みらい(新人医療事務)
院長から「向精神薬調整連携加算って、うちも算定候補になるか見ておいて」と言われたんですが、正直はじめて聞く加算名で……。どんな加算なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
向精神薬調整連携加算は、抗不安薬や睡眠薬などを長く・多く使っていた患者さんの処方を医師が見直して、種類数や量を減らせた場合に、その後の様子を薬剤師や看護師に確認してもらうことを評価する加算です。令和8年度(2026年度)の医科点数表で、処方料または処方箋料の注として規定されています。
みらい(新人医療事務)
「処方を減らせたら加算」ということは、患者さん想いの加算なんですね。うちの診療所でも対象になるでしょうか?
あおい(元・医療事務)
対象になりうるかどうかは、患者さんの処方状況と院内の確認体制で決まります。まずは制度の枠組みから順番に見ていきましょう。
向精神薬調整連携加算とは(対象医療機関・対象患者)
みらい(新人医療事務)
まず、どんな医療機関で算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
診療所と病院の外来(入院中の患者以外)が対象です。訪問診療や入院中の患者さんへの処方は、この加算の対象にはなりません。処方料(F100)と処方箋料(F400)にそれぞれ注として規定されているので、院内処方でも院外処方箋でも、要件を満たせば算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんはどんな人ですか?
あおい(元・医療事務)
直近の処方が「向精神薬多剤投与」または「向精神薬長期処方」に該当していた患者さんが対象です。この2つの言葉は聞き慣れないと思うので、次の章でしっかり確認しましょう。ここで大事なのは、単に「向精神薬を使っている」だけでは対象にならず、多剤投与・長期処方という一定の状態にあった患者さんの処方を減らせた場合、という点です。
点数と算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどのくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
12点です。1処方につき、月1回に限って所定点数に加算します。回数を増やしても加算が積み上がるわけではないので、月をまたいで複数回処方が変わっても、算定できるのは月1回までという理解になります。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 点数 | 12点 |
| 算定単位 | 1処方につき |
| 算定回数 | 月1回に限る |
| 規定箇所 | 医科点数表 処方料(F100)注9・処方箋料(F400)注 |
| 届出 | 不要 |

みらい(新人医療事務)
届出はいらないんですか?意外です。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。この加算は施設基準の届出を必要とせず、処方料・処方箋料を算定する医療機関であれば、要件を満たした処方があったときに候補になる仕組みです。ただし届出が不要というだけで、算定要件そのものは細かく定められているので、その中身を確認していきましょう。
対象になる患者: 向精神薬多剤投与・向精神薬長期処方とは
みらい(新人医療事務)
「向精神薬多剤投与」って、具体的にはどういう状態を指すんですか?
あおい(元・医療事務)
医科点数表の留意事項通知では、抗不安薬を3種類以上、睡眠薬を3種類以上、抗うつ薬を3種類以上、抗精神病薬を3種類以上、または抗不安薬と睡眠薬を合わせて4種類以上投与している場合を「向精神薬多剤投与」としています。これに該当すると、処方料・処方箋料自体の点数区分(1・2・3)にも影響する取り扱いになっています。
みらい(新人医療事務)
もう一つの「向精神薬長期処方」は?
あおい(元・医療事務)
抗不安剤・催眠鎮静剤・精神神経用剤などのうち、ベンゾジアゼピン受容体作動薬を1年以上にわたって、同一成分・同一の1日当たり用量で連続して処方している場合を指します。不安や不眠の症状に対する長期処方が対象になるイメージです。定期処方から屯服(頓服)へ変更した場合は、同一の1日当たり用量には該当しない、という取り扱いも留意事項通知に明記されています。
種類数・用量の数え方
抗不安薬等の種類数の減少は一般名で計算します。同じ成分でも銘柄が違うだけでは種類数は変わりません。また「投薬量の減少」には、定期処方を屯服(頓服)に変更した場合も含まれます。件数や点数の記載だけを見ずに、一般名ベースで前回処方と比較することが確認のポイントです。
算定要件: 処方内容の見直しと確認指示
みらい(新人医療事務)
実際にどんな行為をすれば算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
直近の処方が向精神薬多剤投与または向精神薬長期処方に該当していた患者さんについて、医師が処方内容を総合的に評価・調整し、抗不安薬等の種類数または投薬量を減らせた場合に、薬剤師(院外処方箋の場合)または薬剤師・看護師・准看護師(院内処方の場合)に対して、種類数・投薬量が減少したことによる症状の変化等の確認を指示することが要件になります。
みらい(新人医療事務)
院内処方と院外処方箋で、指示できる相手が違うんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、そこは見落としやすいポイントです。処方料(院内処方)の注では「薬剤師、看護師又は准看護師」への指示が対象になっていますが、処方箋料(院外処方箋)の注では「薬剤師」への指示に限られています。院外処方箋を発行している場合に、院内の看護師への指示だけで済ませてしまうと、要件を満たしたことにならない可能性があります。
みらい(新人医療事務)
指示するときに、何か決まった手順があるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、指示の際に処方の変更点を説明したうえで、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公表した医薬品適正使用に関する周知資料(2017年3月公表分)や、睡眠薬の適正使用・減量に関する研究班の診療ガイドラインなどを参考に、特に留意すべき症状等について具体的に指示することとされています。単に「様子を見てください」ではなく、どんな症状変化に注意すべきかを具体的に伝える必要がある、という理解です。
院内処方と院外処方箋で指示先が異なる
処方料(院内処方)の注では薬剤師・看護師・准看護師への確認指示が対象ですが、処方箋料(院外処方箋)の注では薬剤師への確認指示に限られています。自院がどちらの処方形態かによって、誰に指示を出すべきかを確認してください。
届出は必要か
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は本当にいらないんですか?
あおい(元・医療事務)
向精神薬調整連携加算そのものについては、施設基準の届出は不要です。処方料・処方箋料を算定できる医療機関であれば、要件を満たした処方が発生したタイミングで候補になります。ただし、届出が不要だからといって、算定要件(対象患者の該当性、確認指示の実施と記録)の確認まで不要というわけではありません。診療録や処方箋の記載に、確認指示を行った事実が残っているかどうかは、実務上とても重要な確認ポイントになります。
併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
他の薬剤関連の加算と一緒に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
同一月において、区分番号A250に掲げる薬剤総合評価調整加算、および区分番号B008-2に掲げる薬剤総合評価調整管理料は、向精神薬調整連携加算とは別に算定できないとされています。同じ月に処方内容の見直しを行った患者さんについて、どちらの加算・管理料で評価するかを整理しておく必要があります。
同月の重複算定に注意
薬剤総合評価調整加算・薬剤総合評価調整管理料と向精神薬調整連携加算は、同一月に併算定できません。処方見直しのたびにどちらで算定するかをレセプト担当者と事前にすり合わせておくと、後からの修正を防ぎやすくなります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の令和6年度改定のときからあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、向精神薬調整連携加算について前回改定(令和6年度)時点との比較評価に必要な公式資料(新設・改廃を明示した個別改定項目資料)を確認できていません。令和8年度時点の医科点数表・留意事項通知で確認できる算定要件は、この記事に記載した内容のとおりです(確認日: 2026年7月)。新設か既存の見直しかを含めた正確な改定経緯については、厚生労働省が公表している「令和8年度診療報酬改定」の個別改定項目資料でご確認ください。
改定差分の確認手順
前回改定からの変更点を正確に把握したい場合は、厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要」「個別改定項目について」の該当ページを確認するのが確実です。当サイトの記載はあくまで令和8年度時点の算定要件の整理であり、新設・改廃の断定は行っていません。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちで確認するとしたら、何から手をつければいいですか?
あおい(元・医療事務)
順番に整理すると進めやすいですよ。

自院で確認する順番
- 対象患者の抽出: 直近の処方が向精神薬多剤投与(抗不安薬・睡眠薬・抗うつ薬・抗精神病薬いずれか3種類以上、または抗不安薬+睡眠薬で4種類以上)または向精神薬長期処方(ベンゾジアゼピン受容体作動薬を1年以上同一用量で継続)に該当していたかを確認する
- 処方見直しの確認: 医師が処方内容を総合的に評価・調整し、抗不安薬等の種類数または1日当たり投薬量が一般名ベースで減少したかを確認する(屯服への変更を含む)
- 確認指示の実施と記録: 院内処方なら薬剤師・看護師・准看護師へ、院外処方箋なら薬剤師へ、症状の変化等の確認を具体的に指示し、その内容を診療録等に記録したかを確認する
- 併算定の整理: 同一月に薬剤総合評価調整加算・薬剤総合評価調整管理料を算定していないかを確認する
- 算定候補としてレセプト担当者と共有する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントって、他にもありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
取り漏れやすいポイント
種類数の数え方: 銘柄単位ではなく一般名単位で数える必要があるため、同一成分の銘柄変更だけを「減少」と誤認しないよう注意してください。 指示先の取り違え: 院外処方箋の患者さんについて、院内の看護師への指示だけで済ませてしまうケースが見落とされやすいポイントです。 併算定の見落とし: 薬剤総合評価調整加算・薬剤総合評価調整管理料との同月併算定不可を、レセプト担当者側で把握していないケースがあります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
入院中の患者さんは対象にならないんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算は処方料・処方箋料の注として規定されており、入院中の患者さん以外を対象とする処方料・処方箋料の枠組みに含まれています。入院中の処方は対象外と整理してよいでしょう。
みらい(新人医療事務)
訪問診療の患者さんはどうですか?
あおい(元・医療事務)
訪問診療についても、当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算が処方料・処方箋料に付随する外来向けの取り扱いとして整理されています。個別の算定可否は、処方形態や算定している基本診療料と合わせて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)のときは、この加算に関する規定はどうだったんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)時点でのこの加算の有無・内容については、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認できていません。正確な経緯を知りたい場合は、厚生労働省の個別改定項目資料など公式資料での確認をおすすめします。
公式資料の根拠
みらい(新人医療事務)
この記事の内容って、どこで確認できますか?
あおい(元・医療事務)
向精神薬調整連携加算は、令和8年度の医科点数表(令和8年厚生労働省告示第69号)の処方料・処方箋料の注、および実施上の留意事項についての通知(令和8年3月5日保医発0305第6号)に規定されています。厚生労働省の「令和8年度診療報酬改定について」のページから、告示・通知の本文を確認できます。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。処方状況や確認指示の実施状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の処方内容・確認指示の実施状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。