みらい(新人医療事務)
部長、「両側肺移植加算」という加算を見つけたんですが、これって普通の肺移植とは別物なんですか?
あおい(元・医療事務)
別物というより、肺移植の手術に上乗せする加算です。両側の肺を移植した場合に、手術の点数にプラスして算定される仕組みになっています。令和8年度の医科点数表でも、この加算自体は45,000点という大きな点数が設定されています。
みらい(新人医療事務)
45,000点ってかなり大きいですね……。うちの病院でも算定候補になったりするんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
正直に言うと、対象になる医療機関はかなり限られます。肺移植そのものを実施できる高度な体制を持つ病院向けの加算なので、まずは「どんな手術に対する加算なのか」から一緒に確認していきましょう。
どんな手術に対する加算ですか
みらい(新人医療事務)
まず、両側肺移植加算はどの手術にひもづいているんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の令和8年度医科点数表では、両側肺移植加算は2つの手術の「注」として規定されています。1つはK514-4同種死体肺移植術、もう1つはK514-6生体部分肺移植術です。どちらも、両側の肺を移植した場合にこの加算が算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
亡くなった方からの移植と、生きている方からの移植の両方があるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。同種死体肺移植術は亡くなった方からの提供肺を移植する手術、生体部分肺移植術は生きているドナーの肺の一部を移植する手術です。それぞれの告示本文には、次のように書かれています。
告示本文(令和8年度)
K514-4(同種死体肺移植術)注3: 両側肺を移植した場合は、両側肺移植加算として、45,000点を所定点数に加算する。 K514-6(生体部分肺移植術)注4: 両側肺を移植した場合は、両側肺移植加算として、45,000点を所定点数に加算する。
みらい(新人医療事務)
同じ「両側肺移植加算」でも、根拠になる注が2つあるということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。どちらの手術が行われたかによって、根拠になる注番号が変わるだけで、加算の点数(45,000点)自体は共通しています。
対象疾患・実施条件について
みらい(新人医療事務)
生体部分肺移植術のほうは、対象になる病気も決まっているんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。厚生労働省の留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)では、生体部分肺移植術の対象疾患として、肺動脈性肺高血圧症や特発性間質性肺炎、気管支拡張症、嚢胞性線維症など、複数の進行性肺疾患が列挙されています。加えて「肺・心肺移植関連学会協議会」が承認する進行性肺疾患も対象に含まれるとされています。
みらい(新人医療事務)
かなり細かく決められているんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。同じ通知では、生体肺を移植する場合について「日本移植学会が作成した『生体部分肺移植ガイドライン』を遵守している場合に限り算定する」とも書かれています。ガイドラインの遵守が算定の前提になっている点は重要な確認ポイントです。
みらい(新人医療事務)
対象疾患、もう少し詳しく教えてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
分類してまとめると、次のようになります。あくまで生体部分肺移植術(K514-6)の対象疾患の整理で、両側肺移植加算そのものの疾患要件ではない点には注意してください。
| 分類 | 対象疾患の例 |
|---|---|
| 肺高血圧・血管系 | 肺動脈性肺高血圧症、肺静脈狭窄症、肺毛細血管腫症、アイゼンメンジャー症候群、慢性血栓塞栓性肺高血圧症、多発性肺動静脈瘻 |
| 間質性肺疾患 | 特発性間質性肺炎、その他の間質性肺炎、肺サルコイドーシス、肺リンパ脈管筋腫症、肺好酸球性肉芽腫症、慢性過敏性肺臓炎 |
| 閉塞性・その他 | 気管支拡張症、閉塞性細気管支炎、じん肺、びまん性汎細気管支炎、α1アンチトリプシン欠損型肺気腫、その他の肺気腫、嚢胞性線維症、肺嚢胞症 |
| その他 | 肺・心肺移植関連学会協議会が承認するその他の進行性肺疾患 |
対象は限定的です
両側肺移植加算そのものの算定候補になるかどうかは、まず基礎となる同種死体肺移植術・生体部分肺移植術が実施できる体制にあるかどうかが前提になります。対象疾患・実施ガイドラインの充足は、厚生労働省の一次資料と自院の診療内容で個別に確認が必要です。
点数はいくらですか
みらい(新人医療事務)
点数をまとめてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表をもとにすると、次のようになります。
| 区分 | 名称 | 点数 |
|---|---|---|
| K514-4 | 同種死体肺移植術 | 139,230点 |
| K514-6 | 生体部分肺移植術 | 130,260点 |
| 両側肺移植加算(K514-4注3/K514-6注4) | 両側肺を移植した場合の加算 | 45,000点 |
| 抗HLA抗体検査加算(同注) | 抗HLA抗体検査を行った場合の加算 | 4,000点 |
みらい(新人医療事務)
両側肺移植加算だけで45,000点……手術本体の点数と比べてもかなり大きいですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。ただし、これは手術の所定点数に「加算」される形なので、両側肺移植加算だけを単独で算定することはできません。あくまでK514-4またはK514-6の手術が実施され、かつ両側の肺を移植した場合に、セットで算定候補になる、という位置づけです。
みらい(新人医療事務)
組織適合性試験の費用は、また別に請求できるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ。告示の注では「肺移植者に係る組織適合性試験の費用は、所定点数に含まれる」とされています。両側肺移植加算やK514-4・K514-6の所定点数とは別に、組織適合性試験の費用を単独で算定することはできません。
施設基準・届出はどうなっていますか
みらい(新人医療事務)
施設基準や届出はどうなっているんでしょう?
あおい(元・医療事務)
ここは慎重に確認したいところです。当サイトが確認した一次資料の範囲では、両側肺移植加算そのものを対象にした独自の施設基準・届出は見当たりませんでした。
みらい(新人医療事務)
ということは、届出なしで算定候補になるということですか?
あおい(元・医療事務)
そう言い切ることもできません。基礎となる同種死体肺移植術・生体部分肺移植術については、施設基準等の届出に関する手続き文書(令和8年3月5日 保医発0305第7号)の中で「C16 開胸手術(9日間)」という区分にまとめて挙げられていることが確認できます。この区分が具体的にどの届出要件に対応するかは、当サイトが確認した資料の範囲では詳細まで特定できていないため、手術そのものを実施する体制について、届出状況を自院の届出台帳や地方厚生局の資料で個別に確認しておく必要があるということです。
届出は個別確認が必須
両側肺移植加算単体の届出要件は当サイトが確認した資料の範囲では見当たりませんが、基礎となる手術の実施体制・届出区分については、自院の届出台帳と厚生労働省・地方厚生局の資料で必ず確認してください。
併算定で確認したい加算
みらい(新人医療事務)
ほかに一緒に算定候補になる加算ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
同じ手術区分の中には、抗HLA抗体検査加算(4,000点)という別の注加算もあります。これは両側肺移植加算とは別の要件(抗HLA抗体検査を実施した場合)で算定されるものなので、要件を満たせば両側肺移植加算とあわせて算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
ほかにも関連しそうな加算はありますか?
あおい(元・医療事務)
はい。厚生労働省の留意事項通知では、脳死臓器提供管理料はK514-4同種死体肺移植術などが算定できる場合に限り算定する、生体臓器提供管理料はK514-6生体部分肺移植術などが算定できる場合に限り算定する、とされています。つまり、両側肺移植加算の対象になる手術を行う場面では、こうした管理料もあわせて確認する価値があります。
| 加算・管理料 | 主な条件 | 詳細 |
|---|---|---|
| 抗HLA抗体検査加算 | 抗HLA抗体検査を実施した場合 | 4,000点(同一手術区分の注) |
| 脳死臓器提供管理料 | K514-4同種死体肺移植術等が算定できる場合に限り算定 | 脳死下での臓器提供に伴う管理料 |
| 生体臓器提供管理料 | K514-6生体部分肺移植術等が算定できる場合に限り算定 | 生体からの臓器提供に伴う管理料 |
みらい(新人医療事務)
これは全部同時に算定候補になるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
あくまで「候補」です。それぞれ独立した要件があるので、実際にどの組み合わせが算定候補になるかは、症例ごと・自院の体制ごとに確認する必要があります。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、この加算に変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した令和8年度の一次資料の範囲では、両側肺移植加算に関する前回改定(令和6年度)からの変更点は確認されていません(2026年7月確認・厚生労働省一次情報ベース)。ただし、告示・通知は今後訂正が入ることもあるため、最新の一次資料は都度確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院でこの加算を確認するとき、どんな順番で見ればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認するとわかりやすいです。
自院で確認する順番
- K514-4同種死体肺移植術、またはK514-6生体部分肺移植術を実施できる体制(届出区分含む)にあるかを確認する
- 実際に両側の肺を移植する症例かどうかを確認する
- 生体部分肺移植術の場合は、対象疾患・日本移植学会のガイドライン遵守状況を確認する
- 抗HLA抗体検査加算や脳死・生体臓器提供管理料など、あわせて算定候補になる項目がないか確認する
- 最終的な算定可否を、自院の届出状況と公式資料・審査支払機関で確認する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
よくあるのは、片肺移植のケースと混同してしまうことです。
片肺移植との混同に注意
両側肺移植加算は、あくまで「両側の肺」を移植した場合の加算です。片肺のみの移植では、この加算の対象にはなりません。カルテ・手術記録で両側移植であることを確認したうえで検討してください。
みらい(新人医療事務)
ほかにもありますか?
あおい(元・医療事務)
組織適合性試験の費用の扱いも取り漏れやすいポイントです。
組織適合性試験費用は別立て算定不可
告示の注では「肺移植者に係る組織適合性試験の費用は、所定点数に含まれる」とされています。両側肺移植加算やK514-4・K514-6の所定点数とは別に、組織適合性試験の費用を単独で算定しないよう注意してください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
片肺移植でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
告示の文言上、両側肺移植加算は「両側肺を移植した場合」に限定されています。片肺のみの移植は対象外の可能性が高いです。
みらい(新人医療事務)
抗HLA抗体検査加算と両側肺移植加算は同時に算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
同じ手術区分の中の別の注として規定されているため、それぞれの要件を満たせば両方とも算定候補になります。ただし、実際の算定は個別の症例・体制に応じて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
うちの病院がこの加算の対象になるか、自分で確認する方法はありますか?
あおい(元・医療事務)
次のセクションで案内する加算チェッカーを使うと、確認すべきポイントを整理しやすいですよ。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。