薬剤適正使用連携加算とは
みらい(新人医療事務)
「薬剤適正使用連携加算」という名前の加算を見つけたんですけど、これってどんな場面で出てくるんですか?
あおい(元・医療事務)
これは再診料A001の注14に規定されている加算です。地域包括診療加算(注12)を算定している患者さんについて、他の保険医療機関や介護老人保健施設と薬の情報をやり取りして、実際に薬の種類数を減らせた場合に算定候補になる加算ですよ。
みらい(新人医療事務)
薬を減らせたら加算がつく、ということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。ただし単に「減った」だけでは足りなくて、情報提供の手順や期限など、いくつかの要件をすべて満たす必要があります。この記事では令和8年度の一次資料をもとに、対象・点数・要件・確認の流れを整理していきますね。
対象になりうる医療機関・患者
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関や患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
まず前提として、対象患者は地域包括診療加算(再診料の注12)を算定している患者さんです。そのうえで、次のいずれかに当てはまる方が対象になります。
対象患者の2パターン
パターン1: 他の保険医療機関に入院、または介護保険法上の介護老人保健施設に入所していた患者。パターン2: 他の保険医療機関の外来において継続的に診療を受けている患者。
みらい(新人医療事務)
入院とか外来とか、条件が細かいんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。当サイトが収録している一次資料(令和8年厚生労働省告示・A001再診料の注14)でも、この2パターンが明記されています。医療機関側の届出状況では、この加算は診療所・病院のいずれでも算定候補になり得ますが、入院診療での算定は対象外です(外来・再診の場面に限られます)。在宅医療での算定は想定されていません。
みらい(新人医療事務)
つまり、まず「うちは地域包括診療加算を算定しているか」が最初のチェックポイントということですね。
あおい(元・医療事務)
はい、そこが出発点です。地域包括診療加算そのものの施設基準・届出については、地域包括診療加算の記事で確認しておくと流れがつかみやすいと思います。

点数とコード(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどのくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示では、次のように整理できます。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 加算名 | 薬剤適正使用連携加算 |
| 位置づけ | 再診料A001 注14 |
| 点数 | 30点 |
| 算定回数 | 3か月に1回に限る |
| 前提となる加算 | 地域包括診療加算(注12)を算定していること |
みらい(新人医療事務)
3か月に1回だけなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。連続して毎月算定できるものではなく、要件を満たすたびに3か月に1回のペースで算定候補になる、というイメージですね。
満たすべき算定要件(4項目)
みらい(新人医療事務)
さっき「要件をすべて満たす必要がある」って言ってましたよね。具体的にはどんな内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)の範囲では、次の4つをすべて満たす必要があるとされています。文書以外の方法で情報提供や連携を行った場合は、その内容を診療録等に記載することも必要です。
自院で確認する順番
患者の同意を得て、他の保険医療機関等に対し、処方内容や薬歴等について情報提供する。入院・入所する患者については、入院・入所までに情報提供を行う。処方内容には自院以外の処方内容も含める。
他の保険医療機関等から処方内容について照会があった場合は、適切に対応する。
退院・退所後1か月以内、または外来の場合は情報提供から3か月以内に、調整後の処方内容について他の保険医療機関等から情報提供を受ける。
情報提供を受けた処方の内服薬の種類数が、自院が最初に情報提供した処方の内服薬の種類数よりも少ないことを確認する。屯服は種類数の計算に含めない。
みらい(新人医療事務)
4つとも満たさないといけないんですね、どれか1つだけでは足りないと。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。特に「期限内に情報提供を受けているか」と「実際に種類数が減っているか」は、記録として残しておかないと後から確認しづらい部分ですね。
施設基準・届出の考え方
みらい(新人医療事務)
この加算自体に施設基準の届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録しているデータの範囲では、薬剤適正使用連携加算そのものについて追加の届出は不要とされています。ただし、これは「届出なしで誰でも算定できる」という意味ではありません。前提となる地域包括診療加算は、別途施設基準の届出が必要な加算です。地域包括診療加算の届出を行っていない医療機関では、そもそも対象外の可能性があります。
前提加算の届出状況を先に確認
薬剤適正使用連携加算だけを見て「届出不要だから確認しなくていい」と判断するのは早計です。まずは自院が地域包括診療加算の届出を行い、実際に算定しているかどうかを確認してください。詳しい施設基準は地域包括診療加算のページや自院の届出書類でご確認いただくのが確実です。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
いつ算定すればいいのか、タイミングも難しそうですね。
あおい(元・医療事務)
はい。要件エで確認した「内服薬の種類数が減った」ことが確定するタイミング、つまり他の保険医療機関等から調整後の処方内容の情報提供を受けたタイミングで算定を検討することになります。そのうえで3か月に1回という回数制限があるので、同じ患者について毎月算定することはできません。
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に算定できるかどうかも気になります。
あおい(元・医療事務)
再診料の注には、この薬剤適正使用連携加算のほかにも、外来データ提出加算(注13)などいくつかの加算が並んでいます。それぞれ算定要件が異なるので、外来データ提出加算のように別記事で個別に要件を確認したうえで、自院のケースでどの加算が候補になるかを整理することをおすすめします。個々の併算定の可否は、資料の記載を1つずつ確認しながら判断が必要です。

令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で、この加算に何か変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できた一次資料の範囲では、前回改定(令和6年度)からの点数・算定要件の変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。薬剤適正使用連携加算という考え方自体は令和8年度に新設されたものではなく、少なくとも平成30年度の疑義解釈の時点ですでに地域包括診療加算・地域包括診療料に関連する加算として扱われていたことが、当サイトが収録している疑義解釈資料から確認できます。
時系列の整理
平成30年度時点: 疑義解釈で薬剤適正使用連携加算に関する内服薬の種類数の数え方(1銘柄ごとに1種類)が示されている。令和8年度時点: 再診料A001注14として30点、3か月に1回の算定枠組みが告示・留意事項通知に規定されている。両者を比較した一次資料の範囲では、要件の骨格に変更は確認されていません。
あおい(元・医療事務)
ただし、これは「当サイトが確認した資料の範囲で変更が見当たらない」という意味であり、過去の改定における細かな文言修正まで完全に照合したものではありません。最終的な取り扱いは自院の算定担当者や審査支払機関にもご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、自院ではどの順番で確認すればいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で確認していくとわかりやすいと思います。
自院で確認する順番
自院が地域包括診療加算(再診料 注12)の届出を行い、対象患者に算定しているかを確認する。
対象患者が、他の保険医療機関への入院・介護老人保健施設への入所歴があるか、または他の保険医療機関の外来に継続通院しているかを確認する。
患者の同意を得て、他の保険医療機関等へ処方内容・薬歴等を情報提供した記録が残っているかを確認する。
退院・退所後1か月以内、または情報提供から3か月以内に、調整後の処方内容についての情報提供を他の保険医療機関等から受けているか、内服薬の種類数が減っているかを確認する。
みらい(新人医療事務)
この4ステップを全部満たして、初めて算定候補になるということですね。
あおい(元・医療事務)
そういう理解で進めていただくのがよいと思います。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としやすいポイントはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
見落としやすいポイント
情報提供の記録漏れ: 文書以外の方法(電話・口頭連携など)で情報提供した場合、診療録等への記載を忘れると、後から要件を満たしていたか確認できなくなります。期限の起算点の取り違え: 退院・退所後1か月以内なのか、情報提供から3か月以内なのかは、患者の状態(入院・入所歴があるか、外来継続通院か)によって異なります。内服薬の数え方: 屯服は種類数の計算から除外し、1銘柄ごとに1種類として数えるという考え方が疑義解釈で示されています。
みらい(新人医療事務)
期限の起算点、間違えやすそうです。
あおい(元・医療事務)
はい、患者ごとに状況が違うので、要件ウの本文を都度確認しながら運用するのが安全だと思います。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
内服薬の種類数って、具体的にどう数えればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している疑義解釈資料(平成30年度)では、「地域包括診療料、地域包括診療加算等の薬剤適正使用連携加算における内服薬の種類数の計算に当たっては、1銘柄ごとに1種類として計算する」という考え方が示されています。この考え方は平成30年度時点のものなので、最新の運用の詳細は自院の算定担当や審査支払機関にも確認しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
地域包括診療加算を算定していない患者は、最初から対象外ということですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の範囲では、対象患者は地域包括診療加算(注12)を算定している患者に限定されています。地域包括診療加算を算定していない場合は、この加算の対象外の可能性が高いと考えられますが、個別の判断は自院の状況で確認してください。
みらい(新人医療事務)
入院患者にもこの加算は使えますか?
あおい(元・医療事務)
この加算は再診料の注に規定されているため、外来・再診の場面が前提です。入院中の患者への算定は対象外の可能性があります。なお、地域包括診療料(入院料を含む枠組み)側にも同様の名称の加算がありますが、そちらは別区分の規定によるものなので、この記事で扱っている再診料側の要件とは分けて確認する必要があります。
公式資料の根拠
あおい(元・医療事務)
この記事で紹介した内容の一次資料は次のとおりです。
| 資料 | 年度 | 参照方法 |
|---|---|---|
| 厚生労働省告示(診療報酬点数表 再診料A001) | 令和8年度 | https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf |
| 疑義解釈資料の送付について(その5)医科 問3 | 平成30年度 | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21053.html |
| 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号) | 令和8年度 | 当サイトが収録している一次資料の範囲で確認(該当箇所はA001再診料(13)薬剤適正使用連携加算) |
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。