに限って所定点数へ加算されるものです。対象外の手術区分や、条件を満たさない医療機器を使用した場合の取り扱い、他の手術加算との組み合わせの可否については、一次資料の記載だけでは断定できない部分があります。レセプト作成時は、診療報酬明細書の摘要欄への記載も含め、自院の状況で個別に確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの症例で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で見ていくと確認しやすいと思います。
自院で確認する順番
手術区分の確認: 実施した(予定の)手術がK054骨切り術の「2」上腕骨骨切り術・「4」前腕骨骨切り術、またはK057変形治癒骨折矯正手術の「2」上腕骨変形治癒骨折矯正手術・「4」前腕骨変形治癒骨折矯正手術のいずれかに該当するか確認する 目的・対象疾患の確認: K054は先天異常による変形の矯正が目的かどうか、K057は上腕・前腕の変形治癒骨折の矯正かどうかをカルテで確認する 使用機器の確認: 使用した変形矯正ガイド(または変形矯正ガイドとプレートが一体の機器)が薬事承認を得ている医療機器かどうかをメーカー資料・院内記録で確認する 記載の確認: カルテ・手術記録・診療報酬明細書の記載内容が、上記の要件と整合しているか確認する 最終確認: 自院の届出状況や不明点について、必要に応じて審査支払機関や公式資料で最終確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
取り漏れやすいポイント
手術区分の思い込み: 「骨切り術だから何でも対象」と思い込んでしまい、対象外の項番(肩甲骨・大腿骨など)に加算してしまうケース 目的の違いの見落とし: K054は「先天異常による」という条件があるのに、後天的な変形(外傷後など)のケースで同じ感覚で算定候補と考えてしまうケース 機器の薬事承認未確認: 使用した変形矯正ガイドが薬事承認を得ている医療機器かどうかを確認しないまま算定候補として扱ってしまうケース
みらい(新人医療事務)
どれも「なんとなく」で進めると起こりそうなミスですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。一つひとつ、告示・留意事項通知の文言に照らして確認する癖をつけておくと安心です。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
この加算、前の令和6年度の改定のときはどうだったんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収集している一次資料の範囲では、令和6年度時点でのこの加算の記載内容を確認できていません。この加算が令和8年度の告示・留意事項通知に記載されていることは確認できていますが、それより前の年度との比較については、こちらで断定できる材料がありません。
みらい(新人医療事務)
新しくできた加算なのか、前からあったものが変わったのか、わからないってことですね。
あおい(元・医療事務)
はい、その判断は保留にしています。新設なのか、要件変更なのかを含めて正確に知りたい場合は、令和8年度の告示・留意事項通知の原文と、可能であれば前回改定時の点数表を突き合わせて確認することをおすすめします。あいまいな情報のまま「新設です」「変更なしです」と言い切らないようにしています。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうな点をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
外来の手術でもこの加算は算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料の範囲では、この加算は入院で行う手術を前提とした整理になっています。外来での実施を想定した記載は確認できていないため、外来での算定候補かどうかは慎重な確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
患者適合型変形矯正ガイドを自院の3Dプリンターで作った場合はどうですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、使用する医療機器が薬事承認を得ていることが条件として示されています。院内で独自に作製したものが薬事承認の対象になっているかどうかは製品ごとに異なるため、個別の確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
K054とK057、両方の手術を同じ患者さんに行った場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
そのようなケースの取り扱いについて、一次資料に明確な記載を確認できていません。個別の症例については、審査支払機関への確認も含めて検討することをおすすめします。
関連する加算もあわせて確認する
みらい(新人医療事務)
似たような「手術で使う機器」の加算って、他にもあるんですか?
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。