みらい(新人医療事務)
先輩、循環器内科のレセプトで「血管内近赤外線分光法検査加算」っていう項目を見つけたんですけど、これって何をした時に付く加算なんですか? 名前が長くて全然イメージが湧かなくて…。
あおい(元・医療事務)
これは心臓カテーテル検査の中で、冠動脈(心臓を養う血管)の中にプローブを入れて、血管の壁にどんな性質のプラーク(脂質などの沈着物)があるかを近赤外線で調べる特殊な検査に対する加算ですよ。区分番号でいうと「D206 心臓カテーテル法による諸検査」の注3に位置づけられています。令和8年度の点数表でも、この位置づけ自体は変わっていません。
みらい(新人医療事務)
カテーテル検査そのものとは別に、追加で点数が付くってことですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。心臓カテーテル法による諸検査の所定点数に、この検査を行った分を上乗せする「加算」という扱いです。まずは基本の情報から一緒に整理していきましょう。
この加算はどんな時に対象になるの?
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんに、どんな場面で使われる検査なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(医科点数表 別表第一)では、「3 血管内超音波検査、血管内光断層撮影又は血管内近赤外線分光法検査を実施した場合は、血管内超音波検査加算、血管内光断層撮影加算又は血管内近赤外線分光法検査加算として、400点を所定点数に加算する。」と定められています。
みらい(新人医療事務)
つまり「血管内近赤外線分光法検査」という検査を、心臓カテーテル法による諸検査の一環として実施した場合に、400点が上乗せされるということですね。
あおい(元・医療事務)
はい。当サイトが収録している一次資料の範囲では、この検査は主に急性冠症候群や慢性冠症候群の患者さんで、プラークの性質を詳しく評価する必要がある場面で使われる想定になっています。対象となる患者の条件は、次のセクションでもう少し詳しく確認しましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 加算名 | 血管内近赤外線分光法検査加算 |
| 区分 | D206 心臓カテーテル法による諸検査 注3 |
| 対象医療機関 | 診療所・病院(外来・入院とも) |
| 在宅 | 対象外(当サイトの整理では) |
| 年度 | 令和8年度(2026年度) |

点数と算定の仕組み(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数のところ、もう少し詳しく教えてください。似たような名前の加算がいくつかありますよね?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。心臓カテーテル法による諸検査の注3には、同じグループの検査として3つ並んでいます。名前は似ていますが、それぞれ別の検査手法です。
| 加算名 | 検査手法 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 血管内超音波検査加算 | 超音波(IVUS) | 400点 |
| 血管内光断層撮影加算 | 光干渉断層法(OCT) | 400点 |
| 血管内近赤外線分光法検査加算 | 近赤外線分光法(NIRS) | 400点 |
みらい(新人医療事務)
点数はどれも同じ400点なんですね。じゃあ3つ全部やったら1,200点もらえるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこが今日いちばん確認してほしいポイントです。次の項目でしっかり説明しますね。
点数は同じでも算定できるのは基本1つ
血管内超音波検査・血管内光断層撮影・血管内近赤外線分光法検査は、名称は違っても「D206の注3」という同じ枠の加算です。点数の大きさだけを見て複数算定できると誤解しないよう注意しましょう。
対象となる患者の条件(適正使用指針)
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんなら算定候補になるんですか? 誰にでも使える検査ではなさそうですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。当サイトが収録している資料の範囲では、算定要件として「『注3』に掲げる血管内近赤外線分光法検査加算は、急性冠症候群であって罹患枝を2つ以上有する患者又は慢性冠症候群であって罹患枝を2つ以上有し、かつ糖尿病、慢性腎臓病、高コレステロール血症のうちいずれか2つ以上を満たす患者に対し、関連学会の定める適正使用指針を遵守し、血管内近赤外線分光法検査を行った場合に算定する。」と整理されています。
みらい(新人医療事務)
急性冠症候群と慢性冠症候群、それぞれ条件が違うんですね。整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、表にすると分かりやすいと思います。
| 病態 | 罹患枝の条件 | 追加で必要な条件 |
|---|---|---|
| 急性冠症候群 | 罹患枝2つ以上 | なし |
| 慢性冠症候群 | 罹患枝2つ以上 | 糖尿病・慢性腎臓病・高コレステロール血症のうち2つ以上 |
みらい(新人医療事務)
慢性冠症候群のほうが、条件が一段階多いんですね。うっかり急性冠症候群と同じ基準で考えてしまいそうです。
あおい(元・医療事務)
そこは取り違えやすいポイントですね。それから、どちらの病態であっても「関連学会の定める適正使用指針を遵守して行った場合」という条件も外せません。指針の遵守状況は、資料からは自院の運用状況までは判断できないので、算定候補になるかどうかは自院で確認が必要です。
患者条件の判定はAIが行いません
急性冠症候群・慢性冠症候群のどちらに該当するか、罹患枝の数、併存疾患の有無といった臨床的な判断は、資料の文言を機械的に整理しているだけでは確定できません。実際の算定候補になるかどうかは、担当医の診断と自院での確認が必要です。
同時に行う検査との併算定に注意
みらい(新人医療事務)
さっき「3つ同時にはできない」っておっしゃってましたけど、具体的にはどういうルールなんですか?
あおい(元・医療事務)
医科点数表の別表(D206心臓カテーテル法による諸検査の一連の検査について)に、「7 同一月中に血管内超音波検査、血管内光断層撮影、血管内近赤外線分光法検査、冠動脈血流予備能測定検査及び血管内視鏡検査のうち、2以上の検査を行った場合には、主たる検査の点数を算定する。」と明記されています。
みらい(新人医療事務)
「主たる検査の点数を算定する」ということは、複数の検査を行っても、点数が付くのは1つ分だけということですか?
あおい(元・医療事務)
はい、当サイトが収録している一次資料の範囲ではそう読み取れます。血管内超音波検査・血管内光断層撮影・血管内近赤外線分光法検査に加えて、冠動脈血流予備能測定検査、血管内視鏡検査まで含めた5種類のうち、同じ月に2つ以上を実施した場合は、いちばん点数の高い(主たる)検査の分だけを算定する、という整理になります。
みらい(新人医療事務)
月をまたげば、また算定できる可能性があるということですか?
あおい(元・医療事務)
患者1人につき月1回という回数の考え方が基本になりますが、月をまたいだ場合の取り扱いも含めて、レセプトへの反映は自院のレセプトコンピュータの設定や審査支払機関の判断を必ず確認してください。この記事だけで「今回は算定できる」と断定することはできません。
併算定は「主たる検査のみ」が原則
血管内超音波検査加算・血管内光断層撮影加算・血管内近赤外線分光法検査加算・冠動脈血流予備能測定検査加算・血管内視鏡検査加算のうち、同一月に2つ以上を実施した場合は主たる検査の点数のみの算定です。3つとも算定できるという誤解に注意しましょう。

届出は必要?
みらい(新人医療事務)
この加算、届出とか施設基準はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録しているデータでは、この加算自体に個別の施設基準の届出は求められていません。ただし、これは「何もしなくていい」という意味ではありません。
みらい(新人医療事務)
どういうことですか?
あおい(元・医療事務)
算定要件の中に「関連学会の定める適正使用指針を遵守し」という条件が含まれているからです。届出という手続きは不要でも、指針に沿った運用ができているかどうかは自院で確認しておく必要があります。届出の要否と、実際に運用面で満たすべき条件は別の話として捉えてくださいね。
届出不要 = 何もしなくていい、ではない
施設基準の届出が不要であっても、対象患者の条件や適正使用指針の遵守は必須です。「届出がいらないから確認は不要」と考えず、算定のたびに条件を満たしているか確認する運用にしておくと安心です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの医院やクリニックで確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のようなステップで確認していくと整理しやすいと思います。
自院で確認する順番
- 心臓カテーテル法による諸検査(D206)を実施しているか確認する
- 実施した検査が血管内近赤外線分光法検査(NIRS)に該当するか確認する
- 患者が急性冠症候群(罹患枝2つ以上)か、慢性冠症候群(罹患枝2つ以上+糖尿病・慢性腎臓病・高コレステロール血症のうち2つ以上)に該当するか、担当医と確認する
- 関連学会の定める適正使用指針に沿って実施されているか確認する
- 同一月中に血管内超音波検査・血管内光断層撮影・冠動脈血流予備能測定検査・血管内視鏡検査を併せて行っていないか確認する
- 上記を満たしていれば算定候補として、最終確認を院内のレセプト担当者・審査支払機関との間で行う
みらい(新人医療事務)
こうやって順番に見ていくと、思ったより整理しやすいですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に3番目の患者条件の判定と、5番目の併算定チェックは見落としやすいので、この2つは必ずセットで確認する習慣をつけておくといいと思います。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実際の現場で起きやすい取り漏れって、どんなパターンがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか整理してみますね。
よくある取り漏れ・誤解のパターン
血管内超音波検査(IVUS)や血管内光断層撮影(OCT)と同時に実施したのに、3つとも別々に算定しようとしてしまうケース。慢性冠症候群の患者で、罹患枝2つ以上という条件だけを確認し、糖尿病・慢性腎臓病・高コレステロール血症の条件確認を忘れてしまうケース。届出が不要なことから、適正使用指針の遵守状況の確認自体を省略してしまうケース。いずれも、算定候補にできるはずのケースを見送ってしまう、あるいは逆に条件を満たさないまま算定してしまうリスクにつながります。
みらい(新人医療事務)
どちらの方向にもリスクがあるんですね。取りこぼしも、逆に取りすぎも。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。だからこそ、患者条件・併算定ルール・適正使用指針の3点は、算定のたびにチェックリストのように確認するのがおすすめです。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の令和6年度改定から何か変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの主な変更は確認されていません(2026年7月確認・当サイトが収録している一次資料の範囲では)。血管内近赤外線分光法検査加算の点数(400点)、対象患者の条件、併算定の考え方について、令和8年度の資料の中で変更を示す記載は見当たりませんでした。
みらい(新人医療事務)
変わっていない、というのも大事な情報ですね。
あおい(元・医療事務)
はい。「変わっていないはず」と思い込むのではなく、確認した結果として変更が見当たらなかった、という形で記録しておくことが大切です。今後の改定で変更が入る可能性もあるので、算定の都度、最新の一次資料を確認する習慣は続けてくださいね。
改定差分は点数だけでなく施設基準・要件もセットで確認
点数が据え置きでも、対象患者の範囲や施設基準・記録要件だけが変更されている改定もあります。血管内近赤外線分光法検査加算についても、点数だけでなく算定要件の文言まで一次資料で確認するようにしましょう。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
似たような検査加算がいくつもあって混乱するので、最後にいくつか質問させてください。血管内超音波検査加算と同時に算定できないんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。同一月中に血管内超音波検査・血管内光断層撮影・血管内近赤外線分光法検査・冠動脈血流予備能測定検査・血管内視鏡検査のうち2つ以上を実施した場合は、主たる検査の点数のみの算定になります。3つとも別々に積み上げて算定することはできません。
みらい(新人医療事務)
届出をしていないクリニックでも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録しているデータの範囲では、この加算そのものに個別の施設基準の届出は求められていません。ただし、対象患者の条件や適正使用指針の遵守は必要になるため、届出の有無だけでなく実施内容全体を確認してください。
みらい(新人医療事務)
慢性冠症候群の患者さんで、罹患枝が1つだけの場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
資料の文言では、慢性冠症候群の場合も「罹患枝を2つ以上有し」という条件が明記されています。罹患枝が1つの場合は、この加算の対象外の可能性があります。個別の患者さんの状態については、担当医と自院で確認してください。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省の公式資料を根拠としています。点数・対象患者の条件・併算定の取り扱いなど、詳細は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚生労働省公式・令和8年度)
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf(D206心臓カテーテル法による諸検査 一連の検査について) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html(厚生労働省 令和8年度診療報酬改定関連ページ)
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者の条件や併算定の状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する加算として、ブロッケンブロー加算や心腔内超音波検査加算、冠微小循環評価加算もあわせて確認しておくと、心臓カテーテル法による諸検査まわりの加算を一通り整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。