みらい(新人医療事務)
あおいさん、結腸の手術のレセプトを見ていたら「人工肛門造設加算」という項目があったんですけど、これって何の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。人工肛門造設加算は、結腸切除術(区分番号K719)を行うときに、同時に人工肛門(ストーマ)をつくる手術も行った場合に上乗せされる加算です。令和8年度(2026年度)の医科点数表では、K719の「注」として定められています。
みらい(新人医療事務)
「注」ってことは、単独では算定できない加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。K719結腸切除術という手術の点数に対して、人工肛門造設術を併せて実施した場合にだけ加算される仕組みです。単独の「人工肛門造設加算」というコードがあるわけではなく、あくまでK719の点数に上乗せする形になります。
K719結腸切除術とは・対象になる場面
みらい(新人医療事務)
そもそもK719結腸切除術って、どんな手術なんですか?
あおい(元・医療事務)
結腸(大腸のうち直腸を除く部分)を切除する手術の総称です。点数表では「1 小範囲切除」「2 結腸半側切除」「3 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術」の3区分に分かれていて、切除の範囲によって手術自体の点数が変わります。人工肛門造設加算は、このいずれの区分でK719を実施した場合でも、人工肛門造設術を併せて行えば算定候補になり得ます。
みらい(新人医療事務)
悪性腫瘍の手術でも対象になるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。K719には「悪性腫瘍手術」の区分も含まれているので、大腸がんの手術で永久的な人工肛門・一時的な人工肛門を造設するケースは典型的な算定候補の場面です。ただし、実際に算定候補になるかどうかは、診療内容とレセプト記載の整合性を含めて自院で確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
K719は入院を伴う開腹・内視鏡手術なので、実務上は病院での実施が前提になる手術です。診療所での算定は通常想定しにくいと考えられますが、これも個別の診療体制によるため、この記事だけで確定的な判断はできません。
点数を確認する(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はいくらなんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の令和8年度医科点数表(告示)には、K719結腸切除術の条文の「注」として、次のように定められています。「注 人工肛門造設術を併せて実施した場合は、人工肛門造設加算として、2,000点を所定点数に加算する。」
あおい(元・医療事務)
つまり、K719結腸切除術に人工肛門造設術を併せて行った場合、所定点数に2,000点が加算されます。似た名前の区分と混同しやすいので、下の表に関連する区分番号の点数をまとめました。
| 区分番号 | 術式 | 加算・単独点数 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| K719 注 | 結腸切除術+人工肛門造設術(開腹) | 2,000点(加算) | 本記事の対象 |
| K719-2 注 | 腹腔鏡下結腸切除術+人工肛門造設術 | 3,470点(加算) | 別区分・別記事で確認 |
| K726 | 人工肛門造設術(単独) | 9,570点(単独手術) | K719の加算とは別枠 |
| K726-2 | 腹腔鏡下人工肛門造設術(単独) | 16,700点(単独手術) | K719の加算とは別枠 |
みらい(新人医療事務)
表を見ると、腹腔鏡の場合は点数が違うんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。腹腔鏡下結腸切除術(K719-2)の場合は、同じ「人工肛門造設加算」という名称でも加算点数が3,470点になります。この記事は開腹によるK719(2,000点)を対象にしているので、腹腔鏡下で実施した場合はK719-2側の点数(3,470点)で確認してください。
みらい(新人医療事務)
K726という人工肛門造設術単独のコードも見たことがあるんですが、それとは違うんですか?
あおい(元・医療事務)
違います。K726・K726-2は、人工肛門造設術そのものを主たる手術として単独で実施した場合のコードです(K726は9,570点、K726-2の腹腔鏡下人工肛門造設術は16,700点)。今回のK719の人工肛門造設加算は、結腸切除術を主たる手術として行い、それに併せて人工肛門を造設した場合の「上乗せ加算」という位置づけです。同じ「人工肛門造設」という言葉が出てきても算定の枠組みが違うので、術式区分を取り違えないようにしたいところです。
施設基準・届出は?(確認が必要)
みらい(新人医療事務)
この加算、施設基準とか届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
そこが今回いちばん正直にお伝えしたいところです。K719の点数表条文(先ほど引用した「注」の部分)には、施設基準や届出に関する定めは記載されていません。当サイトで確認できる一次資料の範囲では、この加算そのものに紐づく個別の施設基準は見当たりませんでした。
みらい(新人医療事務)
じゃあ届出なしで大丈夫ってことですか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定できません。「条文に記載がない」ことと「自院にとって届出が一切不要」ということは、イコールとは限らないんです。K719結腸切除術自体の施設基準・届出の取り扱いは、この加算とは別に確認が必要な場合がありますし、地方厚生局への確認が必要なケースもあります。この記事の記載だけで判断せず、自院の届出状況を確認してください。
施設基準・届出の扱いは自院で確認
K719の「人工肛門造設加算」の条文自体には、当サイトで確認できる範囲で施設基準・届出に関する個別の定めは見当たりません。ただし、これはK719結腸切除術そのものの施設基準・届出とは別の論点です。最終的な届出要否は、自院の届出状況・地方厚生局への確認を通じて判断してください。
算定のタイミングと注意点
みらい(新人医療事務)
算定できるタイミングって、手術のときだけですか?
あおい(元・医療事務)
条文の書き方からすると、K719結腸切除術を実施し、そのときに人工肛門造設術を併せて行った場合に、K719の所定点数に加算する形です。つまり、K719を算定する手術と同じタイミングで発生する加算、という理解になります。
みらい(新人医療事務)
1回の入院で何度も算定できたりするんですか?
あおい(元・医療事務)
回数制限について、当サイトで確認できる一次資料の範囲では明確な記載が見当たりません。ここは未確認として扱い、実際の算定にあたっては審査支払機関や自院のレセプト担当者と確認しながら進めるのが安全です。
みらい(新人医療事務)
他の手術加算と一緒に算定することはできますか?
あおい(元・医療事務)
自動縫合器加算や超音波凝固切開装置等加算のように、結腸切除術で一緒に使われることが多い機器加算がありますよね。それらとの併算定可否についても、当サイトで確認できる資料の範囲では個別の記載を確認できていません。併算定の可否は加算ごとの通則・要件によって決まるものなので、確認が必要な項目として扱ってください。
併算定・回数制限は個別に確認
人工肛門造設加算の回数制限、および他の手術加算との併算定可否について、当サイトで確認できる公式資料の範囲では明記が見当たりません。断定はできないため、「確認が必要」な項目として自院で個別に確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの主な変更は、当サイトで確認できる公式一次資料の範囲では確認されていません。K719結腸切除術の人工肛門造設加算は、2,000点として令和8年度(2026年度)の医科点数表に記載されています。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、しばらく同じ扱いが続いている加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
そういう理解で大きく外れてはいないと思います。ただし、これはあくまで当サイトが収載している一次資料の範囲での確認結果です。より詳しい改定経緯を知りたい場合は、厚生労働省が公開している個別改定項目の資料もあわせて確認することをおすすめします。
改定差分の確認範囲
本記事の「変更は確認されていません」という記載は、点数だけでなく施設基準・算定要件・対象手術に関する記載についても、当サイトで確認できる令和8年度の一次資料の範囲で照合した結果です。当サイトに未収載の資料に変更点が含まれている可能性は否定できません。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病院で算定候補かどうかを確認するには、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で確認していくと整理しやすいと思います。
自院で確認する順番
- K719結腸切除術を実施したかどうかを確認する(術式区分1〜3のいずれか)
- 同一手術の中で人工肛門造設術を併せて実施したかどうかをカルテで確認する
- 開腹(K719)か腹腔鏡下(K719-2)かで、加算点数(2,000点/3,470点)が異なる点を確認する
- K726・K726-2(単独の人工肛門造設術)と混同していないか、術式区分を確認する
- 施設基準・届出・併算定・回数制限について、自院の届出状況と審査支払機関の見解を確認する
- 最終的な算定候補としてレセプト担当者・医師と情報を共有する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でよくある勘違いとか、取り漏れのパターンってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
よくある取り漏れ・勘違い
開腹と腹腔鏡の混同: K719(2,000点)とK719-2(3,470点)は加算点数が異なります。術式区分を確認せずにどちらかの点数で固定してしまうと、算定誤りにつながる可能性があります。
K726との混同: 人工肛門造設術単独(K726・K726-2)を主たる手術として実施した場合と、K719に併せて実施した場合とでは算定の枠組みが異なります。
施設基準・届出の思い込み: 条文に個別の施設基準の記載が見当たらないことを「届出は一切不要」と決めつけてしまうケースです。自院の届出状況の確認を省略しないようにしたいところです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうな質問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
Q. 一時的な人工肛門造設と、永久的な人工肛門造設で、加算の扱いは違いますか?
あおい(元・医療事務)
A. K719の条文自体には、一時的か永久的かによる加算点数の違いは記載されていません。当サイトで確認できる範囲では、人工肛門造設術を併せて実施したかどうかが加算の判断基準になっています。ただし、レセプトの摘要欄への記載など記録面の取り扱いが術式によって異なる可能性もあるため、詳細は自院で確認してください。
みらい(新人医療事務)
Q. 令和6年度の点数表と比べて、点数は変わっていますか?
あおい(元・医療事務)
A. 前回改定(令和6年度)からの変更点は、当サイトで確認できる公式一次資料の範囲では確認されていません。令和8年度(2026年度)時点で2,000点として記載されています。
みらい(新人医療事務)
Q. 腹腔鏡下結腸切除術(K719-2)を実施した場合も、この記事の内容がそのまま当てはまりますか?
あおい(元・医療事務)
A. いいえ。K719-2の場合、人工肛門造設加算は3,470点と、この記事で扱っているK719(2,000点)とは異なります。腹腔鏡下で実施した場合は、K719-2側の点数を確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。