みらい(新人医療事務)
先輩、レセプトに「覚醒試験加算」って項目があったんですけど、これって何の加算なんですか?聞いたことがなくて…。
あおい(元・医療事務)
覚醒試験加算ですね。ICUなどで人工呼吸器を使っている患者さんの意識状態を評価したときに算定できる加算候補です。令和8年度(2026年度)の医科点数表では、J045人工呼吸の「注3」に定められています。
みらい(新人医療事務)
「注3」ということは、人工呼吸そのものとは別に、追加で算定するものなんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。厚生労働省の点数表にはこう書かれています。
点数表の記載(令和8年度)
J045人工呼吸 注3: 「気管挿管が行われている患者に対して、意識状態に係る評価を行った場合は、覚醒試験加算として、当該治療の開始日から起算して14日を限度として、1日につき100点を所定点数に加算する。」
みらい(新人医療事務)
100点を1日につき、で合ってますか?
あおい(元・医療事務)
はい、1日につき100点です。しかも「治療の開始日から起算して14日を限度」という縛りがあるので、15日目以降は算定候補から外れます。日数のカウントを取り違えないようにしたいところです。
対象医療機関・対象患者

みらい(新人医療事務)
うちは診療所なんですけど、対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
覚醒試験加算はJ045人工呼吸の上乗せ加算なので、まず人工呼吸そのものを算定できる場面であることが前提です。当サイトが収録している範囲では、対象医療機関は診療所・病院のいずれも算定候補になり得ますが、対象になるのは気管挿管・人工呼吸器による入院管理が行われている患者です。外来診療での算定は対象外の可能性が高く、自院の算定状況とあわせて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
患者さんの条件はどうですか?
あおい(元・医療事務)
「気管挿管が行われている患者」で「人工呼吸器を使用している」ことが前提です。留意事項通知には次のように書かれています。
留意事項通知(令和8年度)
「『注3』に規定する覚醒試験加算は、人工呼吸器を使用している患者の意識状態に係る評 価として、以下の全てを実施した場合に算定することができる。なお、実施に当たっては、 関係学会が定めるプロトコル等を参考とすること。」
みらい(新人医療事務)
「以下の全てを実施した場合」って、けっこう重要なポイントですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。ここは要確認ポイントで、条件を一部だけ満たしていても算定候補にはなりません。次で詳しく見ていきましょう。
算定に必要な4つの実施項目
みらい(新人医療事務)
「以下の全て」って、具体的に何をすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に、ア〜エの4項目が挙げられています。
覚醒試験加算の実施項目(留意事項通知・令和8年度)
「ア 自発覚醒試験を実施できる状態であることを確認すること。イ 当該患者の意識状態を評価し、自発的に覚醒が得られるか確認すること。その際、必要 に応じて、鎮静薬を中止又は減量すること。なお、観察時間は、30分から4時間程度を目 安とする。ウ 意識状態の評価に当たっては、Richmond Agitation-Sedation Scale(RASS)等の指標を用 いること。エ 評価日時及び評価結果について、診療録に記載すること。」
みらい(新人医療事務)
つまり、①自発覚醒試験を実施できる状態か確認、②意識状態の評価(必要なら鎮静薬を中止・減量、観察は30分〜4時間程度が目安)、③RASSなどの指標を使う、④評価日時と結果を診療録に記載、の4つですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。特に④の診療録への記載は、算定の根拠として重要な部分です。評価しただけで記録が残っていないと、算定候補としては要確認になってしまいます。
みらい(新人医療事務)
「関係学会が定めるプロトコル等を参考とすること」ともありましたけど、これはどういう意味ですか?
あおい(元・医療事務)
実施の際には、集中治療系の学会などが公表しているプロトコルを参考にする、という位置づけです。当サイトが確認した資料の範囲では、特定のプロトコル名までは指定されていません。自院でどのプロトコルを採用しているかは、院内の運用ルールとあわせて確認が必要です。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準とか、届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
ここは要確認としてお伝えしたいところです。当サイトが確認した告示・留意事項の範囲では、覚醒試験加算そのものに個別の施設基準や届出条件を定めた記載は見当たりませんでした。同じJ045人工呼吸の中でも、たとえば一酸化窒素吸入療法の加算には「別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において行われる場合に限り算定する」という条件が明記されていますが、覚醒試験加算(注3)にはそうした条件は確認できていません。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出なしで算定できるってことですか?
あおい(元・医療事務)
資料の記載からはそう読めますが、断定はできません。人工呼吸自体の算定要件や、レセプトの記載ルールとあわせて自院で確認していただくのが確実です。「届出が不要そうだから確認しなくていい」ではなく、念のため審査支払機関や院内のレセプト担当に確認する、というスタンスをおすすめします。
似た名前の加算との違い(離脱試験加算・腹臥位療法加算)
みらい(新人医療事務)
覚醒試験加算のほかにも、似たような名前の加算がある気がするんですが…。
あおい(元・医療事務)
よく混同されるポイントなので整理しておきましょう。J045人工呼吸には、注3の覚醒試験加算のほかに、注4の離脱試験加算、注5の腹臥位療法加算があります。それぞれ点数も条件も別物です。
加算ごとの違い(令和8年度・混同注意)
点数表の記載: 「4 注3の場合において、当該患者に対して人工呼吸器からの離脱のために必要な 評価を行った場合は、離脱試験加算として、1日につき60点を更に所定点数に加 算する。5 3のイについては、別に厚生労働大臣が定める患者に対して、連続した12時間 以上の腹臥位療法を行った場合に、腹臥位療法加算として、1回につき900点を 所定点数に加算する。」
みらい(新人医療事務)
覚醒試験加算は「意識状態の評価」、離脱試験加算は「人工呼吸器からの離脱に必要な評価」、腹臥位療法加算は「12時間以上の腹臥位療法」で、それぞれ点数も100点・60点・900点と違うんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。特に覚醒試験加算と離脱試験加算は名前も内容も近いので、レセプトの摘要欄にどちらの加算かを正しく記載することが大切です。腹臥位療法加算については、腹臥位療法加算 の記事でも取り上げていますので、あわせて確認してみてください。
改定での変更点(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
前の改定から、何か変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは正直にお伝えしますね。当サイトが収集している一次資料は令和8年度分が中心で、令和6年度時点の覚醒試験加算に関する一次資料との突き合わせは、現時点では確認できていません。そのため「変更があった/なかった」を断定することは避けたいと思います。令和8年度の点数表・留意事項通知に基づく現行の内容としては、ここまでご紹介した点数・実施項目のとおりです。
みらい(新人医療事務)
分かりました。もし過去の改定との違いが気になる場合は、どうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
自院で契約しているレセプトコンピュータのベンダーや、審査支払機関に確認いただくのが確実です。当サイトでも一次資料が確認でき次第、この記事を更新していきます。
自院で確認する順番

みらい(新人医療事務)
結局、うちの病棟で算定候補になるかどうか、どうやって確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
順番に並べるとこんな感じです。
自院で確認する順番
- 対象患者が気管挿管中で、人工呼吸器を使用しているかを確認する
- 自発覚醒試験を実施できる状態かを確認する
- 意識状態を評価し、必要に応じて鎮静薬を中止・減量したうえで、30分〜4時間程度を目安に観察する
- RASS等の指標を用いて評価し、評価日時・評価結果を診療録に記載する
- 治療開始日から起算して14日以内かどうかを確認する
- 離脱試験加算・腹臥位療法加算など、他の注加算と取り違えていないか確認する
みらい(新人医療事務)
この順番で診療録を見返せば、算定候補かどうかがはっきりしそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に4番目の診療録記載が抜けていると、いくら評価を実施していても算定候補としては要確認になってしまうので注意してください。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取りこぼしって、どんなパターンがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかご紹介しますね。
よくある取り漏れ①
意識状態の評価は実施しているのに、評価日時や評価結果が診療録に記載されておらず、算定根拠が確認しづらくなっているケースです。
よくある取り漏れ②
14日を超えて評価を続けているのに、日数のカウントを見直さず算定を続けてしまい、上限を超えた分が要確認になっているケースです。
よくある取り漏れ③
覚醒試験加算(100点)と離脱試験加算(60点)を取り違えて摘要欄に記載してしまい、後から修正が必要になるケースです。
みらい(新人医療事務)
どれも「評価はしているのに記録や区分でつまずく」パターンですね。
あおい(元・医療事務)
はい。実施そのものより、記録と区分の整理が算定候補を左右するポイントだと感じます。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
資料の範囲では診療所・病院のいずれも算定候補になり得ますが、気管挿管・人工呼吸器による入院管理が前提です。外来診療は対象外の可能性が高く、自院の算定状況で確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した資料の範囲では、覚醒試験加算固有の施設基準・届出条件は明記されていません。ただし、これは資料の記載からの整理であり、最終的な判断は自院の届出状況や審査支払機関の確認によります。
みらい(新人医療事務)
14日を過ぎたら、もう評価はしなくていいんですか?
あおい(元・医療事務)
評価自体を続けるかどうかは臨床判断の範囲ですが、覚醒試験加算としての算定は「治療の開始日から起算して14日を限度」とされているため、15日目以降は算定候補から外れます。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、厚生労働省が公表している令和8年度の医科点数表・留意事項通知を根拠にしています。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(医科点数表 J045人工呼吸) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号・J045人工呼吸関連部分)
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。