みらい(新人医療事務)
先生、レセプトの画像診断の欄に「外傷全身CT加算」というのが出てきたんですけど、これってどんなときに算定候補になるものなんですか? 交通事故とかで運ばれてきた患者さんのイメージはあるんですけど。
あおい(元・医療事務)
いい着眼点ですね。外傷全身CT加算は、令和8年度(2026年度)の医科診療報酬点数表で、区分番号E200(コンピューター断層撮影、いわゆるCT撮影)に定められている加算のひとつです。全身打撲の患者さんに対して、初期診断のために頭蓋骨から骨盤骨まで連続してCTを撮影した場合に、通常のCT撮影料に800点を上乗せできる、という仕組みになっています。
みらい(新人医療事務)
「頭から骨盤まで一気に撮る」っていう、まさに救急のイメージですね。うちのクリニックでも算定候補になることってあるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
対象や施設基準を一つずつ確認していきましょう。結論を急がず、公式資料に書かれている範囲で整理していきますね。
外傷全身CT加算とはどんな加算か
みらい(新人医療事務)
そもそも、この加算はどういう位置づけの加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
医科点数表のE200(コンピューター断層撮影)には「注」として複数の加算が定められていて、外傷全身CT加算はその「注6」にあたります。厚生労働省の医科点数表には、次のように定められています。
一次資料の記載(令和8年度 医科点数表 E200 注6)
「6 CT撮影について、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、全身外傷に対して行った場合には、外傷全身CT加算として、800点を所定点数に加算する。」
あおい(元・医療事務)
つまり「施設基準の届出」と「全身外傷に対して行ったCT撮影であること」の両方がそろって初めて、外傷全身CT加算800点が所定点数に上乗せされる、という組み立てです。
みらい(新人医療事務)
「全身外傷に対して行った場合」っていうのが少しふわっとしてる気がするんですけど、具体的にどこからどこまで撮ればいいとか、決まりはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、留意事項通知のほうに、もう少し具体的な定義が書かれています。
一次資料の記載(留意事項通知 E200関連)
「『注6』の外傷全身CTとは、全身打撲症例における初期診断のため行う、頭蓋骨から少なくとも骨盤骨までの連続したCT撮影をいう。」
あおい(元・医療事務)
「頭蓋骨から少なくとも骨盤骨まで」という範囲と、「全身打撲症例の初期診断のため」という目的の両方が示されているのがポイントです。頭部だけ、あるいは胸部だけを撮影した場合はこの定義には当てはまらないと考えられます。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
対象になる医療機関や患者さんについても教えてください。診療所でも算定候補になるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、対象医療機関を「病院に限る」といった限定は明記されていません。診療所・病院のいずれも、施設基準に適合して届出を行っていれば対象になり得ます。外来・入院のどちらで行われたCT撮影かという限定も、この注6の条文の中には明記されていません。
みらい(新人医療事務)
患者さんの側の条件は「全身打撲症例」というところですよね。年齢の制限とかはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料に記載されているのは「全身外傷に対して行った場合」「全身打撲症例における初期診断のため」という点で、年齢による限定は明記されていません。似た名前の加算に「幼児頭部外傷撮影加算」がありますが、これは頭部外傷に限定された小児向けの別の加算です。外傷全身CT加算とは対象範囲も定義も異なりますので、混同しないよう注意が必要です。詳しくは幼児頭部外傷撮影加算の記事もあわせてご確認ください。
みらい(新人医療事務)
なるほど、名前は似てるけど別物なんですね。うっかり混同しそうです。
点数・区分番号

みらい(新人医療事務)
具体的な点数を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
まず、CT撮影自体のベースになる点数(E200)は、使用する機器の種類によって次のように定められています。
| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| E200 イ | 128列以上のマルチスライス型 | 1,100〜1,120点 |
| E200 ロ | 64列以上128列未満のマルチスライス型 | 1,000〜1,020点 |
| E200 ハ | 16列以上64列未満のマルチスライス型 | 900点 |
| E200 ニ | 4列以上16列未満のマルチスライス型 | 750点 |
| E200 ホ | イからニまで以外 | 560点 |
| 外傷全身CT加算(注6) | 全身外傷に対する頭蓋骨〜骨盤骨の連続撮影 | 800点(加算) |
あおい(元・医療事務)
外傷全身CT加算の800点は、この表のベースとなるCT撮影料に「加算」として上乗せされるものです。単独で800点が算定されるわけではなく、あくまで実施したCT撮影の区分(イ〜ホ)の点数に800点をプラスする、という構造になっている点に注意してください。
みらい(新人医療事務)
加算だから、CT撮影料とセットで考える必要があるんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。実際の点数は、使用したCT装置の性能区分(列数)によって変わりますので、レセプトを作成する際はCT撮影本体の区分と加算の両方を確認する流れになります。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
「施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関」というのが条件になっていましたが、具体的にはどこに届け出るんですか?
あおい(元・医療事務)
条文にあるとおり、地方厚生局長等への届出が前提になります。外傷全身CT加算そのものに固有の施設基準というより、注6が引用している「別に厚生労働大臣が定める施設基準」への適合と届出が必要という組み立てです。具体的な施設基準の項目(CT装置の性能・読影体制など)は、当サイトが収録している範囲を超える細目もあるため、地方厚生局の告示・通知の該当箇所を必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
届出をしていない場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
届出が受理されていない状態で全身外傷のCT撮影を行っても、外傷全身CT加算としての800点は算定候補になりません。届出の有無と、届出内容が現状の体制と一致しているかを、まず確認することをおすすめします。
施設基準・届出に関する注意
外傷全身CT加算は「施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」であることが前提です。届出の有無・受理状況は自院で必ず確認し、不明な場合は地方厚生局または審査支払機関に問い合わせてください。
算定タイミング・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
同じE200には他にも似たような加算があるって聞いたんですけど、一緒に算定できるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、E200の通則には、注6の外傷全身CT加算のほかに、注4の冠動脈CT撮影加算や、注7の大腸CT撮影加算などが定められています。参考までに、注7の大腸CT撮影加算の条文はこうなっています。
一次資料の記載(令和8年度 医科点数表 E200 注7・参考)
「7 CT撮影のイ、ロ又はハについて、別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において、大腸のCT撮影(炭酸ガス等の注入を含む。)を行った場合は、大腸CT撮影加算として、それぞれ620点又は500点を所定点数に加算する。」
あおい(元・医療事務)
このように、注4・注6・注7はそれぞれ「冠動脈の撮影」「全身外傷の撮影」「大腸の撮影」という、実施したCT撮影の目的によって使い分ける加算です。同じ患者さんに対して同じ機会に複数の目的でCT撮影を行うケースは通常想定しにくいため、実際にどの目的で撮影したCTかを診療録で確認し、該当する加算を検討する、という整理になります。併算定の可否について一次資料に明記のない組み合わせについては、断定せず審査支払機関にご確認いただくことをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
「何のために撮ったCTか」を診療録にきちんと残しておくことが大事なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。目的が診療録から確認できないと、算定候補かどうかの判断そのものが難しくなってしまいます。
改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、この加算に変更ってあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲を確認した限りでは、外傷全身CT加算の点数(800点)、対象(全身打撲症例の初期診断のための頭蓋骨から骨盤骨までの連続撮影)、施設基準の届出が必要という要件について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・一次資料ベース)。
改定対比のポイント
外傷全身CT加算の加算点数(800点)や定義自体は安定している一方、ベースとなるE200CT撮影本体の所定点数(機器の性能区分ごとの点数)は改定のたびに見直される可能性があります。外傷全身CT加算は「ベース点数+800点」という構造のため、加算額だけでなくベースのCT撮影料も毎回確認することをおすすめします。
あおい(元・医療事務)
「加算そのものは変わっていなくても、土台になる点数が動く」というのは見落としやすいポイントなので、レセプト担当の方は改定のたびにベース点数もあわせて確認しておくと安心です。
自院で確認する順番

みらい(新人医療事務)
実際にうちの医院で算定候補になるかどうか、どんな順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で整理していくとわかりやすいと思います。
自院で確認する順番
- CT撮影について、地方厚生局長等への施設基準の届出を行っているか
- 実施したCT撮影が「全身打撲症例における初期診断」を目的としたものか
- 撮影範囲が頭蓋骨から少なくとも骨盤骨までの連続撮影になっているか
- 実施したCT撮影のベース区分(E200のイ〜ホ)を確認し、加算800点を上乗せする対象になっているか
- 診療録・レセプトに撮影目的(全身外傷の初期診断であること)が確認できる記載があるか
みらい(新人医療事務)
この5つを順番に見ていけば、算定候補かどうかの見当がつきそうですね。
あおい(元・医療事務)
はい、ただし最終的な判断は自院の届出状況・診療内容と、審査支払機関の確認によります。あくまで確認の手順の目安として使ってください。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れのパターンって、どんなものがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか代表的なパターンがあります。
取り漏れが起きやすいポイント
撮影範囲の記載漏れ: 「頭蓋骨から骨盤骨まで」の連続撮影であったことが診療録・画像所見に明確に記録されていないと、外傷全身CT加算の対象であることを確認しにくくなります。 目的外CTとの混同: 頭部だけ、あるいは胸部だけといった部分的なCT撮影は「全身打撲症例の初期診断」という定義には当てはまらない可能性があります。撮影範囲と目的の両方を確認してください。 施設基準届出の失念: 届出をしないまま全身外傷のCT撮影を行っても、外傷全身CT加算としての800点は算定候補になりません。CT撮影に関する施設基準の届出状況は定期的に確認しておくと安心です。
あおい(元・医療事務)
特に「撮影範囲の記載漏れ」は見落とされがちなので、算定候補と判断した場合は、画像所見・診療録の記載をもう一度確認する運用にしておくとよいと思います。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうな質問もいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。どうぞ。
みらい(新人医療事務)
頭部から胸部までしか撮影しなかった場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知の定義では「頭蓋骨から少なくとも骨盤骨までの連続したCT撮影」とされています。骨盤骨まで到達していない撮影の場合、この定義に当てはまるかどうかは資料の記載からは確認できません。実施範囲について疑問がある場合は、審査支払機関に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
交通事故以外、たとえば転倒による全身打撲でも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料には「全身打撲症例における初期診断のため」と書かれているのみで、受傷の原因(交通事故・転倒等)による限定は明記されていません。原因を問わず全身打撲症例として初期診断のためのCTであれば、対象として検討できると考えられますが、個別の判断は自院と審査支払機関でご確認ください。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)と比べて点数は変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した一次資料の範囲では、前回改定(令和6年度)から令和8年度にかけて、外傷全身CT加算の点数(800点)・要件の変更は確認されていません。ただし改定内容の反映にはタイムラグが生じる場合があるため、最新の告示・通知もあわせてご確認ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や撮影内容を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。