みらい(新人医療事務)
先輩、循環器内科のカルテを見ていたら「冠攣縮誘発薬物負荷試験加算」っていう聞き慣れない加算が出てきたんです。これって何の検査に付く加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
これはD206心臓カテーテル法による諸検査に関する加算の一つですよ。右心カテーテル検査や左心カテーテル検査を行う際に、冠攣縮誘発薬物負荷試験という検査を追加で実施した場合に、所定点数に上乗せする加算です。令和8年度(2026年度)の医科点数表でも同じ位置づけで設定されています。
みらい(新人医療事務)
冠攣縮誘発薬物負荷試験って、具体的にどんな検査なんですか?
あおい(元・医療事務)
名前のとおり、薬物を使って冠攣縮(冠動脈のけいれん)を誘発させて反応をみる負荷試験です。心臓カテーテル法による諸検査の一連の中で、この試験を行った場合にだけ算定候補になる加算、という位置づけです。当サイトが収録している一次資料の範囲では、検査の詳しい実施方法までは記載がないので、実施手技の詳細は循環器内科の担当医にご確認くださいね。
この加算の対象・位置づけ
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関が対象になるんですか? クリニックでも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
D206心臓カテーテル法による諸検査自体は、入院・外来を問わず、心臓カテーテル検査を実施できる医療機関であれば算定候補になり得ます。当サイトの整理では、この加算は病院・診療所どちらにも紐づく形で登録されていますが、実際に心臓カテーテル検査を行える体制(循環器の専門医・カテーテル室など)が前提になる点は変わりません。
みらい(新人医療事務)
対象患者の縛りみたいなものはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の該当条文には、対象患者を限定する記載は見当たりません。D206心臓カテーテル法による諸検査(右心カテーテルまたは左心カテーテル)を実施し、その中で冠攣縮誘発薬物負荷試験を行った患者、という実施内容ベースの要件です。年齢や疾患名での限定は確認できていないので、詳しくは主治医・循環器科と一緒に確認することをおすすめします。
点数・算定の仕組み
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はいくらなんですか?
あおい(元・医療事務)
冠攣縮誘発薬物負荷試験加算は800点です。厚生労働省の医科点数表(令和8年度)では、D206心臓カテーテル法による諸検査の「注2」として、この検査を含む9種類の追加検査に対する加算がまとめて規定されています。

みらい(新人医療事務)
他にも似たような加算がたくさんあるんですね。表にしてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。同じ「注2」に規定されている加算を並べると、こうなります。
| 実施した検査・手技 | 加算名 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 卵円孔・欠損孔を通しての左心カテーテル検査 | 卵円孔・欠損孔加算 | 800点 |
| 経中隔左心カテーテル検査(ブロッケンブロー) | ブロッケンブロー加算 | 2,000点 |
| 伝導機能検査 | 伝導機能検査加算 | 400点 |
| ヒス束心電図 | ヒス束心電図加算 | 400点 |
| 診断ペーシング | 診断ペーシング加算 | 400点 |
| 期外(早期)刺激法による測定・誘発試験 | 期外刺激法加算 | 800点 |
| 冠攣縮誘発薬物負荷試験 | 冠攣縮誘発薬物負荷試験加算 | 800点 |
| 冠動脈造影 | 冠動脈造影加算 | 1,400点 |
| ガイドワイヤを用いた冠微小循環の評価 | 冠微小循環評価加算 | 150点 |
あおい(元・医療事務)
このうち冠攣縮誘発薬物負荷試験加算が今回の主役ですね。基本部分の右心カテーテル(3,600点)または左心カテーテル(4,000点)に、この800点が上乗せされる形です。
みらい(新人医療事務)
基本の心臓カテーテル検査そのものにも点数があるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。D206の本体は「1 右心カテーテル 3,600点」「2 左心カテーテル 4,000点」で、冠攣縮誘発薬物負荷試験加算はあくまでその上乗せ分になります。カルテやレセプトを見るときは、本体の点数と加算の点数を分けて確認するとわかりやすいですよ。
算定単位の取り漏れに注意
D206の諸検査は「カテーテルの種類、挿入回数によらず一連として算定」する扱いです。同じ一連の検査の中で行った諸監視・血液ガス分析・心拍出量測定・造影剤使用撮影・エックス線診断などの費用は、すべて所定点数に含まれるとされています。これらを別立てで算定していないか、レセプトチェックの際に確認しておきたいポイントです。
併算定・回数制限の注意点
みらい(新人医療事務)
同時に色々な検査をしたときの回数制限とかってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、ここは特に注意が必要なところです。一次資料には「右心カテーテル及び左心カテーテルを同時に行った場合であっても、注1・注2・注3・注4及び注5の加算は1回のみに限られる」という規定があります。冠攣縮誘発薬物負荷試験加算は注2に含まれるので、この「1回のみ」ルールの対象になります。
みらい(新人医療事務)
つまり、右心と左心を両方やっても、加算はダブルで取れないってことですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。同一の一連検査の中で右心カテーテルと左心カテーテルを両方実施しても、冠攣縮誘発薬物負荷試験加算を含む注1〜注5の加算はまとめて1回しか算定候補になりません。実施した検査ごとに二重で計上していないか、確認が必要です。
注3〜注6の月1回制限との違いに注意
一次資料には別途「注3・注4・注5及び注6に掲げる加算は、主たる加算を患者1人につき月1回に限り算定する」という規定もあります。ただしこちらは注3〜注6が対象で、今回の冠攣縮誘発薬物負荷試験加算(注2)を直接指定したものではありません。注2グループと注3〜6グループでは適用されるルールが異なるため、混同しないよう自院のレセプト担当者・審査支払機関に確認することをおすすめします。
施設基準・届出の確認
みらい(新人医療事務)
この加算を取るのに、施設基準の届出とか必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している登録情報の範囲では、冠攣縮誘発薬物負荷試験加算そのものに個別の施設基準・届出は設定されていません。D206心臓カテーテル法による諸検査を実施できる体制(カテーテル検査そのものの実施体制)があることが前提になります。
みらい(新人医療事務)
じゃあ届出なしでいきなり算定候補になるってことですか?
あおい(元・医療事務)
そう言い切るのは早いです。届出の要否は加算単体だけでなく、心臓カテーテル検査を行う保険医療機関としての体制・施設基準の充足状況とあわせて確認する必要があります。「届出なしで問題ない」と断定するのではなく、自院の届出状況を必ず確認したうえで判断してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、この加算に変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
気になるところですよね。当サイトが収録している令和8年度の一次資料を確認した限りでは、冠攣縮誘発薬物負荷試験加算の点数(800点)や、D206注2に列挙される加算の構成について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・当サイト収録の一次資料ベース)。
改定確認のポイント
点数が変わっていなくても、算定要件や併算定ルールだけが改定で見直されるケースもあります。今回のように「点数は据え置き」と見える場合でも、注1〜注6の併算定制限のような周辺ルールに変更がないか、改定のたびに一次資料で確認する習慣をつけておくと安心です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの医療機関で算定候補になるか確認するとき、どういう順番で見ればいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな流れで確認するとスムーズですよ。
自院で確認する順番
- D206心臓カテーテル法による諸検査(右心カテーテルまたは左心カテーテル)を実施したかを確認する
- その一連の検査の中で、冠攣縮誘発薬物負荷試験を実施したかをカルテ・検査記録で確認する
- 右心・左心カテーテルを同時に実施した場合、注1〜注5の加算をすでに他の項目で計上していないか確認する
- 診療録・レセプトへの記録が実施内容と一致しているかを確認する
- 自院の届出状況・体制を踏まえ、算定候補として整理する

みらい(新人医療事務)
この順番で見ていけば、取り漏れも防げそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に注2グループは9種類も加算が並んでいるので、実施した検査と加算の対応関係を1つずつ照合するのがポイントです。
よくある取り漏れ
D206本体の点数と混同していないか
冠攣縮誘発薬物負荷試験加算(800点)は、あくまでD206本体(右心カテーテル3,600点・左心カテーテル4,000点)への上乗せです。加算だけを単独で算定していたり、逆に本体点数に含めて別立てで請求していないか、レセプト作成時に確認しておきたいところです。
一連検査に含まれる費用の重複請求
諸監視・血液ガス分析・心拍出量測定・脈圧測定・肺血流量測定・透視・造影剤注入手技・造影剤使用撮影・エックス線診断の費用は、一次資料上、すべて所定点数に含まれる扱いとされています。これらを別項目で重ねて算定していないか、あわせて確認しておくと安心です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、素朴な疑問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
冠攣縮誘発薬物負荷試験を外来で実施した場合でも、この加算は算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
D206心臓カテーテル法による諸検査自体は入院・外来のどちらでも実施され得る検査です。当サイトの登録情報でも入院・外来どちらにも紐づいていますが、実際に実施したかどうか、記録が残っているかどうかが確認のポイントになります。個別の実施場面については自院の診療体制で確認してください。
みらい(新人医療事務)
冠動脈造影加算と一緒に算定候補になることはありますか?
あおい(元・医療事務)
冠動脈造影加算も同じ注2グループの加算です。同一の一連検査の中でそれぞれの検査を実施していれば、それぞれの加算が算定候補になり得ますが、右心・左心カテーテルを同時に実施した場合は注1〜注5の加算がまとめて1回のみという制限があるため、この点は必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
ありがとうございます、だいぶ整理できました。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。実施した検査内容や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。