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令和8年度最終更新 2026-08-01T01:12:24+00:00出典あり

全身MRI撮影加算、算定候補になる?確認ポイント【令和8年度】

編集監修: 福島 裕介(医師・循環器内科)

3行でわかる

区分番号E202磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)について、施設基準適合の届出医療機関で全身のMRI撮影を行った場合に、600点を所定点数に加算する。

この記事の案内役

  • みらい

    みらい新人医療事務

    医療事務になって1年目。算定や施設基準はまだ勉強中。読者の代わりに素朴な疑問を質問します。

  • あおい

    あおい元・医療事務(10年)

    レセプト・施設基準・届出を長く担当したベテラン。根拠と確認手順をやさしく解説します。

みらい

みらい新人医療事務

先輩、放射線科から「全身MRI撮影加算」というレセプト項目を見つけたんですけど、これって普通の全身のMRI検査なら何でも算定候補になるものなんですか?

あおい

あおい元・医療事務

そこ、実は多くの人が誤解しやすいポイントなんです。「全身MRI撮影加算」という名前だけ見ると幅広い検査に使えそうに感じますが、実際は前立腺がんの骨転移診断という、かなり目的が絞られた加算なんですよ。E202「磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)」という基本項目に対する上乗せ加算のひとつで、施設基準の届出も必要です。順番に確認していきましょう。

みらい

みらい新人医療事務

前立腺がん専用というのは知りませんでした。まず、この加算はどういう位置づけなんですか?

全身MRI撮影加算とは

あおい

あおい元・医療事務

厚生労働省の医科点数表では、区分番号E202 磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)の「注9」として、全身MRI撮影加算が定められています。告示の条文はこうです。

告示の条文(E202 注9)

全身MRI撮影加算の根拠: 「MRI撮影について、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、全身のMRI撮影を行った場合は、全身MRI撮影加算として、600点を所定点数に加算する。」(令和8年度診療報酬点数表 告示 E202注9)

みらい

みらい新人医療事務

つまり、MRI撮影の基本点数に、全身のMRIを撮ったときだけ600点をプラスできる、というイメージですか?

あおい

あおい元・医療事務

条文だけを読むとそう見えますよね。でも「全身のMRI撮影」の中身は留意事項通知でかなり細かく限定されているんです。ここが今日いちばん確認してほしいところです。

対象となる撮影の範囲(前立腺癌の骨転移診断・1.5テスラ以上・複数コイル使用)

みらい

みらい新人医療事務

「全身のMRI撮影」って、具体的にどこまでが対象になるんでしょうか。撮影の目的とか装置のスペックも関係あります?

あおい

あおい元・医療事務

はい、そこは留意事項通知に明記されています。原文はこうです。

留意事項通知の条文(対象範囲の限定)

全身MRI撮影加算の対象限定: 「『注9』に規定する全身MRI撮影加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、関連学会の定める指針に従って、前立腺癌の骨転移の診断を目的とし、1.5テスラ以上のMRI装置を使用して複数の躯幹部用コイルと脊椎用コイルを組み合わせ、頸部から骨盤部を少なくとも3部位に分けて撮像した場合に限り算定する。」(医科点数表の解釈 E202関連通知)

あおい

あおい元・医療事務

つまり全身MRI撮影加算の対象になるのは、①施設基準に適合し届出済みであること、②関連学会の指針に従っていること、③前立腺癌の骨転移の診断を目的とした撮影であること、④1.5テスラ以上のMRI装置を使用し、複数の躯幹部用コイルと脊椎用コイルを組み合わせていること、⑤頸部から骨盤部を少なくとも3部位に分けて撮像していること、この5点がそろった場合に限られます。前立腺がん以外の疾患を目的にした全身MRIや、体幹部コイルの組み合わせを使わない撮影では、算定候補にならない可能性が高いです。

みらい

みらい新人医療事務

「全身」という名前から想像していたより、かなり限定された使い方なんですね。他の疾患の全身MRIには使えないということですか?

あおい

あおい元・医療事務

条文で明記されているのは前立腺癌の骨転移の診断を目的とした場合に限られる、という点です。ほかの疾患を目的にした撮影で同じ加算が算定候補になるかどうかは、この条文の範囲では確認できません。名称だけで判断せず、撮影の目的と方法の両方を照らし合わせる必要があります。

名称だけで判断しない

「全身MRI撮影加算」という名称から、幅広い全身MRI検査に使えると誤解しやすい加算です。実際には前立腺癌の骨転移診断という特定の目的・撮影方法に限定されています。撮影オーダーの目的が異なる場合は、算定候補にならない可能性があるため、必ず条文の対象範囲と照らし合わせて確認してください。

全身MRI撮影加算 点数のしくみ(令和8年度)

点数のしくみ(E202基本点数+全身MRI撮影加算600点)

みらい

みらい新人医療事務

点数の組み立ても確認したいです。基本のMRI点数はどうなっているんですか?

あおい

あおい元・医療事務

まずE202自体の基本点数体系を確認しておきましょう。令和8年度の告示ではこう定められています。

区分内容点数(令和8年度)
13テスラ以上の機器による場合(イ: 共同利用施設)1,720点
13テスラ以上の機器による場合(ロ: その他)1,700点
21.5テスラ以上3テスラ未満の機器による場合1,330点
31・2以外の場合900点
注9全身MRI撮影加算(施設基準届出医療機関・前立腺癌骨転移診断目的・1.5テスラ以上で複数コイル使用)+600点
みらい

みらい新人医療事務

基本点数に、条文の条件をすべて満たした場合だけ600点が足し算される、という理解で合っていますか?

あおい

あおい元・医療事務

合っています。たとえば1.5テスラ以上3テスラ未満の装置で、条文の要件を満たす前立腺癌骨転移診断目的の撮影を行い、施設基準の届出があれば「1,330点+600点」という組み立てが算定候補になります。ただし実際の明細は撮影内容や造影剤使用の有無などでも変わるので、最終的な点数は自院のレセプトコンピューターと届出内容で確認してくださいね。同じE202の中には、心臓を対象にした心臓MRI撮影加算、肝疾患を対象にした肝エラストグラフィ加算、手術中のMRI撮影を対象にした術中MRI撮影加算のように、目的別の加算がほかにもあります。複数のMRI関連加算に該当しそうな場合は、それぞれの要件を個別に確認してくださいね。

施設基準・届出(要届出)

みらい

みらい新人医療事務

この加算は「要届出」の加算だと聞いたんですが、届出をしていないとどうなるんですか?

あおい

あおい元・医療事務

届出をしていない医療機関では、全身MRI撮影加算は算定候補になりません。条文にも「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において」という前提が明記されています。つまり、施設基準を満たしているだけでは足りず、地方厚生(支)局への届出が完了していることが条件です。

対象医療機関の条文

対象医療機関の限定: 「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関」(施設基準通知・E202全身MRI撮影加算関連)

みらい

みらい新人医療事務

装置が1.5テスラ以上あって、関連学会の指針に沿った撮影ができれば自動的に対象になる、というわけではないんですね。

あおい

あおい元・医療事務

そうです。装置のスペックや撮影方法は条件のひとつにすぎず、施設基準への適合と届出の受理という手続き面が別途必要になります。「装置と撮影方法が条件を満たしているから確認が必要」であって、「条件を満たしているから算定できる」とは言えない、という順番で考えるのがポイントです。自院がこの加算の施設基準を満たしているか、届出が受理されているかどうかは、当サイトの情報だけでは判定できません。施設基準の充足状況・届出の有無は、必ず自院の届出書類や地方厚生(支)局への確認をお願いします。

併算定の取り扱い(骨転移診断目的の他検査との調整)

みらい

みらい新人医療事務

骨転移の診断だと、シンチグラムとかSPECTみたいな核医学検査も一緒にオーダーされることがある気がします。全身MRI撮影加算と両方算定候補になるんですか?

あおい

あおい元・医療事務

そこはとても大事な確認ポイントです。留意事項通知には、同じ月内に骨転移診断目的で複数の検査を行った場合の調整ルールが明記されています。

同一月内の他検査との調整(要確認)

「なお、当該画像診断を実施した同一月内に骨転移の診断の目的で「E100」シンチグラム(画像を伴うもの)又は「E101」シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影(同一のラジオアイソトープを用いた一連の検査につき)を実施した場合には、主たるもののみ算定する。」(医科点数表の解釈 E202関連通知)

あおい

あおい元・医療事務

つまり、全身MRI撮影加算に対応する撮影と、骨転移診断目的のE100シンチグラム(画像を伴うもの)またはE101シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影を同一月内に行った場合は、両方をそのまま合算算定するのではなく、主たるものだけが算定候補になるという整理です。どちらが「主たるもの」に当たるかは個別のケースで変わるため、該当しそうな場合は自院のレセプト担当と診療録の記載内容を確認しながら判断してください。

みらい

みらい新人医療事務

「両方まとめて算定できる」と思い込まないほうがいいんですね。

あおい

あおい元・医療事務

その通りです。骨転移診断で複数の画像診断・核医学検査をオーダーする際は、この調整ルールに該当しないか、都度確認する習慣をつけておくと安心です。

疑義解釈にみる施設基準の運用(参考・令和2年度)

みらい

みらい新人医療事務

施設基準って「適合しているものとして届け出た」としか書かれていないので、実際に何をすればいいのか少しイメージしづらいです。

あおい

あおい元・医療事務

具体的な運用のヒントになる疑義解釈があります。令和2年度に出されたものですが、E202の頭部MRI撮影加算・全身MRI撮影加算の施設基準にある「検査前の画像診断管理を行っていること」について、次のように示されています。

疑義解釈(令和2年度・医科 問114)

質問: 「区分番号『E202』磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)の注8の頭部MRI撮影加算又は区分番号『E202』磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)の注9の全身MRI撮影加算の施設基準において、『検査前の画像診断管理を行っていること』とあるが、具体的にはどのようなことを行えばよいか。」 回答: 「検査依頼を受けた放射線科医が、臨床情報、被ばく管理情報又は臨床検査データ値等を参考に、その適応を判断し、CTやMRI等の適切な撮像法や撮像プロトコルについて、事前に確認及び決定すること。なお、当該医師は、当該管理を行ったことについて、口頭等で指示をした場合も含め、診療録に記載すること。」(疑義解釈資料の送付について(その1)令和2年度)

あおい

あおい元・医療事務

これは令和2年度の疑義解釈なので、令和8年度の施設基準にそのまま同じ文言が残っているかは、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認できていません。ただ、「検査前の画像診断管理」がどのような運用を想定しているかを理解するうえでは参考になります。自院の施設基準届出書類に、現在も同様の運用(放射線科医による事前の撮像プロトコル確認・診療録記載)が求められているかどうかは、最新の届出内容で確認してください。

令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)

みらい

みらい新人医療事務

前回の改定(令和6年度)から、この加算の内容は変わったんですか?

あおい

あおい元・医療事務

前回改定(令和6年度)からの主な変更は、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認されていません(確認日: 2026年8月)。点数(600点)・対象範囲(前立腺癌の骨転移診断目的・1.5テスラ以上・複数コイル使用・頸部から骨盤部を3部位以上)・施設基準(届出医療機関であること)のいずれについても、令和8年度の一次資料で確認できる内容と、これまで把握している内容の間に差分は見当たりませんでした。ただし、これは「当サイトが確認できた範囲」の話であり、実際の改定内容は必ず厚生労働省の公式資料でも確認してください。

自院チェックリスト

みらい

みらい新人医療事務

自院で確認する順番を整理してもらえますか?

あおい

あおい元・医療事務

はい、次の順番で確認するのがおすすめです。

自院で確認する順番

  1. 全身MRI撮影加算の施設基準に適合し、地方厚生(支)局への届出が受理されているか確認する
  2. 撮影の目的が前立腺癌の骨転移の診断であるか、診療録・オーダー内容を確認する
  3. 使用しているMRI装置が1.5テスラ以上で、複数の躯幹部用コイルと脊椎用コイルを組み合わせて使用しているか確認する
  4. 頸部から骨盤部を少なくとも3部位に分けて撮像しているか、撮影プロトコルを確認する
  5. 同一月内に骨転移診断目的でE100シンチグラムまたはE101 SPECTを実施していないか確認する(実施している場合は主たるものだけが算定候補)

自院で確認する順番(全身MRI撮影加算・令和8年度)

よくある取り漏れ

みらい

みらい新人医療事務

この加算で取り漏れやすいポイントってありますか?

あおい

あおい元・医療事務

いくつかあります。まとめておきますね。

よくある取り漏れ・誤解

名称からの誤解: 「全身」という名称だけを見て、前立腺癌以外の疾患を目的にした全身MRIにも使えると思い込んでしまうケース。 装置スペックの見落とし: 1.5テスラ未満の装置での撮影や、体幹部コイル・脊椎用コイルを組み合わせていない撮影で、算定候補と誤認してしまうケース。 併算定の見落とし: 同一月内にE100シンチグラムやE101 SPECTを骨転移診断目的で実施した場合の調整ルールを確認せず、両方を合算してしまうケース。

みらい

みらい新人医療事務

名称だけで判断しないこと、装置とプロトコルの両方を確認すること、併算定のルールも忘れないこと、ですね。

よくある質問

みらい

みらい新人医療事務

最後にいくつか質問させてください。頭部MRI撮影加算と全身MRI撮影加算は同じものですか?

あおい

あおい元・医療事務

別の加算です。頭部MRI撮影加算はE202の「注8」に規定されるもので、頭部の撮影を対象とした加算です。全身MRI撮影加算は「注9」に規定され、前立腺癌の骨転移診断を目的とした撮影を対象とする加算です。名前が似ているので混同しないよう、条文の注番号(注8か注9か)で確認するとよいでしょう。

みらい

みらい新人医療事務

造影剤を使った場合はどうなりますか?

あおい

あおい元・医療事務

E202全体の話として、MRI撮影で造影剤を使用した場合は造影剤使用加算(250点)が別途定められています。全身MRI撮影加算そのものに造影剤使用の要件があるかどうかまでは、この記事で確認した資料の範囲では言及がありませんでした。造影剤を使う撮影の場合は、造影剤使用加算の要件と合わせて自院で確認してください。

みらい

みらい新人医療事務

対象になるかどうか自分でも確認する方法はありますか?

あおい

あおい元・医療事務

次のセクションで案内していますので、そちらを参考にしてくださいね。

自院が算定候補か確認したい方へ

みらい

みらい新人医療事務

うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!

あおい

あおい元・医療事務

自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や撮影目的・装置スペックを入力すると、確認すべきポイントが整理できます。

最終確認のお願い

最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。

算定要件・施設基準・届出は?

  • 算定要件

    MRI撮影について、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、全身のMRI撮影を行った場合は、全身MRI撮影加算として、600点を所定点数に加算する。

  • 算定要件

    「注9」に規定する全身MRI撮影加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、関連学会の定める指針に従って、前立腺癌の骨転移の診断を目的とし、1.5テスラ以上のMRI装置を使用して複数の躯幹部用コイルと脊椎用コイルを組み合わせ、頸部から骨盤部を少なくとも3部位に分けて撮像した場合に限り算定する。

  • 対象医療機関

    別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関

よくある質問

全身MRI撮影加算はどんな検査でも算定候補になりますか?

いいえ。前立腺癌の骨転移の診断を目的とし、1.5テスラ以上のMRI装置を使用して複数の躯幹部用コイルと脊椎用コイルを組み合わせ、頸部から骨盤部を少なくとも3部位に分けて撮像した場合に限り算定候補となります。名称だけで対象を判断しないよう注意が必要です。

頭部MRI撮影加算と全身MRI撮影加算は同じ加算ですか?

別の加算です。頭部MRI撮影加算はE202の注8、全身MRI撮影加算は注9に規定されており、対象となる撮影部位・目的が異なります。

骨転移診断でシンチグラムやSPECTも同時に行った場合はどうなりますか?

同一月内に骨転移診断目的でE100シンチグラム(画像を伴うもの)またはE101シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影を実施した場合は、主たるもののみ算定する取り扱いになっています。

届出をしていない場合はどうなりますか?

施設基準に適合し地方厚生(支)局に届け出た保険医療機関でなければ、全身MRI撮影加算は算定候補になりません。届出の有無を必ず確認してください。

自院が算定候補になるか確認しましょう

加算チェッカーが、自院で確認すべき項目を質問形式で整理します。結果は算定可否を確約するものではなく、院内確認や地方厚生局等への確認に進むための参考情報です。

加算チェッカーで確認する

自院の体制から取り漏れ候補を試算する

病床数・診療場面など自院の体制を入力すると、確認すべき加算(取り漏れ候補)を整理します。患者数を入れると「取れた場合の概算インパクト(目安)」も試算できます。算定可否や算定額を保証するものではなく、院内確認や個別相談に進むための出発点です。

取り漏れシミュレーターで試算する

最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料(厚生労働省告示・通知等)・審査支払機関の判断でご確認ください。 本ページは 令和8年度 の情報です。

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