みらい(新人医療事務)
先輩、レセプトを見ていたら「離脱試験加算」という項目が出てきたんですけど、これって何のための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。離脱試験加算は、J045「人工呼吸」の注4に定められている加算です。人工呼吸器を使っている患者さんについて、人工呼吸器から離脱できるかどうかを評価した場合に、1日につき60点を所定点数にさらに加算できる、という位置づけになっています。
みらい(新人医療事務)
「さらに加算」ということは、単独では算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
そこが今日いちばん押さえてほしいポイントです。厚生労働省の告示には、「注3の場合において、当該患者に対して人工呼吸器からの離脱のために必要な評価を行った場合は、離脱試験加算として、1日につき60点を更に所定点数に加算する」と書かれています。つまり離脱試験加算は、注3の「覚醒試験加算」が算定される場面を前提とした、いわば加算の上乗せなんです。
みらい(新人医療事務)
覚醒試験加算というのは、また別の加算ですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。覚醒試験加算(注3)は、気管挿管が行われている患者さんの意識状態を評価した場合に、治療開始日から14日を限度として1日100点を加算するものです。離脱試験加算(注4)は、その覚醒試験加算を算定する場面において、さらに離脱のための評価まで行った場合に60点が上乗せされる、という関係になります。
離脱試験加算とは(対象医療機関・対象患者)
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんが対象になるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
対象は、J045「人工呼吸」を算定している、気管挿管下の人工呼吸管理を受けている患者さんです。当サイトが収載している一次資料では、診療所・病院のいずれでも対象となり得る処置加算として整理されていますが、実務上は人工呼吸器管理を行う入院患者さんが中心になります。外来や在宅では、そもそもJ045の算定場面が想定しにくいため、算定候補になるかどうかは自院の診療形態と照らして確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
うちは有床診療所なんですが、対象になり得ますか?
あおい(元・医療事務)
気管挿管下で人工呼吸器管理を行い、J045を算定している患者さんがいれば、算定候補にはなり得ます。ただし実際に離脱試験加算まで算定できるかは、後述する評価項目をすべて満たしているかどうかの確認が必要です。届出の有無だけでなく、日々の評価記録が伴っているかがポイントになります。
点数区分(令和8年度)

みらい(新人医療事務)
点数を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、令和8年度の医科点数表に基づく区分は次のとおりです。
| 区分 | 点数 |
|---|---|
| J045人工呼吸 1 30分までの場合 | 302点 |
| 2 30分を超えて5時間までの場合 | 302点に30分又はその端数を増すごとに50点を加算 |
| 3 5時間を超えた場合(1日につき) イ 14日目まで | 1,140点 |
| 3 5時間を超えた場合(1日につき) ロ 15日目以降 | 815点 |
| 注3 覚醒試験加算(1日につき、開始日から14日限度) | 100点 |
| 注4 離脱試験加算(1日につき) | 60点 |
みらい(新人医療事務)
離脱試験加算だけ見ると60点なので、うっかり見落としそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。60点という数字だけを見ると小さく感じますが、人工呼吸管理が長期化する患者さんでは、評価を行った日数分だけ積み重なっていきます。まずは自院のカルテで、評価をどの程度の頻度で行っているかを確認してみることをおすすめします。
算定要件(自発覚醒試験から自発呼吸試験まで)

みらい(新人医療事務)
離脱試験加算を算定するには、具体的に何を行えばいいんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、離脱試験加算の算定要件として「人工呼吸器の離脱のために必要な評価として、以下の全てを実施した場合に算定することができる」とされ、関係学会が定めるプロトコル等を参考にすることとされています。まず前提として、注3の覚醒試験加算にあたる自発覚醒試験(SAT)の実施と評価が必要です。
みらい(新人医療事務)
自発覚醒試験というのは、覚醒試験加算のところで出てきた評価のことですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。覚醒試験加算(注3)の要件では、「意識状態を評価し、自発的に覚醒が得られるか確認すること」「観察時間は30分から4時間程度を目安とする」「Richmond Agitation-Sedation Scale(RASS)等の指標を用いること」「評価日時及び評価結果について、診療録に記載すること」が求められています。この自発覚醒試験の結果を踏まえたうえで、離脱試験加算の評価に進む、という順番です。
みらい(新人医療事務)
では離脱試験加算そのものの評価は、どんな内容なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
一次資料では、次のすべてを満たす必要があるとされています。まず、自発覚醒試験の結果、自発呼吸試験を実施できる意識状態であることを確認すること。次に、原疾患が改善している又は改善傾向にあること、酸素化が十分であること、血行動態が安定していること、十分な吸気努力があること、異常な呼吸様式ではないこと、全身状態が安定していること、のいずれにも該当することです。
みらい(新人医療事務)
それを確認したら、すぐに離脱できるかどうかが分かるんですか?
あおい(元・医療事務)
いえ、そこからさらに人工呼吸器の設定を変更して評価する段階があります。留意事項通知には、「人工呼吸器の設定を以下のいずれかに変更し、30分間経過した後、患者の状態を評価すること」とあり、具体的には「吸入酸素濃度(FIO2)50%以下、CPAP(PEEP)≦5cmH2O かつ PS≦5cmH2O」または「FIO2 50%以下相当かつTピース」のいずれかの設定に変更することが求められています。この評価は自発呼吸試験(SBT)にあたる内容です。
みらい(新人医療事務)
設定を変えたあとの評価では何を見るんですか?
あおい(元・医療事務)
通知では「酸素化の悪化の有無」「血行動態の悪化の有無」「異常な呼吸様式及び呼吸回数の増加の有無」のすべてを評価することとされています。そして、異常が認められた場合にはその原因について検討し対策を講じること、評価日時及び評価結果について診療録に記載することまでが、離脱試験加算の算定要件に含まれています。
みらい(新人医療事務)
診療録への記載は必須なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、必須です。評価を実施していても、診療録に評価日時と評価結果が残っていなければ、算定の根拠を示せません。レセプト点検の際は、点数だけでなく記録の有無まで確認することが欠かせません。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収載している一次資料の範囲では、離脱試験加算そのものに個別の施設基準の届出は定められていません。ただし、これは「無条件で誰でも算定できる」という意味ではなく、J045人工呼吸を算定できる体制であること、そして前提となる覚醒試験加算(注3)の評価要件を満たしていることが条件になります。届出の要否は改定や個別の運用で変わり得るため、最終的には自院の届出状況を公式資料で確認してください。
みらい(新人医療事務)
届出がいらないからといって、気軽に算定していいわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。届出の有無よりも、自発覚醒試験・自発呼吸試験の各評価を実施し、その内容を診療録に記載しているかどうかが、算定候補になるかを左右するポイントです。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
覚醒試験加算(注3)との関係に注意
離脱試験加算(注4)は、告示の文言上「注3の場合において」算定するものとされています。覚醒試験加算(注3)は治療開始日から起算して14日を限度に1日100点を加算する仕組みですが、離脱試験加算(注4)自体に日数の上限が明記された条文は、当サイトが収載している一次資料の範囲では確認できていません。覚醒試験加算の算定日数と合わせて算定できるかどうかは、自院の算定システムや審査支払機関にも確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
ほかに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には、「C107」在宅人工呼吸指導管理料を算定している患者(これに係る在宅療養指導管理材料加算のみを算定している者を含み、入院中の患者等を除く)については、人工呼吸の費用は算定できないと明記されています。離脱試験加算はJ045の注加算のため、この除外規定に該当する患者さんでは、そもそもJ045自体が算定できず、離脱試験加算も算定候補になりません。
評価の順番を取り違えない
覚醒試験加算(注3)の自発覚醒試験と、離脱試験加算(注4)の自発呼吸試験は、それぞれ評価する項目が異なります。どちらか一方の評価記録だけで両方を算定していないか、カルテを確認しておくと安心です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが現時点で収載している一次資料は令和8年度分が中心で、令和6年度時点のJ045離脱試験加算に関する告示・通知の原文までは確認できていません。そのため、前回改定(令和6年度)からの変更点の有無は、現時点の一次資料の範囲では確認されていません。点数や評価要件が過去から変わっているかどうかは、今後の一次資料の追加確認を踏まえて更新します。
みらい(新人医療事務)
分からないことは、分からないとはっきり書いてもらえると安心です。
あおい(元・医療事務)
そこは正確性を優先したいところです。確認できていないことを「変更なし」と断定してしまうほうが、かえって危険ですから。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- J045人工呼吸を、気管挿管下の人工呼吸管理として算定しているか確認する
- 覚醒試験加算(注3)の自発覚醒試験(意識状態の評価・RASS等の指標・診療録記載)を実施し記録しているか確認する
- 離脱試験加算(注4)の自発呼吸試験(原疾患の改善傾向・酸素化・血行動態等の確認、人工呼吸器設定変更後30分評価)を実施し記録しているか確認する
- 評価日時・評価結果・異常時の対応検討が診療録に記載されているか確認する
- 「C107」在宅人工呼吸指導管理料算定患者など、算定できない患者に該当していないか確認する
みらい(新人医療事務)
この順番で見ていけば、うちの状況が整理できそうです。
あおい(元・医療事務)
はい。特に3番と4番、評価そのものは行っていても記録が追いついていないケースはよく見られます。まずは直近のカルテを数件抜き出して、記載状況を確認してみてください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
覚醒試験加算を算定していない日でも、離脱試験加算だけ算定できますか?
あおい(元・医療事務)
告示の文言は「注3の場合において」離脱試験加算を算定するとしているため、覚醒試験加算(注3)の評価と切り離して離脱試験加算だけを算定できるかは、資料の文言上は確認が必要な論点です。自院での運用は、審査支払機関への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
60点という点数はどのくらいの頻度で算定できるものですか?
あおい(元・医療事務)
「1日につき」と定められているため、要件を満たす評価を行った日ごとに算定候補になり得ます。ただし覚醒試験加算(注3)側に14日の限度があるため、その範囲との関係は自院で確認してください。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出をしていなくても算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収載している一次資料の範囲では、離脱試験加算に個別の届出は定められていません。ただし届出の要否は変わり得るため、最終的には自院の届出状況と公式資料で確認が必要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。