この加算はどんな加算ですか
みらい(新人医療事務)
「周術期栄養管理実施加算」って名前は見たことあるんですけど、正直どういう場面で算定するのかピンと来てないんです。教えてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
いいですよ。これは手術を受ける患者さんに対して、手術の前後(周術期)にきちんと栄養管理を行った場合に、270点を所定点数に加算できるという手術通則の加算です。令和8年度の医科点数表では「第2章第10部手術の通則第20号」に規定されています。
みらい(新人医療事務)
「所定点数に加算する」ってことは、手術そのものの点数にプラスして算定するイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。対象になるのは、区分番号L008に掲げる声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔を伴う手術を実施した場合に限られます。つまり全身麻酔で気道確保を行うタイプの手術が前提になっている点は、まず押さえておきたいポイントです。
みらい(新人医療事務)
全身麻酔の手術なら何でも対象になる、というわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。麻酔の方法が要件になっているので、区分番号L008に該当する全身麻酔かどうかを、まず確認する必要があります。ここが対象外の可能性が出てくる分かれ道の一つです。
対象になる医療機関・手術
みらい(新人医療事務)
この加算はクリニックでも算定できるんですか?それとも大きい病院だけですか?
あおい(元・医療事務)
制度上は診療所・病院どちらも対象になり得ますし、対象は入院患者です。ただし前提として、地方厚生局長等に施設基準の届出を行っている保険医療機関であることが必要です。届出をしていない医療機関では、要件を満たしていても算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
外来で栄養管理をした場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算自体は手術通則の加算なので、算定の対象になる患者さんは入院して手術を受ける方です。ただし面白いところとして、術前に行う栄養管理そのものは、入院前の外来で実施しても差し支えないとされています。あくまで「栄養管理を外来で行ってもよい」という話であって、加算自体は入院の手術に対して算定する、という整理です。
みらい(新人医療事務)
なるほど、栄養管理の"実施場所"と、加算の"算定対象"を分けて考えるんですね。
点数と算定対象手術(令和8年度)
あおい(元・医療事務)
令和8年度時点での点数と算定対象の整理を表にしますね。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 点数 | 270点(手術の所定点数に加算) |
| 規定 | 医科点数表 第2章第10部手術 通則第20号 |
| 対象手術 | 区分番号L008に掲げる声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔を伴う手術 |
| 算定回数 | 一連の入院期間中に実施された手術のうち主たるものについて、1回に限り |
| 届出 | 必要(地方厚生局長等) |

みらい(新人医療事務)
「主たるものについて1回に限り」というのがちょっと引っかかります。同じ入院中に手術を2回受けた患者さんだったらどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
良い質問です。実際に公表されている疑義解釈でも同じ質問が扱われていて、「一連の入院期間中に実施された手術のうち主たるものについて、1回に限り算定すること」という回答が示されています。つまり複数回手術をしても、加算としては1回分だけが算定候補になる、という考え方です。
施設基準(専任・常勤の管理栄養士)
みらい(新人医療事務)
施設基準の中身はどうなっているんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、「通則20の周術期栄養管理実施加算は、専任の管理栄養士が医師と連携し、周術期の患者の日々変化する栄養状態を把握した上で、術前・術後の栄養管理を適切に実施した場合に算定する」とされています。つまり専任の管理栄養士が、医師と連携しながら術前・術後を通じて栄養状態を把握し、栄養管理を行う体制が前提です。
みらい(新人医療事務)
「専任」っていうのは、他の業務と兼務しちゃダメってことですか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈では、専任の管理栄養士以外の者が栄養管理を行った場合は算定不可、と明確にされています。一方で、施設基準における常勤の管理栄養士については、栄養サポートチーム加算等における専任の常勤管理栄養士と兼務することは可能、という回答も出ています。つまり「専任」であることは必須ですが、院内の他の栄養関連チーム(栄養サポートチームなど)の専任管理栄養士と同一人物が兼ねること自体は認められている、という整理です。
施設基準確認のポイント
専任の管理栄養士: 医師と連携し、術前・術後を通じて栄養状態を把握する体制が必要です。 常勤要件: 施設基準における常勤の管理栄養士は、栄養サポートチーム加算等の専任常勤管理栄養士と兼務可能とされています。 届出済みの管理栄養士であること: 一時的にICU等の治療室に入室した患者に対して、当該加算の施設基準に係る届出を行っていない管理栄養士が栄養管理を実施した場合は算定不可とされています。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
届出さえしていれば、あとは自動的に算定候補になるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
届出は前提条件であって、それだけで算定候補が確定するわけではありません。届出済みであれば候補にはなりますが、実際に専任・常勤の管理栄養士が医師と連携して栄養管理を行い、記録を残しているかどうかも合わせて確認が必要です。届出の有無と、日々の運用実態の両方を見る必要がある、というイメージを持っておいてください。
みらい(新人医療事務)
届出さえしていれば安心、というわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。届出と運用実態、どちらも欠けると算定候補から外れる可能性があります。
算定のタイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
タイミングや他の加算との関係でも注意点があるんですか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、術前の栄養管理を実施していれば、手術中に患者さんが死亡し、術後の栄養管理が実施できなかった場合でも算定は可能とされています。逆に言うと、術前の栄養管理を実施していないと、この加算の対象にはなりません。
早期栄養介入管理加算との重複に注意
周術期栄養管理実施加算を算定している患者が、早期栄養介入管理加算を算定できる治療室に入室した場合、早期栄養介入管理加算は算定不可とされています。同じ患者に対して両方の加算を重ねて算定することは想定されていません。
みらい(新人医療事務)
逆に、一緒に算定できる加算もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。留意事項通知では、区分番号A233-2の栄養サポートチーム加算、および区分番号B001の「10」入院栄養食事指導料は、別に算定できるとされています。ただし疑義解釈では、周術期栄養管理実施加算または入院栄養管理体制加算を算定している患者が、早期栄養介入管理加算を算定できる治療室に入室した場合は、早期栄養介入管理加算の方が算定不可になるとされているので、その点は区別して確認してください。
みらい(新人医療事務)
「周術期における栄養管理の計画」は、別に入院栄養管理の計画を作る必要があるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこも疑義解釈で扱われています。入院料等の通則に規定する栄養管理体制の基準における栄養管理計画に、周術期栄養管理実施加算の留意事項通知が求める項目(栄養スクリーニング、栄養アセスメント、周術期の栄養管理計画、実施、モニタリング、再評価など)が含まれていれば、別途「周術期における栄養管理の計画」を新たに作成する必要はない、とされています。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定から何か変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和8年度の告示(診療報酬の算定方法の一部を改正する件)でも、この加算は引き続き「手術の通則第20号」として規定されており、点数は270点のままです。過去に公表されている疑義解釈(周術期栄養管理実施加算に関する質疑応答)が引用する条文の位置づけとも整合しており、点数・算定単位・算定対象手術の範囲について、当サイトで確認できた資料の中で変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。
改定差分の確認範囲について
この整理は、当サイトが収録している令和8年度の告示・留意事項通知・疑義解釈の範囲での確認です。個別改定項目の解説資料など、より詳細な変更点の記載がある場合は、最終的に厚生労働省の公式資料でもご確認ください。
みらい(新人医療事務)
「変更なし」と言い切るんじゃなくて、確認した範囲を明示してくれるのは安心です。
あおい(元・医療事務)
そこは正確に伝えたいところなので、断定はせず、確認できた範囲をそのままお伝えするようにしています。
自院で確認する順番

自院で確認する順番
①専任・常勤の管理栄養士がいるか: 医師と連携して周術期の栄養状態を把握できる体制があるかを確認します。 ②施設基準の届出を行っているか: 地方厚生局長等への届出が済んでいるかを確認します。 ③対象手術に該当するか: 区分番号L008に掲げる声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔を伴う手術かどうかを確認します。 ④術前・術後の栄養管理計画と記録があるか: 栄養スクリーニング・アセスメント・計画・実施・モニタリング・再評価の記録が残っているかを確認します。 ⑤早期栄養介入管理加算との重複がないか: 本加算を算定している患者が早期栄養介入管理加算を算定できる治療室に入室した場合、早期栄養介入管理加算の方が算定不可になるため、算定状況を確認します。
よくある取り漏れ
見落としやすいポイント
主たる手術以外での重複算定: 同一入院中に複数回手術をしても、算定できるのは主たる手術1回分のみです。 専任管理栄養士以外による実施: 専任の管理栄養士以外が栄養管理を行った場合は、要件を満たさず算定候補から外れます。 治療室担当の管理栄養士の届出漏れ: 術後一時的にICU等に入室した際、その治療室を担当する管理栄養士が施設基準の届出を行っていないと、算定できないとされています。
みらい(新人医療事務)
「専任」の範囲や「届出済みの管理栄養士」かどうかは、思っていたより細かく見られているんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。人員配置と届出の対応関係は、取り漏れだけでなく過大算定のリスクにもつながるので、丁寧に確認しておきたいところです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
緊急手術の場合、術前の栄養管理はどう考えればいいですか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈では、緊急手術を実施する当日に実施した栄養管理であっても、要件を満たす栄養管理を実施していれば含まれる、とされています。緊急手術だからといって一律に対象外になるわけではありません。
みらい(新人医療事務)
外来で術前の栄養管理をした管理栄養士と、入院後に対応する管理栄養士が違う場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
同一の管理栄養士が実施する必要はないとされていますが、いずれの場面でも専任の管理栄養士が実施することが求められています。担当が変わっても「専任」の要件は維持する必要がある、という整理です。
みらい(新人医療事務)
この加算は令和8年度に新しくできた加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ。当サイトが収録している疑義解釈の中には、この加算に関する質疑応答が複数含まれており、それらは令和8年度より前の資料です。つまり以前から存在する加算が、令和8年度の点数表でも引き続き規定されている、という位置づけです。新設かどうかも含めて、詳しい沿革が気になる場合は公式資料や加算チェッカーでご確認ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。