皮膚悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「皮膚悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算」って、名前がすごく長いんですけど、どういう加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の医科点数表では、K007皮膚悪性腫瘍切除術の「注」に規定されている加算です。皮膚悪性腫瘍切除術を行う際に、放射性同位元素及び色素を用いたセンチネルリンパ節生検を併せて行った場合に、所定点数へ5,000点を上乗せする仕組みになっています。
みらい(新人医療事務)
センチネルリンパ節生検って、何のために行うんですか?
あおい(元・医療事務)
がんが最初に転移しやすいリンパ節(見張りリンパ節)を特定して調べる検査です。皮膚の悪性腫瘍を切除する手術のときに、この検査を同時に行った場合の技術料を評価しているのがこの加算です。告示には「放射性同位元素及び色素を用いたセンチネルリンパ節生検(悪性黒色腫等に係るものに限る。)を併せて行った場合には、皮膚悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算として、5,000点を所定点数に加算する」と記載されています。
みらい(新人医療事務)
「悪性黒色腫等」というのが気になります。どんな患者さんでも対象になるわけではないんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。対象となる疾患や状態はかなり限定的に定められています。詳しくは後ほど確認しますが、まずは「K007という手術と切り離せない加算」という位置づけを押さえておいてください。単独では算定できない加算です。
対象医療機関・対象患者はどう決まりますか?
みらい(新人医療事務)
この加算、診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、皮膚悪性腫瘍切除術は診療所・病院のどちらでも実施されうる手術であり、外来・入院いずれの場面でも対象になり得ます。ただし在宅医療の場面には該当しません。実際にセンチネルリンパ節生検加算の算定候補になるかは、自院で皮膚悪性腫瘍切除術とセンチネルリンパ節生検を同時に実施できる体制があるかどうかが前提になります。
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんの条件はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。留意事項通知では、対象疾患をかなり具体的に列挙しています。「触診及び画像診断の結果、遠隔転移が認められない悪性黒色腫、メルケル細胞癌、乳房外パジェット病又は長径2cmを超える有棘細胞癌であって、臨床的に所属リンパ節の腫大が確認されていない場合にのみ算定する」とされています。
みらい(新人医療事務)
つまり、遠隔転移やリンパ節の腫れがすでに確認されている患者さんは対象外の可能性があるということですか?
あおい(元・医療事務)
資料の文言からはそう読み取れます。ただし個々の患者さんの状態の評価は医師の臨床判断によりますので、当サイトが対象外と断定できるものではありません。触診・画像診断の結果を踏まえて、該当する疾患・状態にあたるかどうかを診療録で確認することが大切です。
点数・算定コードの確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数を具体的に整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)時点の点数はこちらの表の通りです。
| 区分 | 内容 | 点数 |
|---|---|---|
| K007-1 | 皮膚悪性腫瘍切除術(広汎切除) | 28,210点 |
| K007-2 | 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) | 11,000点 |
| K007注 | 皮膚悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算 | +5,000点 |

みらい(新人医療事務)
この5,000点には、検査そのものの費用も全部含まれているんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこが取り漏れやすいポイントです。留意事項通知では、関連する費用の算定区分を分けて示しています。「センチネルリンパ節生検に伴う放射性同位元素の薬剤料は、『K940』薬剤により算定する」「放射性同位元素の検出に要する費用は、『E100』シンチグラム(画像を伴うもの)の『1』部分(静態)(一連につき)により算定する」「摘出したセンチネルリンパ節の病理診断に係る費用は、第13部病理診断の所定点数により算定する」とされています。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、薬剤料・検出費用・病理診断費用は、この5,000点とは別に算定するものなんですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。5,000点という加算点数だけを見ていると、薬剤料や検出費用を見落としがちです。レセプト作成の際は、この4つの区分(加算・薬剤料・検出費用・病理診断費用)を分けて確認する習慣をつけると取り漏れを防げます。
みらい(新人医療事務)
逆に、加算に含まれていて別算定できないものもありますか?
あおい(元・医療事務)
あります。告示の「注」には「ただし、当該手術に用いた色素の費用は、算定しない」と明記されています。センチネルリンパ節生検で使う色素そのものの費用は、この加算の中に含まれている扱いで、別立てでは算定しない整理です。
施設基準・届出はどうなっていますか?
みらい(新人医療事務)
この加算、届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
必要です。当サイトが収録している一次資料の範囲でも、この加算は施設基準の届出が必要な項目として整理されています。医科点数表 第10部 手術の通則には、施設基準の届出を要する手術等を列挙した項目があり、そこに「区分番号K007(注に規定する加算を算定する場合に限る。)」と明記されています。つまり、K007の「注」にあたる皮膚悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算そのものが、施設基準届出の対象として名指しされている形です。
みらい(新人医療事務)
具体的にどんな施設基準を満たせばいいんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは正直にお伝えすると、当サイトが収録している一次資料の範囲では、届出を要する手術等の一覧に含まれていることまでは確認できていますが、人員配置や実績などの詳細な基準本文までは確認できていません。具体的な基準の内容は、施設基準告示・関連通知の該当箇所と、地方厚生局が公表している届出様式で確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、まだ届出をしていない場合はどうしたらいいですか?
あおい(元・医療事務)
地方厚生局のウェブサイトで、皮膚悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算(またはK007に関連する届出)の届出様式・添付書類を確認し、自院の体制が要件を満たしているかどうかを個別に照らし合わせることをおすすめします。届出が受理されていない状態での算定は避けてください。
併算定・算定上の注意点
みらい(新人医療事務)
併算定で気をつけるべきことはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、この加算は単独では算定できません。K007皮膚悪性腫瘍切除術(広汎切除または単純切除)を実施し、かつ放射性同位元素及び色素を用いたセンチネルリンパ節生検を併せて行った場合に限られます。
算定上の注意点(令和8年度)
- センチネルリンパ節生検加算は、K007皮膚悪性腫瘍切除術と同時に行われた場合のみ算定候補になります
- 対象疾患は「遠隔転移が認められない悪性黒色腫、メルケル細胞癌、乳房外パジェット病又は長径2cmを超える有棘細胞癌であって、臨床的に所属リンパ節の腫大が確認されていない場合」に限定されており、それ以外の皮膚悪性腫瘍では対象外の可能性があります
- センチネルリンパ節生検に用いた色素の費用は、加算とは別に算定しない扱いです
- 放射性同位元素の薬剤料・検出費用・病理診断費用は、加算の5,000点とは別区分で算定する整理です
- 施設基準の届出が前提であり、未届出のまま算定候補と判断しないよう注意してください
みらい(新人医療事務)
病理診断のところが少しややこしそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。摘出したセンチネルリンパ節そのものの病理診断は、手術加算の点数ではなく第13部病理診断の所定点数で算定する整理になっています。手術記録とあわせて、病理診断のオーダーと算定区分が対応しているかを確認しておくと安心です。
似た名前の加算との違いに注意
みらい(新人医療事務)
「センチネルリンパ節生検加算」って、他の部位にもある気がします。
あおい(元・医療事務)
良い気づきです。当サイトが収録している一次資料の範囲では、乳癌・子宮・頭頸部・女子外性器など、対象となる悪性腫瘍の部位ごとに、名称が似た「センチネルリンパ節生検加算」が別項目として整理されています。それぞれ根拠となる手術区分(K007以外の区分番号)や対象疾患・点数が個別に定められており、この記事で扱っている皮膚悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算とは別の加算です。
みらい(新人医療事務)
混同すると危ないですね。
あおい(元・医療事務)
はい。名称の一部が似ているだけで根拠となる手術・要件が異なりますので、レセプトを作成する際は「どの手術区分の注に基づく加算か」を必ず条文で確認してください。この記事で確認している内容は、あくまでK007皮膚悪性腫瘍切除術の注に規定された加算に限定されています。
みらい(新人医療事務)
手術に関する加算って、他にも色々あるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。同じ手術加算のカテゴリには、水圧式デブリードマン加算のように、術式に応じた技術評価を行う加算が他にもあります。それぞれ対象となる手術・要件が異なりますので、個別に確認することが大切です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で、この加算は何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、皮膚悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算そのものの点数(5,000点)・対象疾患の記載・施設基準届出の枠組みについて、前回改定(令和6年度・2024年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026-07・医科点数表及び留意事項通知ベース)。
みらい(新人医療事務)
変更なしということは、これまで通りの内容で確認すればいいんですね。
あおい(元・医療事務)
基本的にはそうですが、疑義解釈や訂正通知が改定後に追加で発出されることもあります。当サイトが確認した範囲での「変更なし」であって、今後の通知更新までを保証するものではありませんので、算定前には最新の一次資料も確認してください。
改定差分まとめ(令和8年度・前回比・確認範囲内)
| 項目 | 前回改定(令和6年度) | 令和8年度改定 |
|---|---|---|
| 加算点数 | 5,000点 | 5,000点 変更は確認されていません |
| 対象疾患の記載 | 悪性黒色腫等(同上4疾患) | 同上 変更は確認されていません |
| 施設基準届出の枠組み | 通則4の届出対象一覧に記載 | 同上 変更は確認されていません |
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちで算定候補になるかどうか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな順番で確認していくと整理しやすいです。
自院で確認する順番
-
K007皮膚悪性腫瘍切除術を実施したか確認 — 広汎切除・単純切除いずれかを実施していることが前提
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対象疾患に該当するか確認 — 悪性黒色腫、メルケル細胞癌、乳房外パジェット病、または長径2cmを超える有棘細胞癌であるかをカルテで確認
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遠隔転移・所属リンパ節腫大の有無を確認 — 触診及び画像診断の結果、遠隔転移が認められず、臨床的に所属リンパ節の腫大が確認されていないことが条件
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放射性同位元素及び色素を用いたセンチネルリンパ節生検を併施したか確認 — 手術記録・検査記録で実施内容を確認
-
関連費用の算定区分を確認 — 薬剤料(K940)、検出費用(E100の1部分)、病理診断費用(第13部)をそれぞれ正しい区分で算定しているか確認
-
施設基準の届出状況を確認 — 地方厚生局への届出が受理されているかを届出書類で確認

みらい(新人医療事務)
これだけ手順があると、自分だけで判断するのは大変そうです。
あおい(元・医療事務)
そう感じたときは、加算チェッカーを使ってみるのもひとつの方法です。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でよくある取り漏れ事例って、どんなものがありますか?
あおい(元・医療事務)
代表的なものをいくつか挙げます。
よくある取り漏れポイント(令和8年度)
- センチネルリンパ節生検を実施していても、加算そのものの算定を忘れているケース
- 薬剤料(K940)や検出費用(E100)を、加算点数に含まれるものと誤解して別算定していないケース
- 色素の費用を誤って別立てで算定してしまっているケース
- 施設基準の届出状況を確認せずに算定してしまっているケース
- 対象疾患の該当性(遠隔転移の有無・所属リンパ節腫大の有無)をカルテに記録せず、根拠が残っていないケース
みらい(新人医療事務)
記録を残しておくことも大事なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。算定要件に該当することを説明できる記録があるかどうかは、届出内容の妥当性を確認するうえでも重要なポイントです。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。K007皮膚悪性腫瘍切除術の実施状況や届出状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある疑問をいくつか聞いておきたいです。単純切除でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
告示の「注」は、広汎切除・単純切除のどちらの区分にも共通してかかる形で規定されています。単純切除の場合でも、放射性同位元素及び色素を用いたセンチネルリンパ節生検を併せて行い、対象疾患・要件に該当していれば、算定候補になり得ます。ただし個別の実施内容と施設基準の充足は自院で確認してください。
みらい(新人医療事務)
悪性黒色腫以外の皮膚がんでは、絶対に算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
「絶対にできない」と当サイトが言い切ることはできません。留意事項通知に列挙されている対象は「悪性黒色腫、メルケル細胞癌、乳房外パジェット病又は長径2cmを超える有棘細胞癌」の4つで、これ以外の皮膚悪性腫瘍については、資料の範囲では対象として明記されていない状況です。個別の症例については、一次資料と自院の医師の判断で確認してください。
みらい(新人医療事務)
色素だけを使って、放射性同位元素は使わなかった場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
告示の文言は「放射性同位元素及び色素を用いたセンチネルリンパ節生検」と、両方を用いることを前提にした書き方になっています。色素のみ、あるいは放射性同位元素のみを用いた場合に加算の対象となるかどうかは、当サイトが収録している一次資料の範囲では明確に記載されておらず、要確認事項として扱ってください。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省公式資料を根拠としています。詳細な施設基準・届出手続きは必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示・医科点数表 第10部手術) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省 特掲診療料・手術通知の掲載元ページ) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00040.html
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。対象疾患の該当性や施設基準の充足についても、必ず自院で個別に確認してください。