みらい(新人医療事務)
先輩、「バイオ後続品導入初期加算」ってレセプトで時々見かけるんですけど、これってうちの外来でも算定候補になるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表に定められている加算ですね。バイオ後続品、いわゆるバイオシミラーを患者さんに説明して使用した場合に、初回だけ上乗せできる仕組みです。外来での注射が対象になるタイプが今日お話しする通則7のバイオ後続品導入初期加算です。
みらい(新人医療事務)
バイオシミラーって、あの「先発品と同じような効果だけど価格が抑えられている」って言われているお薬のことですよね。
あおい(元・医療事務)
そうです。厚生労働省としてバイオ後続品の使用を後押ししたい狙いがあり、患者さんへの説明や切り替えの手間を評価する加算として設けられています。ただし、対象になるかどうかは条文に沿って一つずつ確認する必要があります。まず全体像から見ていきましょう。
バイオ後続品導入初期加算とは
みらい(新人医療事務)
そもそも、どんな条文に書かれている加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
医科点数表の第2章第6部「注射」の通則7です。当サイトが確認した告示・注の原文には次のように書かれています。
告示・注の原文(第2章第6部注射 通則7・令和8年度)
入院中の患者以外の患者に対する注射に当たって、当該患者に対し、バイオ後続品に係る説明を行い、バイオ後続品を使用した場合は、バイオ後続品導入初期加算として、当該バイオ後続品の初回の使用日の属する月から起算して3月を限度として、月1回に限り150点を所定点数に加算する。
みらい(新人医療事務)
「入院中の患者以外」ってあるので、外来の患者さんが対象なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。入院中の患者さんへの注射は対象になりません。あくまで外来で、バイオ後続品を使った注射を行う場面での加算候補です。留意事項通知(医科点数表の解釈通知)でも、ほぼ同じ内容が改めて示されています。
留意事項通知の原文(令和8年保医発0305第6号)
バイオ後続品導入初期加算「通則7」に規定するバイオ後続品導入初期加算については、入院中の患者以外の患者に対する注射に当たって、バイオ後続品の有効性や安全性等について説明した上で、バイオ後続品を使用した場合に、当該バイオ後続品の初回の使用日の属する月から起算して、3月を限度として、月1回に限り算定する。
みらい(新人医療事務)
告示と留意事項通知、どちらも「説明」と「使用」がセットで求められているんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。説明だけでも、使用だけでも足りません。両方が揃って初めて算定候補になる、という点は押さえておいてください。
どんな場面で対象になるの?(対象医療機関・対象患者)
みらい(新人医療事務)
対象になる医療機関や患者さんの条件は、他にもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
条文上、医療機関の種類(診療所・病院)を限定する記載はありません。外来で注射を行う保険医療機関であれば、条件を満たす場面が生じ得ます。患者さん側の条件は「入院中の患者以外」であることと、「バイオ後続品を使用する注射」であることの2つが軸になります。
みらい(新人医療事務)
内服薬に切り替える場合は対象外ということですか?
あおい(元・医療事務)
この通則7の加算は「注射」に限定されています。内服薬のバイオ後続品への切り替えはこの加算の対象にはなりません。また、同じ「バイオ後続品導入初期加算」という名前でも、区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料の注4や、区分番号「B001-2-12」外来腫瘍化学療法診療料の注7にも、それぞれ別の規定として同名の加算があります。
同じ名前の加算が複数ある点に注意
「バイオ後続品導入初期加算」という名称は、第2章第6部注射の通則7だけでなく、在宅自己注射指導管理料(在宅自己注射指導管理料)の注4、外来腫瘍化学療法診療料(外来腫瘍化学療法診療料)の注7にも存在します。適用条文が異なるため、自院がどの場面での算定候補を確認したいのか(外来での注射なのか、在宅自己注射の処方なのか、外来化学療法なのか)を最初に切り分けてください。この記事は通則7(外来での注射の場面)を対象にしています。
点数と算定単位
みらい(新人医療事務)
点数は先輩がさっき言っていた150点、で合っていますか?
あおい(元・医療事務)
はい、150点です。表にまとめると次のようになります。

| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 点数 | 150点 |
| 対象となる行為 | 入院中の患者以外の患者に対する注射 |
| 算定できる期間 | バイオ後続品の初回使用日の属する月から起算して3月を限度 |
| 算定回数 | 月1回に限り |
みらい(新人医療事務)
「3月を限度」で「月1回」というのは、最大でも3回までということですか?
あおい(元・医療事務)
条文上はそう読める整理になります。ただし、初回使用月に算定していなくても、2月目以降に要件を満たせば算定できるという疑義解釈も出ています。この点は後ほどよくある質問でご紹介します。いずれにしても起算点は「初回使用日の属する月」で固定される、という理解が大切です。
施設基準・届出はどう考える?
みらい(新人医療事務)
この加算、施設基準の届出は必要なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した告示・注の原文には、「地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」といった届出を求める記載は見当たりません。同じバイオ後続品関連でも、入院患者向けのバイオ後続品使用体制加算は施設基準の届出が必要な加算ですが、通則7のバイオ後続品導入初期加算は条文の作りが異なります。
届出の有無は自院で最終確認を
条文上、この加算には届出を求める記載は確認できていません。ただし、当サイトが参照できる資料には限りがあります。実際に算定する前には、必ず自院が届け出ている施設基準の一覧や、審査支払機関への確認手順で最終確認してください。
みらい(新人医療事務)
届出がいらないとしても、何もしなくていいわけではないですよね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。届出の要否とは別に、患者さんへの説明を行ったこと、バイオ後続品を使用したこと、初回使用日がいつだったかを診療録やレセプトの摘要欄に残しておく必要があります。
算定タイミング・回数制限と記録の残し方
みらい(新人医療事務)
記録の残し方について、もう少し詳しく教えてください。
あおい(元・医療事務)
レセプト電算処理システム用コードの仕様でも、この加算を算定する際は摘要欄への記載が求められています。当サイトが確認した資料には、次のような記載があります。
摘要欄の記載要領(通則7・令和8年度)
バイオ後続品導入初期加算(通則7)を算定する場合は、摘要欄に初回使用年月日を記載すること、とされています(「初回使用年月日(バイオ後続品導入初期加算)」という項目名での記載)。
みらい(新人医療事務)
初回使用日をきちんと記録しておかないと、2回目・3回目の算定のときに困りそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。初回使用日が起算点になるので、カルテとレセプトの両方で初回使用日を追跡できるようにしておくと、3月を過ぎてからの算定漏れや算定超過を防ぎやすくなります。
併算定・似た名前の加算との違いに注意
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に算定できるかどうかも気になります。
あおい(元・医療事務)
併算定の可否について、当サイトが確認した告示・留意事項通知の範囲では、通則7のバイオ後続品導入初期加算そのものを他の注射関連加算と同時算定できないと明記した記載は見当たりません。ただし、通則の中には他の加算との調整規定が置かれている箇所もあるため、実際の算定にあたっては、対象となる注射の区分ごとの通則をあわせて確認することをおすすめします。
併算定は個別に確認が必要
併算定の可否は、組み合わせる診療行為や加算の種類によって変わり得ます。当サイトの記事だけで判断せず、レセプトソフトの点検機能や審査支払機関への確認も活用してください。
みらい(新人医療事務)
同じ患者さんが、バイオ後続品を使ってから在宅自己注射指導管理料の対象になった、というようなケースもありそうです。
あおい(元・医療事務)
あり得ますね。その場合は、外来での注射の場面での通則7と、在宅自己注射指導管理料の注4のどちらの要件に当てはまるかを、実際の診療の流れに沿って確認する必要があります。名前が同じでも条文が別なので、混同しないようにしてください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、令和8年度の改定で新しくできたものなんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、新設ではありません。当サイトが確認した令和4年度の疑義解釈資料にも、区分番号「B001-2-12」外来腫瘍化学療法診療料の注7、区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料の注4、第2章第6部注射の通則第7号のバイオ後続品導入初期加算について、複数の質疑応答が出ています。少なくとも令和4年度の時点から、150点・3月限度・月1回という枠組みは存在していました。
改定の時系列(前回改定との対比)
令和4年度(2022年度)の疑義解釈時点で、通則7のバイオ後続品導入初期加算は既に「初回の使用日の属する月から起算して3月を限度として、月1回に限り」150点という枠組みで運用されていました。前回改定(令和6年度・2024年度)を経て令和8年度(2026年度)に至るまで、当サイトが確認した一次資料の範囲では、点数・算定要件に変更は確認されていません。
みらい(新人医療事務)
長く同じ枠組みで運用されている加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
そう言えます。ただし「変更が確認されていない」というのは、あくまで当サイトが確認できた告示・留意事項通知・疑義解釈の範囲での整理です。詳細な改定経緯を正確に知りたい場合は、厚生労働省が公表している個別改定項目の資料もあわせてご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、自院で確認するときはどんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認すると整理しやすいですよ。

自院で確認する順番
- 対象の患者さんが「入院中の患者以外」(外来)かどうかを確認する
- バイオ後続品に係る説明を行い、その内容を診療録に記録する
- バイオ後続品を実際に使用し、初回使用日を記録する
- 初回使用日の属する月から起算して3月以内で、当月にまだ算定していないかを確認する
- 摘要欄に初回使用年月日を記載してレセプトを作成する
- 施設基準の届出状況や併算定の可否について、自院の体制と審査支払機関の基準で最終確認する
みらい(新人医療事務)
こうやって順番に並べてもらえると、抜け漏れが見つけやすいです。
あおい(元・医療事務)
特に4番目の「3月以内・月1回」の確認は、初回使用日をきちんと追跡していないと見落としやすいポイントです。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でよく見落とされがちなポイントはありますか?
取り漏れになりやすいケース
バイオ後続品の説明はしたが、診療録に説明内容を残していなかったため、算定の根拠を示せなくなるケースがあります。また、初回使用日の記録が曖昧なまま複数回算定してしまい、3月の限度を超えて算定してしまう懸念もあります。摘要欄への初回使用年月日の記載も、レセプトソフトの設定によっては自動で入らない場合があるため、手入力の要否を確認しておくと安心です。
名称の混同にも注意
「バイオ後続品導入初期加算」という同じ名前で、通則7(外来での注射)・在宅自己注射指導管理料の注4・外来腫瘍化学療法診療料の注7という異なる条文が存在します。どの条文の要件を満たしているかを取り違えると、算定の根拠がずれてしまいます。自院の診療の流れがどの場面に当たるかを、まず特定してください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
疑義解釈にもいろいろ質問が出ているみたいですね。
あおい(元・医療事務)
はい、当サイトが確認した範囲でいくつかご紹介します。
みらい(新人医療事務)
初回使用月に算定し忘れた場合、後から算定できますか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の疑義解釈では、初回の使用日の属する月にバイオ後続品導入初期加算を算定していなかった場合でも、2月目以降に要件を満たしていれば算定できるとされています。ただし、その場合も起算点は初回使用日の属する月のままで、3月を限度とする扱いは変わりません。
みらい(新人医療事務)
先行バイオ医薬品が同じで、使うバイオ後続品の銘柄だけ変更した場合はどうですか?
あおい(元・医療事務)
従前からバイオ後続品を使用している患者さんについて、先行バイオ医薬品が同一のまま別のバイオ後続品に変更した場合は、疑義解釈で「算定不可」とされています。一方、先行バイオ医薬品自体が異なるバイオ後続品を新たに使用した場合は「算定可」とされており、区別されている点に注意してください。
みらい(新人医療事務)
転医した場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
初回処方(使用)日から3月以内に転医し、転医先の医療機関で同一のバイオ後続品を処方(使用)した場合について、疑義解釈では「算定不可」とされています。転医のタイミングが絡むケースは判断を誤りやすいので、慎重な確認が必要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。