みらい(新人医療事務)
先輩、「体外照射呼吸性移動対策加算」って加算をカルテで見かけたんですけど、これって何のための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
これは放射線治療の体外照射(区分番号M001)に対する注加算の一つですよ。呼吸で腫瘍や臓器が動いてしまうことに対応する対策を行った場合に、150点を所定点数に加算できる仕組みです。令和8年度(2026年度)の医科点数表でも、この区分・点数は継続しています。
みらい(新人医療事務)
呼吸で動く、というと肺とか肝臓みたいな臓器のことですか?
あおい(元・医療事務)
そこまで細かい対象部位は、私たちが確認できている一次資料の範囲では書かれていません。厚生労働省の告示では「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、呼吸性移動対策を行った場合は、体外照射呼吸性移動対策加算として、150点を所定点数に加算する」とされているだけなので、部位の限定までは読み取れません。具体的な運用は自院の放射線治療計画や届出内容に沿って確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
なるほど。断定はできないんですね。じゃあ、この加算が対象になる医療機関から教えてください。
体外照射呼吸性移動対策加算の対象医療機関
みらい(新人医療事務)
まず、どんな医療機関が算定候補になり得るんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の「対象医療機関」に関する部分は、算定要件と同じ文言です。「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」とされています。つまり、体外照射(M001)を行っていて、かつこの加算の施設基準を満たして届出をしている医療機関が対象、という整理になります。
みらい(新人医療事務)
体外照射自体をやっていない医療機関は、そもそも対象外ということですか?
あおい(元・医療事務)
そう考えるのが自然です。体外照射(M001)の注加算という位置付けなので、M001を算定していない場面では、この加算だけを単独で算定候補にすることはできません。放射線治療の体外照射を実施できる体制(直線加速器等の設備)を持つ医療機関が前提になります。診療所での体外照射は一般的ではないため、実務上は病院が中心になりますが、個別の施設区分は自院の届出状況で必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
入院と外来、どちらでも算定候補になり得るんですか?
あおい(元・医療事務)
体外照射自体は入院・外来どちらの場面でも行われ得る医療行為です。この加算も体外照射に対する注加算なので、入院・外来のいずれの場面でも、施設基準の届出があれば算定候補になり得ます。ただし在宅の場面は想定されていません。
点数・区分を確認する
みらい(新人医療事務)
点数は150点だけなんですか?さっき先輩が別の数字も言っていた気がします。
あおい(元・医療事務)
よく気づきましたね。告示の本文には、通常の場合の150点と、特定の区分に代わる2,400点の2パターンが書かれています。次の表のとおりです。
| 区分 | 点数 | 備考(令和8年度) |
|---|---|---|
| 通常の体外照射に対する呼吸性移動対策 | 150点 | 所定点数に加算 |
| 「2のイ」に係るもの(乳房照射など一連の治療) | 2,400点 | 一連につき1回に限り、150点に代えて加算 |

みらい(新人医療事務)
「2のイに係るもの」というのがちょっとピンとこないです。
あおい(元・医療事務)
これはM001(体外照射)の告示本文にある区分の一つを指していて、乳癌の患者に対する全乳房照射などが該当する区分です。告示には「2のイに係るものは、一連につき1回に限り、当該加算の点数に代えて2,400点を所定点数に加算する」と明記されています。つまり150点と2,400点は同時に算定するものではなく、該当する区分によってどちらか一方になる、という関係です。
点数の区分を取り違えない
150点で算定すべき場面と、2,400点に置き換わる「2のイ」の場面は告示上区別されています。どちらに該当するかは、実施した体外照射の区分(告示上の「2のイ」に該当するか)を確認してから判断する必要があります。自己判断で高い方の点数を選ぶことは避けてください。
施設基準・届出は済んでいますか
みらい(新人医療事務)
この加算、届出が必要なんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい、必要です。厚生労働省が公表している施設基準等の届出手続きの整理でも、専門的な治療・処置(放射線治療)の区分の中に、マスターコード「180035270」として「体外照射呼吸性移動対策加算」が、届出が必要な項目として掲載されています。届出をしていない状態では、この加算は算定候補になりません。
みらい(新人医療事務)
届出さえしていれば、あとは何も気にしなくて大丈夫ですか?
あおい(元・医療事務)
そこは「大丈夫です」とは言い切れません。施設基準の具体的な内容(設備・人員配置など)まで一次資料で詳細に確認できていない部分もあります。分かっている範囲では、疑義解釈(平成30年度・医科問166、令和2年度・医科問173)で、この加算を含む一連の放射線治療関連加算の施設基準に出てくる「その他の技術者」について「医学物理士等を指す」という考え方が示されています。ただし、これは施設基準の一部の解釈にすぎず、施設基準全体を満たしているかどうかは、届出書類や地方厚生局への確認を通じて自院で確認する必要があります。
届出済みでも安心し切らない
届出をしていても、体制(人員・設備)が実際の施設基準を満たし続けているかは定期的な確認が必要です。担当者の異動や機器更新があった際は、施設基準の要件に影響しないか、自院で再確認することをおすすめします。
名前が似ている加算に注意
みらい(新人医療事務)
「呼吸性移動対策」って名前がつく加算、他にもあるって聞いたんですけど…。
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。とても紛らわしいのですが、「体外照射呼吸性移動対策加算」(M001の注)と、「定位放射線治療呼吸性移動対策加算」(M001-3の注)は、条文上まったく別の区分の加算です。
みらい(新人医療事務)
何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の文言で確認すると、定位放射線治療呼吸性移動対策加算のほうは「定位放射線治療について、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、呼吸性移動対策を行った場合は、定位放射線治療呼吸性移動対策加算として、所定点数に次の点数を加算する。イ 動体追尾法 10,000点 ロ その他 5,000点」とされています。つまり対象が「定位放射線治療(M001-3)」で、点数も10,000点・5,000点と全く異なります。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、この記事で扱っている「体外照射呼吸性移動対策加算」(150点・2,400点)とは、区分番号も点数もまったく別物ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。同じ「呼吸性移動対策」という言葉が入っているので混同しやすいのですが、条文の主語(どの区分番号に対する注か)を必ず確認してから、どちらの加算の話をしているかを整理してください。定位放射線治療呼吸性移動対策加算については、定位放射線治療呼吸性移動対策加算の記事も参考にしてください。
加算名の混同に注意
「体外照射呼吸性移動対策加算」(M001・150点/2,400点)と「定位放射線治療呼吸性移動対策加算」(M001-3・10,000点/5,000点)は別の加算です。レセプト入力や施設基準の届出の際に取り違えないよう、区分番号を必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
同じM001の中に、他にも注加算ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。たとえば画像誘導放射線治療加算もM001の注加算の一つです。詳しくは画像誘導放射線治療加算の記事で確認できます。同じ体外照射の枠組みの中でも、複数の注加算がそれぞれ別の要件・点数を持っているので、一つずつ確認していくのがおすすめです。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
この加算、令和8年度の改定で何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、体外照射呼吸性移動対策加算そのものの点数(150点・2,400点)や算定要件について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚労省告示ベース)。この加算は疑義解釈の記録をたどると平成28年度の時点で既に存在が確認できる、以前からある区分です。
みらい(新人医療事務)
昔からある加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。ただし「変更が確認されていない」というのは、あくまで当サイトが確認できた一次資料の範囲での話です。届出済みの施設基準に影響するような別の告示・通知が今後出る可能性もあるので、最新の公式資料は都度確認するようにしてください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病院で算定候補になるか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認していくと整理しやすいですよ。
自院で確認する順番
- 体外照射(M001)を実施しているか、まず確認する
- 実施している体外照射が「2のイ」に該当する区分か(150点か2,400点か)を確認する
- 体外照射呼吸性移動対策加算の施設基準を満たしているかを確認する
- 地方厚生局長等への届出が済んでいるかを確認する
- ここまで満たしていれば算定候補。最終判断は自院の届出書類と審査支払機関で確認する

みらい(新人医療事務)
届出をしていない段階だと、算定候補にはならないということですよね。
あおい(元・医療事務)
はい。届出が完了していない段階では、施設基準を実質的に満たしていたとしても、この加算は算定候補になりません。届出は必ず先に済ませておく必要があります。
よくある取り漏れ
150点と2,400点の取り違え
「2のイに係るもの」に該当する一連の治療であるにもかかわらず150点で算定してしまう、あるいは逆に該当しない場面で2,400点を算定してしまう、という取り違えが起こりやすいポイントです。該当区分を都度確認しましょう。
加算名の似た別加算との混同
「定位放射線治療呼吸性移動対策加算」(M001-3・10,000点/5,000点)と、この記事の「体外照射呼吸性移動対策加算」(M001・150点/2,400点)を取り違えて算定・届出してしまうケースに注意してください。区分番号の確認が有効です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出をしていない期間があった場合、その期間分は算定候補にならないんですか?
あおい(元・医療事務)
告示上、この加算は「地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」であることが前提です。届出が完了していない期間については、算定候補と扱うことはできないと考えられます。詳細な取り扱いは審査支払機関・地方厚生局にご確認ください。
みらい(新人医療事務)
診療所でも体外照射をしていれば算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料には医療機関の開設区分(病院か診療所か)そのものを限定する記載はありません。体外照射(M001)を実施でき、かつ本加算の施設基準を満たして届出をしていれば、区分としては算定候補になり得ます。ただし体外照射に必要な放射線治療の設備・体制は実務上ほとんどが病院に集中しているため、自院の体制と届出状況をあわせて確認してください。
みらい(新人医療事務)
この加算だけを単独で届け出ることはできますか?
あおい(元・医療事務)
告示の位置付けとしては、体外照射(M001)に対する注加算です。体外照射自体の届出・実施体制が前提になっているため、体外照射の枠組みと合わせて確認する必要があります。単独の届出可否についての細かな手続きは、地方厚生局への確認をおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。