みらい(新人医療事務)
先生、レセプトを見ていたら「小児放射線治療加算」っていう項目があったんですけど、これって普通の小児加算と何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。小児放射線治療加算は、放射線治療を受ける子どもの年齢区分に応じて、放射線治療の点数に一定の割合を上乗せする加算です。令和8年度(2026年度)の医科点数表 第12部 放射線治療の通則に定められています。
みらい(新人医療事務)
割合を上乗せ、ですか。点数がそのまま何点、というわけじゃないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。対象になる放射線治療の所定点数に対して、年齢区分ごとに決まった割合(パーセンテージ)を加算する仕組みです。まずは全体像から確認していきましょう。
小児放射線治療加算とはどんな加算か
みらい(新人医療事務)
そもそも、どんな場面で算定候補になる加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
新生児、乳幼児、幼児、小児に対して放射線治療を行った場合が対象です。厚生労働省の医科点数表(令和8年度)には、次のように定められています。
根拠となる通則の条文(告示)
「新生児、3歳未満の乳幼児(新生児を除く。)、3歳以上6歳未満の幼児又は6歳以上15歳未満の小児に対して放射線治療(区分番号M000からM001-3まで及びM002からM004までに掲げる放射線治療に限る。)を行った場合は、小児放射線治療加算として、当該放射線治療の所定点数にそれぞれ所定点数の100分の80、100分の50、100分の30又は100分の20に相当する点数を加算する。」(医科点数表 第12部 放射線治療 通則3、令和8年度)
みらい(新人医療事務)
100分の80とか100分の50とか、年齢によって割合が違うんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。ここが一番の特徴です。年齢区分が下がるほど(つまり体が小さく治療の負担が大きい年齢層ほど)加算の割合が高く設定されています。次の表で整理しますね。

| 対象患者の年齢区分 | 加算割合 |
|---|---|
| 新生児 | 所定点数の100分の80 |
| 新生児を除く3歳未満の乳幼児 | 所定点数の100分の50 |
| 3歳以上6歳未満の幼児 | 所定点数の100分の30 |
| 6歳以上15歳未満の小児 | 所定点数の100分の20 |
みらい(新人医療事務)
この記事で扱っている加算は、この中のどれに当たるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この記事の加算(マスターコード180034890)は「新生児」に対する100分の80の区分に対応するものとして整理されています。同じ通則から生まれる他の年齢区分(50%・30%・20%)は、それぞれ別のコードとして扱われている点に注意してください。
対象になる放射線治療の範囲
みらい(新人医療事務)
「放射線治療なら何でも対象」というわけではないんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。対象は区分番号M000からM001-3まで、及びM002からM004までに掲げる放射線治療に限られています。体外照射など、点数表の該当区分に載っている項目が対象になります。
みらい(新人医療事務)
区分番号だけ言われても、パッとは分からないです…。
あおい(元・医療事務)
実務では、レセプトコンピュータや医科点数表の該当区分を照らし合わせて「この放射線治療の項目は対象区分に含まれているか」を1件ずつ確認するのが確実です。区分番号の確認自体は当サイトの範囲では断定できないので、医科診療行為マスターや院内のレセコン設定で確認してください。
粒子線治療(M001-4)は別建ての加算
M001-4 粒子線治療(一連につき)には、この小児放射線治療加算とは別に、15歳未満の小児を対象とした加算が個別に定められています。厚生労働省の医科点数表(令和8年度)では「15歳未満の小児に対して粒子線治療を行った場合は、小児放射線治療加算として、当該放射線治療の所定点数に7,000点を加算する。」とされており、割合(100分の80等)ではなく定額(7,000点)である点が異なります。粒子線治療を実施している医療機関は、どちらの加算方式に該当するかを区別して確認する必要があります。
対象医療機関・患者の場面
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関で算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
病院での外来・入院いずれの放射線治療も対象になり得ます。診療所や在宅での算定は、当サイトが収録している一次資料の範囲では対象として整理されていません。放射線治療そのものを実施できる体制がある病院が前提になります。
みらい(新人医療事務)
患者さんの年齢がポイントということですね。
あおい(元・医療事務)
はい。新生児から15歳未満までの小児を対象にした通則加算なので、小児科・小児外科と連携して放射線治療を行っている病院で確認が必要になるケースが多いと考えられます。
施設基準・届出はどうなっているか
みらい(新人医療事務)
この加算自体、施設基準の届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、小児放射線治療加算そのものについて個別の施設基準の届出は求められていません。ただし、これは「対象となる放射線治療(体外照射など)自体に施設基準や届出が不要」という意味ではない点に注意してください。
みらい(新人医療事務)
つまり、土台になる放射線治療の方で施設基準を満たしているかを別途確認する必要がある、ということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。放射線治療の区分によっては、実施のための届出や人員配置の要件が定められているものがあります。小児放射線治療加算を算定候補として整理する前に、まず土台となる放射線治療そのものが自院で正しく算定できる状態かどうかを確認しておく必要があります。
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
算定するときに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
大事な注意点が一つあります。厚生労働省の実施上の留意事項通知(令和8年度)には、次のように定められています。
各区分の「注」の加算とは重複対象外
「小児放射線治療加算は、各区分の注に掲げる加算については加算の対象とならない。」(診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について、令和8年度)
つまり、放射線治療の各区分ごとに「注」で定められている個別の加算(区分番号ごとの注加算)には、この小児放射線治療加算を重ねて掛け算することはできません。所定点数の範囲や、どの点数が加算の計算対象になるかは、区分ごとに丁寧に確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
計算を間違えやすそうなポイントですね…。
あおい(元・医療事務)
そうですね。年齢区分の判定(誕生日をまたぐタイミングなど)や、どの所定点数に対して加算率を掛けるのかは、事務だけで判断せず、算定の都度、医科点数表の該当条文と照らし合わせることをおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
今回、当サイトが収集した一次資料(令和8年度の医科点数表・実施上の留意事項通知)を確認しましたが、対象年齢区分・加算割合(100分の80・50・30・20)・対象となる放射線治療の区分番号について、変更を示す記載は見当たりませんでした。
確認範囲の明示
当サイトが収集した一次資料の範囲では、前回改定(令和6年度)からの小児放射線治療加算の変更点は確認されていません(確認日: 2026年7月・令和8年度の医科点数表と実施上の留意事項通知をもとに確認)。令和6年度時点の一次資料そのものは当サイトに未収録のため、この記載はあくまで「令和8年度の一次資料の範囲での確認」である点にご留意ください。
みらい(新人医療事務)
「変更がないことも、ちゃんと確認した結果なんですね」というのがよく分かりました。
あおい(元・医療事務)
そうです。何も書いていないから安心、ではなく、資料に当たった上で変更点が見つからなかった、という状態だと理解しておいてください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの病院で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で確認するのがおすすめです。

自院で確認する順番
- 患者が新生児・乳幼児・幼児・小児(15歳未満)のいずれの年齢区分に当たるかを確認する
- 実施した放射線治療が区分番号M000からM001-3まで、またはM002からM004までに含まれるかを確認する(粒子線治療M001-4は別建てのため対象外)
- その放射線治療の区分自体が施設基準・届出の要件を満たしているかを確認する
- 各区分の「注」に掲げる加算に該当していないか(重複計算にならないか)を確認する
- 上記が揃っていれば、年齢区分に応じた加算割合(100分の80・50・30・20)で算定候補として整理する
みらい(新人医療事務)
1つずつ順番に見ていけば、迷わずに済みそうです。
あおい(元・医療事務)
はい。特に区分番号の該当確認と、注加算との重複関係の確認は間違えやすいポイントなので、慎重に進めてください。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実務でよくある取りこぼしのパターンってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか挙げられます。
取り漏れやすいポイント
年齢区分の境目: 誕生日の前後で加算割合の区分(新生児/乳幼児/幼児/小児)が変わるため、算定日時点の年齢を都度確認せず前回と同じ区分で入力してしまうケースがあります。
粒子線治療との混同: M001-4粒子線治療は定額(7,000点)の別建て加算のため、通則3の割合加算(100分の80等)とは計算方法が異なります。同じ「小児放射線治療加算」という名称のため混同しやすい点です。
注加算との重複: 各区分の「注」に掲げる加算に対しては、この加算を重ねて計算できません。所定点数のうちどの部分が加算の対象になるかを都度確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるかは、自分たちでも確認したいところですね。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者の年齢や実施した放射線治療の区分を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。あわせて、同じ放射線治療の加算である体外照射用固定器具加算もご確認いただくと、放射線治療にまつわる加算の取り漏れを防ぎやすくなります。 また、対象患者が小児であることによる加算には、小児抗菌薬適正使用支援加算 や 小児矯正視力検査加算 などもあります。自院で小児の患者さんを診療している場合は、あわせて確認してみてくださいね。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。