みらい(新人医療事務)
先生、直腸のがんの手術のレセプトを見ていたら「両側側方リンパ節郭清加算」っていう項目があったんですけど、これって普通の手術加算と何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
これは直腸の手術のときに、通常の切除に加えて骨盤の側方(左右両側)にあるリンパ節も一緒に取り除いた場合に、手術の点数に上乗せできる加算です。令和8年度(2026年度)の医科点数表でも、K740 直腸切除・切断術の注として規定されています。
みらい(新人医療事務)
「両側」ってわざわざ付いているのが気になります。片側だけのときもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。片側だけ郭清した場合は「片側側方リンパ節郭清加算」という別の点数になります。この記事では両側を行った場合の加算に絞って、点数・対象手術・確認の順番を整理していきますね。算定候補になるかどうかは自院の手術記録と照らし合わせて確認する必要があるので、そこも一緒に見ていきましょう。
この加算は何のための加算か
みらい(新人医療事務)
そもそも「側方リンパ節郭清」ってどんな処置なんですか?
あおい(元・医療事務)
直腸がんの手術では、直腸そのものを切除するのに加えて、骨盤の側方に広がる血管の周囲のリンパ節(側方リンパ節)へがんが転移している可能性がある場合に、それを追加で郭清(取り除く)することがあります。この追加の手技を評価するのが本加算です。片側のみの郭清より、両側を行うほうが手技の負担が大きいため、点数も高く設定されています。
みらい(新人医療事務)
なるほど、追加で行った手技への上乗せなんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。単独の手術として算定するのではなく、K740系列の手術の「所定点数に加算する」形になっている点がポイントです。ベースとなる手術点数に、この加算分がプラスされるイメージです。
対象医療機関・対象患者/場面
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関、どんな場面で出てくる加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
診療所・病院のいずれでも算定候補になりえますが、実際にはK740系列の直腸切除・切断術という大きな手術に伴うものなので、入院での手術が前提になります。当サイトが収集している一次資料の範囲では、外来での算定を想定した記載は確認できていません。
みらい(新人医療事務)
対象になる手術は具体的に何ですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の点数表を確認すると、K740 直腸切除・切断術、K740-2 腹腔鏡下直腸切除・切断術、K740-3 腹腔鏡下直腸切除・切断術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの)のいずれについても、注として同じ内容の側方リンパ節郭清加算が定められています。
対象になる主な術式
K740 直腸切除・切断術(切除術・低位前方切除術・超低位前方切除術・経肛門吻合を伴う切除術・切断術): 側方リンパ節郭清加算の対象です。 K740-2 腹腔鏡下直腸切除・切断術: 同じく注2として同内容の加算が定められています。 K740-3 腹腔鏡下直腸切除・切断術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの、いわゆるロボット支援下手術): こちらも同内容の加算が定められています。
点数の整理(令和8年度)

みらい(新人医療事務)
肝心の点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示本文(令和8年厚生労働省告示第69号 K740の注2)には「側方リンパ節郭清を併せて行った場合であって、片側のみに行った場合は、片側側方リンパ節郭清加算として、4,250点を、両側に対して行った場合は、両側側方リンパ節郭清加算として、6,380点を所定点数に加算する」と書かれています。
みらい(新人医療事務)
片側と両側で点数がはっきり分かれているんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。片側だけ行った場合と両側行った場合は排他的に扱われていて、両側を行ったときは両側側方リンパ節郭清加算6,380点のみが対象になり、片側側方リンパ節郭清加算と重ねて算定するものではありません。
| 区分 | 点数 | 対象術式 |
|---|---|---|
| 両側側方リンパ節郭清加算 | 6,380点 | K740・K740-2・K740-3 |
| (参考)片側側方リンパ節郭清加算 | 4,250点 | K740・K740-2・K740-3 |
| (参考)K740 直腸切除・切断術「1 切除術」本体点数 | 42,850点 | K740 |
みらい(新人医療事務)
本体の手術点数がかなり大きいので、加算だけを見て判断しないほうがよさそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。この加算はあくまで本体の手術点数への上乗せなので、レセプトを作るときは本体の術式区分(切除術か低位前方切除術かなど)と、側方リンパ節郭清の有無・範囲をセットで確認する必要があります。
施設基準・届出はどうなっている?
みらい(新人医療事務)
この加算自体に、届出や施設基準みたいなものは必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
告示本文のK740の注を確認する限り、この加算自体に個別の施設基準や届出を求める記載は見当たりません。当サイトが収集している一次資料の範囲では、届出の要否について明確な定めを確認できていない、というのが正確なところです。
みらい(新人医療事務)
じゃあ何も確認しなくていいんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこは注意が必要です。加算そのものではなく、術式の選び方によっては別の施設基準がかかわってきます。たとえばK740-3(内視鏡手術用支援機器を用いる腹腔鏡下直腸切除・切断術、いわゆるロボット支援下の術式)は、令和8年厚生労働省告示第69号の通則で「K719-6、K732-2、K740-3…に掲げる手術、体外循環を要する手術並びに胸腔鏡又は腹腔鏡を用いる手術については、別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において行われる場合に限り算定する」と定められています。
みらい(新人医療事務)
つまり、加算そのものより先に「その術式を実施できる病院かどうか」がポイントになるんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。K740-3を選択する場合は、その術式自体の施設基準を満たしているかを確認したうえで、側方リンパ節郭清の有無を見ていく順番になります。あわせて内視鏡手術用支援機器加算のように、同じ手術に付随する別の加算が算定候補になっていないかもチェックしておくと取りこぼしが防げます。
届出・施設基準は資料の範囲での整理です
本加算そのものの届出要否について、当サイトが収集している一次資料の範囲では明確な記載を確認できていません。実際の届出状況・施設基準の充足は、自院の地方厚生局への届出内容と照らして必ず確認してください。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
いつ、どんなタイミングで算定するものなんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算は独立した手術としてではなく、K740系列の手術を実施したその機会に、本体の手術点数へ上乗せする形で算定します。手術記録に側方リンパ節郭清を両側に行った旨が明記されていることが前提になります。
みらい(新人医療事務)
回数制限みたいなものはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注の文言そのものには、月何回まで、といった回数の定めは書かれていません。あくまで一連の手術の中で発生する加算という位置づけです。ただし、同一入院で再手術になったケースなど個別の状況によって取り扱いが変わる可能性もあるため、そうした特殊なケースはレセプト担当者だけで判断せず、審査支払機関や院内の医事課で個別に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に算定してもいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
たとえばK740の注1には人工肛門造設術を併せて実施した場合の人工肛門造設加算(2,000点)が別に定められています。側方リンパ節郭清加算と人工肛門造設加算は、それぞれ別の注に基づく加算なので、該当する処置を両方行っていれば両方とも算定候補になり得ます。ただし、具体的な組み合わせや除外規定の有無は術式ごとに異なることがあるため、レセプト作成時に個別の告示・通知を確認する姿勢が大切です。
片側と両側は排他的な扱いです
告示の文言上、片側のみの郭清では片側側方リンパ節郭清加算(4,250点)、両側の郭清では両側側方リンパ節郭清加算(6,380点)が対象になります。同一手術で両方の加算を重ねて算定するものではありません。手術記録の記載を必ず確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から、この加算の内容って変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
これは正直にお伝えしますね。当サイトが収集している令和8年度の一次資料の範囲では、この加算の点数(6,380点・4,250点)や対象術式について、前回改定(令和6年度)からの変更を示す記載は確認できていません(確認日: 2026年7月)。
みらい(新人医療事務)
「変わっていない」と断言はできないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。当サイトが保有していない令和6年度時点の個別改定資料までは突き合わせられていないので、「今回収集している資料の範囲では変更が見当たらない」という言い方が正確です。改定年度をまたいで比較する場合は、必ず自院で該当年度の告示・通知の原文を確認してください。
改定対比のポイント(令和6年度→令和8年度)
点数: 前回改定(令和6年度)からの変更点は、当サイトが収集している資料の範囲では確認されていません。 対象術式: K740・K740-2・K740-3という対象範囲についても、同様に変更を示す記載は確認できていません。
自院で確認する順番

みらい(新人医療事務)
最終的に自院で確認するときは、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくと整理しやすいですよ。
自院で確認する順番
実施した手術がK740・K740-2・K740-3のいずれかであるかを、手術記録・術式コードで確認する 手術記録に側方リンパ節郭清を「両側」に行ったと明記されているか確認する(片側のみなら別の加算の対象) K740-3(内視鏡手術用支援機器を用いるもの)を選択した場合は、その術式自体の施設基準の届出が済んでいるかを確認する 人工肛門造設加算や内視鏡手術用支援機器加算など、同じ手術に付随する他の加算が算定候補になっていないか併せて確認する 医師・レセプト担当者間で手術記録とレセプト記載を突き合わせ、最終的に加算チェッカーで整理する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな見落としってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか代表的なパターンをまとめておきますね。
取り漏れやすいポイント
片側・両側の混同: 手術記録上は両側郭清なのに、レセプトでは片側側方リンパ節郭清加算のまま請求してしまい、点数を取りこぼすケースがあります。 対象術式の見落とし: K740本体だけでなく、K740-2やK740-3でも同じ注に基づく加算が算定候補になることを見落としてしまうケースがあります。 施設基準の確認漏れ: K740-3を実施する場合、加算そのものより先に、その術式自体の施設基準届出が済んでいるかを確認し忘れるケースがあります。
みらい(新人医療事務)
どれも「記録の書き方」と「術式の区別」が鍵になりそうですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。手術記録に「側方リンパ節郭清(両側)」のように具体的に書いてもらう運用にしておくと、レセプト担当者側の確認もしやすくなります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか気になる点を質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
外来で行う処置でもこの加算は算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
この加算が付随するK740系列の手術は、通常入院で行われる大きな手術です。当サイトが収集している資料の範囲では、外来での算定を想定した記載は確認できていません。外来のみで完結する処置であれば、まずこの加算の対象になる場面かどうかから見直すことをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
手術中に片側の予定が両側に広がった場合は、どう扱えばいいんですか?
あおい(元・医療事務)
術中に郭清範囲が片側から両側に拡大したケースについて、当サイトが収集している資料の範囲では個別の取り扱いを示す記載は確認できていません。手術記録に実際に行った範囲を正確に記載してもらったうえで、判断に迷う場合は審査支払機関へ個別に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定のときは、この加算はどういう扱いだったんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)時点の個別の記載までは、当サイトでは突き合わせられていません。今回収集している令和8年度の資料の範囲では、点数・対象術式に変更を示す記載が見当たらない、というところまでしかお伝えできません。年度をまたいだ正確な比較が必要な場合は、自院で該当年度の告示原文を確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。手術記録の内容や術式区分を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。