みらい(新人医療事務)
先輩、脳外科のカルテを見ていたら「脳腫瘍覚醒下マッピング加算」っていう聞き慣れない加算が出てきたんです。これ、どういう場面で算定するものなんですか?
あおい(元・医療事務)
脳腫瘍覚醒下マッピング加算ですね。これは頭蓋内腫瘍摘出術(K169)を「脳腫瘍覚醒下マッピング」という手術手技を用いて実施した場合に、所定点数へ上乗せする加算です。手術そのものの点数とは別に、この手技を使ったかどうかで加算の有無が決まります。
みらい(新人医療事務)
覚醒下マッピングって、患者さんを起こしたまま手術する、あの方法ですよね? なんとなく聞いたことはあります。
あおい(元・医療事務)
そうです。脳の機能を担っている部位を傷つけないように、手術中に患者さんの意識がある状態で言語や運動の機能を確認しながら腫瘍を摘出する手技です。ただ、この記事では術式の医学的な手順そのものではなく、レセプト上どう扱うか、算定候補になるかどうかの確認ポイントに絞ってお話ししますね。令和8年度の一次資料をもとに整理しています。
この加算はどんな場面で算定するものか
みらい(新人医療事務)
まず、どんな手術のときに関係してくる加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の令和8年度点数表告示では、K169頭蓋内腫瘍摘出術の注1に、次のように規定されています。「注1 脳腫瘍覚醒下マッピングを用いて実施した場合は、脳腫瘍覚醒下マッピング加算として、4,500点を所定点数に加算する。」
みらい(新人医療事務)
つまり、K169の手術を覚醒下マッピングという方法で行ったときだけ、4,500点が上乗せされるということですね。
あおい(元・医療事務)
その理解で合っています。K169自体は独立した手術の区分番号で、脳腫瘍覚醒下マッピング加算はその「注」に定められた加算です。K169を算定していない場面、たとえば頭蓋内腫瘍摘出術以外の手術では、この加算の対象にはなりません。

みらい(新人医療事務)
図を見ると、K169の点数に4,500点を足す、というシンプルな構造なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。ただし「覚醒下マッピングを用いて実施した」という事実がカルテ・手術記録に残っていることが前提になります。手術記録に技術名の記載がないと、算定候補として扱えるかどうか確認が必要になります。
対象医療機関・対象患者/場面
みらい(新人医療事務)
うちの医療機関でも算定できる可能性がある加算なのか、まず気になります。
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料の範囲では、この加算は入院で実施される頭蓋内腫瘍摘出術に紐づく加算として扱われています。外来や在宅の診療報酬区分には含まれていません。手術は入院での実施が前提になる点をまず押さえてください。
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になり得るんですか? それとも病院に限られますか?
あおい(元・医療事務)
医療機関種別としては診療所・病院のどちらも対象区分に含まれていますが、頭蓋内腫瘍摘出術そのものが高度な開頭手術です。実際にこの手術と覚醒下マッピングの技術・体制を持っているのは、脳神経外科の手術体制が整った病院が中心になります。自院で該当する手術を実施しているかどうかは、まず診療科の体制で確認するのが最初のステップです。
みらい(新人医療事務)
対象患者はどんな人になりますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の記載は「頭蓋内腫瘍摘出術を脳腫瘍覚醒下マッピングを用いて実施した場合」という手技ベースの規定で、疾患名や年齢での限定は明記されていません。松果体部腫瘍とその他の頭蓋内腫瘍のいずれの区分でもK169自体は算定できる区分ですが、覚醒下マッピングを実際に用いたかどうかが加算の分かれ目になります。対象患者の細かい限定については、資料の範囲では確認できていません。
点数とコードを整理する
みらい(新人医療事務)
点数の全体像を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度点数表の告示にもとづく整理です。
| 区分 | 点数 |
|---|---|
| K169 頭蓋内腫瘍摘出術(1 松果体部腫瘍) | 158,100点 |
| K169 頭蓋内腫瘍摘出術(2 その他のもの) | 132,130点 |
| 脳腫瘍覚醒下マッピング加算(注1) | +4,500点 |
みらい(新人医療事務)
加算の分だけ別立てで足される感じですね。コードも決まっているんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号)には、レセプト電算処理システム用コードとして「150372470 脳腫瘍覚醒下マッピング加算」という対応が記載されています。当サイトに登録されているスラッグ(k150372470)もこのコードに合わせています。
みらい(新人医療事務)
数字を勝手に打ち込むんじゃなくて、この対応表で確認すればいいんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。レセプトソフト側のマスター登録がずれていないか、実際の運用でもこのコードで突き合わせて確認しておくと安心です。
施設基準・届出は必要か
みらい(新人医療事務)
この加算、届出とか施設基準はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトの整理では、この加算自体に個別の届出や施設基準は設定されていません。K169頭蓋内腫瘍摘出術という手術区分の中の「注」による加算という位置づけのためです。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出なしでそのまま算定候補になるということですか?
あおい(元・医療事務)
届出そのものが不要という整理ではありますが、それは「無条件で算定できる」という意味ではありません。覚醒下マッピングを安全に実施するための麻酔科・脳神経外科の体制や、手術記録への技術記載など、実務上必要になる体制については、一次資料の中でこの加算に限定した具体的な記載を確認できていません。届出の有無だけでなく、自院の手術記録・実施体制もあわせて確認することをおすすめします。
確認ポイント: 届出不要でも記録は必須
手術記録の記載: 覚醒下マッピングを用いたことが手術記録・診療録に明確に残っているか確認します。 K169本体の算定: 加算だけを単独で算定することはできません。K169頭蓋内腫瘍摘出術本体が算定されていることが前提です。
併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
同時に算定できない加算とか、注意点はありますか?
あおい(元・医療事務)
重要な注意点があります。留意事項通知には次のように明記されています。「(1) 『注1』に規定する脳腫瘍覚醒下マッピング加算を算定する場合は、『K930』脊髄誘発電位測定等加算は算定できない。」
みらい(新人医療事務)
つまり、脳腫瘍覚醒下マッピング加算を算定するときは、脊髄誘発電位測定等加算は同時に算定できないということですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。脊髄誘発電位測定等加算は神経モニタリングに対する加算ですが、この加算とは併算定できない関係にある点を必ず確認してください。どちらの加算で算定するかは、実際に用いた手技・モニタリング内容にもとづいて判断する必要があります。
併算定の確認は必須
脳腫瘍覚醒下マッピング加算とK930脊髄誘発電位測定等加算は同一手術で併算定できません。レセプト作成時に両方が計上されていないか、必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
同じK169の手術には、他にも加算があるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
はい。同じK169頭蓋内腫瘍摘出術の注には、原発性悪性脳腫瘍光線力学療法加算という別の加算も規定されています。こちらは原発性悪性脳腫瘍に対してタラポルフィンナトリウムを投与し、光線力学療法を実施した場合の加算で、脳腫瘍覚醒下マッピング加算とは対象となる手技が異なります。同じ手術の中でどの注に該当する加算が発生しているか、混同しないように整理しておくと安心です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の令和6年度改定のころから何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収集している一次資料は現時点で令和8年度の点数表・通知が中心で、令和6年度時点のこの加算に関する資料までは確認できていません。そのため「変更があった」「変更がなかった」のどちらも、資料の裏付けを持って断定することができません。
みらい(新人医療事務)
無理に「変わっていません」と書かないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。確認できていないことを確認できたことのように書くと、かえって不正確になってしまいます。前回改定からの推移が気になる場合は、厚生労働省が公開している令和6年度・令和8年度それぞれの告示・留意事項通知を直接見比べるか、審査支払機関に確認するのが確実です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの医療機関で算定候補になるか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で見ていくと整理しやすいです。
自院で確認する順番
- K169頭蓋内腫瘍摘出術に該当する手術を実施しているか、手術記録を確認する
- その手術で脳腫瘍覚醒下マッピングという手技を用いたことが記録に残っているか確認する
- 同一手術でK930脊髄誘発電位測定等加算を併算定していないか確認する
- レセプト電算処理システム用コード150372470がレセプトソフトのマスターに正しく登録されているか確認する
- 判断に迷う場合は、加算チェッカーや審査支払機関、公式資料で最終確認する

みらい(新人医療事務)
こうやって順番に見ていけば、抜け漏れが減りそうです。
あおい(元・医療事務)
特に2番目の「手技が記録に残っているか」は見落とされやすいポイントです。手術自体は行っていても、覚醒下マッピングという技術名がカルテ上に明記されていないと、加算の根拠として弱くなってしまいます。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか整理しておきますね。
取り漏れが起きやすいパターン
K169本体との紐づけ漏れ: 加算だけを単独でチェックしてしまい、K169本体の算定区分(松果体部腫瘍かその他のものか)との対応関係を確認し忘れるケースがあります。 併算定除外の見落とし: K930脊髄誘発電位測定等加算と同時に計上してしまい、あとから査定を受けるケースがあります。
みらい(新人医療事務)
見落としが起きるのは、加算だけを単独で見ているときが多いんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。手術区分全体・併算定の可否・手術記録の記載、この3点をセットで確認する習慣をつけておくと、取り漏れも査定リスクも減らせます。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
覚醒下マッピングを使わずにK169の手術をした場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
その場合は、この加算の対象にはなりません。K169本体の点数のみが対象になります。覚醒下マッピングという手技を実際に用いたかどうかが分かれ目です。
みらい(新人医療事務)
外来や在宅では算定候補になりませんか?
あおい(元・医療事務)
当サイトの整理では、外来・在宅は対象区分に含まれていません。入院での実施を前提とした加算として扱われています。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出をしていないと算定候補にならないんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算自体には個別の届出は設定されていません。ただし、届出が不要だからといって無条件に算定候補になるわけではなく、手術記録の記載や併算定の確認は別途必要です。
公式資料の根拠
あおい(元・医療事務)
今回の内容は、令和8年度点数表告示「K169 頭蓋内腫瘍摘出術」(注1の加算規定・4,500点)、留意事項通知「K169 頭蓋内腫瘍摘出術」(K930との併算定除外の規定)、そして「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日 保医発0305第7号、コード150372470の対応)という、いずれも厚生労働省の令和8年度の公式資料をもとに整理しています。
みらい(新人医療事務)
資料の入り口はどこで見られますか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の医科診療報酬点数表の関連告示・通知の入り口ページから辿れます。個別のPDFは改定のたびに番号が変わることがあるので、最新版は必ずこの入り口ページから確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。手術内容や届出状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。