みらい(新人医療事務)
あおいさん、レセプトを見ていたら「小児鎮静下MRI撮影加算」という項目を見つけたんです。これって、どういうときに算定する加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
いい着眼点ですね。これは令和8年度(2026年度)の点数表で、E202「磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)」の注7に規定されている加算ですよ。小さなお子さんのMRI撮影に関わる加算です。
みらい(新人医療事務)
子ども向けのMRI、ということですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。小さなお子さんは検査中じっとしていられないことが多いので、麻酔で鎮静をかけて撮影することがあります。その体制を整えて撮影した場合の評価、というイメージですね。ただ、算定できるかどうかは条件がいくつもあるので、順番に確認していきましょう。
小児鎮静下MRI撮影加算とは
みらい(新人医療事務)
まず、この加算がどういうものか、ざっくり教えてください。
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の点数表(令和8年度)では、こう規定されています。「MRI撮影について、別に厚生労働大臣の定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、15歳未満の小児に対して、麻酔を用いて鎮静を行い、1回で複数の領域を一連で撮影した場合は、小児鎮静下MRI撮影加算として、当該撮影の所定点数に100分の80に相当する点数を加算する」とあります。
みらい(新人医療事務)
「100分の80」って、つまり8割ということですよね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。決まった点数がつくのではなく、MRI撮影の所定点数(基本点数)の80%相当を上乗せする、という形の加算なんですよ。だから基本点数がいくらかによって、加算される点数も変わってきます。
みらい(新人医療事務)
対象になる医療機関に、制限はありますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトで整理している公式資料の情報では、診療所・病院のいずれも対象になりうる区分です。入院・外来のどちらの場面でも関わる可能性がありますが、在宅医療は対象外とされています。ただし、これは「体制が整っていれば」の話で、施設基準の届出が前提になります。ここは後でくわしく見ていきますね。
点数はどのくらい?
みらい(新人医療事務)
具体的に、何点くらいになるんでしょう?
あおい(元・医療事務)
加算そのものは「所定点数の100分の80」なので、まずベースになるMRI撮影(E202)の点数を押さえておきましょう。令和8年度の点数表では、次のように区分されています。

| MRI撮影(E202)の区分 | 基本点数 |
|---|---|
| 3テスラ以上・共同利用施設で行われる場合 | 1,720点 |
| 3テスラ以上・その他の場合 | 1,700点 |
| 1.5テスラ以上3テスラ未満の機器による場合 | 1,330点 |
| 1又は2以外の場合 | 900点 |
みらい(新人医療事務)
この基本点数の8割が上乗せされる、ということですね。だいたいいくらになるか、目安を知りたいです。
あおい(元・医療事務)
あくまで機械的な計算の目安ですが、たとえば「1.5テスラ以上3テスラ未満」の1,330点がベースなら、その80%は1,064点になります。「3テスラ以上・その他」の1,700点がベースなら1,360点、という具合です。実際の点数は撮影区分や体制で変わるので、正確な値は自院の届出状況とあわせて確認したいところですね。
みらい(新人医療事務)
あ、でも「1又は2以外の場合(900点)」も対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
するどいですね。そこは注意が必要です。この加算の対象を定めた留意事項通知では「1.5テスラ以上のMRI装置を使用して」撮影した場合に限る、とされています。つまり実務上は、基本点数が「1.5テスラ以上3テスラ未満」か「3テスラ以上」の区分に当てはまるケースが該当することになります。900点の区分(1.5テスラ未満)は、装置の要件から外れる可能性が高いと考えられます。
点数の考え方の注意
この加算は固定点数ではなく「所定点数の100分の80」です。記事内の金額はあくまで機械的な計算の目安であり、実際の算定点数は撮影区分・装置・届出状況によって変わります。最終的な点数は自院の届出内容と公式点数表で確認してください。
対象になる患者・撮影の条件
みらい(新人医療事務)
患者さんの条件も、けっこう細かく決まっているんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知(令和8年度)では、対象がかなり具体的に示されています。「15歳未満の小児に対して、複数の医師の管理の下、麻酔薬を投与して鎮静を行い、1.5テスラ以上のMRI装置を使用して1回で頭部、頸部、胸部、腹部、脊椎又は四肢軟部のうち複数の領域を一連で撮影した場合に限り算定する」とされています。
みらい(新人医療事務)
条件を分けて整理すると、どうなりますか?
あおい(元・医療事務)
ポイントは4つですね。まず対象年齢が「15歳未満」であること。次に「複数の医師の管理の下」で麻酔薬を投与して鎮静を行うこと。そして「1.5テスラ以上のMRI装置」を使うこと。最後に「頭部・頸部・胸部・腹部・脊椎・四肢軟部のうち複数の領域を、1回で一連で撮影」することです。
みらい(新人医療事務)
1つの領域だけだと対象にならない、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。「複数の領域を一連で」という点が、この加算の特徴なんですよ。鎮静をかけて眠っている間に、いくつかの部位をまとめて撮影する。その負担や体制を評価する趣旨だと読み取れますね。逆に、単一領域だけの撮影は要件に当てはまらないと考えられます。
対象条件の確認ポイント
年齢: 15歳未満の小児か 鎮静: 複数の医師の管理の下で麻酔薬を投与して鎮静しているか 装置: 1.5テスラ以上のMRI装置を使用しているか 撮影範囲: 頭部・頸部・胸部・腹部・脊椎・四肢軟部のうち複数領域を1回で一連撮影しているか
施設基準と届出
みらい(新人医療事務)
「施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関」とありましたよね。これはどう確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
この加算は、地方厚生(支)局長への届出が前提になっています。公式の施設基準通知でも、施設基準の充足と届出の両方が「必要」とされている区分です。だから、届出が済んでいない状態では算定候補にならない、と考えるのが安全ですね。
みらい(新人医療事務)
うちが届出できているかどうかは、どこで分かりますか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の届出状況は、院内の届出控えや、地方厚生局に提出した書類で確認するのが確実です。MRI関連の加算は装置の性能(テスラ数)や体制の要件が絡むので、「持っている装置がどの区分に当たるか」「小児鎮静の体制が要件を満たすか」を、実際の届出内容と照らし合わせる必要があります。
あおい(元・医療事務)
施設基準や届出の充足そのものは、記事で判断できるものではありません。ここは必ず自院の届出状況と公式の施設基準通知で確認してくださいね。
算定するときの注意点
みらい(新人医療事務)
算定するときに、間違えやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかありますね。まず、この加算は「所定点数に加算する」形なので、ベースになるMRI撮影(E202)を正しく算定していることが前提です。それから、E202には造影剤使用加算(250点)など、別の注加算もあります。同じ撮影でも、どの注加算に当たるかを取り違えないように整理しておきたいところです。
みらい(新人医療事務)
回数の制限などはありますか?
あおい(元・医療事務)
回数や併算定の細かい取り扱いは、その時点の留意事項通知や疑義解釈で確認するのが確実です。MRI撮影は「一連につき」という単位で算定する項目なので、「1回の一連の撮影」をどう数えるかが実務上のポイントになります。判断に迷うケースは、審査支払機関の取り扱いを確認するのが安全ですね。
算定単位の注意
E202のMRI撮影は「一連につき」で算定する項目です。小児鎮静下MRI撮影加算は「1回で複数の領域を一連で撮影した場合」が対象のため、撮影を分けて実施したケースなどは取り扱いが変わる可能性があります。個別の算定可否は公式資料と審査支払機関の判断で確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
頭の中がごちゃごちゃしてきました…。何から確認すればいいか、順番で教えてほしいです。
あおい(元・医療事務)
では、確認する順番を図にしてみましょう。この流れで一つずつチェックしていくと分かりやすいですよ。

自院で確認する順番
- MRI撮影の施設基準に適合し、届出が済んでいるかを確認する
- 対象の患者が15歳未満の小児かを確認する
- 複数の医師の管理の下で、麻酔薬を投与して鎮静を行っているかを確認する
- 1.5テスラ以上のMRI装置で、1回に複数の領域を一連で撮影しているかを確認する
- ここまで当てはまれば算定候補。最終的な可否は公式資料と自院の届出状況で確認する
みらい(新人医療事務)
この順番なら、どこで引っかかるかが見えてきますね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。とくに最初の「届出が済んでいるか」で止まってしまうケースは少なくありません。体制や装置は要件を満たしていても、届出がまだだと算定候補にならないので、そこは早めに確認しておきたいですね。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
逆に、算定できるのに見落としてしまう、というパターンもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
ありますね。小児のMRIで鎮静をかけて複数領域を撮影しているのに、加算の存在に気づかず基本点数だけで算定している、というケースです。E202の注加算は数が多いので、どの加算に当てはまるかを撮影のたびに確認する習慣があると、取り漏れを防ぎやすくなります。
取り漏れを防ぐチェック
加算の存在: 小児の鎮静下MRIで複数領域を撮影したとき、注7の加算を確認したか 届出の確認: 施設基準の届出が済んでいるのに、算定に反映できていない撮影がないか 区分の取り違え: 造影剤使用加算など、E202の他の注加算と混同していないか
みらい(新人医療事務)
「気づかずに基本点数だけ」は、ありそうですね…。
あおい(元・医療事務)
そうなんですよ。だからこそ、加算の要件を一度整理しておくことが大切なんです。ただ、繰り返しになりますが、要件が整っていても算定の可否を言い切ることはできません。あくまで届出状況を含めて確認したうえで算定候補になる、という点は忘れないでくださいね。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、この加算で変わったところはありますか?
あおい(元・医療事務)
大事なポイントですね。小児鎮静下MRI撮影加算は、E202「MRI撮影」に設けられた複数の注加算(心臓・乳房・頭部・全身などのMRI撮影加算)のひとつとして、令和8年度(2026年度)の点数表に規定されています。
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度/2024年度)からの点数や要件の具体的な変更点については、本記事の作成時点(2026年7月)で参照できる厚生労働省の一次情報(令和8年度の点数表・留意事項通知)の範囲では、確定した差分としては確認していません。改定対比の詳細は、厚生労働省の「令和8年度診療報酬改定の概要」や個別改定項目、疑義解釈などの一次資料でご確認ください。
改定差分についての注記
本記事は令和8年度(2026年度)の要件を軸に解説しています。前回改定(令和6年度)との詳細な差分は、厚生労働省の一次資料(改定の概要・個別改定項目・疑義解釈)で最新の内容を確認してください。年度をまたいだ点数の比較は、必ず対象年度を明示したうえで行うことをおすすめします。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、現場でよく出そうな疑問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。まず「15歳の患者は対象になりますか?」という質問。要件は「15歳未満」なので、15歳ちょうどの患者は対象から外れると読み取れます。年齢の起算は慎重に確認したいところですね。
みらい(新人医療事務)
「単一の領域だけ撮影した場合は?」というのはどうですか?
あおい(元・医療事務)
要件が「複数の領域を一連で撮影した場合」なので、単一領域だけの撮影は対象条件に当てはまらないと考えられます。撮影した領域が複数かどうかは、記録とあわせて確認しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
「基本点数がいくらでも、8割が上乗せされるんですか?」という点も気になります。
あおい(元・医療事務)
加算は「所定点数の100分の80」ですが、対象は1.5テスラ以上の装置を使ったケースに限られます。ですから、基本点数のうち該当する区分(1.5テスラ以上3テスラ未満、または3テスラ以上)をベースに考えることになりますね。
みらい(新人医療事務)
なるほど。装置の要件とセットで見るんですね。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。