みらい(新人医療事務)
あおいさん、レセプトの手術欄に「ハイフローバイパス術併用加算」って書いてあるんですけど、これってどういう加算なんですか?名前だけだと全然イメージがわかなくて…。
あおい(元・医療事務)
これは脳神経外科の手術に関わる加算ですよ。K177脳動脈瘤頸部クリッピングという開頭手術の際に、ハイフローバイパス術によって頭蓋外と頭蓋内の血管をつなぐ処置(血管吻合)を併せて行った場合に、所定点数へ加算するものです。令和8年度の医科点数表上は30,000点の加算になります。
みらい(新人医療事務)
30,000点…かなり大きい加算ですね。手術そのものとは別に、追加の処置をした分をきちんと評価する仕組みということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。動脈瘤をクリッピングする際、親血管より末梢側の血流が不足してしまう場合があります。そこで上肢または下肢から採取した血管を使って頭蓋外・頭蓋内の血管をつなぎ、血流を確保する処置を追加で行うことがあるんです。その追加処置分を評価するのがこの加算、という理解で大丈夫です。
ハイフローバイパス術併用加算とは
みらい(新人医療事務)
「ハイフロー」というくらいだから、似た名前の加算もありそうですね。
あおい(元・医療事務)
よく気づきましたね。実は「ローフローバイパス術併用加算」という加算もあり、同じK177の手術に対して設定されています。違いは使う血管の採取部位です。頭皮から採取した血管を使う場合はローフローバイパス術併用加算(16,060点)、上肢または下肢から採取した血管を使う場合がハイフローバイパス術併用加算(30,000点)、という区分けになっています。
みらい(新人医療事務)
採取する血管の場所で加算の種類も点数も変わるんですね。カルテのどこを見ればわかりますか?
あおい(元・医療事務)
手術記録に採取部位(上肢・下肢か、頭皮か)が記載されているはずなので、そこを確認するのが基本です。この記事では、上肢・下肢からの血管を使うハイフローバイパス術併用加算を中心に整理していきます。
対象になる手術・医療機関
みらい(新人医療事務)
この加算、うちのクリニックでも算定できるものですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、当サイトが収録している一次資料の範囲では、K177脳動脈瘤頸部クリッピングや、同様の注加算が設定されているK176脳動脈瘤流入血管クリッピング(開頭して行うもの)といった、脳神経外科の開頭手術に付随する加算として扱われています。開頭による血管吻合を伴う手術であり、外来診療所での実施を前提とした記載は一次資料の範囲では確認できません。
みらい(新人医療事務)
病院の、しかも脳神経外科がある施設が対象、というイメージですね。
あおい(元・医療事務)
はい。実際に算定候補になるかどうかは、K177やK176といった対象手術を自院で実施しているか、そのうえでハイフローバイパス術による血管吻合を併せて行ったかどうかで決まります。
対象になりやすいケース
入院中の患者に対してK177脳動脈瘤頸部クリッピング(またはK176脳動脈瘤流入血管クリッピング)を実施し、あわせて上肢または下肢から採取した血管を用いた頭蓋外・頭蓋内血管吻合を行った場合に、算定候補として院内で確認する流れになります。
点数の整理(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数の全体像を整理してもらえますか?基本の手術点数と加算がごちゃごちゃになりそうで…。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表(厚生労働省告示)をもとに、点数を表にまとめました。
| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| K177 脳動脈瘤頸部クリッピング | 1箇所 | 114,070点 |
| K177 脳動脈瘤頸部クリッピング | 2箇所以上 | 128,400点 |
| 注1 加算 | ローフローバイパス術併用加算(頭皮から採取した血管を使用) | +16,060点 |
| 注2 加算 | ハイフローバイパス術併用加算(上肢又は下肢から採取した血管を使用) | +30,000点 |
みらい(新人医療事務)
なるほど、基本の手術点数にこの加算を足す形なんですね。K176のほうも同じ考え方ですか?
あおい(元・医療事務)
はい。K176脳動脈瘤流入血管クリッピング(開頭して行うもの)にも同じ注1・注2の加算が設定されていて、点数(16,060点・30,000点)も同じです。基本手術の点数(1箇所82,730点、2箇所以上108,200点)が異なるだけで、加算部分の考え方はK177と共通しています。
算定要件を確認する
みらい(新人医療事務)
「上肢又は下肢から採取した血管を用いた」という条件、もう少し詳しく知りたいです。
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知には、「注2に規定するハイフローバイパス術併用加算は、本手術に際し、親血管より末梢側の血流を確保するため、上肢又は下肢から採取した血管を用いた頭蓋外・頭蓋内血管吻合を併せて行った場合に算定する」と明記されています。つまり、目的(親血管より末梢側の血流確保)と、使用する血管の採取部位(上肢又は下肢)の両方がそろって初めて算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
頭皮から採取した血管を使った場合は、ハイフローではなくローフローになる、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。手術記録やオペ記事(術式記載)を見て、採取部位がどこかをまず確認するのが実務上のポイントになります。
採取部位の記載を必ず確認
血管の採取部位(上肢・下肢か頭皮か)によって、ローフローバイパス術併用加算とハイフローバイパス術併用加算のどちらに該当するかが変わります。手術記録の記載を確認せずに点数だけで判断しないようにしましょう。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するのに、事前の届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは正直にお伝えすると、当サイトが収録している告示・施設基準に関する通知の範囲では、この加算そのものに特化した個別の届出は確認できていません。ただし、これは「確認できていない」という状態であって、「届出は不要」と保証するものではありません。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、実際に算定する前にはどうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
基本術式であるK177(またはK176)を実施する体制、つまり脳神経外科の開頭手術を安全に行える人員・設備が整っているかどうかを含めて、自院の届出状況や施設基準を確認したうえで判断してください。判断に迷う場合は、審査支払機関に照会するのも確実な方法です。
施設基準・届出は自院で最終確認を
この加算固有の届出要件について、当サイトが収録する一次資料の範囲では明記が確認できていません。基本術式(K177・K176)を実施する体制を含め、届出状況の最終確認は自院の施設基準担当・審査支払機関へお願いします。
併算定・注意点
みらい(新人医療事務)
血管を採取する処置自体は、別に点数がつくものなんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは要注意ポイントです。留意事項通知では「注1及び注2におけるバイパス造成用自家血管の採取料については、当該所定点数に含まれ別に算定できない」とはっきり書かれています。つまり、上肢・下肢(またはローフローの場合は頭皮)から血管を採取する処置の分を、別立てで追加請求することはできません。
みらい(新人医療事務)
加算点数の中に採取料も含まれている、ということですね。うっかり別項目で請求してしまいそうです。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。ここは査定・返戻の原因になりやすいポイントなので、レセプト作成時に採取料を別計上していないか、必ず確認してください。
併算定チェックのポイント
自家血管の採取料は、ハイフローバイパス術併用加算(またはローフローバイパス術併用加算)の所定点数に含まれます。採取料を別項目で重ねて算定していないか、レセプト提出前に確認しましょう。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の令和6年度の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは慎重にお伝えする必要があります。当サイトが収録している令和8年度の告示・留意事項通知の範囲では、この加算の点数や算定要件について、前回改定(令和6年度)からの変更を示す記載は確認されていません。ただし、これは当サイトが直接保有している令和6年度時点の同項目の一次資料と突き合わせた結果ではなく、令和8年度の資料の中に「変更した」という記載が見当たらない、という確認にとどまります。
みらい(新人医療事務)
つまり「変わっていないはず」ではなく、「変わったという情報は見当たらない」という理解のほうが正確なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。手術に伴う加算は改定のたびに点数や要件が見直されることもあるので、実際の算定にあたっては最新の告示・通知、または審査支払機関への確認をおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの病院で算定候補かどうか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で確認するとわかりやすいですよ。
自院で確認する順番
- 実施した手術がK177脳動脈瘤頸部クリッピング、またはK176脳動脈瘤流入血管クリッピング(開頭して行うもの)に該当するか、手術記録で確認する
- その手術に際して、頭蓋外・頭蓋内血管吻合(バイパス術)を併せて実施したかを確認する
- 使用した血管の採取部位が上肢又は下肢か(頭皮であればローフロー側)を手術記録で確認する
- 自家血管の採取料を別項目で重複計上していないかレセプトを確認する
- 施設基準・届出の要否について、自院の担当部署または審査支払機関に確認する
みらい(新人医療事務)
これなら院内でチェックリストとして使えそうです。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
逆に、算定できるはずなのに見落としてしまうパターンってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、K177やK176の手術記録を見ずに、バイパス併用の事実だけで加算の有無を判断してしまうケースです。もう一つは、ローフローとハイフローの取り違えです。採取部位の記載を見落として、点数の小さいローフロー側で算定してしまう、あるいはその逆のケースもあり得ます。
取り漏れ・誤りが起きやすいポイント
① K177・K176以外の術式と混同して加算の有無を見落とす、② ローフロー(頭皮採取)とハイフロー(上肢・下肢採取)を取り違える、③ 自家血管の採取料を別項目で重複請求してしまう、の3点は特に注意が必要です。


よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうな質問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
K177とK176、どちらの手術でもこの加算は同じ考え方で算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
基本手術の点数は異なりますが、注1・注2として設定されているローフローバイパス術併用加算・ハイフローバイパス術併用加算の考え方と点数(16,060点・30,000点)は、K177・K176のどちらでも共通しています。実際に対象となる術式かどうかは、手術記録で個別に確認してください。
みらい(新人医療事務)
クリニックで実施した手術には算定候補にならないんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算は脳動脈瘤の開頭クリッピング手術に伴うものとして扱われています。開頭手術であるため、外来のクリニックでの実施を前提とした記載は一次資料の範囲では確認できません。
みらい(新人医療事務)
採取した血管の部位がカルテに明記されていない場合はどうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
ローフローかハイフローかを判断する重要な情報なので、術者・執刀医に確認して手術記録に採取部位を明確に残してもらうことをおすすめします。不明なまま算定するのは避けたほうがよいでしょう。
関連する加算もあわせて確認
みらい(新人医療事務)
他の「併用加算」もチェックしておいたほうがいいですか?
あおい(元・医療事務)
そうですね。同じ手術加算のカテゴリには、手技を併せて実施した場合に加算する仕組みの局所穿刺療法併用加算もあります。あわせて自院の手術記録を確認しておくと、取り漏れの発見につながりますよ。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。