みらい(新人医療事務)
「内視鏡手術用支援機器加算」って名前を最近よく見かけるんですけど、これってロボット支援手術のことですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。内視鏡手術用支援機器加算(区分番号K939-4)は、手術支援ロボットなどの「内視鏡手術用支援機器」を使って特定の手術を行った場合に算定候補になる加算です。令和8年度診療報酬改定で新設された項目で、当サイトが収録している一次資料の範囲では令和8年6月1日から新設扱いになっています。
みらい(新人医療事務)
新設ってことは、去年まではこの加算そのものがなかったんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。前回改定(令和6年度)の点数表には、この加算区分そのものは存在していませんでした。今回令和8年度改定で新しく設けられた区分なので、既存の「知っている加算」の延長では判断できません。まずは制度そのものを一から確認していきましょう。
対象になる手術と医療機関
みらい(新人医療事務)
どんな手術で算定候補になるんですか?全部のロボット手術で使えるんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
いいえ、算定要件では対象となる手術の区分番号が具体的に列挙されています。厚生労働省の告示では「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、区分番号K374-2、K394-2、K502-5、K504-2、K514-2の2及び3、K529-2、K529-3、K554-2、K555-3、K655-2の3、K655-5の3、K657-2の4、K674-2、K695-2、K702-2の1、K703-2、K719-3、K740-3、K755-2、K773-5、K773-6、K778-2、K803-2、K865-2並びにK879-2(子宮体がんに限る。)に掲げる手術に当たって、内視鏡手術用支援機器を使用した場合に算定する」と定められています。
みらい(新人医療事務)
すごい数の区分番号ですね……。これ全部覚えるのは無理そうです。
あおい(元・医療事務)
覚える必要はありません。ポイントは「25の手術区分に限定列挙されている」ということだけです。たとえばK740-3は腹腔鏡下直腸切除・切断術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの)、K655-2の3・K657-2の4は腹腔鏡下胃切除術・胃全摘術の関連区分、K879-2は子宮体がんに対する手術のうち内視鏡手術用支援機器を用いるものです。自院が実施している手術の区分番号が、この列挙の中に含まれているかどうかをまず確認してください。
みらい(新人医療事務)
逆に言うと、リストにない手術でロボットを使っても、この加算の対象にはならないんですか。
あおい(元・医療事務)
資料に列挙されている区分以外については、この加算の算定候補にはなりません。対象手術はいずれも入院を伴う比較的規模の大きな手術のため、実際に算定候補になりうるのは手術を実施している病院が中心になります。診療所(クリニック)での算定可否については、対象手術を実施しているかどうかで個別に確認が必要です。

点数はいくら?
みらい(新人医療事務)
気になる点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度時点で15,000点です。告示の区分見出しに明記されています。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 区分番号 | K939-4 |
| 加算名 | 内視鏡手術用支援機器加算 |
| 点数 | 15,000点 |
| 算定単位 | 対象手術1件につき |
| 施設基準の届出 | 必要 |
みらい(新人医療事務)
「算定単位は手術1件につき」というのは、どこからわかるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注に「手術に当たって、内視鏡手術用支援機器を使用した場合に算定する」とあるので、対象手術を実施したタイミングで1件ごとに算定候補になる、という単位です。1日に複数回とか、月に何回まで、といった別建ての回数制限は今回確認できた資料の範囲では見当たりませんでした。ここは自院の算定システムやレセプト担当者と個別に確認しておくと安心です。
施設基準と届出のポイント
みらい(新人医療事務)
「届出が必要」ってさっき出てきましたけど、具体的に何を届け出るんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の本文に、地方厚生局長等への届出が前提条件として明記されています。届出をしていない医療機関は、対象手術でロボットを使っても算定候補になりません。
みらい(新人医療事務)
届出の中身についてはどこまでわかっているんですか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈で明らかになっている要素の一つが、実績の公表です。令和8年5月8日の疑義解釈資料(その5)問17では「「K939-4」内視鏡手術用支援機器加算の施設基準について、内視鏡手術用支援機器を用いた手術の前年の実績(症例数及び平均在院日数)について、ウェブサイトに掲載していること」という要件が確認され、症例数・平均在院日数は各手術ごとに示すこと、平均在院日数は「退院日-入院日+1」を患者数で除して計算することが回答されています。
みらい(新人医療事務)
つまり、前の年に何件手術をやって、平均何日入院したかを自院のウェブサイトに載せておく必要があるってことですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。もう一つ大事なのが、実績の評価期間です。訂正通知(A317特定一般病棟入院料の「注7」に係る訂正)には、外科医療確保特別加算と内視鏡手術用支援機器加算に共通するルールとして「1月から12月までの1年間の実績をもって施設基準の適合性を判断し、当該要件及び他の要件を満たしている場合は、翌年の4月1日から翌々年の3月末まで所定点数を算定できるものとする。新規届出の場合は、届出前12月の実績をもって施設基準の適合性を判断し、届出のあった月の末日までに要件審査を終え、届出を受理した場合は、翌月の1日から翌年の3月末日まで所定点数を算定することができる」と記載されています。
みらい(新人医療事務)
実績の集計期間と、算定できる期間がずれているんですね。ここは間違えやすそうです。
あおい(元・医療事務)
はい。1月~12月の実績を使って、翌年度(4月1日~翌々年3月末)の算定資格を判定する仕組みです。新規届出の場合は、届出前12か月の実績で判定します。ここは自院の届出担当者が実績集計のタイミングを取り違えやすいポイントなので、社内の届出スケジュールに落とし込んでおくことをおすすめします。
施設基準の詳細は要確認
今回確認できた一次資料の範囲でわかっているのは、①地方厚生局長等への届出、②前年実績(症例数・平均在院日数)のウェブサイト掲載、③年間実績件数の評価期間(1月~12月の実績で翌年度分を判定)の3点です。人員配置や研修要件など、施設基準のそのほかの具体的な項目については、告示の施設基準本文・地方厚生局の届出様式で個別に確認してください。当サイトのAI質問ページでも確認ポイントを整理できます。
令和8年度改定での変更点(新設)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回改定(令和6年度)の時点ではどうだったんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)の点数表には、内視鏡手術用支援機器加算という区分そのものが存在していませんでした。令和8年度診療報酬改定に係る施設基準届出チェックリストの訂正資料でも「令和8年6月1日 特掲診療料 新設 内視鏡手術用支援機器加算」と、新設区分として扱われています。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、令和8年度から急に対応が必要になった医療機関も多そうですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。すでにロボット支援手術を行っている病院でも、この加算自体は令和8年度改定で新設されたものなので、既存の届出とは別に、この加算専用の施設基準届出が必要かどうかを新たに確認する必要があります。今回確認できた資料の範囲では、点数(15,000点)や対象手術の区分(25区分)についての変更履歴はこれ以上確認されていません。新設時点の内容がそのまま令和8年度時点の現行ルールです。

自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちで確認すべき順番ってどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
順番に並べると、こうなります。
自院で確認する順番
- 自院で実施している手術の区分番号が、告示に列挙された25区分(K374-2~K879-2)に含まれているか確認する
- その手術で内視鏡手術用支援機器(手術支援ロボット等)を実際に使用しているか確認する
- 内視鏡手術用支援機器加算の施設基準について、地方厚生局への届出が済んでいるか確認する
- 前年の症例数・平均在院日数を自院のウェブサイトに掲載しているか確認する
- 上記が揃っていれば算定候補として、レセプト担当者・診療科と最終確認する
みらい(新人医療事務)
1つでも欠けていたら、算定候補にはならないってことですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。特に新設区分なので、「うちはロボット手術をやっているから当然対象」と思い込むのが一番危険です。届出をしていなければ、どんなに手術実績があっても算定候補にはなりません。
よくある取り漏れ
取り漏れ例1: 手術はしているのに区分番号が対象外
内視鏡手術用支援機器を使った手術をしていても、その手術の区分番号が告示の列挙(K374-2~K879-2)に含まれていなければ、この加算の算定候補にはなりません。手術の名称だけでなく、区分番号まで照合することが大切です。
取り漏れ例2: 実績公表の様式・掲載場所が未整備
施設基準の一部である「前年実績(症例数・平均在院日数)のウェブサイト掲載」を、院内では把握していても対外的に公表していないケースがあります。届出済みでも、公表が要件を満たしていなければ指摘対象になり得るため、掲載内容と計算方法(退院日-入院日+1を患者数で除する、など)を一度見直しておくと安心です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうな質問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)まではこの加算はなかったんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。前回改定(令和6年度)の時点では、内視鏡手術用支援機器加算(K939-4)という区分自体が存在していませんでした。令和8年度改定で新設された区分で、施行日は令和8年6月1日です。
みらい(新人医療事務)
すでに施設基準の届出をしているロボット手術関連の加算があれば、この加算も自動的に対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
自動的にはなりません。内視鏡手術用支援機器加算は独立した区分として新設されているため、対象手術・施設基準の届出状況をこの加算専用に確認する必要があります。既存の届出があるからといって、当然に算定候補になるわけではない点に注意してください。
みらい(新人医療事務)
対象手術以外でロボットを使った場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
告示に列挙されていない手術区分でロボット支援機器を使用しても、内視鏡手術用支援機器加算の算定候補にはなりません。対象手術は25区分に限定列挙されている点を必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は誰が出すんですか?
あおい(元・医療事務)
保険医療機関が地方厚生局長等に対して届け出る形になります。具体的な届出様式や記載事項は、施設基準の告示・通知および地方厚生局の案内で確認する必要があります。院内での届出フローが未整備の場合は、事務部門と診療科で早めに連携しておくとよいでしょう。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象手術の実施状況や届出状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。同じK区分の手術関連加算としては、超音波凝固切開装置等加算や副鼻腔手術用内視鏡加算の記事もあわせて参考にしてみてください。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。