みらい(新人医療事務)
先輩、循環器内科の外来からMRIのオーダーが増えてきたんですけど、レセプトに「心臓MRI撮影加算」って項目があるのを見つけました。これって普通のMRIの検査とは別に算定できるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。E202「磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)」という基本項目に対して、心臓や冠動脈を撮影したときだけ上乗せできる加算のひとつなんですよ。ただし、誰でもすぐ算定候補になるわけではなくて、装置の性能や施設基準の届出が条件になっています。まずは全体像から一緒に確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
お願いします。まず、この加算はどんな場面で出てくるものなんですか?
心臓MRI撮影加算とは
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の医科点数表では、E202 磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)の「注4」として、心臓MRI撮影加算が定められています。条文には次のように書かれています。
告示の条文(E202 注4)
心臓MRI撮影加算の根拠: 「MRI撮影について、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、心臓のMRI撮影を行った場合は、心臓MRI撮影加算として、400点を所定点数に加算する。」(令和8年度診療報酬点数表 告示 E202注4)
みらい(新人医療事務)
つまり、MRI撮影そのものの点数に、心臓を撮ったときだけ400点をプラスできる、というイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。ただし「心臓を撮ったから即算定候補」ではなく、施設基準への適合と届出が前提になっている点は忘れないでくださいね。届出をしていない医療機関では、心臓のMRI撮影自体は行っていても、この加算は算定候補になりません。
対象となるMRI撮影の範囲(1.5テスラ以上・心臓又は冠動脈の描出)
みらい(新人医療事務)
「心臓のMRI撮影」って、具体的にどこまでが対象になるんでしょうか。装置のスペックとか関係ありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、そこは留意事項通知で範囲が明確にされています。原文はこうです。
留意事項通知の条文
対象範囲の限定: 「『注4』に規定する心臓MRI撮影加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、1.5テスラ以上のMRI装置を使用して心臓又は冠動脈を描出した場合に限り算定する。」(医科点数表の解釈 E202関連通知)
あおい(元・医療事務)
つまり心臓MRI撮影加算の対象になるのは、①施設基準に適合し届出済みであること、②1.5テスラ以上のMRI装置を使用していること、③心臓又は冠動脈を描出する撮影であること、この3点がそろった場合に限られます。1.5テスラ未満の装置での撮影や、心臓・冠動脈以外の部位を目的とした撮影では、算定候補にならない可能性が高いです。
みらい(新人医療事務)
なるほど、テスラ数と撮影部位の両方を確認しないといけないんですね。
点数のしくみ(E202基本点数+心臓MRI撮影加算400点)
あおい(元・医療事務)
心臓MRI撮影加算は、E202の基本点数に上乗せする加算です。まずE202自体の基本点数体系を確認しておきましょう。令和8年度の告示ではこう定められています。
| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 1 | 3テスラ以上の機器による場合(イ:共同利用施設) | 1,720点 |
| 1 | 3テスラ以上の機器による場合(ロ:その他) | 1,700点 |
| 2 | 1.5テスラ以上3テスラ未満の機器による場合 | 1,330点 |
| 3 | 1・2以外の場合 | 900点 |
| 注4 | 心臓MRI撮影加算(施設基準届出医療機関・1.5テスラ以上で心臓又は冠動脈を描出) | +400点 |
みらい(新人医療事務)
基本点数に、心臓を撮った場合だけ400点が足し算される、という理解で合っていますか?
あおい(元・医療事務)
合っています。たとえば1.5テスラ以上3テスラ未満の装置で心臓のMRI撮影を行い、施設基準の届出があれば「1,330点+400点」という組み立てが算定候補になります。ただし、実際の点数は撮影内容や造影剤使用の有無などでも変わるので、最終的な明細は自院のレセプトコンピューターと届出内容で確認してくださいね。同じE202の中には、肝疾患を対象にした 肝エラストグラフィ加算 や、手術中のMRI撮影を対象にした 術中MRI撮影加算 のように、目的別の加算がほかにもあります。自院で複数のMRI関連加算に該当しそうな場合は、それぞれの要件を個別に確認してくださいね。

施設基準・届出(要届出)
みらい(新人医療事務)
この加算は「要届出」ってDBにも書いてあったんですが、届出をしていないとどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
届出をしていない医療機関では、心臓MRI撮影加算は算定候補になりません。条文にも「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において」という前提が明記されています。つまり、施設基準を満たしているだけでは足りず、地方厚生(支)局への届出が完了していることが条件です。
断定はできません
自院がこの加算の施設基準を満たしているか、届出が受理されているかどうかは、当サイトの情報だけでは判定できません。施設基準の充足状況・届出の有無は、必ず自院の届出書類や地方厚生(支)局への確認をお願いします。
みらい(新人医療事務)
装置が1.5テスラ以上あって、循環器の医師がいれば自動的に対象になる、というわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。装置のスペックは条件のひとつにすぎず、施設基準への適合と届出の受理という手続き面が別途必要になります。「装置があるから確認が必要」であって、「装置があるから算定できる」とは言えない、という順番で考えるのがポイントです。
MRI対応型の心臓植込みデバイス患者への留意事項
みらい(新人医療事務)
心臓のMRIというと、ペースメーカーを入れている患者さんの検査も気になります。何か特別な注意点はありますか?
あおい(元・医療事務)
これは心臓MRI撮影加算そのものの算定要件ではなく、E202全体(MRI撮影一般)に関わる留意事項なのですが、心臓に関わる撮影という文脈で知っておくとよい内容です。留意事項通知にはこうあります。
MRI対応型植込みデバイス患者への留意事項(E202全体の規定)
運用指針の遵守: 「MRI対応型ペースメーカー、MRI対応型植込型除細動器又はMRI対応型両室ペーシング機能付き植込型除細動器を植え込んだ患者に対してMRI撮影を行う場合、別に厚生労働大臣が定める施設基準に加えて、日本医学放射線学会、日本磁気共鳴医学会、日本不整脈心電学会が定める『心臓植込みデバイス患者のMRI検査に関する運用指針』を満たす保険医療機関で行うこと。」(医科点数表の解釈 E202関連通知)
カードの確認: 「MRI対応型ペースメーカー、MRI対応型植込型除細動器又はMRI対応型両室ペーシング機能付き植込型除細動器を植え込んだ患者に対してMRI撮影を行う場合は、患者が携帯している当該機器を植え込んでいることを示すカードを確認し、そのカードの写しを診療録等に添付すること。」(医科点数表の解釈 E202関連通知)
あおい(元・医療事務)
この規定の主語は「MRI対応型ペースメーカー等を植え込んだ患者にMRI撮影を行う場合」であって、心臓MRI撮影加算(注4)そのものの算定要件を上書きするものではありません。ただし、心臓のMRI撮影を行う患者には植込みデバイスがあるケースも想定されるため、該当する場合は運用指針への適合とカード確認・写しの添付も別途必要になる、という位置づけで理解しておくとよいと思います。
みらい(新人医療事務)
加算の要件とは別に、対象患者によってはもう一段階チェックが増える、ということですね。

令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、令和8年度の改定で何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集した一次資料(令和8年度の告示・留意事項通知)の範囲では、心臓MRI撮影加算の点数(400点)や、1.5テスラ以上の装置で心臓又は冠動脈を描出した場合に限るという対象範囲、施設基準への適合・届出という要件に、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省告示ベース)。
改定差分の確認範囲について
上記は当サイトが収集した令和8年度の一次資料と、現行の告示条文を突き合わせた結果です。すべての経過措置や個別通知まで完全に照合したものではないため、正確な異同は自院の届出内容と最新の官報・通知でも確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちで算定候補になるかどうか、どんな順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で見ていくと整理しやすいですよ。
自院で確認する順番
1.5テスラ以上のMRI装置を保有しているか確認する 撮影目的が心臓又は冠動脈の描出にあたるか確認する MRI撮影に関する施設基準に適合しているか確認する 地方厚生(支)局への届出が受理済みか確認する 植込み型の心臓デバイスがある患者では運用指針への適合とカード確認も行う
みらい(新人医療事務)
装置の性能→撮影目的→施設基準→届出、の順にチェックすればいいんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。順番を間違えると、装置があるからと先に算定候補と思い込んでしまうケースがあるので注意してください。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場で取り漏れになりやすいポイントってありますか?
取り漏れの例
装置スペックの未確認: 1.5テスラ未満の装置で撮影しているのに、心臓MRIとして加算を算定してしまっているケース。 届出の未確認: 施設基準を満たしていると思い込んでいても、実際には届出が完了していないケース。 撮影目的の記録不足: 心臓又は冠動脈を描出する撮影であることが診療録上で明確でないケース。
装置があっても対象外の可能性
1.5テスラ以上のMRI装置を保有していても、施設基準の届出が済んでいない、あるいは撮影目的が心臓・冠動脈の描出にあたらない場合は、対象外の可能性があります。装置の保有だけで算定候補と判断しないよう注意してください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか? まず、心臓MRI撮影加算は診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
施設の類型(診療所・病院)そのものよりも、1.5テスラ以上のMRI装置の保有と、施設基準への適合・届出があるかどうかがポイントです。診療所であっても要件を満たし届出済みであれば算定候補になりますし、病院であっても届出が無ければ算定候補になりません。
みらい(新人医療事務)
造影剤を使った場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
造影剤使用は心臓MRI撮影加算とは別枠の話です。E202には造影剤使用加算に関する規定もありますが、本記事では心臓MRI撮影加算そのものの範囲に絞って解説しています。造影剤関連の加算の可否は別途、自院の算定内容に沿って確認をお願いします。
みらい(新人医療事務)
冠動脈だけを撮影した場合でも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では「心臓又は冠動脈を描出した場合」とされているので、冠動脈の描出も対象に含まれます。ただし装置のテスラ数や施設基準の届出という前提条件は同じく必要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。