みらい(新人医療事務)
循環器内科の先生から「うちも冠動脈のCT撮影加算を届け出たい」って相談があったんですけど、正直よく分かっていなくて…。これって何の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
冠動脈CT撮影加算のことですね。令和8年度の医科診療報酬点数表では、E200コンピューター断層撮影(CT撮影)の注4に規定されている加算です。施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、冠動脈のCT撮影を行った場合に、所定点数へ600点を加算する仕組みになっています。
みらい(新人医療事務)
600点、結構大きいですね。うちのクリニックでも算定候補になるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
条件がいくつか重なっているので、順番に確認していきましょう。まず大前提として、この加算は128列以上のマルチスライス型、または64列以上128列未満のマルチスライス型のCT装置を使用し、冠動脈を撮影した上で三次元画像処理を行った場合に限り算定できる、と留意事項通知に明記されています。装置のスペックが要件を満たしていないと、この時点で算定候補から外れます。
対象になるのはどんな医療機関?
みらい(新人医療事務)
病院じゃないとダメ、みたいな縛りはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
病院か診療所かという区分自体は決め手ではありません。ポイントは「施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関」であることです。届出をしていない医療機関では、装置の性能を満たしていても算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
じゃあ届出さえすれば、どんな患者さんでも算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこがもう一段のポイントです。冠動脈CT撮影加算は、留意事項通知で「以下のアからオまでの場合」に該当することが条件として示されています。次の章で詳しく見ていきましょう。

対象になる患者・場面はどう決まっている?
みらい(新人医療事務)
「アからオまで」って、具体的にはどんな内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に列挙されている5つの類型です。要約すると次のとおりです。
| 区分 | 対象となる場面(留意事項通知の要件) |
|---|---|
| ア | 諸種の原因による冠動脈の構造的・解剖学的異常(超音波検査等の所見から疑われた場合に限る) |
| イ | 急性冠症候群(血液検査や心電図検査等により治療の緊急性が高いと判断された場合に限る) |
| ウ | 狭心症(定量的負荷心電図又は負荷心エコー法により機能的虚血が確認された場合、又はその確認が困難な場合に限る) |
| エ | 狭心症等が疑われ、冠動脈疾患のリスク因子(糖尿病、高血圧、脂質異常症、喫煙等)が認められる場合 |
| オ | その他、冠動脈CT撮影が医学的に必要と認められる場合 |
みらい(新人医療事務)
「オ」だけちょっと広い感じがしますね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。ただし通知では「オに該当する場合は、その詳細な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること」と明記されています。アからエのように具体的な検査所見が示されていない分、記録の丁寧さがより求められる区分だと考えられます。
二値で判断しないための注意
「うちは循環器の専門外だから対象外」と決めつけるのは早計です。対象になるかどうかは診療科名ではなく、患者の病態(ア〜オのいずれか)と装置要件・施設基準の充足で決まります。逆に、これらの条件が確認できない場合は、届出があっても算定候補と言い切れず、要確認として扱うのが安全です。
点数とCT装置の要件を整理する
みらい(新人医療事務)
点数の全体像がまだつかめていません。ベースのCT撮影の点数と、加算の600点はどう組み合わさるんですか?
あおい(元・医療事務)
E200コンピューター断層撮影の所定点数に、冠動脈CT撮影加算600点を上乗せするイメージです。ベースのCT撮影は装置の列数によって点数が分かれています。
| 区分 | CT装置の列数 | 所定点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| イ | 128列以上のマルチスライス型 | 共同利用施設1,120点/その他1,100点 |
| ロ | 64列以上128列未満のマルチスライス型 | 共同利用施設1,020点/その他1,000点 |
| ハ | 16列以上64列未満のマルチスライス型 | 900点 |
| ニ | 4列以上16列未満のマルチスライス型 | 750点 |
| ホ | イからニまで以外 | 560点 |
みらい(新人医療事務)
冠動脈CT撮影加算が乗るのは、どの区分でもいいんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこが誤解しやすいところです。留意事項通知では「128列以上のマルチスライス型又は64列以上128列未満のマルチスライス型のCT装置を使用し」と限定されています。つまり表のイとロに当たる装置での撮影に限られ、ハ・ニ・ホの装置では、たとえ冠動脈を撮影しても加算の対象にはならない可能性が高いということです。
よくある取り漏れ
「うちのCTは64列だから対象内」と早合点して、64列未満(ハ・ニ・ホ)の装置で申請してしまうケースです。列数の証跡(機器の仕様書・納品書等)を届出資料として確認しておくと、後から施設基準の適合性を問われたときにも安心です。
施設基準・届出で確認しておきたいこと
みらい(新人医療事務)
届出の中身についても教えてください。
あおい(元・医療事務)
冠動脈CT撮影加算は「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関」であることが条件です。この施設基準への適合と届出は、ベースのCT撮影(イ〜ニの区分)自体の施設基準届出とは別に、冠動脈CT撮影加算そのものについても求められている点に注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
記録面で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
あります。留意事項通知では「その医学的根拠について診療報酬明細書の摘要欄に該当項目を記載すること」とされています。アからオのどれに該当するかを明細書に残しておく必要がある、ということですね。先ほど触れたとおり、オに該当する場合はさらに詳細な理由の記載が求められます。
届出書類は定期的に見直す
施設基準の届出は一度出したら終わりではありません。CT装置の入れ替えや保守で列数・機種が変わった場合は、届出内容とのずれが生じていないか、定期的に見直しておくと安心です。
算定時に注意したい併算定・同時実施のルール
みらい(新人医療事務)
ほかの加算と一緒に算定するときの注意点はありますか?
あおい(元・医療事務)
同じE200の中に、造影剤使用加算(500点)という別の注加算もあります。これは造影剤を使用した場合の加算で、冠動脈CT撮影加算とは規定されている条文(注3と注4)が異なる、別の加算です。名前が似ている加算をまとめて考えてしまうと混同しやすいので、注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
同じ日に何度もCTを撮ったらどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
通則で「CT撮影及び脳槽CT撮影(造影を含む。)に掲げる撮影のうち2以上のものを同時に行った場合にあっては、主たる撮影の所定点数のみにより算定する」とされています。複数の撮影をまとめて行った場合は、主たる撮影分のみの算定になる可能性がある、という点は覚えておきたいところです。
併算定除外の確認は自院の算定システムでも
条文上の除外・注意点をここで紹介していますが、実際のレセプト作成では自院のレセプトコンピューターの設定や審査機関の運用によっても扱いが変わることがあります。最終的な併算定の可否は、自院のレセプト担当者・審査支払機関への確認が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定から変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの変更点について、当サイトが確認した一次資料(診療報酬の算定方法の一部を改正する件〈令和8年厚生労働省告示第69号〉別表第一、及び関連の留意事項通知)の範囲では、点数(600点)・対象患者類型(ア〜オ)・施設基準の考え方に関する変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。今後の官報告示・通知の追加によって変わる可能性はあるため、届出前には最新の一次資料も確認しておくと安心です。

自院で確認する順番
自院で確認する順番
自院のCT装置が128列以上、または64列以上128列未満のマルチスライス型か確認する 冠動脈CT撮影加算に関する施設基準の届出状況を確認する 対象患者がア〜オのいずれかの場面に該当するか、検査所見とあわせて確認する 冠動脈を撮影した上で三次元画像処理を行っているか確認する 診療報酬明細書の摘要欄に医学的根拠(該当区分、オの場合は詳細な理由)を記載しているか確認する
みらい(新人医療事務)
順番に見ていくと分かりやすいです。ほかにも近い加算があれば知っておきたいです。
あおい(元・医療事務)
同じ画像診断加算のカテゴリでは、時間外緊急院内画像診断加算のような記事も公開しています。届出の考え方や摘要欄記載など、共通する確認ポイントも多いので、あわせて見ておくと自院の届出状況の棚卸しがしやすくなりますよ。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうな質問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
診療所でも冠動脈CT撮影加算は算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
診療所か病院かではなく、施設基準の届出・CT装置の列数(128列以上又は64列以上128列未満)・対象患者類型(ア〜オ)の3点で判断されます。この3点を満たしていれば、診療所でも算定候補になり得ますし、満たしていなければ病院でも対象外の可能性があります。
みらい(新人医療事務)
造影剤を使わずに冠動脈CT撮影加算だけ算定することはできますか?
あおい(元・医療事務)
冠動脈CT撮影加算そのものは、留意事項通知上「造影剤の使用」を直接の算定要件とはしていません。ただし三次元画像処理を伴う冠動脈評価という性質上、実際の撮影方法をどう組み立てるかは医学的判断によります。この点は自院の読影・撮影プロトコルとあわせて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出をしていない場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、施設基準に適合し届け出た保険医療機関であることが条件として明記されています。届出をしていない場合は、条件を満たしていない状態になるため、算定は難しい可能性が高いと考えられます。届出状況が不明な場合は、まず自院の届出書類を確認するところから始めるのがおすすめです。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。CT装置の列数や施設基準の届出状況、対象患者の場面を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。