みらい(新人医療事務)
先輩、検体検査の点数を見ていたら「免疫電気泳動法診断加算」という名前が出てきました。これはどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
検体検査判断料、区分番号D026の注7に規定されている加算ですよ。免疫電気泳動法や免疫固定法という検査を行って、その結果を専門の医師が文書で報告した場合に、判断料へ上乗せできる加算候補です。令和8年度(2026年度)時点で、加算点数は50点です。
みらい(新人医療事務)
「免疫電気泳動法」というのは、具体的にどんな検査なんですか?
あおい(元・医療事務)
医科点数表のD015「血漿蛋白免疫学的検査」という区分の中に、対象になる検査が3つ決められています。厚生労働省の医科点数表には「16 免疫電気泳動法(抗ヒト全血清)、インターロイキン-6(IL-6) 170点」「23 免疫電気泳動法(特異抗血清) 218点」「30 免疫固定法(抗悪性腫瘍剤に対する特異的抗体を用いた場合) 776点」と書かれています。この16・23・30のいずれかを行った場合が対象です。
みらい(新人医療事務)
なるほど、検査そのものの点数とは別に、報告のところで加算が乗る、というイメージですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。まず全体の点数構成を整理しておきましょう。
免疫電気泳動法診断加算とは(対象となる検査)
あおい(元・医療事務)
D026検体検査判断料の注7には、次のように規定されています。
根拠条文(D026検体検査判断料 注7)
「7 区分番号D015の16に掲げる免疫電気泳動法(抗ヒト全血清)、23に掲げる免疫電気泳動法(特異抗血清)又は30に掲げる免疫固定法(抗悪性腫瘍剤に対する特異的抗体を用いた場合)を行った場合に、当該検査に関する専門の知識を有する医師が、その結果を文書により報告した場合は、免疫電気泳動法診断加算として、50点を所定点数に加算する。」(厚生労働省 医科点数表)
みらい(新人医療事務)
「専門の知識を有する医師」というのがポイントなんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。単に検査を実施しただけでは対象になりません。検査結果(免疫電気泳動像)を判定し、文書の報告書を作成する医師について、一定の経験が求められています。

点数の整理(令和8年度)
あおい(元・医療事務)
対象となる検査と加算の点数は、令和8年度(2026年度)の医科点数表ベースで下の表のとおりです。
| 区分 | 内容 | 点数 |
|---|---|---|
| D015の16 | 免疫電気泳動法(抗ヒト全血清) | 170点 |
| D015の23 | 免疫電気泳動法(特異抗血清) | 218点 |
| D015の30 | 免疫固定法(抗悪性腫瘍剤に対する特異的抗体を用いた場合) | 776点 |
| D026注7 | 免疫電気泳動法診断加算(上記いずれかの結果を文書報告した場合) | +50点 |
みらい(新人医療事務)
D015の30番、776点ってかなり高い点数ですね。これは誰にでも使える検査なんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこは限定があります。留意事項通知には「『30』の免疫固定法(抗悪性腫瘍剤に対する特異的抗体を用いた場合)は、ダラツムマブ由来のIgG-κの影響を回避することができるものとして薬事承認又は認証を得ている体外診断用医薬品を用いて、免疫固定法により、ダラツムマブが投与された患者における多発性骨髄腫又は全身性ALアミロイドーシスの治療効果判定を目的として行った場合に算定する」と書かれています。つまり、この30番は特定の治療効果判定の場面に限られる検査で、対象患者かどうかをまず確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
対象がかなり限定されているんですね。うちのクリニックだと縁がないかもしれません。
あおい(元・医療事務)
一方で16番・23番の免疫電気泳動法は、M蛋白血症が疑われる患者さんの検査として比較的広く行われています。どの区分の検査を実施したかによって、加算の対象になるかどうかの入り口が変わってくる、と考えてください。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
この加算、届出とか施設基準は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算自体に個別の施設基準の届出は定められていません。ただし、「誰でも算定できる」という意味ではなく、算定できる医師の要件が定められています。留意事項通知には「『注7』に規定する免疫電気泳動法診断加算は、免疫電気泳動法の判定について少なくとも5年以上の経験を有する医師が、免疫電気泳動像を判定し、M蛋白血症等の診断に係る検査結果の報告書を作成した場合に算定する」とあります。
みらい(新人医療事務)
「5年以上の経験」というのは、届出とは別に、実際に判定する医師個人の経験年数を見ている、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。届出書類として提出する施設基準とは性質が違い、算定の都度、その報告書を作成した医師が要件を満たしているかを確認する形になります。対象となる医療機関の種別としては、診療所・病院、外来・入院のいずれも当サイトの整理では対象に含まれていますが、実際にこの検査(免疫電気泳動法・免疫固定法)を行い、報告書を作成できる体制があるかどうかがまず前提になります。
確認したいポイント
検査の実施: D015の16・23・30のいずれかを実際に行っているか 報告医師の経験: 免疫電気泳動法の判定について5年以上の経験を有する医師が判定しているか 文書報告: 判定結果を文書の報告書として作成しているか
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は不要、ということでいいんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算そのものに専用の届出様式は確認できていません。ただし、届出が不要だからといって、算定の条件がゆるいわけではない点には注意が必要です。医師の経験年数や報告書の作成という要件は、届出とは別に、算定のたびに満たしているかを確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
届出がない分、逆に「うっかり」が起きやすそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。届出がある加算は年に一度確認すれば済みますが、この加算は算定するたびに「報告書を作成した医師が要件を満たしているか」を意識する必要があります。ここは施設基準の確認というより、運用ルールの確認に近い加算だと考えるとわかりやすいと思います。
算定のタイミングと併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
同じ患者さんで16番と23番、両方の検査をした場合はどうなるんですか?両方に加算がつくんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
そこは注意が必要なところです。留意事項通知には、D015の16・23・30について「同一検体につき一回に限り算定する」「同一検体について『16』の免疫電気泳動法(抗ヒト全血清)、『23』の免疫電気泳動法(特異抗血清)又は『30』の免疫固定法(抗悪性腫瘍剤に対する特異的抗体を用いた場合)のうちいずれかを併せて行った場合は、主たる検査の所定点数のみを算定する」と定められています。
みらい(新人医療事務)
つまり、複数の検査を組み合わせても、検査の点数自体は「主たる検査」1つ分しか算定できない、ということですね。
あおい(元・医療事務)
はい。そして免疫電気泳動法診断加算そのものも、D026検体検査判断料の枠組みの中の加算なので、検体検査判断料(この場合は免疫学的検査判断料の区分)を算定していない月には、本加算だけを単独で算定することはできません。判断料の算定が前提になっている点も確認しておきたいところです。
みらい(新人医療事務)
23番の「特異抗血清」は、免疫固定法で実施した場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には「『23』の免疫電気泳動法(特異抗血清)は、免疫固定法により実施した場合にも算定できる」と書かれています。つまり、検査の手法として免疫固定法を用いた場合でも、23番として算定できる場合がある、ということです。この点も含めて、実際にどの区分で算定するかは、検査結果の報告書と一緒に確認する必要があります。
併算定の確認ポイント
D015の16・23・30は同一検体につき一回に限り算定され、複数を併せて行っても主たる検査の所定点数のみが算定対象になります。免疫電気泳動法診断加算も、検体検査判断料を算定していない月には単独で算定できません。自院のレセプトで重複算定になっていないか、確認が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(医科点数表・留意事項通知)の範囲では、免疫電気泳動法診断加算そのものの点数(50点)や算定要件について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚生労働省一次情報ベース)。
みらい(新人医療事務)
変更なし、と言い切ってしまってもいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
「言い切る」というより、「今回確認できた資料の範囲では変更が見当たらなかった」という言い方が正確です。改定のたびに、点数だけでなく施設基準や算定要件が細かく見直されることもあるので、気になる場合は自院が参照している最新の点数表・通知を実際に確認していただくのが確実です。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- D015の16(免疫電気泳動法・抗ヒト全血清)、23(免疫電気泳動法・特異抗血清)、30(免疫固定法)のいずれかを実施しているか確認する
- 検査結果(免疫電気泳動像)を判定する医師が、免疫電気泳動法の判定について5年以上の経験を有しているか確認する
- 判定結果を文書の報告書として作成しているか確認する
- 同一月に検体検査判断料(免疫学的検査判断料の区分)を算定しているか確認する
- 同一検体について複数の検査(16・23・30)を併せて行っていないか、重複算定がないか確認する

よくある取り漏れ
取り漏れが起きやすいパターン
報告書の作成の確認漏れ: 検査を実施していても、判定結果が文書の報告書として作成されていないと算定候補になりません。 判断料の算定確認漏れ: 免疫電気泳動法診断加算は検体検査判断料への上乗せなので、判断料自体を算定していないと加算だけを算定することはできません。 併算定の重複: 同一検体で複数の検査(16・23・30)を実施した場合、検査点数は主たる検査1つ分のみです。加算の対象になる検査がどれかも、あわせて確認しておく必要があります。
みらい(新人医療事務)
検査をやっただけで満足せず、「報告書」と「判断料」の両方まで確認する、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。検査自体は珍しいものではありませんが、加算の条件を満たしているかどうかは、報告書の作成体制まで見ないとわからない、という点を意識しておくとよいと思います。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
検査を外部の検査センターに委託している場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
検査の実施場所や委託の有無によって取り扱いが変わる可能性があるため、当サイトが収録している一次資料の範囲では一律にお答えすることはできません。委託検査を利用している場合は、報告書の作成者や算定要件について、審査支払機関や委託先とあわせて確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
免疫学的検査判断料を算定していない場合、この加算だけ単独で算定できますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知の記載を踏まえると、検体検査判断料を算定していない場合には、この加算のみを単独で算定することは想定されていません。まず判断料の算定状況を確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
5年以上の経験というのは、何か証明書のようなものが必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
経験年数の証明方法についての具体的な様式は、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認できていません。この点は審査支払機関への確認が必要な部分です。
関連する加算もあわせて確認
みらい(新人医療事務)
同じD026検体検査判断料の中には、ほかにも加算があるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。たとえば国際標準検査管理加算も、同じD026検体検査判断料の中で規定されている上乗せ型の加算候補です。対象になる要件は別のものですが、同じ判断料の枠組みで動いている加算として、あわせて確認しておくとレセプトの見通しがよくなります。
公式資料の根拠
みらい(新人医療事務)
この記事の内容は、どの資料をもとにしているんですか?
あおい(元・医療事務)
主に厚生労働省の医科点数表(D015血漿蛋白免疫学的検査・D026検体検査判断料)と、令和8年度診療報酬改定に関する留意事項通知を確認しています。点数や算定要件を確認したい場合は、以下の資料をご覧ください。
参照した公式資料
医科点数表(D015血漿蛋白免疫学的検査・D026検体検査判断料): https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(留意事項通知等の一覧ページ): https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00042.html
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。検査の実施状況や報告書の作成体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。