みらい(新人医療事務)
先生、レセプトを見ていたら「心拍出量測定加算」という項目があったんですけど、これって普通の心拍出量測定と何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。これは体液量等測定という検査項目(区分番号D207)の中の「心拍出量測定」を行うときに、カテーテルを挿入した場合だけ算定候補になる加算です。令和8年度(2026年度)の医科点数表でも、この位置づけは続いています。
みらい(新人医療事務)
カテーテルを使わない心拍出量測定もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。D207の「3」には心拍出量測定・循環時間測定・循環血液量測定(色素希釈法以外によるもの)・脳循環測定(色素希釈法によるもの)がまとめて150点で評価されています。この中の心拍出量測定を、カテーテルを挿入して行った場合に限って、開始日だけ1,300点が上乗せされる、という構造です。カテーテルを使わない方法(体表からの測定など)であれば、この加算の対象にはなりません。
心拍出量測定加算とは(対象検査と点数の位置づけ)
みらい(新人医療事務)
なるほど、上乗せの加算なんですね。もう少し具体的に教えてください。
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の医科点数表(令和8年度)では、D207 体液量等測定の「3」で心拍出量測定などが150点と定められたうえで、次のように注が付いています。「心拍出量測定に際してカテーテルを挿入した場合は、心拍出量測定加算として、開始日に限り1,300点を所定点数に加算する。この場合において、挿入に伴う画像診断及び検査の費用は算定しない。」という条文です。
みらい(新人医療事務)
「開始日に限り」というのがポイントですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。カテーテルを留置して何日か継続してモニタリングするケースもありますが、加算そのものは挿入した日、つまり測定を開始した日だけの算定候補になります。翌日以降にカテーテルを交換しても、一連の検査として扱われる、という注記もあります。この点は算定回数を数えるときに間違えやすいところなので、あとで詳しく確認します。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
この加算、うちのクリニックでも関係ありそうですか?
あおい(元・医療事務)
対象そのものは診療所・病院のどちらでも、外来・入院のいずれでも算定候補になり得ます。心拍出量測定にカテーテルを使う場面は、循環動態の管理が必要な患者さんに対して行われることが多く、代表的には心臓カテーテル検査や重症の循環管理と組み合わせて実施されるケースが想定されます。ただし在宅医療の場面は対象に含まれていません。
みらい(新人医療事務)
対象患者の疾患名みたいな指定はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
資料の範囲では、疾患名を限定する記載は確認できていません。あくまで「心拍出量測定に際してカテーテルを挿入したかどうか」が算定の分かれ目になっている、という書き方です。特定の疾患名だけに限定されるという断定はできないので、実際にどの患者さんで実施したかは診療録の記載で確認する必要があります。
点数の整理(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数の全体像を表にしてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
まとめるとこうなります。
| 区分 | 内容 | 点数 | 算定できる回数 |
|---|---|---|---|
| D207「3」 | 心拍出量測定・循環時間測定・循環血液量測定(色素希釈法以外)・脳循環測定(色素希釈法) | 150点 | 実施時 |
| D207 注1 | 心拍出量測定加算(カテーテル挿入を伴う場合) | 1,300点 | 開始日に限り1回 |

みらい(新人医療事務)
つまり、カテーテルを使って心拍出量測定を始めた日は、150点+1,300点のイメージになるということですね。
あおい(元・医療事務)
はい、その理解で合っています。ただし、これは「開始日」の話であって、その後も測定を続けた日については、この1,300点の加算は開始日以外には算定候補になりません。日々のカルテに「いつ挿入したか」「いつが開始日か」が分かるように記録が残っているかを確認しておくと安心です。
算定要件を確認する
みらい(新人医療事務)
算定要件で特に注意しておきたいのはどこですか?
あおい(元・医療事務)
大きく2つあります。1つ目は「カテーテルを挿入して測定した場合」に限られるという点。体表からの非侵襲的な測定方法では、この加算の対象にはなりません。2つ目は「開始日に限り」という回数制限です。カテーテルを交換した場合でも、一連の検査として扱われるとされていますので、交換のたびに1,300点を重ねて算定候補にする、という考え方はできません。
みらい(新人医療事務)
「一連として算定する」というのは、具体的にはどういうことですか?
あおい(元・医療事務)
同じ目的でカテーテルを入れ替えながら心拍出量測定を継続している場合、その一続きの検査を1回分として扱う、という意味です。何度交換したかにかかわらず、心拍出量測定加算として算定候補になるのは最初の開始日のみ、という整理になります。この解釈が自院の診療の流れに当てはまるかどうかは、実際のカルテやオーダーの記録を突き合わせて確認するのが確実です。
算定回数の考え方に注意
心拍出量測定加算は「開始日に限り」1回の算定候補です。カテーテルの交換や測定の継続日数にかかわらず、複数日にわたって重複計上できるものではありません。レセプト作成時は開始日がどこかを必ず特定してください。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
この加算、施設基準の届出とかは必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料の範囲では、この加算について個別の施設基準や事前の届出は求められていません。D207自体は基本的な検査項目のひとつで、心拍出量測定加算もその注加算という位置づけだからです。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出がいらないなら誰でも算定できるということですか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定しない方がいいところです。届出が不要とされていても、実際にカテーテルを挿入して心拍出量測定を行った事実と、その記録がカルテ・検査オーダーに残っていることが前提になります。「届出がいらないから自動的に算定候補」ではなく、「実施の事実と記録がそろっているかを確認したうえでの算定候補」と考えるのが安全です。
届出不要でも確認しておきたいこと
実施記録: カテーテル挿入・心拍出量測定を行った旨がカルテに残っているか 開始日の特定: どの日が「開始日」にあたるかがオーダー上わかるか 同時算定の整理: 挿入に伴う画像診断・検査を別に算定していないか
併算定の注意点(画像診断・検査費用の扱い)
みらい(新人医療事務)
併算定で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料には「この場合において、挿入に伴う画像診断及び検査の費用は算定しない」とはっきり書かれています。つまり、カテーテル挿入に伴って行った画像診断や検査の費用は、心拍出量測定加算とは別立てで算定できる、という扱いにはなっていません。挿入手技に付随する画像診断・検査は、この加算に含まれるものとして整理されている、と読み取れます。
みらい(新人医療事務)
心臓カテーテル検査そのものとは別物なんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうですね、ここは名前が似ている加算と混同しやすいので整理しておきましょう。D207の心拍出量測定加算は、体液量等測定の枠組みの中の加算です。一方で、区分番号D206の心臓カテーテル法による諸検査には、心腔内超音波検査加算のような別の加算が設けられています。心腔内超音波検査加算はD206側の加算であり、今回の心拍出量測定加算(D207側)とは根拠となる区分番号が異なります。どちらも「カテーテル」という言葉が出てきますが、算定の土台になっている検査項目が違うので、レセプトを作るときは区分番号から確認することをおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している厚生労働省の告示・留意事項通知の範囲では、心拍出量測定加算そのものについて、前回改定(令和6年度)からの点数や算定要件の変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。D207「3」の150点、注1の1,300点、「開始日に限り」「挿入に伴う画像診断及び検査の費用は算定しない」という条文の骨格は、今回参照した令和8年度の資料でも同じ表現で維持されています。
みらい(新人医療事務)
「確認されていません」というのは、今後も変更がないと言い切れるということですか?
あおい(元・医療事務)
そこまでは言い切れません。当サイトが確認できた資料の範囲での判断です。個別の疑義解釈や訂正通知が別途出ている可能性もゼロではないので、レセプト作成の実務では、念のため最新の告示・通知や審査支払機関の案内も確認しておくと安心です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちで確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で見ていくと整理しやすいです。
自院で確認する順番
- D207の心拍出量測定(体液量等測定「3」)を実施したかどうかを確認する
- その測定に際してカテーテルを挿入したかどうかを確認する
- カテーテルを挿入した日(開始日)がどこかを特定する
- 挿入に伴う画像診断・検査の費用を別に算定していないかを確認する
- ここまで満たしていれば、心拍出量測定加算の算定候補として整理する

みらい(新人医療事務)
この順番で見ていけば、うちで対象になる患者さんがいるかどうか整理できそうです。
あおい(元・医療事務)
はい。特に3番目の「開始日の特定」を後回しにすると、レセプトを作る段階で「どの日が開始日だったか」が分からなくなりがちです。カテーテル挿入時のオーダーや処置記録に、開始日として分かるメモを残しておく運用にしておくと、後からの確認がぐっと楽になります。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れやすいポイントってどんなところですか?
あおい(元・医療事務)
いくつか代表的なパターンがあります。
取り漏れやすいポイント
カテーテル非挿入との混同: 体表からの非侵襲的な心拍出量測定と混同し、加算の候補から外してしまう 開始日の記録漏れ: カテーテル交換が続く中で、最初の開始日がどこだったか分からなくなる 画像診断費用の重複算定: 挿入に伴う画像診断・検査費用を、誤って別立てで算定してしまう 類似加算との取り違え: D206側の心腔内超音波検査加算など、別区分の加算と混同してしまう
みらい(新人医療事務)
特に4つ目は、私も気をつけないと混乱しそうです。
あおい(元・医療事務)
加算の名前だけを見て判断せず、「どの区分番号(D207かD206か)に基づく加算か」を必ず条文で確認する、という習慣をつけておくと安心です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうなポイントをQ&A形式で聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
Q. カテーテルを使わずに心拍出量を測定した場合は、この加算の対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
A. 一次資料の範囲では、この加算はカテーテルを挿入して測定した場合を対象としています。カテーテルを使わない方法であれば、この加算の算定候補にはならないと考えられます。
みらい(新人医療事務)
Q. カテーテルを何度も交換して長期間モニタリングした場合、そのたびに1,300点を算定候補にできますか?
あおい(元・医療事務)
A. できないと考えられます。カテーテルの交換の有無にかかわらず一連として算定するとされており、加算そのものも「開始日に限り」となっているためです。
みらい(新人医療事務)
Q. 施設基準の届出をしていなくても算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
A. 当サイトが収集している資料の範囲では、この加算について個別の施設基準の届出は求められていません。ただし、実施の事実と記録が整っているかどうかの確認は必要です。
みらい(新人医療事務)
Q. 心腔内超音波検査加算と同じ加算ですか?
あおい(元・医療事務)
A. 別物です。心腔内超音波検査加算はD206心臓カテーテル法による諸検査の加算で、今回の心拍出量測定加算はD207体液量等測定の加算です。区分番号が異なるので、混同しないようにご注意ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。