みらい(新人医療事務)
先生、レセプトの画像診断の欄に「新生児頭部外傷撮影加算」という項目があったんですけど、これってどんな加算なんですか? NICUや産科のある病院だと出てきそうな気がします。
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。新生児頭部外傷撮影加算は、令和8年度(2026年度)の医科診療報酬点数表で、コンピューター断層撮影診断料の通則に定められている加算です。区分番号E200・E201・E202のいずれかのコンピューター断層撮影を、新生児の頭部外傷に対して行った場合に、所定点数の100分の85に相当する点数を加算するものです。頭を打った新生児にCTなどを撮ったときに、通常の撮影料に上乗せされる加算、というイメージです。
みらい(新人医療事務)
「新生児」って、生まれてすぐの赤ちゃんのことですよね? 乳幼児や幼児にも似た加算があるって聞いたことがあるんですが。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。年齢区分ごとに別の加算名になっていて、新生児・3歳未満の乳幼児(新生児を除く)・3歳以上6歳未満の幼児で、それぞれ加算率が変わります。年齢が低いほど加算率が高く設定されているのが特徴です。まずはこの記事の対象である新生児頭部外傷撮影加算が、どんな場面で算定候補になるか、一緒に確認していきましょう。
新生児頭部外傷撮影加算とはどんな加算か
みらい(新人医療事務)
そもそも、頭部外傷のときだけ特別扱いされているのはなぜなんですか?
あおい(元・医療事務)
新生児や乳幼児は症状をうまく訴えられず、頭部外傷の有無を臨床所見だけで判断するのが難しいという背景があります。厚生労働省の医科点数表では、コンピューター断層撮影診断料の通則として、次のように定められています。
一次資料の記載(令和8年度 医科点数表 通則4)
「新生児、3歳未満の乳幼児(新生児を除く。)又は3歳以上6歳未満の幼児に対して区分番号E200、区分番号E201又は区分番号E202に掲げるコンピューター断層撮影を行った場合(頭部外傷に対してコンピューター断層撮影を行った場合を除く。)にあっては、新生児加算、乳幼児加算又は幼児加算として、それぞれ所定点数の100分の80、100分の50又は100分の30に相当する点数を、頭部外傷に対してコンピューター断層撮影を行った場合にあっては、新生児頭部外傷撮影加算、乳幼児頭部外傷撮影加算又は幼児頭部外傷撮影加算として、それぞれ所定点数の100分の85、100分の55又は100分の35に相当する点数を加算する。」
あおい(元・医療事務)
つまり同じ「新生児」に対する撮影でも、頭部外傷が理由でなければ加算率は100分の80(新生児加算)、頭部外傷が理由であれば100分の85(新生児頭部外傷撮影加算)になる、という整理です。頭部外傷のケースの方が、加算率が高く設定されています。
みらい(新人医療事務)
なるほど、頭部外傷かどうかで加算の名前も率も変わるんですね。乳幼児・幼児の場合はどうなんですか?
あおい(元・医療事務)
同じ通則の中で、3歳未満の乳幼児(新生児を除く、頭部外傷)は100分の55、3歳以上6歳未満の幼児(頭部外傷)は100分の35という整理です。今回の新生児(頭部外傷)の100分の85が、3段階のうちもっとも加算率が高い区分になります。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関で、どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、対象医療機関は診療所・病院のいずれも含まれ、外来・入院どちらの場面でも算定候補になります。実際にコンピューター断層撮影を行った保険医療機関であることが前提です。CT・MRI機器を持たず、往診・訪問診療のみで完結する場面は対象になりにくいと考えられます。
みらい(新人医療事務)
患者さんの条件は「新生児」ということでいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
はい、新生児(生後28日を超えない乳児)に対して、頭部外傷を理由にコンピューター断層撮影を行った場合が対象です。年齢は撮影を行った時点で判断します。頭部外傷以外の理由(けいれん精査や先天性疾患の評価など)で撮影を行った場合は、この加算ではなく、通常の新生児加算(100分の80)の対象になる可能性があるという整理です。目的が頭部外傷かどうかで、算定候補になる加算そのものが変わる点に注意が必要ですね。
年齢区分の考え方
新生児・3歳未満の乳幼児(新生児を除く)・3歳以上6歳未満の幼児で、それぞれ別の加算名・加算率になります。カルテ・レセプトの年齢表記を必ず確認してください。本記事は新生児を対象とする「新生児頭部外傷撮影加算」を解説しています。
「コンピューター断層撮影」の範囲を疑義解釈で確認する
みらい(新人医療事務)
さっきの条文だと、対象はE200・E201・E202の3つの区分に見えました。でも実際にはどれが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは条文だけでなく疑義解釈もあわせて確認する必要がある部分です。厚生労働省の疑義解釈資料では、頭部外傷撮影加算における「コンピューター断層撮影」の範囲について、次のように整理されています。
疑義解釈資料の送付について(その29)令和2年度 問3
質問: 「コンピューター断層撮影診断料通則4における「新生児頭部外傷撮影加算、乳幼児頭部外傷撮影加算又は幼児頭部外傷撮影加算」は、新生児、3歳未満の乳幼児(新生児を除く。)又は3歳以上6歳未満の幼児の頭部外傷に対してコンピューター断層撮影を行った場合に算定するが、その「コンピューター断層撮影」とは具体的には何を指すのか。」 回答: 「区分番号「E200」コンピューター断層撮影(CT撮影)(一連につき)を指す。」
あおい(元・医療事務)
つまりこの疑義解釈によれば、新生児頭部外傷撮影加算・乳幼児頭部外傷撮影加算・幼児頭部外傷撮影加算という「頭部外傷」を理由にした加算については、E200のCT撮影を行った場合を指すとされています。通則本文はE200・E201・E202をまとめて挙げていますが、頭部外傷を理由とする加算での「コンピューター断層撮影」の扱いはこの疑義解釈もあわせて確認する必要がある、ということですね。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、非放射性キセノン脳血流動態検査(E201)やMRI(E202)を頭部外傷の新生児に行った場合は、この加算の対象にならない可能性があるということですか?
あおい(元・医療事務)
この疑義解釈の文言を素直に読むとそう整理できますが、断定はできません。実際の請求にあたっては、この疑義解釈資料と自院のレセプトコンピューターの設定、審査支払機関の運用を確認したうえで判断してください。ここは条文の字面だけで判断せず、疑義解釈まで確認したい典型的なポイントです。
点数の考え方(所定点数の100分の85)

みらい(新人医療事務)
加算の点数って、具体的に何点になるんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算は「◯点」という固定点数ではなく、実際に行ったコンピューター断層撮影の所定点数に対して100分の85(85%)を上乗せする仕組みです。つまり、ベースとなる撮影の種類や機器区分によって、加算される点数が変わります。令和8年度の医科点数表では、ベースとなる撮影の点数はおおむね次のとおりです。
| 区分番号 | 検査名(機器区分) | 所定点数 | 新生児頭部外傷撮影加算(85%相当) |
|---|---|---|---|
| E200 | コンピューター断層撮影(CT撮影)16列以上64列未満 | 900点 | 765点 |
| E200 | コンピューター断層撮影(CT撮影)128列以上・共同利用施設以外 | 1,100点 | 935点 |
| E201 | 非放射性キセノン脳血流動態検査 | 2,000点 | 1,700点 |
| E202 | 磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)1・2以外の場合 | 900点 | 765点 |
みらい(新人医療事務)
機器の種類(CTの列数やMRIのテスラ数)によって、上乗せされる点数も変わってくるんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。院内でどの区分・機器で撮影を行ったかがまず前提になり、そこに85%を掛けた点数が加算候補になる、という理解をしておくと整理しやすいと思います。ただし前のセクションで確認したとおり、頭部外傷を理由とする加算の対象となる「コンピューター断層撮影」の範囲は疑義解釈で整理されているため、E201・E202の行は参考値として捉え、実際の請求点数は自院で使用した機器の区分・所定点数・疑義解釈の内容をあわせて確認したうえで計算してください。
算定のカギになる2つの条件
みらい(新人医療事務)
「新生児が頭部外傷であれば自動的に算定できる」というわけではないんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは注意が必要なところです。一次資料には、算定にあたって2つの重要な条件が明記されています。
算定要件(令和8年度 医科点数表 留意事項)
「「4」の新生児頭部外傷撮影加算、乳幼児頭部外傷撮影加算及び幼児頭部外傷撮影加算は、6歳未満の小児の頭部外傷に対して、関連学会が定めるガイドラインに沿って撮影を行った場合に限り算定する。この場合において、その医学的な理由について診療報酬明細書の摘要欄に該当項目を記載すること。」
あおい(元・医療事務)
1つ目は「関連学会が定めるガイドラインに沿って撮影を行った場合に限る」という条件です。ここでいうガイドラインについては、厚生労働省の疑義解釈資料で次のように明確化されています。
疑義解釈資料の送付について(その1) 令和2年度 問113
質問: 「医科点数表第2章第4部画像診断第3節コンピューター断層撮影診断料の通則4の新生児頭部外傷撮影加算、乳幼児頭部外傷撮影加算、幼児頭部外傷撮影加算について関連学会が定めるガイドラインとは、どのようなガイドラインを指すのか。」 回答: 「日本医学放射線学会の画像診断ガイドラインを指す。」
みらい(新人医療事務)
つまり、日本医学放射線学会の画像診断ガイドラインに沿って撮影しているかどうかを、自院で確認する必要があるということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。もう1つの条件が「診療報酬明細書の摘要欄に、頭部外傷に対する撮影であることの医学的な理由を記載すること」です。この記載がなければ、審査の段階で確認を求められる可能性があります。撮影を行った医師・レセプト担当者の間で、摘要欄への記載を漏らさない運用にしておくことが大切ですね。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するには、事前に届出が必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、新生児頭部外傷撮影加算そのものについて、個別の施設基準の届出は求められていません。ただし、ベースとなるコンピューター断層撮影(CT撮影・MRI撮影)の区分によっては、機器の性能や共同利用の有無に応じた届出済みの施設基準が点数に影響する場合があります。この加算単体の届出有無だけでなく、ベースとなる撮影の点数区分が自院の届出内容と一致しているかも、あわせて確認しておくと安心です。
施設基準は自院の届出状況で確認
本記事は一次資料に基づく一般的な整理です。実際の届出状況・施設基準の充足は、自院の地方厚生局への届出内容を必ず確認してください。当サイトが個別の届出の有効性を判定するものではありません。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングや、回数の制限はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算は、コンピューター断層撮影を実施した「一連につき」の所定点数に対する加算という位置づけです。撮影を複数回同時に行った場合の考え方や、月内の再撮影の扱いなど、算定回数に関わる詳細なルールは、コンピューター断層撮影診断料の通則・留意事項全体を確認する必要があります。当サイトが収録している一次資料の範囲では、新生児頭部外傷撮影加算に固有の回数制限(例:月1回まで、といった記載)は確認されていません。
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に算定できないケースもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
コンピューター断層撮影診断料には、造影剤使用加算や電子画像管理加算など、他にも複数の加算区分があります。これらとの組み合わせ方は、撮影の種類・実施内容によって個別に決まりますので、レセプトを作成する際は、コンピューター断層撮影診断料の通則全体と、自院で実際に算定しようとしている他の加算との関係を、一次資料またはレセプトコンピューターの設定であわせて確認してください。
断定はできません
併算定の可否は撮影の内容・回数・実施状況によって個別に変わります。本記事の整理だけで判断せず、必ず自院のレセプト担当者・審査支払機関に確認してください。
自院で確認する順番

みらい(新人医療事務)
実際に自院で算定候補かどうかを確認するとき、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくと整理しやすいと思います。
自院で確認する順番
- 患者が新生児(生後28日を超えない乳児)であることをカルテで確認する
- 頭部外傷を理由にコンピューター断層撮影(区分番号E200のCT撮影を中心に)を行ったかを確認する
- 日本医学放射線学会の画像診断ガイドラインに沿った撮影であるかを確認する
- 診療報酬明細書の摘要欄に、頭部外傷に対する撮影である医学的理由を記載する
- ベースとなる撮影の点数区分(機器の列数・テスラ数・共同利用施設の有無)を確認し、100分の85を乗じた点数を計算する
あおい(元・医療事務)
この順番を1つずつ満たしているかを確認し、途中で確認が取れない項目があれば、そこで一度立ち止まって資料や審査支払機関に確認する、という運用がおすすめです。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でよくある取り漏れって、どんなパターンがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
いくつか典型的なパターンがあります。
取り漏れが起きやすいポイント
摘要欄の記載漏れ: 頭部外傷を理由とする撮影であることの医学的理由が摘要欄に記載されておらず、審査で確認を求められるケース 通常の年齢加算との混同: 頭部外傷が理由でない撮影に、誤って頭部外傷撮影加算(100分の85)を適用してしまうケース。この場合は通常の新生児加算(100分の80)が対象になる可能性があります コンピューター断層撮影の範囲の見落とし: 疑義解釈で整理されている「コンピューター断層撮影」の範囲を確認せず、E201・E202についても一律に対象と判断してしまうケース
みらい(新人医療事務)
逆に、算定できるはずなのに見落としてしまうケースもありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、新生児の救急搬送や産科・小児科からの緊急CT依頼など、慌ただしい場面では、通常の撮影料だけをレセプトに反映し、頭部外傷を理由とする加算の存在自体が見落とされることもあります。撮影オーダーの理由欄と、レセプトの摘要欄をあわせて確認する運用にしておくと、取り漏れを防ぎやすくなります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、新生児頭部外傷撮影加算そのものの加算率(100分の85)・算定要件(関連学会のガイドラインに沿った撮影・摘要欄への記載)について、前回改定(令和6年度)からの主な変更は確認されていません(2026年8月確認・厚生労働省一次情報ベース)。この加算の枠組みを定めた疑義解釈も、令和2年度に発出されたものが現在も参照されており、比較的長く安定して運用されている加算という位置づけです。ベースとなるコンピューター断層撮影(CT・MRI)自体の点数区分は改定のたびに見直される可能性があるため、加算率の計算に使う所定点数は、必ず最新の令和8年度点数表で確認してください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よく聞かれそうな質問をいくつか確認しておきたいです。
あおい(元・医療事務)
いいですね。順番に見ていきましょう。
みらい(新人医療事務)
新生児が生後29日目に頭部外傷でCTを撮った場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
「新生児」は一般的に生後28日を超えない乳児を指しますので、生後29日目であれば新生児には該当せず、3歳未満の乳幼児(新生児を除く)の区分として整理される可能性があります。その場合は乳幼児頭部外傷撮影加算(100分の55)が候補になるという整理です。年齢の境界にあたる患者さんは、出生日とカルテの記載を必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
MRI(E202)で頭部外傷の新生児を撮影した場合も、この加算の対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
通則の条文はE200・E201・E202をまとめて挙げていますが、厚生労働省の疑義解釈資料では、頭部外傷撮影加算における「コンピューター断層撮影」はE200のCT撮影を指すとされています。MRI撮影の場合に頭部外傷撮影加算が対象になるかどうかは、この疑義解釈もあわせて確認が必要な要確認事項です。断定はできませんので、自院のレセプトコンピューターの設定や審査支払機関に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
摘要欄への記載を忘れた場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料では、摘要欄への医学的理由の記載が算定の条件として明記されています。記載がない場合、審査の段階で確認や照会を受ける可能性があります。撮影後にレセプトを作成する段階で、摘要欄の記載漏れがないか必ずチェックする運用をおすすめします。
関連する加算もあわせて確認
みらい(新人医療事務)
幼児の場合の加算についても、別の記事で詳しく見られますか?
あおい(元・医療事務)
はい、3歳以上6歳未満の幼児が対象になる幼児頭部外傷撮影加算についても、別の記事で詳しく整理しています。同じ通則から生まれた加算なので、あわせて確認すると理解が深まると思います。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。患者さんの年齢や撮影の理由、摘要欄の記載状況などを入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。