みらい(新人医療事務)
先生、胃の手術の記録に「有茎腸管移植加算」って書いてあるレセプトを見つけたんですけど、これってどんな時に算定するものなんですか?
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。有茎腸管移植加算は、胃を切除する手術のときに、血流を保ったまま腸の一部を移植する「有茎腸管移植」という再建の手技を併せて行った場合に、所定点数へ加算するものです。令和8年度(2026年度)の点数表では、対象となる胃切除術の術式に共通する加算として整理されています。
みらい(新人医療事務)
「有茎」ってどういう意味なんですか?
あおい(元・医療事務)
腸の血管や組織のつながり(茎)を残したまま移植する方法のことです。血流を保ったまま組織を移動させる再建手技、というイメージを持ってもらえれば大丈夫です。今日はこの加算がどんな場面で算定候補になるか、一緒に確認していきましょう。
対象になる医療機関・場面
みらい(新人医療事務)
うちは診療所なんですが、対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算は病院での入院手術が対象です。診療所や外来、在宅の場面での算定は資料上想定されていません。対象外の可能性が高いですが、実際にこの術式を行うのは入院設備のある病院がほとんどなので、まずは自院が胃切除術(K655系の術式)を行う体制かどうかを確認するところから始めましょう。
みらい(新人医療事務)
病院なら誰でも算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定できません。あくまで「胃切除術を実施し、かつ有茎腸管移植を併せて行った場合」に算定候補になる加算です。届出や特別な施設基準は、当サイトが確認した範囲では求められていませんが、実際に算定できるかどうかは、手術記録の内容と自院の届出状況を確認したうえで判断する必要があります。
点数とコード(対象になる胃切除術の一覧)
みらい(新人医療事務)
具体的にどのくらいの点数になるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表では、有茎腸管移植を併せて行った場合の加算は、対象となるどの胃切除術でも5,000点で共通しています。表にまとめますね。
| 対象術式(コード) | 基本術式の点数 | 有茎腸管移植加算 |
|---|---|---|
| K655 胃切除術(単純切除術) | 33,850点 | +5,000点 |
| K655 胃切除術(悪性腫瘍手術) | 55,870点 | +5,000点 |
| K655-2 腹腔鏡下胃切除術(単純切除術) | 45,470点 | +5,000点 |
| K655-2 腹腔鏡下胃切除術(悪性腫瘍手術) | 64,120点 | +5,000点 |
| K655-4 噴門側胃切除術(単純切除術) | 40,170点 | +5,000点 |
| K655-4 噴門側胃切除術(悪性腫瘍切除術) | 71,630点 | +5,000点 |
| K655-5 腹腔鏡下噴門側胃切除術(単純切除術) | 54,010点 | +5,000点 |
| K655-5 腹腔鏡下噴門側胃切除術(悪性腫瘍切除術) | 75,730点 | +5,000点 |

みらい(新人医療事務)
どの術式でも加算は同じ5,000点なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)では、K655胃切除術の項に「有茎腸管移植を併せて行った場合は、5,000点を加算する。」と定められていて、腹腔鏡下や噴門側の術式でも同じ注記が付いています。基本術式の点数は術式ごとに違いますが、有茎腸管移植加算そのものは一律5,000点、という整理です。
施設基準・届出は必要ですか
みらい(新人医療事務)
この加算を取るのに、事前に届出が必要ですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した範囲では、有茎腸管移植加算そのものに専用の施設基準や届出は求められていません。基本となる胃切除術(K655系)を実施できる体制があれば、術式として有茎腸管移植を併せて行った場合に加算候補となる、という整理です。ただし、これは加算単体の話であって、胃切除術自体や関連する手術管理料に施設基準が求められていないという意味ではありません。自院の届出状況は必ず確認してくださいね。
みらい(新人医療事務)
なるほど、加算自体には届出がいらないけど、油断はできないんですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。届出が不要だからといって、無条件に算定できるという意味ではありません。実際に有茎腸管移植を行ったことが手術記録から確認できるかどうかが、最終的な判断のポイントになります。
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
有茎腸管移植加算は、胃切除術と同時に行った場合に所定点数へ上乗せする形の加算です。胃切除術とは別の日に単独で算定するものではなく、手術記録の中で「有茎腸管移植を併せて実施した」ことが確認できる必要があります。
似た名前の加算との混同に注意
食道悪性腫瘍手術(K529)にも「有茎腸管移植を併せて行った場合は、7,500点を加算する。」という、名称が似た加算が定められています。こちらは胃切除術(K655系)とは対象術式も点数(7,500点)も異なる別の加算です。実施した基本術式がK655系(胃切除術)かK529系(食道悪性腫瘍手術)かによって、算定候補になる加算とその点数が変わる可能性があるため、レセプト入力の前に手術記録で基本術式を確認してください。
みらい(新人医療事務)
名前が同じでも中身が違う加算があるんですね、気をつけます。
あおい(元・医療事務)
はい、この加算に限らず、似た名称の加算は「どの基本術式に対する加算か」を条文で確認してから記載することが大切です。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している令和8年度の一次資料の範囲では、有茎腸管移植加算(K655胃切除術系、5,000点)について、前回改定からの個別の変更点は確認されていません(確認日: 2026年7月)。今後、疑義解釈や訂正通知が公表された場合は、当サイトでも随時確認していきます。
改定差分の確認ポイント
点数が変わっていなくても、施設基準や算定要件だけが改定で見直されることがあります。今回はその双方について、当サイトが確認できた一次資料の範囲で変更は確認されていません。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちで算定候補になるか、どんな順番で確認したらいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認していくと整理しやすいですよ。
自院で確認する順番
- 胃切除術(K655、K655-2、K655-4、K655-5のいずれか)を実施したかを確認する
- 手術記録に「有茎腸管移植」を併せて行った旨の記載があるかを確認する
- 実施した基本術式がK655系(胃切除術)であり、K529系(食道悪性腫瘍手術)と混同していないかを確認する
- レセプトに加算点数(5,000点)を正しく記載し、自院の届出状況とあわせて最終確認する

みらい(新人医療事務)
手術記録の確認が一番大事そうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。有茎腸管移植加算は、届出よりも「実施した内容が手術記録から確認できるか」が判断の中心になる加算です。
よくある取り漏れ
取り漏れやすいポイント
胃切除術の中でも、腹腔鏡下や噴門側の術式(K655-2・K655-4・K655-5)で有茎腸管移植を併せて行った場合、加算の記載が漏れやすい傾向があります。基本術式が単純切除術か悪性腫瘍手術かにかかわらず、有茎腸管移植を行っていれば加算の対象となりうるため、手術記録の再確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
術式が複数あると、記載も見落としやすくなりそうです。
あおい(元・医療事務)
はい。同じ「胃切除術」でも術式コードが複数に分かれているので、どのコードで算定した手術かをまず確認する習慣をつけると取り漏れを防ぎやすくなります。同じ「K系の消化器外科手術に対する注加算」という構造を持つものに、人工肛門造設加算(K719結腸切除術の注加算)もあります。あわせて確認しておくと、加算の見落とし防止に役立ちます。
公式資料の根拠
みらい(新人医療事務)
この加算の情報は、どこの資料を確認したんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示「診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)」の医科点数表、K655胃切除術の項を確認しています。令和8年度診療報酬改定 医科点数表(厚生労働省) で公開されている資料です。
みらい(新人医療事務)
直接確認できるのは安心ですね。
あおい(元・医療事務)
はい。似た名称の加算との違いも、同じ資料のK529食道悪性腫瘍手術の項で確認できます。迷ったときは条文の該当箇所を見返す習慣をつけておくといいですよ。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある疑問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
診療所や外来の手術でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した範囲では、対象は病院での入院手術です。診療所・外来・在宅の場面は対象外の可能性が高いですが、最終的な判断は自院の状況で確認してください。
みらい(新人医療事務)
有茎腸管移植加算という名前の加算は1種類だけですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、名称が似た加算が複数あります。この記事で扱っているのは胃切除術(K655系)に対する5,000点の加算で、食道悪性腫瘍手術(K529系)には7,500点の別の有茎腸管移植加算が定められています。基本術式を確認してから記載してくださいね。
みらい(新人医療事務)
事前の届出がなくても算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した範囲では専用の届出は求められていませんが、実施内容が手術記録から確認できることが前提です。届出が不要というだけで、無条件に算定できるという意味ではありません。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。