みらい(新人医療事務)
先生、処方箋に「麻薬」とか「向精神薬」って書いてあるとき、レセプトに何か加算を付けていいんでしたっけ? 名前だけ聞いたことがあって……。
あおい(元・医療事務)
それは「麻薬等加算」ですね。令和8年度(2026年度)の医科点数表でも、投薬の調剤料・処方料に対する加算として設けられています。麻薬、向精神薬、覚醒剤原料又は毒薬を調剤又は処方した場合に、決まった点数を上乗せする仕組みです。
みらい(新人医療事務)
「決まった点数」ってことは、薬の種類や量に関係なく一律なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の医科点数表では、調剤料(F000)の「注」に「麻薬、向精神薬、覚醒剤原料又は毒薬を調剤した場合は、麻薬等加算として、1に係る場合には1処方につき1点を、2に係る場合には1日につき1点を、それぞれ所定点数に加算する」と定められています。剤数や用法用量にかかわらず、この点数で一律に加算する形です。
麻薬等加算とは
みらい(新人医療事務)
そもそも、この加算はどういう位置づけなんですか? 単独で算定できる加算ではないんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。麻薬等加算は単独では算定できず、調剤料(F000)または処方料(F100)を算定する際の「注」加算として上乗せするものです。当サイトが収録している令和8年度の一次資料の範囲では、対象は「麻薬、向精神薬、覚醒剤原料又は毒薬」の4分類で、これらのいずれかを調剤又は処方した場合が算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
「麻薬」とか「向精神薬」って、どこまでが対象なのか曖昧な気がします……。
あおい(元・医療事務)
そこは法令上の定義があります。厚生労働省の留意事項通知では、毒薬について「医薬品医療機器等法第44条第1項の規定(同施行規則第204条、別表第3)による毒薬をいう」、向精神薬について「麻薬及び向精神薬取締法第2条第6号の規定(同法別表第3)による向精神薬をいう」と整理されています。自院で該当するかどうかを判断する際は、処方する薬剤がこれらの法令上の分類に当てはまるかを確認する必要があります。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関でも算定候補になるんですか? 施設基準とか届出が必要だったりします?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、麻薬等加算そのものに施設基準や事前の届出は求められていません。診療所・病院を問わず、調剤料または処方料を算定する場面で、対象となる薬剤を調剤又は処方すれば算定候補になります。入院・外来のどちらでも仕組みが用意されている点も特徴です。
みらい(新人医療事務)
入院と外来で何か違いはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、算定の単位が違います。調剤料の「1」(入院中の患者以外=外来)に係る場合は1処方につき1点、「2」(入院中の患者)に係る場合は1日につき1点です。処方料は「入院中の患者以外の患者に対する1回の処方について算定する」ものなので、麻薬等加算も処方料に付く場合は外来の処方が対象になります。
点数・算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
表にするとこうなります。いずれも令和8年度の点数表に基づく点数です。
| 算定区分 | 対象 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| 調剤料(F000)「1」 | 入院中の患者以外(外来) | 1点 | 1処方につき |
| 調剤料(F000)「2」 | 入院中の患者 | 1点 | 1日につき |
| 処方料(F100) | 入院中の患者以外(外来) | 1点 | 1処方につき |

みらい(新人医療事務)
調剤料側と処方料側、両方に同じような加算があるんですね。同じ処方で両方付けられるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは自院のレセプトの算定パターン(調剤料と処方料をどちらも算定する運用か、院外処方で処方料のみか等)によって変わる部分なので、断定はできません。どちらの区分で算定するかは、実際の算定方法と合わせて確認が必要です。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準や届出は本当に不要なんですか? 他の加算だと届出必須のものが多い印象があります。
あおい(元・医療事務)
麻薬等加算については、当サイトが収録している一次資料の範囲で施設基準・届出の要件は確認されていません。ただし、これは麻薬等加算そのものについての整理です。麻薬を取り扱う調剤・処方には、麻薬及び向精神薬取締法に基づく麻薬施用者免許など、加算とは別の法令上の要件が別途関わってきます。そちらは診療報酬の届出とは別の枠組みなので、自院の状況は薬事の担当部署とあわせて確認しておくと安心です。
届出不要でも算定要件の確認は必要
麻薬等加算に施設基準・届出は求められていませんが、「算定候補」であることと「実際に算定してよいか」は別の話です。対象薬剤に該当するかどうかは、次の章で説明する例外(稀釈度による除外)も含めて確認が必要です。
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
算定のタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いちばん注意したいのは、「対象薬剤に見えても対象外になるケース」があることです。厚生労働省の留意事項通知には「コデインリン酸塩散1%のように、当該薬剤の基剤が麻薬等に属していても、稀釈度により麻薬等の取扱いを受けていないものを調剤又は処方した場合には対象とならない」と明記されています。基剤の名前だけで判断せず、実際にその製剤が法令上の麻薬等の取扱いを受けているかどうかを確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
なるほど、薬剤名だけで機械的に判断すると対象外の可能性があるということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。対象になるかどうかを迷うケースでは、薬剤部門や添付文書の記載と照らし合わせて、対象外の可能性がないかを確認したうえで算定候補として扱うのが安全です。
剤数・用法用量にかかわらず一律
留意事項通知では「『注』の加算については、内服薬、浸煎薬及び屯服薬、外用薬等の区分、剤数、用法用量等の如何にかかわらず」1処方(または1日)につき1点を加算する、とされています。薬の種類や量が多くても点数が増減するものではない、という点数の性質を理解しておくと確認がスムーズです。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から、麻薬等加算の内容は変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが保有する令和8年度の一次資料の範囲では、麻薬等加算の点数・算定単位・対象薬剤の区分について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません。調剤料算定時1点、処方料算定時1点という点数、施設基準・届出が不要という位置づけも含め、確認できた範囲で相違は見当たりませんでした。
前回→今回の時系列
令和6年度: 麻薬等加算は調剤料・処方料の「注」加算として、剤数等にかかわらず1点を加算する仕組み。 令和8年度(現行): 当サイトが確認した一次資料の範囲で、同様の仕組み・点数が維持されています。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの医療機関で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で見ていくと整理しやすいですよ。
自院で確認する順番
- 調剤又は処方した薬剤が、麻薬・向精神薬・覚醒剤原料・毒薬のいずれかに該当するか確認する
- 該当する場合でも、稀釈度により麻薬等の取扱いを受けていないもの(コデインリン酸塩散1%等)でないかを確認する
- 調剤料を算定する処方か、処方料を算定する処方か(外来か入院か)を確認する
- 外来の調剤料なら1処方につき1点、入院の調剤料なら1日につき1点、処方料なら1処方につき1点として算定候補に整理する

みらい(新人医療事務)
施設基準の届出が要らない分、逆に「対象薬剤かどうか」の判断が肝心になりそうですね。
あおい(元・医療事務)
まさにそこがポイントです。届出のハードルがない代わりに、薬剤ごとの該当・非該当の判断を丁寧に行う必要がある加算だと考えておくとよいと思います。
よくある取り漏れ
調剤料側の入院・外来の単位違いに注意
調剤料(F000)は、外来(1に係る場合)は1処方につき1点、入院(2に係る場合)は1日につき1点と、算定単位が異なります。入院患者に外来と同じ「1処方につき」の感覚で入力してしまうと、算定単位を取り違える可能性があります。
基剤の名前だけで対象と判断しない
「麻薬」「向精神薬」に分類されそうな名前の薬剤でも、稀釈度により麻薬等の取扱いを受けていないものは対象外の可能性があります。コデインリン酸塩散1%はその代表例として留意事項通知に明記されています。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
麻薬等加算に施設基準の届出は本当に要らないんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、麻薬等加算そのものへの施設基準・届出の要件は確認されていません。ただし麻薬の取扱いには診療報酬とは別に薬事法令上の要件が関わるため、自院の体制は別途確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)から点数は変わっていますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した一次資料の範囲では、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません。今後の告示・通知の更新があれば、そのつど確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
調剤料と処方料の両方に麻薬等加算が付くことはありますか?
あおい(元・医療事務)
それは自院の算定パターン次第で断定できない部分です。どちらの区分で、どのタイミングで算定するかを、実際のレセプト運用に照らして確認することをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象薬剤や算定区分を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する処方料側の加算としては、特定疾患処方管理加算や抗悪性腫瘍剤処方管理加算も同じ処方料の「注」加算として整理されているので、あわせて確認しておくと自院の投薬加算全体を把握しやすくなります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。