下顎骨形成術加算とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「下顎骨形成術加算」ってレセプトで見かけたんですけど、これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の医科点数表にある、手術の点数区分「K444 下顎骨形成術」に対する加算です。下顎骨形成術には「おとがい形成の場合」「短縮又は伸長の場合」「再建の場合」「骨移動を伴う場合」の4つの区分があるんですが、この加算が対象にしているのは「短縮又は伸長の場合」を両側同時に行ったケースです。
みらい(新人医療事務)
「両側同時」というのがポイントなんですね?
あおい(元・医療事務)
そうです。厚生労働省の点数表には「2については、両側を同時に行った場合は、3,000点を所定点数に加算する。」と明記されています。片側のみの手術では、この3,000点の加算対象にはなりません。
みらい(新人医療事務)
下顎骨形成術って、そもそもどんな手術なんですか?
あおい(元・医療事務)
下顎の骨の形を整える外科手術で、外傷や先天的な変形などに対して行われるものです。区分ごとに手術の内容と点数が大きく異なるので、まずはどの区分の手術が行われたかを確認することが出発点になります。
点数・算定コードの確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的な点数を整理して見せてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、令和8年度(2026年度)時点でのK444 下顎骨形成術の点数区分と、今回の加算の関係をまとめるとこの表になります。
| 区分 | 内容 | 点数 |
|---|---|---|
| 1 | おとがい形成の場合 | 8,710点 |
| 2 | 短縮又は伸長の場合 | 30,790点 |
| 3 | 再建の場合 | 51,120点 |
| 4 | 骨移動を伴う場合 | 54,210点 |
| 注1加算 | 2(短縮又は伸長の場合)を両側同時に行った場合 | +3,000点 |

みらい(新人医療事務)
この「下顎骨形成術加算」の3,000点は、区分2(短縮又は伸長)にしか付かないんですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。点数表の条文では「K444 下顎骨形成術」の注として「1 2については、両側を同時に行った場合は、3,000点を所定点数に加算する。」と記載されており、対象は明確に区分2に限定されています。区分1(おとがい形成)・区分3(再建)・区分4(骨移動を伴う場合)にこの3,000点加算は適用されません。
みらい(新人医療事務)
マスターコードのようなものはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが把握している範囲では、この加算に対応する診療行為マスターコードの個別掲載は確認できていません。レセプトへの記載方法や具体的なコードについては、医科診療行為マスターや自院のレセコンの設定で確認することをおすすめします。
どんな場面で算定候補になりますか?
みらい(新人医療事務)
この加算、うちのクリニックでも関係ある場面ってあるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
K444下顎骨形成術は、外傷後の変形や顎の骨格的な異常などに対して行う専門性の高い手術です。区分2(短縮又は伸長の場合)の手術を実施し、なおかつそれを両側同時に行った場合が算定候補になります。手術の実施自体が前提になりますので、まずは自院でこの区分の手術を行っているかどうかがスタートラインです。
みらい(新人医療事務)
片側だけ手術した場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
片側のみの実施では、この3,000点の加算対象にはなりません。告示の文言があくまで「両側を同時に行った場合」と限定しているためです。これは対象外と決めつけるというより、まず「両側同時か片側かの手術記録」を確認するべきポイントとして押さえておくとよいと思います。
施設基準・届出は必要ですか?
みらい(新人医療事務)
外来感染対策向上加算みたいに、事前の届出とか施設基準ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した点数表の条文には、この加算について届出や個別の施設基準に関する記載は見当たりませんでした。区分2の手術を両側同時に行ったという手術の実施内容そのものに連動して所定点数へ加算される仕組みと考えられます。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、地方厚生局への事前届出は不要ということですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できた資料の範囲では、外来感染対策向上加算のような「施設基準に適合しているものとして届け出る」という枠組みの記載は見つかっていません。ただし、これは今回確認した一次資料の範囲での整理ですので、届出の要否については自院のレセプト担当者や地方厚生局、審査支払機関に念のため確認していただくのが確実です。
断定はできません
届出に関する記載が確認できていない、という状態であり、「届出が一切不要」と保証するものではありません。最終的な取扱いは自院の状況と審査支払機関の判断で確認してください。
算定タイミングと注意点: 注1と注2を混同しない
みらい(新人医療事務)
さっき「注」って言葉が出てきましたけど、他にも注意点ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、ここは特に注意が必要なポイントです。K444下顎骨形成術の条文には、注が2つあります。
注1と注2は別のルール(混同注意)
注1(この記事の加算): 「2については、両側を同時に行った場合は、3,000点を所定点数に加算する。」→ 区分2(短縮又は伸長の場合)が対象。
注2(別のルール): 「4については、先天奇形に対して行われた場合に限り算定する。」→ 区分4(骨移動を伴う場合)が対象で、算定できる条件そのものを先天奇形の場合に限定するルール。3,000点加算とは無関係。
みらい(新人医療事務)
注1と注2、対象になっている区分の番号からして全然違うんですね!
あおい(元・医療事務)
そうなんです。「下顎骨形成術加算」という名前だけを見ると、下顎骨形成術全体にまとめて何か加算やルールが付くように見えてしまいますが、実際には区分ごとに条件が分かれています。注1は区分2にだけ関わる3,000点加算、注2は区分4の算定条件そのものの限定です。レセプトを確認する際は、どの区分の手術に対する記載なのかを区別して見る必要があります。
みらい(新人医療事務)
他に気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
同じK444下顎骨形成術には、区分ごとに異なる機器加算が別途上乗せされる場合もあります。次の章で、その代表例として創外固定器加算(K932)との違いを整理しますね。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
今回、当サイトが確認できた令和8年度の一次資料(診療報酬の算定方法の一部を改正する件)の範囲では、K444下顎骨形成術の点数区分・注1の3,000点加算・注2の算定条件について、前回改定(令和6年度)からの変更点を示す記載は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。
みらい(新人医療事務)
「確認されていない」というのは「絶対に変わっていない」ということですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこは言い切れません。当サイトが参照した一次資料の範囲で突き合わせた結果、変更を示す記載が見当たらなかった、という状態です。点数や算定条件は改定のたびに見直される可能性がありますので、最新の告示・通知を都度ご確認いただくことをおすすめします。
関連加算: 創外固定器加算(K932)との違い
みらい(新人医療事務)
さっき出てきた「創外固定器加算」って、この下顎骨形成術加算と関係あるんですか?
あおい(元・医療事務)
同じK444下顎骨形成術という手術を土台にしている点は共通していますが、対象になる条件がまったく違います。留意事項通知には、創外固定器加算について「『K444』下顎骨形成術及び『K444-2』下顎骨延長術については先天性の第1第2鰓弓症候群、トリーチャー・コリンズ症候群等にみられる小顎症の患者に対して骨形成術又は骨延長術を行う際に創外固定器を用いた場合に算定する。」と記載されています。
みらい(新人医療事務)
つまり、下顎骨形成術加算とは全然別の条件なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。今回解説している「下顎骨形成術加算」(3,000点)は、区分2(短縮又は伸長の場合)を両側同時に行った場合に付く加算です。一方、創外固定器加算は、先天性の第1第2鰓弓症候群やトリーチャー・コリンズ症候群などにみられる小顎症の患者に対し、骨形成術・骨延長術の際に創外固定器という器具を使用した場合に算定候補になるものです。「同じK444に関わる加算だから同じ条件」と早合点せず、それぞれの条件を個別に確認する必要があります。
加算名の混同に注意
下顎骨形成術に関連する加算は複数あり、対象区分(1〜4)や条件(両側同時/先天奇形限定/創外固定器の使用など)がそれぞれ異なります。レセプトを作成する際は、どの加算がどの条件に対応しているかを一次資料の条文で個別に確認してください。
自院での確認手順
みらい(新人医療事務)
うちの医療機関でこの加算が算定候補になるか確認したい場合、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな流れで確認するとわかりやすいです。
自院で確認する順番
-
手術記録を確認 — K444下顎骨形成術のうち、区分2「短縮又は伸長の場合」を実施したかどうかを手術記録・術式名で確認
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両側同時実施かを確認 — 同一手術の中で両側を同時に行った記録になっているか、片側のみの実施でないかを確認
-
区分の取り違えがないか確認 — 区分1(おとがい形成)・区分3(再建)・区分4(骨移動を伴う場合)と混同していないか、術式区分を再確認
-
注1と注2を区別して確認 — 3,000点加算(注1・区分2対象)と、算定条件の限定(注2・区分4対象)を混同していないか確認
-
他の上乗せ加算の有無を確認 — 創外固定器を使用した場合など、創外固定器加算のような別の加算が該当しないかも合わせて確認
-
レセプト記載・審査を確認 — 最終的な算定内容は、自院のレセプト担当者・審査支払機関の判断で確認

みらい(新人医療事務)
一つひとつの区分を丁寧に見ていく必要があるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。手術系の加算は特に、名前だけで判断せず、条文の区分番号まで戻って確認することが大切です。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でよくある見落としのパターンってありますか?
よくある取り漏れポイント
- 区分2(短縮又は伸長の場合)を両側同時に行ったのに、加算の記載自体を失念しているケース
- 区分1・3・4の手術記録と区分2を取り違え、対象外の区分にこの加算を誤って記載しようとするケース
- 注1(3,000点加算)と注2(区分4の算定条件限定)の内容を混同してしまうケース
- 創外固定器を使用した場合の創外固定器加算との違いを整理できていないケース
- レセプト記載時に片側実施と両側同時実施の区別が手術記録上あいまいなケース
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか疑問をぶつけてもいいですか?片側ずつ2回に分けて手術した場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
告示の文言は「両側を同時に行った場合」となっています。同一の手術機会に両側を同時に行ったかどうかがポイントになりますので、日を分けて片側ずつ実施したケースがこの加算の対象になるかどうかは、条文の文言と自院の手術記録を照らし合わせて個別に確認が必要です。当サイトの一次資料の範囲では、日を分けた場合の具体的な取扱いまでは確認できていません。
みらい(新人医療事務)
区分4(骨移動を伴う場合)にもこの3,000点加算は付くんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、付きません。3,000点加算(注1)の対象は区分2(短縮又は伸長の場合)に限定されています。区分4には別の注2「先天奇形に対して行われた場合に限り算定する」という、算定条件そのものを限定するルールがありますが、これは3,000点加算とは別の話です。
みらい(新人医療事務)
歯科でも同じ扱いになりますか?
あおい(元・医療事務)
今回整理したのは医科点数表における下顎骨形成術加算です。歯科診療における下顎骨形成術の取扱いについては、医科とは別の整理がなされている場合がありますので、歯科での算定を検討する場合は歯科点数表・関連通知を個別に確認してください。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省の公式資料を根拠としています。詳細な条文・最新の告示内容は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号・K444下顎骨形成術の点数区分) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省特設ページ) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。手術の実施内容や区分を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。