みらい(新人医療事務)
先輩、手術のレセプトを見ていたら「周術期口腔機能管理後手術加算」っていう見慣れない加算がついてたんです。これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。これは第10部手術の通則17に定められている加算で、歯科医師による周術期口腔機能管理を受けた患者さんが、その後に手術を受けた場合に算定候補になるものです。令和8年度(2026年度)の医科点数表で200点と定められています。
みらい(新人医療事務)
「周術期口腔機能管理」ってよく聞きますけど、手術側の加算にもつながっているんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。手術を受ける患者さんは、歯科医師が事前に口腔内をチェックして肺炎などの合併症リスクを減らす管理をすることがあります。その管理を受けた後に一定期間内に手術をすると、手術を行った医療機関側でこの加算が算定候補になる、という仕組みです。
周術期口腔機能管理後手術加算とは(対象医療機関・対象患者)
みらい(新人医療事務)
対象になる医療機関や患者さんは決まっているんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算は医科点数表の手術通則に位置づけられていて、診療所・病院を問わず、外来・入院いずれの手術でも対象になり得ます。ポイントは患者さん側の条件です。歯科医師による周術期口腔機能管理を受けていて、その実施後1か月以内に手術を受けていることが前提になります。
みらい(新人医療事務)
「1か月以内」というのは厳密なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、告示の文言では「実施後1月以内に、別に厚生労働大臣が定める手術を実施した場合」とされています。管理を受けた日と手術日の間隔がここを超えると、算定候補から外れる可能性があるので、日付の確認は必須です。
みらい(新人医療事務)
「別に厚生労働大臣が定める手術」というのは、具体的にどんな手術なんですか?
あおい(元・医療事務)
そこが一番大事な確認ポイントです。対象手術は「厚生労働大臣が定める手術」として個別に指定されており、一律にすべての手術が対象になるわけではありません。当サイトが確認できる公式資料の範囲では、悪性腫瘍手術など一部の手術については病理診断で悪性腫瘍と確認された場合に限られる、という取扱いが示されています。ただし自院が行った手術がこの対象リストに含まれるかどうかは、実施した手術の区分番号を公式資料の対象手術一覧と個別に照合する必要があります。ここは断定できないので、必ず確認が必要です。

点数と算定のタイミング(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数の仕組みも整理しておきたいです。
あおい(元・医療事務)
表にまとめますね。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 加算名 | 周術期口腔機能管理後手術加算 |
| 点数(令和8年度) | 200点 |
| 位置づけ | 医科点数表 第10部手術 通則17の加算 |
| 算定対象 | 歯科医師による周術期口腔機能管理の実施後1か月以内に、厚生労働大臣が定める手術を実施した場合 |
| 加算先 | 実施した手術の所定点数 |
| 届出 | 不要(施設基準の個別届出は求められていません) |
みらい(新人医療事務)
届出がいらないんですね、それは意外でした。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。届出不要という点は算定のハードルが低い部分ですが、その分「歯科医師による管理を実施していたか」「1か月以内という期間の要件を満たしているか」という事実確認のほうが重要になります。届出がないからといって、要件確認を省略していいわけではありません。
みらい(新人医療事務)
複数の手術を同時に行った場合はどうなるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
手術の通則には、同一手術野で複数の手術を同時に行った場合は主たる手術の所定点数のみで算定するという原則があります。周術期口腔機能管理後手術加算のような通則加算も、この原則の考え方に沿って主たる手術に対して整理されるのが基本的な考え方です。ただし個別の算定パターンは診療内容によって変わるため、迷う場合は審査支払機関への確認が安全です。
算定要件を対話で確認
みらい(新人医療事務)
あらためて、算定要件を順番に確認したいです。
あおい(元・医療事務)
公式資料の文言をそのまま読むと、柱になるのは次の2点です。
算定要件(令和8年度・医科点数表 手術通則17)
要件1: 歯科医師による周術期口腔機能管理の実施後1か月以内に、厚生労働大臣が定める手術を実施した場合に、周術期口腔機能管理後手術加算として200点を所定点数に加算する。 要件2: この加算を算定した場合は、周術期口腔機能管理を実施した歯科医療機関名(医科歯科併設の保険医療機関を除く)を診療録に記載する。なお悪性腫瘍手術は、病理診断により悪性腫瘍であることが確認された場合に限り算定できる。
みらい(新人医療事務)
「医科歯科併設の保険医療機関を除く」というのはどういう意味ですか?
あおい(元・医療事務)
手術を行った医療機関の中に歯科診療科があって、同じ医療機関内で周術期口腔機能管理を実施しているようなケースでは、外部の歯科医療機関名を記載する必要がない、という趣旨だと理解しておくとよいでしょう。自院の体制によって記載の要否が変わる部分なので、自院が医科歯科併設かどうかも確認ポイントになります。
みらい(新人医療事務)
悪性腫瘍手術のところが少し複雑ですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。悪性腫瘍手術については、病理診断で悪性腫瘍であることが確認されて初めて算定候補になる、という条件がついています。手術前の臨床診断段階では算定候補と判断せず、病理診断の結果が出てから確定させる運用が必要です。
断定は禁物
歯科医師による周術期口腔機能管理を受けていても、手術の種類が「厚生労働大臣が定める手術」に含まれていなければ、この加算は算定候補になりません。自院で実施した手術の区分番号を公式資料と照合し、確認が必要です。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
さっき「届出不要」とありましたが、施設基準自体もないんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算そのものについて、当サイトが確認できる公式資料の範囲では、個別の施設基準は設けられていません。届出も不要です。ただし、これは「誰でも自動的に算定できる」という意味ではなく、あくまで実施した診療内容が要件(管理実施後1か月以内の手術、対象手術への該当、診療録記載)を満たしているかどうかで算定候補になるかが決まる、という点に注意してください。
みらい(新人医療事務)
では確認すべきは施設基準ではなく、診療内容そのものということですね。
あおい(元・医療事務)
その理解で合っています。施設基準の届出が要らない分、レセプト提出前の自院内チェック(管理実施日・手術日・対象手術の該当性・診療録記載)がより重要になります。
算定時の注意点(診療録記載・悪性腫瘍手術の限定)
みらい(新人医療事務)
算定するときに、実務で気をつけるポイントを教えてください。
あおい(元・医療事務)
大きく3つあります。1つ目は歯科医療機関名の診療録記載です。周術期口腔機能管理を実施した歯科医療機関名を、自院(医科歯科併設を除く)の診療録に記載する必要があります。2つ目は期間の確認です。管理実施日から手術日までが1か月以内かどうかを、日付ベースで確認してください。3つ目は悪性腫瘍手術の場合の病理診断確認です。
みらい(新人医療事務)
どれも「あとで見返したら分からなくなっていた」となりがちな項目ですね。
あおい(元・医療事務)
まさにそうです。特に歯科医療機関との連携は院外のやり取りになることが多く、記録が散逸しやすいポイントです。管理実施日の分かる資料(情報提供書や管理計画書の写しなど)を手術記録とセットで保管しておくと、後から確認しやすくなります。
取り漏れやすいポイント
歯科医療機関名の記載漏れ: 診療録への記載を失念すると、算定要件を満たしていても後から確認できなくなります。 期間超過の見落とし: 管理実施日から手術日までが1か月を超えていないか、日付を必ず突き合わせてください。 悪性腫瘍手術の病理診断待ち: 病理診断の結果確定前に算定候補と判断しないよう、確定後の請求タイミングを意識してください。

令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回改定(令和6年度)から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できる一次資料の範囲では、令和6年度(2024年度)改定から令和8年度(2026年度)改定にかけての点数・算定要件・診療録記載要件の変更は確認されていません。200点という点数、歯科医師による周術期口腔機能管理の実施後1か月以内という期間要件、診療録への歯科医療機関名記載や悪性腫瘍手術の病理診断限定といった枠組みは、令和8年度時点でも同様の内容で確認できます。
みらい(新人医療事務)
変更がないなら、そのまま覚えておいて大丈夫そうですね。
あおい(元・医療事務)
ただし「変更が確認されていない」というのは、当サイトが参照できた一次資料の範囲での話です。個別の疑義解釈や訂正通知が別途出ている可能性もあるため、算定前には最新の公式資料もあわせて確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
最後に、自院で確認する手順を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
順番に並べるとこうなります。
自院で確認する順番
1. 歯科医師による周術期口腔機能管理の実施記録を確認する: 管理を実施した歯科医療機関名と実施日を確認します。 2. 手術日との期間を確認する: 管理実施日から手術日までが1か月以内であることを確認します。 3. 実施した手術が対象に該当するか確認する: 「厚生労働大臣が定める手術」の一覧と、実際に行った手術の区分番号を照合します。悪性腫瘍手術の場合は病理診断の結果も確認します。 4. 診療録への記載を確認する: 周術期口腔機能管理を実施した歯科医療機関名(医科歯科併設を除く)が診療録に記載されているかを確認します。 5. 自院の体制(医科歯科併設かどうか)を確認する: 医科歯科併設の保険医療機関に該当するかで、記載の要否が変わる点を確認します。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実際にどんな取り漏れが起きやすいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
よくあるのは、周術期口腔機能管理を受けていること自体を手術担当のスタッフが把握しておらず、加算の存在に気づかないまま請求してしまうケースです。歯科との連携が別部門・別医療機関で完結していると、情報が手術担当側まで届きにくいんです。
連携不足による取り漏れ
歯科医師による周術期口腔機能管理の情報が、手術を担当する診療科・部署まで共有されていないと、算定候補であることに気づかず加算漏れになりやすい傾向があります。院内外の連携フローを見直すことが取り漏れ防止につながります。
みらい(新人医療事務)
逆に、算定できると思い込んで請求してしまうケースもありそうですね。
あおい(元・医療事務)
あります。歯科医師による管理を受けていれば自動的に算定できる、と誤解してしまうケースです。実際には「1か月以内」という期間要件と、「厚生労働大臣が定める手術」への該当性という2つの条件を同時に満たす必要があります。どちらか一方だけでは算定候補になりません。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にQ&A形式で確認させてください。歯科医師による管理を受けていれば、どんな手術でも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、対象は「厚生労働大臣が定める手術」に該当するものに限られます。すべての手術が対象になるわけではないので、自院が実施した手術の区分番号を確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できる公式資料の範囲では、この加算に個別の届出は求められていません。ただし要件を満たしているかどうかの確認は必要です。
みらい(新人医療事務)
悪性腫瘍手術の場合、いつの時点で算定候補と判断すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
病理診断によって悪性腫瘍であることが確認された時点です。手術前の臨床診断だけでは算定候補と判断せず、病理診断の結果が出てから確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
診療録への記載を忘れた場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
診療録への歯科医療機関名の記載は要件の一部とされているため、記載がないと算定要件を満たしているかどうかの確認自体が難しくなります。気づいた時点で速やかに記載し、今後は記載漏れが起きないよう院内のチェック体制を整えることをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。歯科と連携している手術が多い医療機関では、あわせて 胃瘻造設時嚥下機能評価加算 のような、同じ手術通則の中にある関連加算も確認しておくと取り漏れの防止につながります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。