みらい(新人医療事務)
「治療抵抗性統合失調症治療指導管理料」って、名前が長くて覚えられません…。これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
正式には区分番号「I013 抗精神病特定薬剤治療指導管理料」の「2」にあたる管理料です。クロザピンという薬を投与している治療抵抗性統合失調症の患者さんに、計画的な医学管理と療養上必要な指導を行った場合に、月1回500点を算定候補にできます。令和8年度(2026年度)の点数表に基づく内容としてお話ししますね。
みらい(新人医療事務)
クロザピンって、あまり聞いたことがない薬なんですが…。
あおい(元・医療事務)
一次資料の留意事項通知でも「治療抵抗性統合失調症治療薬とは、クロザピンをいう」と定義されています。他の抗精神病薬で十分な効果が得られない、いわゆる治療抵抗性の統合失調症患者さんに使われる薬で、投与にあたって専用の管理体制が求められる薬剤です。この管理料は、その専用の管理体制のもとで行う医学管理と指導を評価するものです。
I013 抗精神病特定薬剤治療指導管理料の点数区分
みらい(新人医療事務)
「I013の2」ということは、1もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。I013にはクロザピンを対象にした「2」のほかに、持続性抗精神病注射薬剤(LAI)を対象にした「1」があります。同じ区分番号の中に対象薬剤の異なる2つの管理料が並んでいる形です。この記事で扱うのは「2」の治療抵抗性統合失調症治療指導管理料です。
| 区分 | 対象薬剤 | 算定できる場面 | 点数 |
|---|---|---|---|
| I013の1 イ | 持続性抗精神病注射薬剤 | 入院中の患者(投与開始月とその翌月に各1回) | 250点 |
| I013の1 ロ | 持続性抗精神病注射薬剤 | 入院中の患者以外(月1回) | 250点 |
| I013の2 | 治療抵抗性統合失調症治療薬(クロザピン) | 施設基準に適合し届出た医療機関で月1回 | 500点 |

あおい(元・医療事務)
令和8年厚生労働省告示の点数表本文でも「2 治療抵抗性統合失調症治療指導管理料 500点」と規定されています。1と2は対象薬剤も算定条件も別物なので、混同しないよう区別して確認することが大切です。I013全体の点数区分の解説は抗精神病特定薬剤治療指導管理料(I013)の記事でも整理しています。
対象患者・対象医療機関
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料(留意事項通知)では「精神科を標榜する保険医療機関において、精神科を担当する医師が、治療抵抗性統合失調症治療薬を投与している治療抵抗性統合失調症患者に対して、計画的な治療管理を継続して行い、かつ、当該薬剤の効果及び副作用に関する説明を含め、療養上必要な指導を行った場合」と定められています。つまり「クロザピンを投与中の治療抵抗性統合失調症患者」であることが前提です。
みらい(新人医療事務)
医療機関の側にも条件があるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。データ上は診療所・病院のどちらも算定候補になり得ますが、「精神科を標榜する保険医療機関」であることに加えて、後で説明する施設基準に適合して届出を行っていることが前提です。標榜科や届出の状況は自院で必ず確認してください。
施設基準・届出の確認が必要です
みらい(新人医療事務)
施設基準ってどんな内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料には「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」であることが要件として明記されています。ただし、その施設基準の具体的な項目(人員配置や研修要件など)については、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認できていません。施設基準の詳細な充足状況は、必ず地方厚生局への届出書類や告示・通知の該当箇所で確認してください。
断定できない理由
「施設基準に適合し、届出が受理されていれば算定候補」という構造は一次資料から確認できますが、届出の有効性や個々の医療機関の体制が基準を満たしているかどうかは、自院でしか判断できません。この記事の内容だけで算定可否を断定しないでください。
みらい(新人医療事務)
届出をしていない場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
届出をしていない状態でこの管理料を算定することはできません。「届出なしで算定できる」ということはありませんので、まだ届出をしていない場合は、施設基準の該当箇所を確認したうえで地方厚生局への届出手続きを検討することになります。
算定要件(計画的な医学管理・説明・指導・記録)
みらい(新人医療事務)
実際に算定するときに、何をしないといけないんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の算定要件を並べると、次の3点がポイントです。
I013の2の算定要件(一次資料ベース)
- 計画的な医学管理: クロザピンを投与している治療抵抗性統合失調症患者に対して、計画的な医学管理を継続して行うこと
- 効果・副作用の説明: 当該薬剤の効果及び副作用等について患者に説明すること
- 療養上必要な指導: 上記の説明を含め、療養上必要な指導を行うこと
- 算定タイミング: 月1回に限り、当該薬剤を投与したときに算定する
みらい(新人医療事務)
これを満たしていれば、もう算定候補になるということですか?
あおい(元・医療事務)
要件の充足を診療録などで確認できる状態であれば、算定候補として検討できます。ただし、留意事項通知には「抗精神病特定薬剤治療指導管理料を算定する場合は、治療計画及び治療内容の要点を診療録に記載する」という記載義務も定められています。指導や説明を行っただけでなく、記録として残しておくことが前提になる点は見落とされやすいポイントです。
入院中の患者に対する取り扱い(クロザピンの包括除外)
みらい(新人医療事務)
入院している患者さんの場合、何か注意点はありますか?
あおい(元・医療事務)
はい。厚労省の疑義解釈(医科 問116)で、精神科救急入院料・精神科急性期治療病棟入院料・精神科救急・合併症入院料・精神療養病棟入院料・地域移行機能強化病棟入院料を算定している患者について「治療抵抗性統合失調症治療指導管理料を算定している患者については、クロザピンが包括範囲から除外されたが、この取扱いは当該管理料の算定月に限るという理解でよいか」という質問に対し、「そのとおり」と回答されています。
みらい(新人医療事務)
つまり、この管理料を算定した月だけ扱いが変わるということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。入院料が包括評価になっている病棟でも、この管理料を算定する月に限ってクロザピンの薬剤費が包括範囲の外に出る、という関係が一次資料で確認できます。入院料を算定している病棟でこの管理料の算定を検討する場合は、算定月の扱いを事前に確認しておくと安心です。
対象外の可能性がある例
持続性抗精神病注射薬剤(LAI)を投与している患者はI013の「1」の対象であり、クロザピンを投与していない場合はI013の「2」の対象外の可能性があります。薬剤名を診療録やお薬情報で必ず確認してください。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和6年度からの点数・算定要件の変更点は確認されていません(確認日: 2026年8月)。点数表・留意事項通知ともに、クロザピンを対象とした月1回500点の管理料という構造で規定されています。もし今後訂正通知や疑義解釈が出た場合は、その都度確認して記事を更新します。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- 対象薬剤の確認 — 患者に投与しているのがクロザピン(治療抵抗性統合失調症治療薬)かどうかをお薬情報で確認する
- 標榜科の確認 — 精神科を標榜する保険医療機関かどうかを確認する
- 施設基準の届出状況を確認 — 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合し、地方厚生局長等への届出が受理されているかを確認する
- 医学管理の実施記録を確認 — 計画的な医学管理を継続して行っているか、効果・副作用の説明を含めた療養上必要な指導を行っているかを確認する
- 診療録への記載を確認 — 治療計画及び治療内容の要点が診療録に記載されているかを確認する
- 算定タイミングを確認 — 同一月内での算定が月1回に収まっているか、当該薬剤を投与した日であるかを確認する
- 入院料との関係を確認 — 入院料を包括評価で算定している病棟の場合、算定月のクロザピンの取り扱いを確認する

みらい(新人医療事務)
こうやって順番に並べてもらうと、確認する場所がわかりやすいです。
あおい(元・医療事務)
特に施設基準の届出状況と、診療録の記載は見落とされがちなので優先して確認してください。
よくある取り漏れ
見落としやすいポイント
- 施設基準の届出をしないまま、点数表の記載だけを見て算定候補と判断してしまう
- クロザピン以外の抗精神病薬(持続性抗精神病注射薬剤を含む)を投与している患者に、I013の2を適用しようとしてしまう
- 説明や指導は行っているが、治療計画及び治療内容の要点を診療録に記載していない
- 入院料を包括評価で算定している病棟で、クロザピンの包括除外の取り扱いを算定月以外にも適用してしまう
みらい(新人医療事務)
どれも「やったつもり」になりやすそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。特に診療録への記載は、指導そのものよりも後回しにされがちなので、算定候補として検討する際に一緒にチェックしておくと安心です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか疑問点を聞いてもいいですか。「クロザピン以外の抗精神病薬を使っていても対象になりますか」って院長に聞かれたんですが。
あおい(元・医療事務)
一次資料では「治療抵抗性統合失調症治療薬とは、クロザピンをいう」と明記されているため、クロザピン以外の抗精神病薬を投与している場合はI013の2の対象外の可能性があります。持続性抗精神病注射薬剤を投与している場合はI013の1が別途あるので、投与している薬剤名を確認することが最初の一歩です。
みらい(新人医療事務)
「施設基準の届出をしていない診療所でも、届出さえすればすぐ算定できますか」とも聞かれました。
あおい(元・医療事務)
届出が地方厚生局に受理された後でなければ算定候補にはなりません。届出の準備状況や受理時期は医療機関ごとに異なりますので、届出手続きのスケジュールも含めて確認が必要です。「すぐに算定できる」と断定はできません。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)のときと比べて、何か変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、前回改定(令和6年度・2024年度)からの変更点は確認されていません。今後、訂正通知や疑義解釈が公表された場合は随時確認して更新します。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚労省公式資料を根拠としています。詳細な施設基準・届出手続きは必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号) https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/000433602.pdf
- 疑義解釈資料の送付について(その1)医科 問116 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21053.html
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。加算の算定に際しては、施設基準の充足と届出の有効性を必ず自院で確認してください。